遊戯王VRAINS もう1人の『LINK VRAINSの英雄』   作:femania

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注意事項

・小説初心者で、連載小説初挑戦です。至らない部分はご容赦ください。
・話によって、一人称だったり、三人称だったりと変わります。
・クロスオーバー作品なので、遊戯王アニメシリーズのキャラが登場することもありますが、設定が違うので元と性格や行動が違うことがあります。
・過去にアニメシリーズで使われていたデッキを本人ではなくこの作品のオリジナルキャラが使うことがあります。また、使用されるデッキはエースモンスターはそのままにデッキをアレンジしたものになっていることがあります。
・この作品はシリーズのキャラに優劣をつけるものではありません。勝敗についてはストーリーの構成上、容認していただけると幸いです。
・この話はフィクションです。
・人物描写はスキップしています。言動を参考に想像しながらお楽しみください。
・オリジナルのカードも使ってます。
・作品はほぼオリジナル展開です。

これでOKという人はお楽しみください!

デート編です。
だからといってむちゃくちゃ2人をイチャイチャさせるわけではありません。
何事もほどほどに、がいいものです。


UA10000記念番外編 光の世界の休日 デート編

ブルームガール、現実世界では学校の生徒会長。

 

彼女はいわゆる高根の花。通常彼女とこのように2人並んで歩くことは許されない。

 

しかし、ここはデュエルの世界。現実世界のルールはそこに存在しないのだ。お楽しみを咎める者は誰もいないのである。

 

 

 

「まあ、現実世界のしがらみを忘れているのは構わないんだけど……」

 

隣を歩くブルームガール、特大クレープをほおばっている。

 

今日の市場はやけににぎやかな光景を見せている。いつもは物の販売がメインなのに対し、今日の市場はそれもある一方、食べ物や遊戯の屋台も多いお祭り騒ぎだ。

 

「うまい」

 

彼女が口に入れているクレープもその屋台のうちので買ったもの。たっぷりの生クリームに肉厚な果実がこれでもかと入っている。いったいこれの材料をどこで手に入れたのか、と問いたくなる一品。

 

そしてこのクレープ、実はただで譲ってもらったものである。

 

店員は光の世界の住人であり、エリアマスターとその仲間の2人を見た時に、日ごろのお礼ということでお代をタダにしてくれたのだ。

 

「遊介さん、昨日はお世話になりました。いやあ、さすがエリアマスター。見事なお手前で感動しました」

 

「ああ、いや、仕事ですから」

 

「でも、あんな少ない人数で、よく戦ってくれてますよ。貴方も最近は復活してくれてより心強い。ウチら、本当に感謝してるんですよ。あなたたちのおかげで、こうやって穏かに楽しくできるわけだから」

 

遊介もその店主の事はつい先日のことだったためしっかりと覚えている。ちょうど襲われそうになっていたところあくびをしながら通りかかり、危機感よりも、まず口を大きく開けていたところを見られた恥ずかしさが勝ったのは悪しき思い出だった。しかし、目撃者は格好いい方の出来事を話題にしてくれたため、遊介はほっとした。

 

「さすがねぇ、えりあますたー」

 

心が籠っているか判断のつかない微妙なブルームガールの声も覚えている。

 

そして今に至るわけだが、そんな2人が街中を歩いているためか、街の人間の注目度はかなり高い。さすがにサインを求められるようなスーパースター扱いではないものの、地元の人気者として、いろいろとサービスをしてくれる人が多い。

 

ブルームガールははっきり言えば外見は整っている方である。外見設定で盛っているのではないかという疑惑をかけられても心配ない。外装と神の色を除けば現実準拠。別におしゃれの字範囲内で嘘をついているわけではない。

 

人の好みによるところはあるが、少なくとも学校で美人と評価する人間は非情に多い。

 

そんな彼女がおいしそうにクレープを頬張っている姿はとても絵になる。宣伝効果は絶大。クレープやに行こうという話はちらほらと聞こえて来る。

 

