遊戯王VRAINS もう1人の『LINK VRAINSの英雄』   作:femania

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注意事項

・小説初心者で、連載小説初挑戦です。至らない部分はご容赦ください。
・話によって、一人称だったり、三人称だったりと変わります。
・クロスオーバー作品なので、遊戯王アニメシリーズのキャラが登場することもありますが、設定が違うので元と性格や行動が違うことがあります。
・過去にアニメシリーズで使われていたデッキを本人ではなくこの作品のオリジナルキャラが使うことがあります。また、使用されるデッキはエースモンスターはそのままにデッキをアレンジしたものになっていることがあります。
・この作品はシリーズのキャラに優劣をつけるものではありません。勝敗についてはストーリーの構成上、容認していただけると幸いです。
・この話はフィクションです。
・人物描写はスキップしています。言動を参考に想像しながらお楽しみください。
・オリジナルのカードも使ってます。
・作品はほぼオリジナル展開です。

これでOKという人はお楽しみください!


23話 DDD

感動の再会に水を差すのは気が引けたものの、権現坂の熱烈な抱擁は衰えを知らず、十分な酸素を取り込めなくなり始めた頃に全員で制止した。

 

風の世界の頂点。大聖堂を擁する怪鳥へと向かう最中に権現坂に遊矢や柚子との関係を少し聞いてみた。

 

まず権現坂は自身の故郷について話を始めた。出身は遊矢や柚子と同じペンデュラム世界。ペンデュラム召喚が主な召喚方法として栄える世界で、デュエルが非常に栄えている世界。プロデュエリストの概念、プロになるための塾というのも存在するほど、デュエルが文化として栄えている世界。

 

しかし、現状は違うという。

 

「ヌメロンコードがあるとき、俺たちの世界に跳んできた。そしてそれと一緒にイリアステルもな」

 

遊矢がその話に付け加える。

 

「あの時はまだ異世界なんて話も知らなかったからさ。あの白いスーツの奴が悪党なんて、そしてデュエルで戦争だなんて見当もつかなかった。けど俺達の世界が幸運だったのは、プロを目指す人も数多くいたから、デュエリストの数は十分いた。特にLDS、って言ったら分からないか。俺たちの世界の中で一番規模の大きい宿なんかは、かなりの実力者が揃ってた。あの世界。ペンデュラム召喚がメインで使われる世界で、融合、シンクロ、エクシーズの講習をしていたのはLDSだけだったかな……」

 

マイケルが話に入ってくる。

 

「じゃあ、お前らの世界には元々、他の召喚方法もあったってことか。ほら、シンクロ世界にはシンクロ召喚しか知られてない、みたいな話も聞いたことあるだろ。お前らの世界はそうじゃなかった」

 

「いいや、俺たちの世界も元々はペンデュラム中心だったよ。でも、LDSのトップ、赤馬零児はそれで満足しなかった。三年前から自分で異世界への扉を開いて、各地の召喚方法を学んだり、LDSの講師として招いたりしてたみたいだ」

 

「ほう、それで」

 

「ああ。でも、前に一度話した限りだと、自分の世界でデュエル戦争が起こるところまでは想定していなかったらしい。でも、異世界という存在を知ってた赤馬零児は、自分達の塾の生徒を徹底的に強くするためならなんでもする男だ。自分からリスクを冒して異世界に行くことも、他の塾を潰してスカウトをしたりすることもある。目的のためにあらゆる手段を考え、実行し、成果をあげる。そうやって強くなっていったLDSの奮闘もあって、俺らの世界では今も抵抗を続けられている」

 

「へえ」

 

しかし、権現坂は、ペンデュラム世界の勝利とは言わない。

 

「しかし、俺たちの世界に来たヌメロンコードは何故かすぐにどこかへ飛んで行ってしまってな。イリアステルはそれを確認したら早々に撤退してしまったんだ。結局連中の最高戦力と戦う機会がなかったから、なんとかなったのだと今は思っている。イリアステルは雑魚兵もそこそこの強さだ。連中の雑魚兵を相手にするだけで、俺達の世界のデュエリストは半分以上やられてしまった。あのまま続いていたら、負けていただろうな」

 

マイケルはいつになく真剣な表情で会話に混ざっている。ここまで来てランサーズの目的に気が付いたのか、マイケルは権現坂に問う。

 

