遊戯王VRAINS もう1人の『LINK VRAINSの英雄』 作:femania
・小説初心者で、連載小説初挑戦です。至らない部分はご容赦ください。
・話によって、一人称だったり、三人称だったりと変わります。
・クロスオーバー作品なので、遊戯王アニメシリーズのキャラが登場することもありますが、設定が違うので元と性格や行動が違うことがあります。
・過去にアニメシリーズで使われていたデッキを本人ではなくこの作品のオリジナルキャラが使うことがあります。また、使用されるデッキはエースモンスターはそのままにデッキをアレンジしたものになっていることがあります。
・この作品はシリーズのキャラに優劣をつけるものではありません。勝敗についてはストーリーの構成上、容認していただけると幸いです。
・この話はフィクションです。
・人物描写はスキップしています。言動を参考に想像しながらお楽しみください。
・オリジナルのカードも使ってます。
・作品はほぼオリジナル展開です。
これでOKという人はお楽しみください!
長いので前後編構成です。
オリジナルカード出ます。しかし、敵側は多いので、メインの2枚だけの紹介にしたいと思います。
また、遊介と、赤羽零児にもオリカありです。
「セカンドオーダー『尽きぬ生贄』」
永続魔法
このカードは『セカンドオーダー』と名のつくカードの効果以外の効果によって、フィールドを離れず、効果を無効にされない。①1ターンに1度、デッキからカードを5枚まで好きな枚数墓地へ送る。フィールドに『オーダートークン(レベル8 ATK0/DEF0)』を特殊召喚する。この効果は相手ターンにも発動できる。②オーダートークンが破壊されたターンのエンドフェイズ。デッキからカードを1枚ドローする。
「セカンドオーダー『暗黒の太陽』」
永続魔法
このカードは『セカンドオーダー』と名のつくカードの効果以外の効果によって、フィールドを離れず、効果を無効にされない。①自分フィールド上の、『The supremacy SUN』の攻撃力、守備力は1000ポイントアップする。②『The supremacy SUN』の召喚、特殊召喚は無効にされず、『特殊召喚ができない』効果を無視する。③『The supremacy SUN』は戦闘、効果による破壊以外でフィールドを離れず、破壊されたときは必ず墓地へ送る。④『The supremacy SUN』が墓地から特殊召喚されたとき、『The supremacy SUN』以外のモンスターをすべて破壊し、1体につき800ポイントのダメージを相手に与える。
「ターゲット・アルゴリズム」
永続魔法
①このカードを発動したとき、相手モンスターを1体、自分のモンスターを1体選択する。お互いのバトルフェイズ時、選択した自分モンスターと相手モンスターは、戦闘が可能であれば必ず戦闘を行う。この効果で選択されたモンスター以外は攻撃宣言を行うことができない。②このカードが存在する限り、お互いのモンスターは戦闘では破壊されない。③選択したモンスターのうち、どちらかが破壊されたとき、このカードは破壊される。
「アタッチドファイル」
装備魔法
①このカードを装備しているモンスターは、墓地のサイバース族モンスター1体につき100ポイント攻撃力がアップする。②お互いのバトルフェイズ開始時、墓地のこのカードを除外して発動する。フィールド上の表側表示モンスター1体を選択し、墓地のサイバース族リンクモンスターを特殊召喚する。その後、選択したモンスターをサイバース族として扱う。この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力は0となり攻撃はできない。
「異次元王の会談」
通常罠
①フィールド上の「DDD」モンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターの攻撃力を、次の自分のターン終了時まで、ペンデュラムゾーンに存在するDDDカード1枚につき1000ポイントアップする。②自分のターンターン「DDD」と名のつくモンスターを5体以上召喚している場合、この効果を手札から発動できる。このカードをフィールドにセットし、フィールド上の「DDDモンスター」1体をデッキに戻す。デッキからカードを3枚ドローする。その後、エンドフェイズへ移行する。
