遊戯王VRAINS もう1人の『LINK VRAINSの英雄』 作:femania
トリックスター・ホーリーフラッシュ
通常魔法
②の効果は1ターンに1度しか発動できない。
①フィールド上の『トリックスター』モンスター1体を選択する。そのモンスターを破壊し、相手プレイヤーに600ポイントのダメージを与える。②自分のLPが相手よりも低い場合、自分、もしくは相手のメインフェイズに発動する。墓地のトリックスターモンスター1体を特殊召喚する。この効果で『トリックスター・ホーリーエンジェル』を特殊召喚した場合、自分はデッキから『トリックスター』カードを1枚手札に加える。
ランサーズとの同盟があって万全の準備をしても、とてもではないが対抗できない多さだった。
ブルームガールにとって、どこも無視できない内容だったが、特に一番上の映像は気になって仕方がない。今遊介はひどい傷を負っている状態だ。今襲撃されれば、迎撃できるだけに体力があるか疑わしい。
「先輩、このままだと遊介がやられますよ」
しかし、ここで弱みを明かすわけにはいかない。たとえ虚勢でも、遊介がその程度で動じないことを言わなければ、そこで遊介が襲撃されて終わりだ。
「あんな奴ら、遊介には何の問題もないわ」
「そうでしょうかねぇ……?」
一言で表せば悪い笑みを浮かべる彩は、ブルームガールに向けて一つの提案をする。
「でもまあ、あなたたちが不利なのは元々分かっているし、少しくらいはチャンスを上げないとなぁ、とも思う私もいます。だって最初から勝利が見えている勝負はつまらない。どうでしょう先輩。ここらで1つ、賭けをしませんか?」
「何を賭けるの?」
「勝った方が負けた方に、エロ、グロ以外で言うことを一つ聞く。てのは?」
「約束が守られる保障はない」
「じゃあ、私このまま遊介のことをいじめに行きますよ?」
選択肢はないと言うのはまさにこのような状況のことを言う。このままではいくら見方が少数精鋭でも数に押しつぶされる、向こうのイリアステルのデュエリストのように。
「でも先輩がこのデュエルを受けてくれるのなら、私、約束守りますよ? 私はデュエルに嘘はつかない。それは誓って」
彩は何かを投げ飛ばしてくる。
何かのボタンだった。たった一つ変なマークがついた赤のボタンがつけられている。そして彩の方にこれは何なのだ、という目線を送ると、ブルームガールの視界には、何か怪しいものを彩が、首につける様子が映った。
「私のLPが0になったらそのボタンが有効化します。うちのエンジニアに作ってもらいました」
「これは?」
「爆弾。私は自分の言葉に命を賭けます。さあ、先輩? デュエルをしましょう。あなたが勝てば何がお望みですか?」
正気の沙汰ではない。当然嘘だと思う。しかし、嘘と言う証拠もない。
「どうしてそこまで……」
「本気ってことです。私はほら、態度が軽いから、言葉に信用性がないように見えやすいですからね」
首に装着した後の手が震えている。
まさか、とブルームガールはつい呟いてしまう。
彩は震える手からは想像もできないような、清々しい顔で言葉を重ねる。
「私は本気ですよ? 先輩に仲間になってほしいのも、遊介と決着をつけたいのが私だってことも。この賭けデュエルで先輩の望みを叶えるつもりなのも。遊介と戦うんだもん。絶対に手を抜いたりはしない。策でも、情熱でも、デュエルでも、全部で勝ってこその勝利で、アイツに負けを認めさせる。そうすれば、遊介も、エデンに入ってくれるかもしれないでしょ?」
「本気ね。あいつと戦うためだけに」
「私はエデンのリーダー。自分達の邪魔になりそうなものを徹底排除するのは当然のこと。そのために勝利への布石を完璧に打つことも当然の仕事です。でも、ブルームガール、貴方がここで私に勝てば、私は退きます。だって完璧な勝利ができなくなるから、遊介の頑固な意志を折れなくなっちゃうので」
ブルームガールはボタンを見せながら言う。自分の望みを。