「次に自分達の世界に来たら今度こそペンデュラム世界は滅びる。その前に精鋭をそろえてイリアステルに挑みそれを滅ぼせば、その恐れはなくなる。お前達ランサーズはそのための組織だな?」

 

「そうだ。俺達は各世界を旅し、力と仲間を集めながらこの世界まで来た。そして今、決戦の時を迎えようとしているのだ」

 

遊介はここまで聞いて燻っていた1つの疑問をぶつける。

 

「じゃあ、遊矢や柚子もランサーズなのか?」

 

それに対し、意外な反応が見られた。遊矢と柚子は首を横に振るが、権現坂は思いっきり肯定したのだ。

 

認識のズレに、遊介はどう受け取ればいいか一瞬迷ったが、恐らくは本人たちが正解だと判断する。

 

権現坂はそれに納得できなかったらしく、

 

「なぜだ。遊矢、柚子。お前たちは仲間ではないのかー!」

 

権現坂の叫びに応えたのは遊矢だった。

 

「ほら、俺は、零児と仲が悪いから。それに次元移動だって、お前らと一緒に行ってないし」

 

「だが、行く先の世界で何度も共に戦ったではないか。零児とてお前をもう立派な仲間だと信じている」

 

「どうかな……。俺はどんな世界でもみんなが明るくなれるようにふるまうけど、零児はどんな時でもシリアス全開で余裕を許さない感じだからな。なんか合わないのかもね。この前も結局喧嘩分かれしちゃったし……」

 

「何を言う。奴とてお前のことを認めているはずだ」

 

「いやあ、どうだかなぁ」

 

柚子がランサーズでないのは言うまでもない。彼女の立場は前々から明らかになっている。遊矢について行き遊矢を支える。それは本人もしっかりと言葉にして言っていた。

 

なので遊介は余計な詮索はしないことにする。

 

その一方で、会話の中で出て来た赤馬零児という男の人物像に少し考えを巡らせていた。

 

目的のために容赦はなく、そして必ず実績を上げる、実力至上主義。そんな印象を遊介は受けていた。

 

(まいったな。とっても怖そうだ)

 

さすがに口には出さないものの、遊介は赤馬零児に会うのが、少し恐ろしく思えてきた。今回の訪問は、同盟を結べなければ意味はない。エリアマスターとしての責務を果たせるかどうか、勝負の時はすぐそこに近づいている。

 

 

 

 

風の世界の一番上を飛ぶ怪鳥の背には、聖なるものを感じさせる大聖堂が存在する。風の世界の宗教的聖地というよりは、エリアマスターのために用意された居城と言う意味合いが強い。

 

シムルグから降りた一行は、権現坂の案内で大聖堂の中へと案内された。

 

辿りついた場所は一番奥に玉座が一つあり、後は厳かな空間が広がるだけ大広間だった。遊介はこの部屋の目的をすぐに察する。かつては風の世界も光の世界と同じようなイリアステルの役員がエリアマスターとして立ちはだかり、挑戦者とデュエルを行う空間だった。

 

そして玉座の前で何人かが立っているのが目に見える。そして玉座には男が1人座っていた。

 

「案内したぞ!」

 

前を歩く権現坂が座っている男の方へと叫ぶ。

 

「ご苦労」

 

返ってきた声は威厳を感じる太い声だった。

 

佇まい、今の声、そして雰囲気。大聖堂の中に元々いた人間の中でも、玉座に座るその男は別格の覇気を持っていた。

 

(赤馬零児……!)

 

遊介はチームを代表して一番前を歩く。その後ろをメンバーは緊張の面持ちで歩き出す。大聖堂には余計なBGMは一切に流れていない。ただ時折風が吹き抜ける音がする。

 

玉座に座っていた零児が立ち上がり、遊介たちが近づいてくるのを堂々と待った。

 

その間に会話はない。双方が十分に近づくまで、お互いに声を発することはなかった。もっとも、遊介はただ、最初に何て言うべきが考えておらず、どうするか迷っていただけだったのだが。

 

普通に声を発しても届く距離になり、最初に口を開いたのは零児だった。

 

「良く来た。歓迎しよう。我々ランサーズの本部、および風の世界の本拠地へ」

 

「ど、どうも」

 

赤い眼鏡がこれほどチャーミングに見えないのはこの男ぐらいだろう。

 

「君たちの目的は知っている。我々、風の世界との同盟だな」

 

