遊戯王VRAINS もう1人の『LINK VRAINSの英雄』 作:femania
……すみません。遅れました。現在31日です。
デュエルパートを変更してたら長くなってしまったので、構成を少し変更します。
中編1 今
中編2 31日深夜
後編 9月1日
9月に入ってしまいましたが、日曜日、お休みのなのでセーフということで、どうか1つ……
オリカ、またまたいっぱい出ます。
『サポートプログラム・アドバンス』 通常魔法
①このターン通常召喚を行っていない場合に発動できる。手札のサイバース族でレベル5以上のモンスターを召喚する。この効果で召喚したモンスターの攻撃力は500アップする。②墓地のレベル5以上のサイバース族モンスターとこのカードを除外する。デッキからレベル5以上のサイバース族モンスターを1体手札に加える。
『リンク・ウェポン』 装備魔法
①このカードはフィールド上のリンクモンスターできる。装備モンスターの攻撃力は、自身のリンクマーカー1つにつき500ポイントアップする。
『バックアップ・アナリシス』 通常罠
①墓地にサイバース族『バックアップ』モンスターが存在するとき、相手フィールド上のモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターの効果をフィールドに存在する限り無効化する。選択したモンスターがリンクモンスターだった場合、墓地の『バックアップ』モンスター1体を手札に戻す ②自分のターン。墓地のこのカードを除外し、LPを半分支払うことで、①の効果を発動できる。この効果は、このカードが墓地に送られたターンには発動できない。
『装填準備』 永続魔法
①このカードを発動時、自分LPを500支払いこの効果を発動できる。墓地の闇属性ドラゴン族モンスターの数、デッキの上から順番にカードを確認し、その中に存在する『ヴァレット』モンスター1体を手札に加える。その後、残りのカードは元に戻し、デッキをシャッフルする。②1ターンに1度、手札の『ヴァレット』モンスターを1体、特殊召喚できる。③自分のカードの効果によって、このカードがフィールドを離れたとき、デッキからカードを1枚ドローする。
「そう睨むなよ」
エクシーズ遊介の前で、エリーは牙をみせて威嚇する。
可愛いなもう、と言う遊介と同じ顔をした敵に睨む。
「だったら私をマスターのところへ連れて行ってください」
「それはできない。向こうは危険だぜ?」
「でも私は」
「今行っても間に合わないよ」
「そんなことはありません。ただでさえイリアステルの戦いで大きなダメージを負っているんです。それでLPを賭けた戦いをまたやったら、もしかすると……」
「まあ、言わんとしてることは分かるけどな」
本人は気が付いていないが、戦場を生きているエクシーズ遊介からすれば、今大きな傷を負っている様子なのは明らかだった。
恐らく、デュエルに負けるようなダメージを受ければ、体が痛みに耐えきれなくなるだろう。良くて意識喪失、悪ければ体が動かなくなる可能性もある。
「まあ、殺しはしないさ。リーダーの意向だからな」
「私は従者です。だから、こんなところで」
「エデンも忙しい、もしもアイツが意識を失うことがあれば看病してやる人が必要だろう。お前にいてやってほしいって、リーダーがな」
「まるでマスターが負けるみたいなことを!」
「……まあ、このデュエルが終わるまでは、どのみちお前を離すつもりはないさ。お前は人質だからな。外に出るのは諦めろ。まあ、神殿内で誰かと話す分には構わないから、自由にしてくれ」
ちびっこなのに迫力あるなぁ、というつぶやきが、エリーにとっては侮辱に聞こえ、さらににらまれる。
目を逸らした先に映る、遊介と彩の姿。
それを見ながら、昔の自分の、ある瞬間を思い出す。アルターと戦った時だった。
絶対に負けたくない戦いで、勝てなかった。そして、いろんなものを失った。
不思議と、今の遊介を見ていると思い出す。