当の本人はそんなことになっている事は気にも留めず糖分を摂取し続けている。

 

「ああ、ふわふわの生クリーム。このトッピングが絶妙に甘さを引き立てて……もう、たまらない!」

 

恐ろしいことに、この程度の食レポは自然に出てくる様である。

 

「食べる?」

 

と遊介にクレープを差し出してくる。

 

断る理由もないため、遊介はかぶりつく。

 

うまい、と感想を述べたブルームガールに遊介は賛同する。本当に生クリームにこだわっているのか、現実世界でも味わったことのない白い甘味が口の中に広がっていく。

 

「これは……」

 

「2人分買えばよかったね。今日しか店出さないのかなぁ」

 

「多分、結構手も込んでるし、また出すにしてもすぐにとはいかないだろうなぁ」

 

「そっかー。みんなにも食べてほしかったんだけどなー」

 

「メール出そうか?」

 

「……こんなことでチーム内メール使うのは良くないけど、お願い。エリーちゃんにはお勧めしたい」

 

遊介は自身のデュエルディスクを操作し、チームメイトにブルームガールのおすすめ物件を伝える。

 

(会長にいいように使われてるなぁ)

 

と思わなくもなかったが、それも悪くないと思っている自分がいることに驚いている。しかし己を振り返ってみると、昔から彩に振り回され続けた経験を何度もし続けており、このような扱われ方の方が慣れている節があるのではと気づく。

 

周りから嫉妬を受けているような謎の視線を投げかけられているのは、無理もないことと受け流し遊介はメールの分を軽やかに打ち込んでいく。

 

「そういえば、聞いたことなかったけれど、遊介が好きな食べ物って何?」

 

「俺?」

 

「私は甘いものが好きだけど」

 

夜にオレンジジュースをお酒の代用みたいに飲んでいたら誰でもわかる、などと言う野暮なツッコミはしない。

 

「そうだなぁ」

 

通常答えに迷わなさそうな問いに遊介は迷う。

 

好きなものと言えばデュエルだ。それは、自分の多くの自由時間をなげうってでも構わないと本気で思っている趣味である。しかし、それ以外に好きなものと訊かれると意外とそれほど熱中しているものはない。

 

特に特定の食べ物にこだわりがあるということはなかった。

 

「……うーん」

 

「それ、迷うところ?」

 

「いやあ、会長の熱量に比べると、好みはあっても、自身をもって好きだって言えるものはないかなぁ」

 

「別にそんなに迷わなくてもいいのだけれど?」

 

「うーん、肉も魚も野菜もきのこも、ぶっちゃけおいしければそこはこだわりないなぁ。あ……でも、一人で食べるのは寂しいかも。みんなでなんとない話しをしながら食べるのがいいな」

 

「ふーん。じゃあ、こうして2人で夜の食事でも十分楽しいわけね」

 

「それはまあ、この世界に来てから不安だったけど、そこだけは良かった。だって誰かがずっとそばにいるから」

 

「……そうね。私も」

 

満足げに笑う理由が遊介には分からなかったものの、それでも笑顔の会長は似合うものだと、不意に思ってしまった。

 

 

 

 

今度は掲示板ではなく宣伝をしているマイケルに出会う。

 

何を宣伝しているかと言うとその内容は既に知っているものだった。

 

『光の世界エリアマスター復活記念! この機にエリアマスターをもっと知ろう! 初のエンタメデュエル大会! ??? VS 遊介』

 

先ほど掲示板に張られていた紙と同じものをマイケルが配っている。

 

「おう、遊介。なんだ、デート中か」

 

「うん」

 

当たり前のように肯定する会長は果たしていいのか悪いのか。しかし遊介にはそれ以上にまず聞かなければならないことがあった。

 

「それ俺初耳なんだけど」

 

「え。昨日言っただろ」

 