「私の望みは当然、光の世界へもう二度と戦略まがいのことをしないでってこと。あなたの望みは?」
「私のチームの入ってください。それだけでいいです」
「は? それになんの意味が?」
「意味はあるんですよ? ブルームガール、貴方には遊介を釣りだして貰います。奪われた光の世界、私たちは人を誘拐する侵略者、仲間に裏切られたうえで、侵略者たる私に負けを晒す。そうすれば光の世界での支持率も0になるでしょう。これまでチームの働きはすべて無駄になり、そのうえで私に無様に敗北する。どうですか? さすがにそんな無様を晒せば……遊介も心が折れるでしょ」
「遊介の心を折ってどうする」
「当然私の敵にならないでってお願いするだけですよ? ふふふ、先輩、遊介の無様を見るのが嫌なら、私を倒して、爆弾のスイッチをオンにして私と止めないと」
彩はデュエルディスクを準備する。
「いいわ! そのデュエル、受けて立つ!」
エリーが加勢するためにデュエルディスクを用意するが、後ろにエクシーズ遊介が立ち、エリーを呼ぶ。彼の近くにはエリーが親しくしている光の世界の子供が集められている画像を見せる。エクシーズ遊介にエリーがデュエルを挑まれた。
ブルームガールはエリーを気遣う暇はない。
目の前にはエデンのリーダー。自分に爆弾をつけているとは思えない絶対的な自信を見せるデュエリスト。
しかし、ここでブルームガールが勝てば何もかもが終わるかもしれない。不利な状況も一気にひっくり返せるかもしれない。
ブルームガールがデュエルを断る理由はなかった。
「デュエル!」
「デュエル!」
ブルームガール LP4000 手札5
モンスター
魔法罠
彩(リボルバー) LP4000 手札5
モンスター
魔法罠
(彩)
□ □ □ □ □ 魔法罠ゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ EXモンスターゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ □ □ □ 魔法罠ゾーン
(ブルームガール)
ターン1
「先行はいただくわ」
「もちろん、お好きにどうぞ。誘ったのは私です」
ブルームガールが使うカードはトリックスター、その全力は先行でこそ輝く。
相手は疑う必要のないほどの強者。イリアステルの使者を、1人で倒し、光の世界を襲撃した最強のイリアステルの使者を、自身の策をもって打ち破った実力者。手加減するような余裕はない。
「トリックスター、ヒヨスを召喚!」
トリックスター・ヒヨス レベル1 攻撃表示
ATK100/DEF0
呼び出された小さな花の天使は、
「現れなさい、光り輝くサーキット!」
呼び出しと共に現れたサーキットに身を投じる。
「リンク召喚! 現れろ、リンク1、トリックスターブルム」
そして呼び出されたのはリンク1の黄色の天使。
トリックスター・ブルム
リンクマーカー 下
ATK100/LINK1
「トリックスター・ブルムがリンク召喚に成功した時、相手はカードを1枚ドロー」
「あら、いいんですか?」
「後でわかるわ。ヒヨスはトリックスターのリンク素材となったとき、墓地から特殊召喚できる。私はリンク先にヒヨスを特殊召喚する」
トリックスター・ヒヨス レベル1 攻撃表示
ATK100/DEF0
「さらに私はフィールド魔法、トリックスターライトステージを発動! 発動時、デッキから、トリックスターモンスターを1体手札に加える! 私は、トリックスターキャロベインを手札に」
彩はトリックスターのカードの動かし方を知っている、効果ダメージを主軸としているとことも。
「さらにマジックカード、『トリックスター・ホーリーフラッシュ』を発動! フィールド上のトリックスター1体を破壊し、相手プレイヤーに600のダメージを与える!」
「先行ダメージですか」
故に彩は、これくらいのダメージは覚悟していた。
「それがトリックスターの戦い方よ。私はヒヨスを破壊する!」