「彩は容赦ないな」
遊介 LP4000 手札5
モンスター
魔法罠
彩(リボルバー) LP4000 手札5
モンスター
魔法罠
(彩)
□ □ □ □ □ 魔法罠ゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ EXモンスターゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ □ □ □ 魔法罠ゾーン
(遊介)
ターン1
光の都市の上空で二人が向かい合う。
「俺の仲間は無事なんだろうな!」
彩に叫ぶ遊介。
「もちろん。そうじゃないと、遊介と戦う口実がなくなっちゃうもの。でも、何もしないとは言わない。殺さないのは誓うけど、それ以外のことなら……」
「お前」
「助けたければ私を倒すしかないよ。私のやり方が気に入らないのなら、私を倒して、エデンを倒して、みんなを救うヒーローにならないとね」
「……本気なんだな」
「ええ、貴方に恨まれても、私はエデンの勝利のために戦うわ」
「分かった。なら、俺は全力でお前を倒し、ここを押し通る。お前にけがをさせてでも」
「そう来なくちゃ」
遊介の最初のターンが始まる。
「俺はマジックカード『サイバネット・マイニング』を発動。手札のレイテンシを墓地へと送り、デッキからレベル4以下のサイバース族モンスター1体を手札に加える。俺が手札に加えるのは、レベル4のロムクラウディア」
遊介は初期の手札を見て迷いなく己の取る戦術を決めた。前は手札を見て迷うことがしばしばあったが、今はそのようなことはほとんどない。これまで同じデッキで何度も戦闘を重ね、自身の中での最善手を打つ方法は、頭の中に入り切っている。
「そして、俺はマジックカード『サポートプログラム・アドバンス』を発動する。このターン、通常召喚をしていない場合、手札のレベル5以上のサイバースモンスターを召喚する。俺は手札のコンデンサーデスストーカーを召喚する! この効果で召喚したモンスターの攻撃力は500アップする」
コンデンサー・デスストーカー レベル5
ATK2000/DEF1000
コンデンサー・デスストーカー ATK2000→2500
「カードを1枚伏せて、ターンエンド」
如何に決戦と言えど、最初に呼びこめる戦力は手札5枚。遊介はその中で、最も攻撃力の高いモンスターを呼べる策をとった。
当然この程度で止まる相手ではないことは理解している。彩と遊介はここに来る前、現実世界でもデュエル仲間だった。互いに競い合い、高めあい、デュエルを楽しみながら強くなった。何度も何度もぶつかり合っていたのだから知っている。
彩が強いと言うこと。デュエルにおいて、遊介が勝ったことは片手で数えられるくらいしかない。
それほどの強敵が相手なのだから苦戦は既に視野に入れている。
しかし、今回だけは負けるわけにはいかないと、遊介は前を走る彩を身ながら覚悟を決める。
これはいつもの喧嘩ではない。正真正銘の決闘。
ここでエリアマスターの自分が負ければ、光の世界が奪われる。かつて自分の手で守ったエリーの故郷、仲間がこの世界での新たな住処として愛し、必至に守って来た世界を。
エリアマスターとしてではなく、自分を信頼してくれた仲間のために、負けられない。目の前の侵略者であるエデンのリーダーを倒し、皆をこの手で救うのが、チームのリーダーとして皆に果たすべき責任だ。
遊介 LP4000 手札1
モンスター ①コンデンサー・デスストーカー
魔法罠 伏せ1
(彩)
□ □ □ □ □ 魔法罠ゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ EXモンスターゾーン
□ □ ① □ □ メインモンスターゾーン
□ □ ■ □ □ 魔法罠ゾーン
(遊介)
ターン2
「私のターン! ドロー」
デッキからカードをドローし、
「2500で安心はしないことね」
得意げに笑いながらそのように宣言する彩。