「ああ。そう……です」

 

「畏まる必要はない。君もまたエリアマスターの一人。気兼ねなく言いたいことは言ってもらって構わない」

 

「なら。お言葉に甘えて。あなたの言う通り、同盟を組みに来た」

 

身長高いなぁ、という感想は喉の奥に封じ、赤馬零児と相対する。天城ハルトと戦った時とはまた違った緊張感だったが、それ以上を気にする余裕はなかった。

 

「まず、我々ランサーズの紹介からいこう」

 

遊介たちがエリアマスターを前に、残りが後ろに並んでいるのと同じように、ランサーズ側もまた全員集合のようで、赤馬零児の後ろには歴戦とも思われるランサーズのメンバーが並んでいる。

 

「我々ランサーズはこれまで、融合世界、シンクロ世界、エクシーズ世界を渡り歩き、その地で戦争を起こしている最中だったイリアステルとの戦いを行いながら仲間を集めていた。ランサーズの面々は、それぞれ違う世界の出身だ。各地にスパイも送り込んでいるからここにいる人間が全員ではないことをあらかじめ了承してほしい」

 

「なるほど」

 

本当に様々な人間が参加している。その言葉に偽りはない。

 

赤馬零児は遊介から少し目を離し、後ろにいる遊矢と柚子を見る。

 

「なんだよ……」

 

「生きていたか」

 

「ま、まあ」

 

「ならいい。君たちは非常に興味深い研究材料であり、ペンデュラム世界の戦力だ。そのことを忘れるな」

 

「戦力って、まるで俺達を武器みたいに……」

 

いつもはニコニコ顔の遊矢が非常に嫌そうな顔をしているのを見て、本当に苦手なんだな、と遊介は思う。

 

一方で柚子が、ランサーズ側の一番左の女子と目を合わせていた。ランサーズの紹介は彼女かららしく、彼女は柚子の視線に気づいていながらも話を進める。

 

「私はペンデュラム世界から来た光津真澄よ。ランサーズに入る前からLDSに所属していて、今はランサーズとして指名されて、こうして戦っています。よろしく」

 

柚子と目を合わせ少し嬉しそうにしているのは、二人の仲の良さを示しているのか。ペンデュラム世界出身であれば、柚子とあらかじめ仲が良くても不思議ではない。

 

そして次に、その隣。濃い目のピンク髪、そして顔立ちを見て女性ではないかと一瞬見間違えるかもしれない少年。

 

「ミハエル・アークライトです。エクシーズ世界から来ました。でも、ランサーズに入ったのはつい最近で、ここを拠点に活動してます」

 

「ど、どうも」

 

かわいい、と後ろからブルームガールの声が聞こえたのは果たして真か偽か。

 

その隣にいるのは小さな男の子だった。遊介が見るとおびえたように零児の後ろに隠れる。紹介は零児からだった。

 

「彼は私の弟だ。零羅という」

 

「そんな子供まで参加してるのか?」

 

「それを言うならランサーズにまともな大人はいないと思うが? それにデュエルの腕は十分だ戦力として数えていい」

 

遊介としては少し彼の行く先が不安だったが、他人を心配している余裕はないので無事を祈るだけにした。

 

逆に隣は非常に頼もしい顔をしているように見える。外国風の彼からは遊矢と同じ雰囲気を感じる。彼は丁寧なお辞儀の後、

 

「僕はデニス。融合世界出身。遊矢に倣ってエンタメデュエルを日々極めている。今はシリアスだけど、後でショータイム、見せてあげるよ」

 

そして最後に赤馬零児は、

 

「このほかに二人、沢渡という男と、名前は言えないがもう何人かがいる」

 

と付け加えた。

 

イリアステルとの戦いを潜り抜けたということは、ここにいるメンバーは想像以上の実力をもつデュエリストが揃っているということ。先ほどのデュエルを見ても、エリーが勝利を飾ったものの、権現坂は全力を出しているようには見えなかった。

 

(もしも、ここで全面戦争とかになったら生きては帰れないな……)

 

と考えてしまうところ、遊介はずいぶんと弱気になっている。

 

「さて、挨拶を済ませたところで本題に入ろう」

 

「ああ、そうっすね」

 

「同盟の件だが、絶対に断るつもりはない」

 