風の世界の住人は知らないだろう。
今自分たちが神聖視する大神殿で、恐るべき敵とエリアマスターが戦っていることを。
しかし、イリアステルのこの襲撃は決して偶然ではない。
風の世界だけでなく、すべてのエリアでイリアステルの人間が現れたのだ。
水の世界にも、イリアステルは現れた。イベントで告知されていた、解き放たれる7人のうち1人。
「ぐああああ!」
エデンの本部がある、水の世界のアトランティスに攻めてきた一人。
実働部隊の隊長であるケインが敗北した事実は本拠地に衝撃を与えた。何しろエデンの中では十本の指に入る実力者。それが容易く、何もできないまま、倒されたのだ。
それを目撃したリーダー、リボルバーは、そのイリアステルを相手に決闘を申し込む。
「ぶっ潰す。お前、私の仲間を傷つけておいて、生きて帰れると思うなよ?」
「威勢のいいお嬢さん。イリアステル第3部隊隊長、サーディスが相手をしましょう」
炎の世界では未だ激闘が繰り広げられている。
ジャック・アーロン。シンクロ世界から来た王者を継ぐ者はたった一人で、これまで闇の世界からの侵攻を耐えきっていた。
しかし、そこにイリアステルの刺客が現れたのだ。
「貴様……」
「イリアステル第1部隊隊長、ファストル。最強の名に懸けて、貴様の首を頂戴する!」
土の世界には、解放軍の本部兼訓練所がある。
そこで酔狂にも99人抜きをして準備をしたイリアステル、第4部隊フォースミルが100人目に選んだのは、まっつんだった。
「ああ。いままでの死は非常に良い者でした。あなたもぜひ、私に死を味合わせてください……」
「……なめんなよ。テロリスト風情が。あの男はともかく、その手下如きに、俺が倒せると思ってたら大間違いだ」
闇の世界は現在、チーム海堂コーポレーションが本拠地を置いている。
そこに、海堂セイトを名指しで戦いに来たイリアステルの第6部隊隊長が宣言する。
「オレト、タタカエぇ?」
海堂セイトはその男を侮辱するような目で彼を見る。
「俺も……舐められたものだな」
そして、光の世界にもまた1人。
「遊介君はどこかしら?」
女性のイリアステル隊員が目の前に現れる。
その前に立ちはだかるのは、契約通りヴィクターだった。
「イリアステル。待ちくたびれたぜ」
「あら、私を待ってたの?」
「ああ。まさかすべての世界に一斉攻撃とは思わなかったけどな」
「そう。あなたを倒したら、遊介くんと会えるかしら?」
「俺は眼中にないわけか? ならこう言っておこうか。俺を倒したら、どこにいるか教えてやる。だから俺を見ろ。そして戦え」
「やる気まんまんね。オッケー、それが条件なら、第2部隊隊長、ルセカンドル。あなたに決闘を申し込む」
各地の一斉攻撃、その事実が告げられ、遊介がまず心配したのは、ヴィクターが契約通り光の世界で向かうつかどうかだった。
しかし、その心配は、デュエルディスクに届いたメッセージによってすぐに取り払われる。
遊介は、迎撃に入ったヴィクターを信頼し、自分は目の前の敵に集中する。
一方で、赤馬零児は敵にそれほど興味を持った様子はなく、ただ、超えるべき障害として敵を見つめるのみだ。目の前のその男を強い恨みが籠った様子で見ているのは、ランサーズの光津真澄だった。
「お前は……」
それに気が付いたイリアステルの襲撃者は、ニヤリと笑い、
「久しぶりだなぁ。お嬢ちゃん」
と挑発して見せる。
「よくも、北斗と刃を」
「安心しろ、お嬢ちゃん。俺は気に入った相手は殺さない主義でね」
腰につけたデッキケースのような箱から二枚のカードを取り出す。そこには人が存在した。まるで封印でもされているように。
「貴様……!」
「二人は生きてる。この中で安らかになァ……」
ここで赤馬零児がようやく口を開いた。
「なるほど。君が無理やりにでもランサーズに入りたいと言ったのは、彼が、あの2人を倒したからか」
表情が少しだけ険しくなる。
「君には少しも興味がなかったが、LDSの生徒を傷つけたというのなら、私の生徒を傷つけたことへの代償を体で理解してもらうことにしよう」
「はははは、少しは冷めた目が熱くなったじゃねえの。やってみろやってみろ!」
イリアステルのその男はデュエルディスクを構える。
「この俺、第5部隊隊長、フィフテルを楽しませてくれよ! エリアマスターども!」