予想はできていたと言うべきか、これを突破する気満々の彩を見て、遊介は緊張する。
通常であれば相手が使うデッキはどんなものか、相手が何枚か使うまでは予想はできないのだが、彩に関しては別だ。
わざわざリボルバーと言う名前に下からには、恐らく使うのはヴァレットデッキ。しかし、厄介なのは、たとえどんなモンスターが来るか分かっていても、そのモンスターが強力で、楽に戦える相手ではないと言うこと。
「私はマジックカード『テラ・フォーミング』を発動。デッキからフィールド魔法を1枚サーチ。そして今サーチしたフィールド魔法をすぐに発動する。私はフィールド魔法、始皇帝の陵墓を発動!」
「な……!」
そのカードは予想できなかった。本来そのカードは、アドバンス召喚を主体とするプレイヤーが使うべきものであり、リンクを主体とするヴァレットには、あまり合わない。
しかし、確かに、完全に無駄になっているかどうかというと、そんなことはないともわかる。
「始皇帝の陵墓の効果。私はライフを2000支払い、手札の2体リリースが必要なレベルのモンスター1体を通常召喚する! クラッキングドラゴンを召喚!」
彩 LP4000→2000
そして目の前に、黒い体とエメラルドの光をもった異質な竜が現れる。
クラッキング・ドラゴン レベル8 攻撃表示
ATK3000/DEF0
「いきなり3000か……」
「私はカードを1枚セット。バトル!」
彩は容赦なく遊介のモンスターを潰しにかかる。
「クラッキングドラゴンで、コンデンサーデスストーカーに攻撃! トラッフィクブラスト!」
攻撃力3000をもつ竜の攻撃が容赦なく電脳世界の毒サソリに襲い掛かる。勝敗は明らかだった。遊介はあえてその攻撃を受ける。
(勝)クラッキングドラゴン ATK3000 VS コンデンサー・デスストーカー ATK2500 (負)
「く……!」
戦いの衝撃を受け、遊介に少しのダメージが入る。
遊介は一瞬、目の前の視界が歪んだことに気が付く。
(思ったよりもダメージが残っているな……)
しかし。デュエルに必要な思考に歪みはない。戦闘継続に問題はない。
遊介 LP4000→3500
「コンデンサーデスストーカーの効果は、効果で破壊されないと発動しない。残念ね遊介」
笑みを浮かべる彩。
「何……そんな予感は少ししてたんだ。攻撃力で越えてくるだろうなってな」
「そう、期待に応えられてなによりね。でも、あなたのデッキ、この攻撃力を超えられるの?」
「なに、今に見てろ」
「なら楽しみに見させてもらうわ。私はこれでターンエンド」
前を悠々と走っている彩には余裕が見られる。負けることなど微塵も考えていない顔だった。
それは絶対の自信を持っていないとできないことだ。自分が蒔けるはずがないというデッキと自分の実力への信頼。
しかし、遊介もこの程度で勝ち目を失う、最初の頃の情けない自分ではない。次のターンへの布石は既に打ってある。
彩 LP2000 手札3
モンスター ② クラッキング・ドラゴン
魔法罠 伏せ1
(彩)
□ □ ■ □ □ 魔法罠ゾーン
□ □ ② □ □ メインモンスターゾーン
□ □ EXモンスターゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ ■ □ □ 魔法罠ゾーン
(遊介)
互いにここまでは様子見と言っていい。
けん制し合いながら最初の出方で様子を見て、次の相手の動き方に思いを巡らす。
昔から彩と戦うときはそうだった。
そして、互いのターンが1回終わったころに、ようやく互いは本気でカードをきり始める。自分が打てる戦術を披露しながら相手を驚かしていく。
(あの頃は楽しかったな)
そして今は、驚かすためではなく、相手を慈悲なく倒すために、自身の最高の戦術を見せるのだ。
ターン3
既にためらいはない。親友同士で戦うという異常な行為に。
遊介はカードを引く。
「俺のターン!」