遊介はそう言われて昨日を振り返る。しかし、身に覚えがない。

 

「昨日、寝てるときに言ったろ?」

 

「は?」

 

「だから」

 

マイケルは普通にその事実を突きつける。

 

「お前、寝てる人間に通じるわけないだろ! 起きてるときだろ普通」

 

「お前、寝てるだけで人の頼み聞けないのか? それでも人間かよ」

 

「人間は普通寝てるときに人の声を積極的に聞こうとはしていないとおもうんだけど」

 

「まあ、気にすんなよ。もう決まったことだ。それか今から俺が代わってもいいぞ。明日の俺の分のパトロールをやるってならな」

 

何事も等価交換。カードショップをやっている商売人の魂ここにあり。遊介はマイケルの逞しさに舌を巻く。

 

「……まあ、やらないとは言ってないけど」

 

「なんだよ、お前のノリノリじゃねえか」

 

「まあね。見る限り、ずいぶん大きい会場を貸し切ってやるようだし、プロの端くれとして、人に魅せるデュエルをやってみる練習になるかも」

 

案内用紙を見る限り、光の世界の中で唯一のデュエルフィールドであるコロッセウムを使用するデュエルらしく、内容はアクションデュエルになるようだ。アクションデュエルの特徴としては、フィールドの至る所に裏向きのカードが落ちていて、そのカードを拾った方が使用できるという、特殊なルールがある事。しかしなんでもかんでも拾えばいいというものではない。カードの効果はバラバラであり、魔法もあれば罠もある。罠は拾った瞬間自分にダメージが入ることもしょっちゅうで危険なときほど博打になるというリスクがある。

 

しかし、そのようなイレギュラーなカードを巻き込んだ予測不能のデュエルは、時に客を大いににぎやかにするものだ。

 

「へえ、お前がその気なら相手はぴったりじゃないか?」

 

「相手って、???になってるじゃんかよ」

 

マイケルは急に顔を近づける。その行為の目的を測りきれず、遊介はつい引け腰になってしまった。

 

「おい、てめえ。変なことしねえっての、耳貸しな」

 

と忠告を受けて、遊介は耳を傾けた。

 

「ここだけの話、相手は榊遊矢だ。ブルームガールが、新入りの実力を見たいってよぉ」

 

分かった事実は多い。マイケルも使われている側であること、遊矢が相手であること。そして何より、

 

「会長……」

 

この大ごとの元凶がブルームガールであることだ。

 

「ふふふ、面白そうじゃない。お互い名前に遊ぶっていう字がついてる対決」

 

勝手に人を巻き込んで悪びれない悪癖は、生徒会長としての仕事を数多く本人の同意なく押し付けてきた証か。真実は分からなくとも予想はできる。

 

「まあ、オレも面白そうだから乗ったんだけどな。会場の手取りと飾り付け、そしてチケットの販売は俺観衆よ」

 

「有難いわ。そこらへん、私は無知だから困ってたから」

 

「いいってことよ」

 

目の前の仲間二人の結託が思った以上の盛り上がりという威力を見せている。遊介は我ながら恐ろしい仲間を持ったものだと将来が少し怖くなった。

 

しかし、このようなお祭り騒ぎに参加するのはいつ以来か、と思い返してみると、これくらいアグレッシブな仲間の近くにいた方が面白いのかもしれない。とも遊介は思ったのだった。

 

 

 

酔狂な人間はどこにでもいる。

 

たとえばこのような楽しいお祭りの最中であるにも関わらず、騒動を起こす馬鹿者。後で思い返して後悔することが多い悪ふざけをする人間。

 

襲撃者2人。街の住民が襲われそうになっているところに、遊介とブルームガールは通りかかった。

 

「遊介」

 

「相手は2人か」

 

遊介は街の人間を守るために、すぐにその場へと駆けていく。

 