遊介と零児もディスクを構えた。
デュエルは、遊介と零児のタッグとイリアステルの男のマスターデュエル。
タッグの場合フィールドは共有になるが、手札はそれぞれ5枚ずつ持っている状態。一方で相手のイリアステルの男は5枚しか持っていない。単純な数では、タッグである遊介と零児が有利になる。LPは4000。タッグはこのLPも共有する。
「デュエル!」
「デュエル!」
赤馬零児のみ静かに戦いの開始を迎え、そのデュエルは始まった。
フィフテル LP4000 手札5
モンスター
魔法罠
遊介・零児 LP4000 手札 零児5 遊介5
モンスター
魔法罠
(フィフテル)
□ □ □ □ □ 魔法罠ゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ EXモンスターゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ □ □ □ 魔法罠ゾーン
(遊介・零児)
「相手はペンデュラム世界の多くの実力者を葬った存在。油断はするな遊介。リーダーの負けはチームとして許されないぞ」
零児のその掛け声に、
「ああ!」
気合を入れて、その提案に返事をする。
零児は一瞬だけ、唇の端を吊り上げると、
「いい返事だ。だが、最初は私が行く」
と、己のカードを見定め始める。相手から敵の宣言に反論することはなく、先行を譲った。
ターン1
「私のターン!」
手札の見定め、そして最初の戦術を練った零児はいよいよカードを動かし始める。
「私は永続魔法、『異形神の契約書』を発動! 効果は後で話す。続いて、手札の『DDスワラル・スライム』の効果! このカードを含む素材を墓地へと送り、融合召喚を行う! 私は、スワラルスライムと、DDヴァイステュポーンを素材とする!」
手札のカード2枚を墓地へと送り、新たなモンスターを呼び出す。
「融合召喚。生誕せよ! 烈火王テムジン!」
最初にフィールドに現れたのは、烈火王の評される剣を持った王。
DDD烈火王テムジン レベル6 攻撃表示
ATK2000/DEF1500
(いきなり融合召喚か……すごいな)
遊介が感心してそれを見ているものの、赤馬零児はこれで止まらない。
「ここで、『異形神の契約書』の効果を発動する。融合召喚に成功した時、我々のLPを1000ポイント回復する!」
遊介・零児 LP4000→5000
「私はさらに、墓地のスワラルスライムの効果! 墓地のこのカードを除外し、手札のDDモンスターを特殊召喚できる! 私は、手札のDDラミアを特殊召喚!」
DDラミア レベル1 守備表示
ATK100/DEF1900
「そして、この瞬間烈火王テムジンの効果発動! フィールドにこのカード以外のDDが特殊召喚されたとき、墓地のDDモンスター1体を特殊召喚できる! 私は先ほど融合素材として墓地へ送った、DDヴァイステュポーンを特殊召喚!」
DDヴァイス・テュポーン レベル7 攻撃表示
ATK2300/DEF2800
「現れろ! 異次元へと至るサーキット!」
「リンク……召喚?」
空中に現れたのはリンク召喚と際に現れるサーキット。遊矢がそれを見て驚くのも無理はない。遊矢には、赤羽零児がリンク召喚を使った記録はない。
「私のデュエルは常に進化する。榊遊矢、貴様が異次元で新たな力を得てきたようにな。私はDDラミアと、烈火王テムジンの2体をリンクマーカーにセット!」
せっかく召喚した融合モンスターを使ってまで呼び出すリンクモンスターとは。
この場にいるすべての人間の興味をひく。
「拓かれたるは冥府の闇。その深淵より凱旋し、地上の混沌を平定せん! リンク召喚! リンク2 DDD深淵王ビルガメス!」
リンク召喚によって現れたのは2人目の王。闇の底より帰還した、偉大なる戦士の王。
DDD深淵王ビルガメス
リンクマーカー 右下 左下
ATK1800/LINK2
「深淵王ビルガメスの効果! このカードが特殊召喚に成功したとき、デッキから、カード名が異なるDDペンデュラムモンスターを、ペンデュラムスケールにセットする! 私は、DDD反骨王レオニダスと、DDD極智王カオス・アポカリプスをペンデュラムスケールにセット! その後私は1000のダメージを受ける」
遊介・零児 LP5000→4000
(さっき回復したのはこのためなのか……?)