目の前の『敵』を倒すために。
遊介 LP3500 手札2
モンスター
魔法罠 伏せ1
「俺はロムクラウディアを召喚!」
ROM・クラウディア レベル4 攻撃表示
ATK1800/DEF0
「召喚って言ったわね?」
「……クラッキングの効果か」
「そう。クラッキングドラゴンは相手がモンスターを召喚したとき、そのレベル×200分だけ、そのモンスターの攻撃力を下げ、下降分のダメージを与える。クラックフォール!」
竜から衝撃波が放たれ、モンスターの攻撃力の現象と、ダメージが同時に巻き起こる。ロムクラウディアのレベルは4.攻撃力は800ダウンし、その分のダメージが入る。
遊介 LP3500→2700
しかし、だからと言って召喚をやめるわけにはいかない。戦わなければ、クラッキングドラゴンの圧倒的な攻撃力にひねる潰されるだけになるからだ。
「ロムクラウディアの効果。このカードが召喚されたとき、墓地のサイバース族モンスター1体を手札に戻す。俺は墓地のレイテンシを戻す!」
墓地より戻ったレイテンシを、遊介はそのまま見せ続ける。
「レイテンシは、墓地から手札に戻った際に、手札から特殊召喚できる!」
レイテンシ レベル1 守備表示
ATK0/DEF0
「レイテンシには効果を発動しても意味ないわね……」
「ああ。現れろ、未来を導くサーキット!」
最初のリンク召喚。
呼び出すのは、モンスター2体を必要とするサイバース族リンク。
「リンク召喚! 現れろ、スペースインシュレイター!」
スペース・インシュレイター
リンクマーカー 上 下
ATK1200/LINK2
「レイテンシの効果! 自身の効果で特殊召喚したこのカードがリンク召喚の素材になったとき、デッキからカードを1枚ドローする!」
デッキからカードを引き、間髪入れずに引いたカードを使う。
「バックアップセクレタリーは、フィールドにサイバース族が存在するとき、手札から特殊召喚できる。俺は、スペースインシュレイターのリンク先に特殊召喚!」
バックアップ・セクレタリー レベル3 攻撃表示
ATK1200/DEF800
「クラックフォール!」
再びクラッキングドラゴンの効果が発動。レベル3、故に600分の変動とダメージが遊介に襲い掛かる。
「ぐ……!」
遊介 LP2700→2100
遊介は突如激しい頭痛に襲われ、体全体が痺れた。しかし、たった一瞬。心臓が止まりそうな感覚を経てもまだ、止まるわけにはいかない。
「スペースインシュレイターのリンク先のモンスターの攻撃力は800ダウンする」
バックアップ・セクレタリー ATK 1200→400
「でもリンク素材にするんでしょ? その説明はいらない」
「いるんだよ。確かにリンク素材にはするが、今引いたカードの発動条件には必要でね。俺は魔法カード『サイバース・キャッシュ』を発動する! フィールドに元々の攻撃力と異なる攻撃力を持つサイバースがいる時、デッキからカードを2枚ドローする!」
「壊れカードじゃん」
「お前に勝つのに、遠慮なんかしていられないからな。俺はカードを2枚ドローする。そして、現れろ、未来を導くサーキット! 召喚条件はサイバース族モンスター2体以上。俺はリンク2のスペースインシュレイターとバックアップセクレタリーをリンクマーカーにセット!」
2体のモンスターは上空に現れたサーキットへと身を投じ3つの赤い光が灯る。
「リンク召喚、現れろ、シューティングコードトーカー!」
表れるは、水のコードトーカー。巨大な弓を持ち、相手を射る射手。
シューティングコード・トーカー
リンクマーカー 上 下 左
ATK2300/LINK3
「2300ねぇ」
「そう慌てるな、彩。別に手を抜いているつもりはない。本当は別のモンスターを呼び出す予定だったが、こっちの方が都合がよくなった。俺は装備魔法『リンク・ウェポン』をシューティングコードトーカーに装備。装備モンスターの攻撃力はリンクマーカー1つにつき500アップする!」