そして、デュエルモードを、タッグデュエルで設定し、2人に勝負を挑んだ。

 

「た、タッグ……?」

 

「あれ、ダメだった?」

 

「その……私はそれぞれ1人ずつを相手にするものだと……」

 

「あ、それでもよかったかぁ……」

 

遊介は今更になったその可能性に気が付いたがもう遅い。この世界では一度デュエルを挑んでしまえば、もう後戻りはできない。すでに決定してしまった設定を変えることもできない。

 

「もしかして、タッグ嫌だった」

 

遊介がブルームガールに問うと、少し火照った顔ながら不敵に笑い、

 

「別に。私は平気よ。遊介こそ、遅れをとらないでよね」

 

宣言する。

 

「もちろん、足手まといにはならないよ」

 

遊介もまた、デュエルのこの瞬間、いつもよりほんの少しだけシャキッとし、ブルームガールの期待に応えることにする。

 

光の世界の中でも有名なデュエリスト2人が相手。襲撃者にとってはさぞ不幸なことだろう。この2人は実力者として有名であり、襲撃する側からすれば一番厄介な敵が現れてしまったということだ。

 

 

 

 

勝負にはそれほど時間を要さなかった。

 

デュエルは終始、遊介とブルームガールのタッグが優勢で進む。

 

それもそのはず、この2人のコンビネーションは、事前に打ち合わせたわけでもないくせに十分な質を伴っていた。

 

ブルームガールは、トリックスターのバーン戦法でとにかく攻めて、攻めて、相手のLPをとことん減らしていく。そして遊介は、自身はほとんど攻撃に参加することなく、ブルームガールの障害になりそうな戦術への対応に専念し、ブルームガールの戦法がまるまる通るように強力にアシストした。

 

「受け取りなさい、ブルームガールの愛を!」

 

(会長、ノリノリだなぁ)

 

「罠カード、『プレゼントカード』! 相手は手札をすべて捨て、カードを5枚ドローする!」

 

うわあ、やめろぉ! 声を震わせながら命乞いをする弱者を目の前に、それを全く意に介さず、最後の宣言をする。

 

「この瞬間マンジュシカの効果! あなたがドローした枚数の1枚につき200のダメージ、5枚ドローしたため、あなたたちに1000のダメージよ!」

 

ドカーン! うわあ!

 

この瞬間だけはトリックスターの残忍さを思い知る遊介。

 

しかし、まだ終わらないのだ。

 

「フィールド魔法『トリックスター・ライトステージ』の効果! 200ダメージ。さらに、永続魔法『地獄の拷問部屋』の効果で、さらに300ダメージ。これで、あなたたちは終わりよ!」

 

最後にさらっと、なんの可愛げもない名前のカード効果を宣言し、残り1300だった襲撃者のLPは尽きる。

 

あがった断末魔を気に留めず、ブルームガールは遊介にハイタッチを要求した。

 

遊介は、少し苦笑いしながら、そのタッチに乗った。

 

「いやあ、愛ですかアレ……」

 

「言ってみたかったのよ。これ」

 

「愛、怖いなぁ」

 

「でも、助かったわ。思ったより手札悪くて、最初の方は頼りっぱなしだった」

 

「それはまあ、そういうときもあるだろうし。気にすることじゃない」

 

実際、襲撃者は、ブルームガールの手札が悪い状態ではそこそこ食いついては来ていた。ダメージも2000は受け、一時は負ける事も考慮に入れたほどだ。

 

遊介にとって驚きだったのはそこから1ターンで、ブルームガールが相手のLP4000をあっさりもっていったことだが。

 

「ふう、大変だったわね……」

 

ブルームガールの体がやけに傾いているように、遊介には見えた。

 

顔を急に焦りの表情に変わるのを見て、イレギュラーな事態が発生していることを察する。脚に、少し大きめのくぼみがあることを察する。

 

デュエルを終えたばかりで多少痛みを感じて集中力が切れていたのだ。ブルームガールが転びそうになっていた。

 