遊介は永続魔法の契約書をおいた意味を理解する。しかし、あらゆる行動を単一の意味のみにとどめないのが、赤馬零児だった。遊介はそれを今から見せられる。
「墓地のDDラミアの効果! フィールドの契約書1枚を墓地へ送り、墓地のこのモンスターを特殊召喚する! 私は、フィールドの『異形神の契約書』を墓地へ送り、墓地のDDラミアを特殊召喚!」
DDラミア レベル1 守備表示
ATK100/DEF1900
「この効果で特殊召喚したラミアは、墓地へ送られる場合、代わりにゲームから除外される」
遊介はそのモンスターの詳細を改めて確認する。
(チューナー……!)
つまり、これから行われる召喚は。
「私は、レベル7のDDヴァイステュポーンとレベル1チューナー、DDラミアをチューニング!」
レベル8という高レベルを呼び出すシンクロ召喚!
「その紅に染められし剣を掲げ、英雄たちの屍を超えて行け! シンクロ召喚、レベル8、DDD呪血王サイフリート!」
現れたのは3体目の王。血塗られた剣を持った英雄の王。ビルガメスの右下のマーカーの先に呼び出される。
DDD呪血王サイフリート 攻撃表示 レベル8
ATK2800/DEF2200
(シンクロ召喚まで……)
遊介は、ここまでの流れに圧倒される。しかし、零児はさらに口を開いた。
「墓地のDDヴァイステュポーンの効果! このカードが墓地へと送られたターン、このカードと墓地のモンスターを除外し、レベル8以上のDDモンスターの融合召喚を行う! 私がヴァイステュポーンと共に除外するのは、DDD烈火王テムジン!」
赤羽零児は再び融合召喚を行おうとしている。
この場にいる人間は二種類に分かれる。またやるのか、と驚き続ける者。ああ、これくらいはまだやるよね、と納得する者。遊介は前者だ。
「融合召喚! 現れろ、レベル8、烈火大王、エグゼクティブテムジン!」
4体目の王。先ほどのテムジンの強化版と言うべき存在が、ビルガメスの左下のマーカーの先に現れる。
DDD烈火大王エグゼクティブ・テムジン レベル8 攻撃表示
ATK2800/DEF2400
「まだ続く!」
「まだ……」
とうとう、遊介は声に出してしまう。しかし、よく見ると、フィールドにはレベル8のモンスターが2体。
「はははは、最高だぜ。さすがだ。赤馬!」
イリアステルの襲撃者はここまでの流れに大層ご満悦のようだ。
しかし、赤馬零児は意に介さず、5体目の王を呼び出す。
「私はレベル8の呪血王サイフリートと、レベル8のエグゼクティブテムジンでオーバーレイ!」
天に黒い渦。その中に光となった2体の王が吸い込まれる。
「2つの太陽が昇るとき、新たな世界の地平が開かれる! エクシーズ召喚! 現れいでよランク8! DDD双暁王カリユガ!」
巨大なエネルギーの爆発と共に、その地に王は舞い降りる。5体目の王は凄まじい威圧を誇るランク8の強大な王だった。ビルガメスの左下のマーカーの先に君臨する。
DDD双暁王カリ・ユガ 攻撃表示 ランク8
ATK3500/DEF3000
遊介は驚きを禁じ得ない。
赤馬零児はたった1ターンで、融合、シンクロ、エクシーズ、リンク、4つの召喚をして見せた。そして呼び出されたこのモンスターは、攻撃力としては十分過ぎる王。
もしもこの男と戦うことになっていたら、果たして、自分はどうなっていただろうか。そう思うほどの1ターンだった。