たった二言で光明が見えたのは確かだが、同盟の交渉と言って遊介が思い描いていたのは、会食かなんかをして相手をほめたたえながら、ゆっくりと話をすすめるものだと考えていた。一応高級菓子も遊介は用意してきている。

 

「あの、そんな手っ取り早く決めちゃっていいんすか?」

 

恐る恐る訊いてみると、

 

「私も暇ではない。さっさと決められるものは決めておきたい性格なんだ。懇親会は別の機会としよう」

 

「あ、そうすか」

 

色々を同盟にこぎつけるための言葉を多少考えていた遊介にとっては拍子抜けな答えが返ってきた。

 

赤馬零児は冗談を言うような男ではなく、それは本当という前提で、さっそく話は交渉の具体的内容へと移る。

 

「話を続ける。同盟を組む以上、お互いに有益な何かがなくてはならない。こちらにとっても、そして君たちにとっても。君たちの問題は承知している。いずれ来るエデンとの戦いに備えた戦力増強。こちらはランサーズの面々、および風の世界のデュエリストを貸し出す用意がある。君たちがそれにふさわしい対価を用意できるかが問題だ」

 

「対価……か……いろいろと考えている事はあるけど、具体的にそっちの要求をある程度聞かせてもらわないと」

 

「我々の目的は先ほど言った通り、イリアステルの討伐。これに尽きる。故に、ランサーズが計画する決戦に君たちのチームのデュエリストを戦力に加えられるのなら、こちらの作戦にも大きなプラス要素を加えることができる。イリアステル戦では我々の作戦の傘下に入る。これでどうだ」

 

「……それは」

 

遊介は後ろを振り返る。

 

反論はない。メンバー全員が肯定を示す頷きを返した。

 

「いいだろう」

 

「では、交渉成立だ。風の世界は」

 

なんと、もう決まってしまった。

 

「ちょっ、こんなあっさり……いいのか?」

 

「風の世界はそれ以外の問題を抱えていない。であれば、この要求が通れば、これ以上話しをややこしくする必要はないと思うが?」

 

「そういうものなのか……」

 

「ふ……私のように淡々と物事を進める人間は珍しい。それは自覚しているがね」

 

遊介としては、もっと何か必要なものがあると考えていたため、これで同盟が成立するのならこれ以上願うことはない。最低限のコストで最上の結果を得たと言ってもいい。

 

しかし、一方でここまで会話はすべて赤馬零児のペースですべてが決まっていることも自覚していた。恐らく今の状況も赤馬零児の思惑通りの展開なのだろう。

 

(底が知れないな……)

 

今になってこの同盟が正しいのか若干不安になったものの、既にここまで来てしまった以上は後戻りはできない。

 

目的の戦力増強は達成した。これで少しは事態も好転するというもの。

 

遊介は当面は安心だと、安堵のため息をついた。

 

「……ん」

 

唐突に、入口の方角を見た零児。遊矢や権現坂、デニスやミハエルの表情が一変する。

 

零児がまた口を開いた。

 

「すまないが、もう一つ同盟の条件を加えよう」

 

それだけ言うと、零児は入り口に向かって歩き出した。遊介もまた入口の方角へ、零児の後ろをついて行ってみる。

 

ぐああああああ!

 

断末魔の叫びは大聖堂に響き渡った。

 

入り口から、ここの警備員をしていた二人が吹っ飛んでくる。地面に叩きつけられた。次の瞬間、その警備員二人はそこで消滅する。

 

「な……」

 

唐突に見ることとなった人の死に、この場に集った誰もが息を呑んだ。

 

入り口から何かが、入ってくる。

 

トラブルは唐突に起こるからトラブルと言うのだが、この襲撃はあまりにも唐突すぎる。

 

「DDD。ディファレント・ディメンション・デーモン。それを集わせ戦う風の世界のエリアマスター。そして毎度毎度イリアステルの邪魔をするランサーズの首領、赤馬零児。いやあ、あの時は終ぞ戦うことはなかったが、こうして機会を与えてくれたアルター様には感謝だな」

 

白いスーツはイリアステルの証。明らかに味方ではない。

 

「今がイベント中だってこと、忘れてないか? 各エリアに一人ずつ、イリアステルの戦士が放たれる。それにとどめを刺せば1500ポイントゲットだ。風の世界が現在5位、光の世界は6位。ポイントは喉から手が出るほど欲しいだろう?」

 

「貴様……、なぜここに来れた? 神の鳥は一匹だ。それも、光の世界の彼らに使って、今は休憩中のはず」

 