ヒヨスを中心に強い光があたりを覆う。
彩(リボルバー) LP4000→3400
「さらに、トリックスターブルムの効果! このカードのリンク先のトリックスターが破壊された時、相手の手札のカード1枚につき200のダメージ!」
「うわ、きつい」
さらにブルムの効果が炸裂する。先ほどブルムの効果で手札が増えているのもあり、彩が受けるダメージは1200まで伸びている。彩は初めのターンで自分のLPがここまで減らされるのは予想してなかった。
彩(リボルバー) LP3400→2200
「まだ続く! ライトステージの効果! トリックスターモンスターによって相手にダメージを与えた時、ライトステージの効果でさらに200のダメージを与える!」
さらに迫るダメージ。彩は苦い顔をする。
彩(リボルバー)LP2200→2000
「私はフィールドのブルムを対象に手札のマンジュシカの効果を発動する。ブルムをエクストラデッキに戻し、マンジュシカを特殊召喚!」
トリックスター・マンジュシカ レベル3 攻撃表示
ATK1600/DEF1200
「私はカードを1枚伏せて、ターンエンド!」
ブルームガールの猛攻は終わり、既に彩のLPは半分を下回っている。フィールドに残ったモンスターは貧弱なものの、最初のターンとしては十分な成果だと、ブルームガールは断言する。
ブルームガール LP4000 手札1
モンスター ① トリックスター・マンジュシカ
魔法罠 伏せ1
(彩)
□ □ □ □ □ 魔法罠ゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ EXモンスターゾーン
□ □ ① □ □ メインモンスターゾーン
□ □ ■ □ □ 魔法罠ゾーン
(ブルームガール)
ターン2
「私のターン」
遂に彩のターンが回ってきた。
彩(リボルバー) LP2000 手札7
モンスター
魔法罠
彩がカードをドローしても、ブルームガールの攻撃は終わらない。
今ブルームガールが行っているのは、自分でもどうかと思うほどのLP4000を削る戦法。
そしてそれはターンを経過させる必要はなく、相手がカードをドローすればそれで終わる。
「この瞬間! 手札のマンジュシカの効果! 相手モンスターがカードを手札に加えた時、そのカード1枚につき、相手に200のダメージを与える!」
「う……」
彩(リボルバー)LP2000→1800
さらに彩にダメージが襲い掛かる。
「ライトステージの効果で、さらにあなたには200のダメージを与える!」
「ぐ……」
彩(リボルバー)LP1800→1600
怒涛の勢いで減っていく自らのLPを見てブルームガールは苦悶の表情を浮かべる。
しかし、ブルームガールは止まらない。
最後、この1枚を発動するまでは。
「トラップカード、『トリックスター・リンカーネイション』を発動! 相手は手札のカードをすべて除外し、その数だけ、カードをドローする!」
「ふぇ……?」
つまりこのタイミングで相手は手札をすべて失い、さらにカードを7枚ドローする。マンジュシカの効果を発動して、その数は1400ダメージにのぼる。さらにライトステージの効果で200のダメージ。合計は1600で、相手LPはすべて吹き飛ぶ。
これが、ブルームガールが必勝の型とする、疑似1ターンキル。ブルームガールが強敵と戦う瞬間まで封じていた、必勝の一手だった。
そして相手もそれに気が付いているからこそ、唖然と言う顔をしている。
「これで終わりよ」
勝利の笑みを浮かべるブルームガール。
しかし、発動したリンカーネイションの様子がおかしくなる。カードが震え効果が発動しない。
「え?」
「さすがですよブルームガール。私も手札にこのカードがなければ危なかった。私は自らのLPを半分払い、手札のトラップを発動する。カウンタートラップ『レッド・リブート』。このカードは、相手の発動した罠を無効にし、再びその場に伏せさせる」