「このターン、5体以上のDDDを召喚している場合、手札のトラップ『異次元王の会談』の第2の効果を発動する。このカードをセットし、フィールド上のDDDモンスター1体、DDD深淵王ビルガメスをデッキへ戻す。私はデッキからカードを3枚ドローし、直後、エンドフェイズへ移行する。私はこれでターンエンド」
長い1ターンが終わった。
結果的に見れば、赤馬零児のフィールドには1体のモンスターが居るのみだが、普通では、手札4枚からでは不可能ではないかと思えるほどの盤面が完成した。
遊介・零児 LP4000 手札 零児3 遊介5
モンスター ① DDD双暁王カリ・ユガ
魔法罠 ② DDD反骨王レオニダス ③ DDD極智王カオス・アポカリプス
④ 異次元王の会談
(フィフテル)
□ □ □ □ □ 魔法罠ゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ EXモンスターゾーン
□ □ ① □ □ メインモンスターゾーン
② □ ④ □ ③ 魔法罠ゾーン
(遊介・零児)
「さすがだぜ、赤馬ァ」
「さあ、お前のターンだ」
「へへへ、まずこれを崩して、てめえの顔を歪めてやるぜ……!」
フィフテルはこの状況になってなお、余裕の笑みを崩さない。
ターン2
「俺のターン」
遊介はこれがイリアステルの戦士との初戦闘だった。これまでアルターと何度か言葉を交わしたことがあったが、実際にイリアステルと敵対する機会が幸運にもなかったのだ。
しかし、フィフテルを目の前に思う。
これからはイリアステルとの戦いの連続になるかもしれないと。
そんなことを遊介が思っていることなど、フィフテルには関係ない。
イリアステルの戦士である彼はさっそく、イリアステルの象徴たるカードを発動する。
「俺は永続魔法。『セカンドオーダー『尽きぬ生贄』』を発動!」
「セカンド、オーダー?」
遊介が疑問符を発生させると、それに零児が答える。
「イリアステルのオリジナルカードだ。総じて、1枚でデュエルの状況を変えるほどの力を持っているカードの種類と言える」
「永続魔法なら」
遊介は自身の場に出ているカリユガを見る。カリユガはフィールドの魔法、罠を一掃する能力を持っているのは把握済みだ。
しかし、赤馬零児は、遊介の意見を否定した。
「1枚だけのためにカリユガの効果は使えない。これが囮の可能性もある。それに、あのセカンドオーダーには、厄介な効果があってな」
「厄介?」
「表側表示のセカンドオーダーは、ほとんどのカードに、破壊耐性があるうえ、無効化されない効果を持っている」
「はぁ?」
それでは対処の使用がないインチキカードである。遊介はそんなはずないと思わなくはなかったが、
「イリアステルを舐めるなってことだな。遊介くん」
と、堂々と話をするフィフテルを見て嘘ではないと確信しため息をついた。このデュエル、想像以上に厄介なことになりそうだと。
「尽きぬ生贄の効果! デッキからカードを5枚まで任意の枚数墓地へ送る。自分フィールド上に送った枚数だけの、オーダートークンを特殊召喚できる! 俺は5体墓地へ送り、5体のトークンを特殊召喚!」
オーダートークン レベル8 守備表示
ATK0/DEF0
オーダートークン レベル8 守備表示
ATK0/DEF0
オーダートークン レベル8 守備表示
ATK0/DEF0
オーダートークン レベル8 守備表示
ATK0/DEF0
オーダートークン レベル8 守備表示
ATK0/DEF0
「そして、俺はさらに永続魔法、『セカンドオーダー『暗黒の太陽』』を発動する! 効果の使用は後回しだ。俺はオーダートークン2体をリリースし、アドバンス召喚を行う!」