この大聖堂に来るには神鳥に乗らなければたどり着けないはず。その言葉を言う前に、

 

「空に浮かぶイリアステルの城はこの怪鳥よりもはるか上。下から昇れなければ、上から降りてくればいいだろ?」

 

答えを自白する。当たり前のように言うが、これはイリアステルだからこそできる、ゲームマスター権限と言ってもいい所業だ。こちらの制約を無視できる存在は厄介なものだと思わざるを得ない。

 

「目的は?」

 

「さっき言ったぞ、赤馬零児。俺はかつてペンデュラム世界の侵攻に参加していた。だが、あの時は戦えなかったお前と戦いに来た。それだけの話だ」

 

「そうか。だが、私としては興味はそそられない」

 

「そう言うな。お前が相手をしないのなら、他の奴を処刑するだけの話だ。俺のデュエルは申し込まれたら断れない、命の削りあいだ。ここで大切な仲間を失いたくはないだろう」

 

「……確かに、同盟を結んだ後に、すぐ潰されるのは面白くはないな」

 

零児はデュエルディスクを構える。

 

「いいね、そう来なくちゃ。だが……相手はお前だけじゃない」

 

イリアステルの戦士がデュエルディスクをいじる。

 

相手として選択したのは、零児、そして遊介だった。

 

「お、俺もか」

 

「エリアマスター2人、もろともに相手をしてやるよ。まとめて撃破して、残りのメンバーには絶望してもらおうじゃないか」

 

勝手に巻き込まれた遊介。しかし、零児はそれほど驚いた顔を見せない。これも予想通りと言うことか。

 

「共に戦い、勝利を掴め。君の力を見せてほしい」

 

零児は遊介に向けて言う。

 

いい迷惑だ、と遊介は一瞬思ったが、どのみち、再会にならないためにもポイントは必要だ。この後イリアステルの人間は、この同盟の後探して倒そうとしていたことは、ここに来る前、ヴィクターの提案を受けたことから少し考えていたことだった。

 

遊介は、獲物が向こうから来た、と、勝てる保証は何もないこのデュエルを前向きに捉えることにする。

 

「私の戦いに、ついて来れるか?」

 

「態度で示すよ」

 

「いいだろう。ならば、二人で倒すぞ。確実に」

 

零児はデッキに人差し指と中指を置く。

 

遊介もまたデュエルディスクを準備し始めた。

 

光の世界と風の世界の共同戦線は、エリアマスター二人とイリアステルとの戦いで始まる。まさかにこの同盟の真の目的を体現するもの。

 

あとは勝つのみである。

 

「いいね。ノリのいいデュエリストは嫌いじゃない。さあ、楽しもうじゃないか!」

 

同盟の真価を問う戦いが始まる。




更新が大変遅くなり申し訳ありませんでした。
月の前半に体を悪くしました。お腹が痛くて寝込んだり、それが終わったかと思えば体が痛んだりでした。これからは体調に気を付けたいと思います。

今回は同盟を結ぶために熱い交渉戦、と思っていたのですが。ぼくのイメージでは赤馬零児がそんな不要な腹の探り合いをするタイプではないと思ったので、交渉戦はやめました。その代わり、ランサーズの面々を軽く紹介する形でまとめています。しかし、ちょっと内容を詰め込みすぎてしまったか、この話は淡々と進んで終わりという感じがあるかもしれません。


VRAINSが第3期に入りましたね。まさかAiちゃんがイケボになって帰ってくるとは思ってもみませんでした。そしてロボッピがまさか……あんなだとは……。意外とショックを受けています。


さて次回ですが、また時間を空けます。他の連載も1話分は更新するため、次回は2週間後ぐらいになると思います。その代わり、24話のデュエルは前後編に分け長めのデュエルになると思います。一時間スペシャル的な感じでお楽しみ頂ければ幸いです。



(アニメ風次回予告)

異次元の王、そして電子世界の戦士たち。共に力を合わせ強大な敵へと立ち向かう。相手は第二の秩序の真の使い手、セカンドオーダーの真の使い手に、二人のエリアマスターが、猛攻を仕掛ける。

次回 遊戯王VRAINS~『もう一人のLINKVRAINSの英雄』~

   「同盟軍 VS 不滅の太陽」

   イントゥ・ザ・ヴレインズ!

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