発動した最後の1手、リンカーネイションが無慈悲に伏せられ、疑似1ターンキルは不成立となった。
彩(リボルバー)LP1400→700
「く……」
これで決まればどれだけ楽だったか、ブルームガールは歯を食いしばり悔しさを露わにする。
「さて、レッドリブートのさらなる効果で、ブルームガール、貴方はデッキの罠1つを伏せることができます。ただし、リンカーネイションと一緒に、このターンは発動できませんが」
ブルームガールは相手に勧められるままに、罠カード『無謀な欲張り』をデッキからセットする。
「さて、まずは攻略のフィールドを整えるか。私はマジックカード、『トレードイン』を発動! レベル8の手札のモンスターを墓地へ送り、カードを2枚ドローする。私はクラッキングドラゴンを墓地へ! カードを2枚ドロー」
彩は今引いた2枚のカードを見て笑みを浮かべる。
まるで勝利への道が見えたかのような目だ。
「私はフィールド魔法『リボルブート・セクター』を発動。このカードの効果により、私は手札から『ヴァレット』モンスター2体を守備表示で特殊召喚する。いでよ、マグナヴァレット、メタルヴァレット」
銃の種類の名を冠するプレイヤー名を選んだ彩が使うのは、その名の通りヴァレットモンスターを使う。現れ出た2体の竜はどちらも弾丸を想起させる体の持ち主。
マグナヴァレット・ドラゴン レベル4 守備表示
ATK1800/DEF1200
メタルヴァレット・ドラゴン レベル4 守備表示
ATK1700/DEF1400
「さて、本来はリボルブートセクターの効果でステータスが変動するけど、面倒だから省略。すぐに素材として使うからね。現れろ、我が道を照らす未来回路! 召喚条件は闇属性のドラゴン族モンスター2体! マグナヴァレットとメタルヴァレットをリンクマーカーにセット!」
空中に現れたサーキットに2体の竜は突撃、2つの赤いマーカーが光り輝く。
「いでよ、リンク2! ツイントライアングルドラゴン!」
召喚されたのは細身で、腕に特徴的な三角形をつけた竜。
ツイン・トライアングル・ドラゴン
リンクマーカー 右 下
ATK1200/LINK2
「ツイントライアングルドラゴンの効果! LPを500支払い、墓地のレベル5以上のモンスターをこのカードのリンク先に復活させる! 私は墓地のクラッキングドラゴンを選択! この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない」
彩(リボルバー)LP800→300
クラッキング・ドラゴン レベル8 攻撃表示
ATK3000/DEF0
「まだまだ行くわ。現れろ、我が道を照らす未来回路! 召喚条件は効果モンスター2体以上。私はツイントライアングルドラゴンとクラッキングドラゴンをリンクマーカーにセット! リンク召喚! 現れろ、リンク3、トポロジックトゥリスバエナ!」
連続のリンク召喚。
それによってブルームガールの目の前に現れたのは、遊介の使うサイバースとは雰囲気の違う禍々しいサイバースのモンスター。
トポロジック・トゥリスバエナ
リンクマーカー 上、左下 右下
ATK2500/LINK3
ここまでのリンク召喚も見事なもので、流暢に呼び出されたリンク3、特に通常召喚も無しに呼び出した手腕に感心せざるを得ない。
そして、その通常召喚はようやくここで使われる。
「さあ、ここから攻撃する! 私はチューナーモンスター、ヴァレットトレーサーを通常召喚!」
呼び出された赤い弾丸。
ヴァレット・トレーサー レベル4 攻撃表示
ATK1600/DEF1000
呼び出したのはあえて、トゥリスバエナのリンク先とは違うゾーン。
「効果、自分フィールド上の表側表示カード1枚を破壊し、デッキからヴァレットモンスターを特殊召喚する! この効果を使用するとき、私はこのターン闇属性モンスターしかエクストラデッキから呼べない。けれど、気にする必要はないわ。呼ぶ予定もないもの。私はリボルブートセクターを破壊し、デッキからシェルヴァレットドラゴンを特殊召喚する!」