イリアステルの男は天を指さす。そこは神殿の天井しか存在しない。
しかし、光の粒子となった、トークンが天井を透過して消え去った直後、天井が崩壊する。
建物に大きな穴をあけ、大きな瓦礫が落ちてくる。神殿は強固な作りのため、神殿自体が崩壊を始めたわけではなかったものの、天井は次々のひび割れ、崩れ落ちてくる。
「カリユガ!」
零児の命令を受け、カリユガが、人を下敷きにしそうな瓦礫のみを破壊し、チームメイトと遊介の仲間を守った。
一方で、相手を警戒し続ける、遊介と零児の前に、新たなモンスターが降臨する。
「これこそ、すべての闇を照らす太陽。プラネットシリーズの頂点! 暗黒の太陽はこのモンスターの異名だ」
それはまさに、太陽の化身と言うべき存在だった。
The supremacy SUN 攻撃表示 レベル10
ATK3000/DEF3000
「この瞬間、永続魔法、暗黒の太陽の効果を発動する! フィールド上のThe supremacy SUNの攻撃力は1000ポイントアップする」
The supremacy SUN ATK3000→4000
零児があれほどまで技巧をこらして呼び出した攻撃力3500をすぐに超えてきた。
「バトル。暗黒の太陽よ、カリユガを焼きつくせ!」
攻撃宣言。狙いは当然、目の前のカリユガ。
赤馬零児はそれを察知し、罠を発動する。
「罠カード『異次元王の会談』。自分フィールド上のモンスター1体はペンデュラムスケールのDDDモンスター1体につき、1000ポイントアップする。ペンデュラムスケールには2枚のDDD。私はカリユガの攻撃力を2000ポイントアップする」
DDD双暁王カリ・ユガ ATK3500→5500
「どわっと、そういう効果ね」
「返り討ちにしろ! カリユガ! ツインブレイクショット!」
黒い太陽を、双暁王が打ち破る。
イリアステルの男はその返り討ちには対応できなかったようで、直撃を受けた。
(負) The supremacy SUN ATK4000 VS DDD双暁王カリ・ユガ ATK5500 (勝)
フィフテル LP4000→2500
「ぐう、やるねぇ」
たった2ターンで攻撃力4000を超えるモンスター同士の激突。このデュエルで如何にレベルの高い戦術が求められるかを遊介は垣間見た気がした。
相手フィールドに残ったのは悲しき3体の雑魚トークン。守備力もそこまでなく、これは展開によってはさらにダメージを見込める。
「罠を伏せるのはいいが、どうせカリユガで破壊されるからな……しょうがねえ、俺はこれでターンエンドだ。まったく、さすがに赤馬相手じゃ一筋縄じゃいかないな。この――じゃ」
相手はこれでターン終了を宣言した。
「さあ、アルター様が注目している遊介とやら。お前のお手並みを拝見しようか?」
ようやく回ってきた自分のターン。遊介は手札にあるカードをもう一度確認し、このターンで決めると決意する。
長引けば、他にどんな、無茶苦茶なカードを使われるか分からない。このターンはカリユガが圧力をかけたおかげで、トラップカードを伏せられずに済んだ。手札誘発は考えても仕方ないので考えない。それを除けば、このターンは攻め切る好機だ。
フィフテル 手札3 LP2500
モンスター ⑤ オーダートークン
魔法罠 ⑥ セカンドオーダー「暗黒の太陽」 ⑦ セカンドオーダー「尽きぬ生贄」
(フィフテル)
□ □ ⑥ ⑦ □ 魔法罠ゾーン