遊介は、ブルームガールを受け止める。

 

残念ながら人の全体重を、曲げた左腕で受け止められるほどの力がない遊介は、全身を使って受け止めるしかなかった。

 

「あ……」

 

「会長、危ない危ない。転びそうだったでしょ?」

 

「ちょ……」

 

何か言おうとしている会長が、珍しく言葉を見つけられない様子。遊介がその間を埋めるように、

 

「もしかして、結構ダメージ食らってたり?」

 

と訊き、

 

「実は怪我をしてたりとかなら、イベント会場まで、背負っていきますよ?」

 

と立たせようとせず、ブルームガールに当たり前のように質問する。

 

遊介にとってはおかしな話だとは思っていない。確かに女性を背負うことに少し緊張はするものの、仕方のない行為だと思うつもりだった。

 

しかし、この発言、ブルームガールにとっては大問題だったのだ。

 

「え……」

 

実際、少し脚をひねってしまったようで、歩くのは困難である。しかし、遊介に背負ってもらうということは、そう簡単にできることではない。

 

ブルームガールは相手との長い時間密着する行為は、たとえいやらしい行為でなくても、恋人同士がすることなのだと考えている。もしここで背負ってもらったりなどしたら、それは自分から遊介が好きであると告白してしまうことと同義であるという持論を持っていた。

 

確かに遊介のことを嫌っているわけではないが、まだ早い。そのような行為はまだ早いのだ。

 

世間的に見れば、たった1回の親切程度の行為であるものの、ブルームガールにとってはそれほど大きなことなのだ。

 

しかし、むしろこれはチャンスでもあった。

 

「……じゃあ、お願いしていい?」

 

たとえ無理をすれば歩けると自覚しても、年甲斐もなくおぶってもらうという貴重な経験を、自然な流れでしてもらう唯一の機会と言ってもいい。

 

ブルームガールは現実世界では、親や兄弟にもこのようなことをしてもらった記憶はない。故に、人に背負われるのはどういう気分なのかを知るいい機会でもある。

 

――というむちゃくちゃな言い訳を、ブルームガールは己の中に発生させ、自分を正当化させる。

 

本当に体験したいことは、かつて一度だけ見た少女漫画みたいに、自分が1人の女の子として、かっこいい王子様――王子様というには、遊介はまだまだであるが――に優しくされてみたいという邪な欲望だったわけだ。

 

遊介は、そんなブルームガールの思考を読み取ることなく、彼女を背中に背負うと、

 

(もう少し会長と回りたかった気もするけど、それはまた今度だなぁ。今はまっすぐイベント会場に急ぐか)

 

と歩き出す。

 

その道中、多くの人々の注目を浴びることになった遊介。なぜか皆目見当がつかない。

 

そしてイベント会場近くでエリーと合流した時、

 

「ますたぁ……?」

 

と、空いた口がふさがらないエリーを見て、遊介は、少しまずいことしたのかなぁ、とようやく自身の大胆な行為を顧みるきっかけを得たのだ。

 

 

 

脚をくじいて、しばらく休憩が必要なブルームガールに代わり、マイケルとエリーが、会場を盛り上げる司会となった。

 

舞台のコロッセウムはいわゆる闘技場のイメージそのままだ。周りに観客が戦う戦士を見下ろすように座っている。

 

そして外では若干画質が悪いものの、内部の様子をが映像で映し出している。

 

遊介は控室ではなく、直接観覧席から豪華に登場と言う流れである。ちなみに、開始5分前に受けた指示であり、遊介はどう登場しようか現在進行形で頭を悩ませていた。

 

そんな、エリアマスターを置いて、イベントはついに始まる。

 

「光の世界のみんなぁ、良くきたなぁ! マイケルだ! 今日は俺達のエリアマスター遊介のエンタメデュエルを、とくと楽しんでいってくれぇ!」

 