シェルヴァレット・ドラゴン レベル2 攻撃表示
ATK1100/DEF2000
次に呼び出したのは、トゥリスバエナのリンク先だった。
そしてその行為が引き金となって、トゥリスバエナの効果のトリガーが引かれる。
「トポロジックトゥリスバエナの効果! このカードのリンク先にモンスターが特殊召喚されたとき、召喚されたモンスターとフィールド上の魔法・罠をすべて除外する! そして除外した相手フィールドのカード1枚につき500のダメージを与える! マイグレーションフォース!」
トゥリスバエナは変形し、呼び出された弾丸を、変形によって生み出した鉤爪により粉砕、その勢いで、ブルームガールのフィールドの魔法。罠カードをすべて消し去る。そしてその衝撃はブルームガールを直撃。
「ぐ……!」
ブルームガール LP4000→2500
「まだ終わらない。現れろ、我が道を照らす未来回路! 召喚条件は効果モンスター2体以上。私はリンク3のトポロジックトゥリスバエナと、ヴァレットトレーサーをリンクマーカーにセット!」
「リンク……4!」
「現れろ! トポロジックボマードラゴン!」
凄まじい風圧。召喚のサーキットが反応した瞬間、その竜の威圧が神殿全体に襲い掛かる。
トポロジックボマー・ドラゴン
リンクマーカー 上 下 左下 右下
ATK3000/LINK4
ここまでの召喚を繰り返し、リンク4を呼んでおきながら、手札は2枚残っている。計算し尽くされた完璧な流れ。そして相手にはまだ攻撃が残っている。
「ブルームガール、トポロジックボマードラゴンの攻撃を受けても耐えられる、なんて、甘い考えは捨ててください。このカードは相手モンスターを破壊した時、その攻撃力分のダメージを相手に与える」
つまり、攻撃をそのまま通せば、相手に3000ポイントのダメージを与える。ブルームガールはここで終了。
「く……」
「1キルを防いだ後に1ターンで4000削り、面白いかなって思ってやってみましたけど、これが決まればまさにその通りになりますね? バトル!」
容赦ない戦闘宣言。
「トポロジックボマードラゴンで、トリックスターマンジュシカを攻撃!」
口に見える機構にエネルギーが集約するのが分かる。その威力が凄まじいこともはっきりしている。
この攻撃を受ければブルームガールの敗北は決定する。本人もしっかり自覚していた
ブルームガールは手札の1枚に手を伸ばす。
(まだ負けない。遊介に迷惑はかけられないからね)
トリックスター・マンジュシカの攻撃力はたったの1600.別にリンク4のモンスターを用意しなくても簡単に超えられる攻撃力だった。しかしそのまま攻撃を甘んじて受けるつもりは欠片もない。
「手札のトリックスター・キャロベインの効果! フィールドのトリックスターが戦闘を行うとき、このカードを墓地へ送る。戦闘を行うマンジュシカの攻撃力は、その元々の攻撃力分だけアップする!」
「は?」
彩が驚きのあまり声を上げる。
「マンジュシカの攻撃力は1600、その分攻撃力を上げさせてもらう。そしてあなたはそのまま戦うしかない。このマンジュシカと」
トリックスター・マンジュシカ ATK1600→3200
赤い天使は攻撃を受ける前、意を決して上昇、相手の口元に自身の得物を投げ込む。集約されたエネルギーは衝撃により秩序を失い暴発、そこで爆散する。
(勝)トリックスター・マンジュシカ ATK3200 VS トポロジックボマー・ドラゴン ATK3000(負)
そしてその衝撃は彩のところへ。
彩(リボルバー)LP300→100
「くっそー……」
巨大なサイバースの竜は消えた。これで彩のフィールドはがら空き。
「私はカードを2枚伏せてターンエンド!」
カードを伏せる以外に彩ができることは何もない。
彩 LP100 手札0
モンスター
魔法罠 伏せ2
(彩)