「なるほど、装備カードか。でも、初めて見るカードね」
「マイケルがこの世界で俺のために見つけてくれたカードだ。シューティングコード・トーカーのリンクは3.よって上昇する攻撃力は1500となる」
シューティングコード・トーカー ATK2300→3800
「バトルだ! 俺はシューティングコードトーカーで、クラッキングドラゴンを攻撃!」
水色の戦士は弓を構え上空へと跳躍する。
狙いは竜。その体を貫くために、矢を放つ。
「シューティング、コンプリート!」
その矢は間違いなく、竜を絶命させた。
(勝) シューティングコード・トーカー ATK3800 VS クラッキングドラゴン ATK3000 (負)
そして戦闘の代償を彩が支払うことになる。
しかし、ただ代償を負うことはない。
「私はトラップカード『ガードブロック』を発動させてもらう。戦闘ダメージを0にして、カードを1枚ドローする」
彩はエース級のモンスターが破壊されたことにさほどのダメージを負っている様子はない。
「ふふふ、これくらいは……ね」
とデュエルを楽しんでいる様子に捉えることすらできる。
彩にとってクラッキングドラゴンはただの過程なのだと言うことがはっきりする瞬間だった。
(まだ油断はできないってことか……変わらないな。今もそれだけは)
彩はどんなに追い詰めても次の一手を出してくる。基本的にサレンダーしかない、と言う状況になっている彩を遊介は見たことない。
つまり、まだ、この先に手は残しているということ。
油断は許されない状況だった。
(それでも、この一撃は大きい。クラッキングドラゴンはどうしても排除が必要だし、シューティングコードトーカーで倒せたの良い。このデュエル、逆風が吹いている様子はない。なら、こっちにも勝ちの目はある)
遊介は戦闘終了後、自身のモンスターの効果を使用する。
「シューティングコードトーカーが相手モンスターを戦闘で破壊したバトルフェイズ狩猟時、破壊したモンスター1体につきカードを1枚ドローする!」
遊介はカードを引き、
「俺はこれでターンエンド!」
遊介はこれ以上できることはないため、ターンを終了した。
遊介 LP2100 手札2
モンスター ③ シューティングコード・トーカー
魔法罠 伏せ1
(彩)
□ □ □ □ □ 魔法罠ゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ EXモンスターゾーン
□ □ ③ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ ■ □ □ 魔法罠ゾーン
(遊介)
「遊介」
相手から声がかかる。
「ずいぶんと怖い顔。そんなに負けるのが怖い?」
「そんな顔にしているのは誰だと思ってる」
「私たち、プロを目指したデュエリストよ。人を楽しませるものとして、自分たちが楽しくデュエルをしないでどうするの?」
楽しむ余裕などあるはずがない、と言おうとしたがそれよりも遊介に響いたのは別の箇所だった。
「目指した?」
過去形。まるで今は違うかのような言い方。
「お前、まるで今はプロを目指してないみたいな……!」
「優先順位が変わっただけ。今の私は、エデンを守り続けることが第1に叶えたい願いだもの」
「あの日の、約束……」
「その為にはまず、この世界を平和にしなきゃね。私たち、エデンが勝って」
「……お前は……変わったな!」
遊介の声には怒りが混じっている。
しかし、彩には響かない。
「さあ、次は私のターンね」
ターン4
「私のターン、ドロー!」
彩は、遊介の見せる怒りの形相にも目を留めず、再び動き出す。
彩 LP2000 手札5
モンスター
魔法罠
「相手フィールド上にモンスターが存在するとき、私はゲートウェイドラゴンを特殊召喚。このカードは相手フィールド上にリンクモンスターが存在するとき、手札から特殊召喚できる!」
ゲートウェイ・ドラゴン レベル4 攻撃表示
ATK1600/DEF1400