さすが商売人だけあり、大声を出すのが慣れている様子。隣で震えているエリーが少し可哀そうに思えてくるほどだ。

 

会場はマイケルの掛け声に大賑わい。会場を巡る移動販売サービスもすべてマイケル仕込みのため、今回のイベントによほど気合を入れていると見える。

 

しかし、すべては遊介をいち早く街のエリアマスターとして認知させるためのイベントである。そんな仲間の豪快な気遣いには、遊介もありがたく思っていた。

 

「さあ、まずは挑戦者だなぁ! かもーん!」

 

マイケルの雑な司会進行に合わせ、

 

「がんばって、ゆうや!」

 

という声援と共に、舞台に登場する1人のデュエリスト。紅い地面を走る竜の角に手を添え、

 

「ladies and gentlemen! お待たせ、みんな!」

 

手振りながら出て来たのは、生粋のエンタメデュエリスト。

 

「俺の名前は榊遊矢、光の世界の新参デュエリストだ! 今日は思いっきり、エリアマスターの胸を借りて、最高のエンターテイメントを創りあげるから、お楽しみに!」

 

1枚のカードを遊矢は勝手に発動する、その発動に反応して、天に向かって1発の花火が打ち上げられた。天高く火の粉は、『Nice to meet you!』という字を描く。

 

(あんなのの後に出るのか……!)

 

遊介はここにきて急にプレッシャーを大きく感じる。

 

そしてそれはエリーも同じだった。

 

「ええ……と、その……次、いきますぅ!」

 

どうやら台詞を忘れてしまったらしい。

 

何とか考えなければと、遊介は頭をフル回転させる。しかし、今の演出以上の内容を思いつくはずもない。

 

(どうしよう……)

 

目線の先でマイケルに励ましを受けているエリーを身ながら、頭が真っ白になる遊介。

 

その時だった。

 

「ほおー、エンタメデュエリストかぁ!」

 

なんと、誰もいないはずの、遊矢がでてきた方とは向かい側の控室から、1人の男が現れる。

 

それは誰もが予想できるはずもない乱入者。

 

「君は?」

 

予定外の来客に遊矢は、笑みを浮かべながら尋ねる。乱入者は臆することなく答えた。

 

「デュエルはエンターテイメント。お前は見たところ、人を楽しませることに特化したデュエリストだ」

 

デュエルディスクを構えやる気満々のその男は、決して知らない人間ではない。

 

「なら俺は、そのデュエルをぶち折ってやる。人にドン引きされる勝つためのデュエルでな」

 

「それはいただけないな。やっぱりこういう場のデュエルは面白くないと」

 

「そう思うなら、まずはそれだけの力があることを示してもらわないとな、新入り」

 

乱入者、

 

「人に不快な思いをさせる悪を、見事お前のデュエルで楽しませて、勝ってみせろ! それができない奴を、エンタメデュエリストとしても、遊介と戦うのも、認めるわけにはいかないなぁ!」

 

ヴィクターは、堂々と、目の前の敵に宣戦布告をした。




ヴィクター参戦!

ということで特別編のデュエルはまさかのヴィクターと遊矢のデュエルになります。5話以降デュエルがお預けされているヴィクター君。実は本編だと次のデュエルが、30話より後になりそうだったので、このタイミングで1回戦ってもらうことになりました。遊介が戦うよりも、勝敗は見えなさそうなのも面白いかなと思った次第です。

デュエルは書き終わっていると言いましたが、投稿はまた少し時間を置きます。
書き終わっているからこそできる、特別企画をアンケートでやってみたいと思います。

お付き合いいただければ幸いです。

勝敗予想 特別編のデュエルではどちらが勝つと思いますか。ちなみに、遊矢君はアニメ版と漫画版の混同デッキ。ヴィクターは前回同様、あのオリジナルカードを使います。

  • ヴィクター
  • 遊矢
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