□ □ ■ ■ □ 魔法罠ゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ EXモンスターゾーン
□ □ ① □ □ メインモンスターゾーン
□ □ □ □ □ 魔法罠ゾーン
(ブルームガール)
ターン3
「私のターン!」
ブルームガールはカードをドローする。
ブルームガール LP2500 手札1
モンスター ① トリックスター・マンジュシカ
魔法罠
このターンが勝負になるのは目に見えている。ブルームガールはドローした時点で悩む。
引いたのはトリックスターナルキッス。ここで召喚をするべきか、それともそのままマンジュシカで戦うべきか。
しかし、その考える時間すら、彩は与えない。
「永続トラップ『デモンズチェーン』。フィールド上のモンスター1体を対象に発動できる。このカードが表側表示で存在する限り、対象となったモンスターは攻撃できない。さらに効果も無効にされる。ブルームガール、貴方がこのターンをターンエンドして、次のターンに効果ダメージで私が死ぬ、と言う未来はなくなった」
「く……」
ならば迷うことはない。
相手は何をしてくるか分からない。次のターンまで生かしておくことが危ない。
ブルームガールは決心する。なんの掛値無しに勝てる相手でないのなら、ここでリスクに怯えている場合ではないと。
「私は、トリックスターナルキッスを召喚!」
トリックスター・ナルキッス レベル4 攻撃表示
ATK1000/DEF1800
「バトル! トリックスターナルキッスで、プレイヤーへダイレクトアタック!」
決まれ!
ブルームガールはそう願った。
しかし、その瞬間ブルームガールは見てしまったのだ。彩が凶悪な笑みを浮かべたことに。
「かかった」
ブルームガールの血の気が引く。
「さあ、底知れぬ絶望の闇へ沈め! 罠カード――」
場が発動カードによってもたらされる光に覆われる。
目を焼きつくすかのような閃光があたりを覆う。
そして目の前が真っ白になった。
視界が塗りつぶされる。その時間はおよそ10秒。目が再び色彩を得た時に、衝撃の光景が目の前に現れる。
何もなかった。いたはずのトリックスターたちがいなかった。自分のフィールドには何もなかった。
「まさか、アレは……」
「さあ、ブルームガール。ターンエンドを宣言して。あなたにできることはもう何もない」
そう、何もない。次のターンの攻撃を自分は甘んじて受け入れなくてはいけない。
「ターンエンド……」
ブルームガールはそう言うしかない。
ブルームガール LP2500 手札0
モンスター
魔法罠
(彩)
□ □ □ □ □ 魔法罠ゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ EXモンスターゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ □ □ □ 魔法罠ゾーン
(ブルームガール)
次のターンが来るというほど、ブルームガールは現状を楽観視していない。
「私のターン」
彩は今引いたカードを見て勝利を確信する。
「正直に言うと危なかったですけど、何とか勝ててよかった。私、貴方が一番の強敵だと思ってた。ブルームガール。だからこそ、ここで勝利する私に、もはや敗北はない!」
彩の宣言通り。このターンで決着はついた。
再び蘇った強力な竜の力で。
ブルームガール LP2500→0
その衝撃は凄まじく、ブルームガールは意識を失ってしまった。
どれほど寝ていたのかと、自分を疑い目を覚ます。
最初に目に飛び込んできたのは、倒れているエリート、こちらをじっと見つめるリボルバーの姿だった。
負けた。その事実は覆りようがない。
「さて、先輩。もう先輩は私たちの仲間です」
デュエルディスクを見ると、自分の所属が1つ増えている。
前にヴィクターが言ったスパイの話。所属は1つに限定されない話。今のブルームガールはエデンの一員としてシステム上は認識されている。