⑤ ⑤ □ □ ⑤ メインモンスターゾーン
□ □ EXモンスターゾーン
□ □ ① □ □ メインモンスターゾーン
② □ □ □ ③ 魔法罠ゾーン
(遊介・零児)
ターン3
「俺のターン、ドロー」
遊介がドローを宣言し、山札からカードを引く。
スタンバイフェイズへ移行。
この瞬間、カードの効果を宣言したのは、遊介ではなかった。
「俺はこの瞬間。墓地のThe supremacy SUNの効果を発動する! このカードが破壊された次のターンのスタンバイフェイズ、手札のカード1枚を墓地へ送り、このカードを特殊召喚する!」
「復活……!」
墓地へのゲートから開き、そこから再び暗黒の太陽が姿を現す。
セカンドオーダーの効果により、その攻撃力と守備力は1000アップし、圧倒的な攻撃力を持つ太陽は再び立ちはだかった。
The supremacy SUN レベル10 攻撃表示
ATK4000/DEF4000
そしてそれだけにとどまらない。
「セカンドオーダー不滅の太陽の効果! 太陽が再び昇ったとき、このモンスター以外のモンスターをすべて破壊し、破壊したモンスター1体につき、800ポイントのダメージを与える」
「な……!」
動じない赤羽零児。しかし遊介はそれほど胆力はない。そのまま受ければダメージは相手のオーダートークンを含めて3200.そもそもモンスターを全破壊と言う時点で破格の効果だというのに、無茶苦茶な能力だ。
「さ、すべてを焼きつくせ!」
暗黒の太陽は輝きを放つ。
凄まじい熱気、全身が火傷するのではないかと勘違いするほどの灼熱が一帯を吹き荒れる。
カリユガは溶け、そして消滅した。
そしてオーダートークンも木っ端すら残らず消え去り、セカンドオーダーの魔法の効果で3200のダメージを受けることになる。
しかし、そうはならない。
赤馬零児はこの状況も見越していたのか、自らのカードの効果を発動する。
「反骨王レオニダスのペンデュラム効果! 効果ダメージを受ける場合、このカードを破壊する。このターン、私達が受ける効果ダメージはLPの回復へと変化する。よって、我々はLPを3200ポイント回復する!」
迫りくる灼熱から大きな盾で主を守るレオニダス。その背中はなんと頼もしいことか。
「助かった」
零児に礼を言う遊介。
「油断するな、このターン限りだ。これを毎ターン繰り返されていたらこちらももたない」
そうだ、と遊介は気づく。
相手フィールド上には攻撃力4000のモンスター、普通に戦うのでも厳しい相手だが、さらに相手には破壊されるたびに復活し、さらにフィールドを丸焼きにして大きなダメージを与える効果を持つ。
「おおっと、除外とかしようとしても無駄だぜ? セカンドオーダー暗黒の太陽の効果で、破壊されて墓地へ送られる以外で、サンはフィールドを離れることはない。お前らはまともに太陽とやりあって、復活時の効果で死ぬか、サンにひねりつぶされるかしかない」
「厄介な……」
「この程度で狼狽えるなよ。アルター様に比べたらこれでも生ぬるい方なんだぜ」
これで生温いという。イリアステルと戦う気まんまんの遊介にとってはあまり聞きたくない言葉だった。
「でも、逆に考えればこの程度対処できなきゃ、アイツとも戦えないってことだな……」
しかし、この逆境がデュエルを放棄する理由にはならない。
遊介はようやくまわってきた自分のターンで、何とかする方法を考える。
後編は数日後に投稿します。
もしかすると中編、後編になるかもしれません。