「さて私が賭けに勝ったからには、先輩に言うことを一つ聞いてほしいなぁ」
「……く」
「まさかここで放棄する、なんて真似はしませんよね? まあ、もしもそんなことしたら」
彩が見つめる先の映像では風の世界に到着したデュエリストの姿。エリーをエクシーズ遊介がじっと見つめる光景。画面の先で死にかけている仲間の姿。
「先輩以外、みんな殺しちゃうかも……」
爆弾をつけたときと同じ目で、そんなことを宣う。
「やめて!」
意図せずして出た悲鳴、それは紛れもないブルームガールの願いだった。死んでほしくはない。どれほど戦う覚悟があったとしても死んでほしくはなかった。
「じゃあ、ブルームガール。お願いを聞いてください。私は遊介と戦えればいい。どうか遊介をここまで連れてきてください。そうすれば、皆さんの命は保証します。だって解放軍やイリアステルと戦うために、皆さんのような戦力を、こちらとしても失いたくはないと願っていますから」
「本当に?」
「はい。それだけは誓って。私も人殺しがしたいわけじゃない。友達と殺し合いをしたくないし、できればみんなで生きていたい。そう思うからこそ、私は光の世界をこんな回りくどい方法で攻めました。私だって快楽殺人者じゃない、それくらいの矜持はあります」
たとえそれが嘘でも、多くの人質がとられている以上、ブルームガールに反抗する余地はない。
「それで、彼が救われるのなら……!」
「はい、保有ライフは減るかもですけど、殺しはしません。絶対に。私は遊介に降参してほしいだけですから」
「……」
「裏切るのは怖いですか?」
「やるわ。やるわよ。だから殺さないで。みんなを」
「良かった、そう言ってくれて、こちらも……安心しました」
彩は一度ため息をつき、そしてブルームガールをたたせる。
既にブルームガールが出発するだけの準備はできていた。用意された自分のDボードの乗る。
「行く……わ」
「はい。私も待ってます。エリーちゃんと一緒に」
ブルームガールは風の世界に向けて出発する。
涙を流している理由は、己が非力さが故か。
それとも――。
遊介の元に一通のメッセージが来た。
内容は、ブルームガールから。至急来てほしいとのこと。
遊介は、なんの疑いも持たずに、ようやく本調子に戻った体を起こし、風の世界を出発する。
長らくお待たせして申し訳ありませんでした!
お盆が思った以上にいろいろとやることがあり、こっちの執筆に時間がかかりました。
25話はブルームガールと彩の戦いになりました。
あれよあれよの急展開。本来であればエデンとの戦いはゆっくりやろうかな、とは思っていたのですが、そんなことをすると果たして何話かかってしまうのか、と思い、彩が戦うところだけをピックアップしてお届けしています。
そして2回目のボスバトルは彩です。遊介と彩は19話で喧嘩になったばかりなのですが、早速喧嘩をしてもらいたいと思います。
VRAINSでいうリボルバー戦と同じ緊張感で戦ってほしいところですが、果たして作者は決戦にふさわしいデュエル展開を用意できているのか、と不安になっています。
正直に言うと急展開はあまり私の好むところではありません。しかし、戦争となれば、何もかもが万全の状態で起こる戦いではないとも思っています。そこで今回は、ちょっと強引かもしれませんでしたが、奇襲というものをやってみました。果たしてこれが是が非か。
どちらにしてもここまで来てしまったので、後は遊介と彩が戦うのみです
(アニメ風次回予告)
誰も見捨てられないという親友の彼女の覚悟。あの日、楽園を背負うと決めたその日から、どんな悪を成そうとも、大切な人々を守ると決めた。そんな彼女の歪んだ覚悟に、遊介は怒り狂う。変わり果てた彼女への失望で。
「みんなを人質にとるような今のお前を、俺は許せない」
次回 遊戯王VRAINS~『もう一人のLINKVRAINSの英雄』~
「決戦――そして」
イントゥ・ザ・ヴレインズ!
次回の放送日は8月27日です。