「ゲートウェイドラゴンの効果を発動する! メインフェイズに1度、手札のドラゴン族闇属性モンスター1体を特殊召喚する。出でよ、スニッフィングドラゴン!」
スニッフィング・ドラゴン レベル2 攻撃表示
ATK800/DEF400
連続で2体のモンスターの特殊召喚を行った彩が狙うのは間違いなくリンク召喚。それは遊介にもはっきりとわかる。
「スニッフィングドラゴンの効果。このカードが召喚、特殊召喚されたとき、デッキから同名カードを1枚手札に加える。そして、遊介がリンクをするなら、私もリンクモンスターで戦うわ。現れよ我が道を照らす未来回路!」
上空にサーキット。2体のモンスターが共にリンクマーカーとして変化し、2つの光が灯った。
「リンク召喚! 現れろ、ツイントライアングルドラゴン!」
召喚されたのは細身で、腕に特徴的な三角形をつけた竜。
ツイン・トライアングル・ドラゴン
リンクマーカー 右 下
ATK1200/LINK2
「ツイントライアングルドラゴンの効果! LPを500支払い、墓地のレベル5以上のモンスターをこのカードのリンク先に復活させる! 私は墓地のクラッキングドラゴンを選択! この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない」
彩 LP2000→1500
クラッキング・ドラゴン レベル8 攻撃表示
ATK3000/DEF0
「さて、準備は整った、現れよ、我が道を照らす未来回路!召喚条件は効果モンスター2体以上。私はツイントライアングルドラゴンとクラッキングドラゴンをリンクマーカーにセット! リンク召喚! 現れろ、リンク3、トポロジックトゥリスバエナ!」
再びのリンク召喚により現れたのは、サイバースモンスター。
2人から少し離れたブルームガールが深刻な顔をするのを遊介は見る。
それを見て遊介はいろいろと悟った。ブルームガールが彩と戦ったこと。そしてこのモンスターがそのデュエルで現れ、猛威を振るったこと。
トポロジック・トゥリスバエナ
リンクマーカー 上、左下 右下
ATK2500/LINK3
しかし、攻撃力は未だシューティングコード・トーカーが上回っている。
しかし、トゥリスバエナの効果は遊介も知っている。遊介が先ほど発動していなかったカードを発動させるのは、まさにこのような厄介な効果を持つカードの動きを止めるためだ。
「罠カード『バックアップ・アナリシス』発動。墓地に『バックアップ』と名のつくサイバースモンスターが存在するときに発動できる。相手モンスターの効果を無効化する。対象にしたモンスターがリンクモンスターだった場合、墓地に存在する『バックアップ』サイバース族モンスター1体を手札に戻す」
「……そんなカードあったかしら?」
「これもマイケルが手に入れて俺にくれたカードだ。あいつ、どこでそんなカードを見つけてきてるのか、それだけは教えてくれないんだけどな。今はそれよりもデュエルを続ける。俺はトゥリスバエナの効果を無効にし、墓地のバックアップセクレタリーを手札に戻す!」
これでトゥリスバエナの効果は使えなくなる。このカードの持つ、魔法・罠カードの除外と言う役割は果たせない。
「そうか、それじゃあ……」
彩は、
「仕方ないね。ここでやろう」
思いっきり笑顔になると、まるで今の妨害をものともしないように新たにカードを動かし始める。
「永続魔法『装填準備』を発動。発動時、私はLPを500支払って、墓地の闇属性ドラゴン族モンスターの数まで、デッキからカードをめくり、その中の『ヴァレット』と名のつくモンスター1体を選択し手札に加え、私は墓地には、スニッフィングドラゴン、ゲートウェイドラゴン、ツイントライアングルドラゴン、クラッキングドラゴン。デッキからカードを4枚めくる」
彩 LP1500→1000
表示された4枚のカードの中から1枚、
「私はマグナヴァレットドラゴンを手札に加える。残りのカードはデッキに戻し、シャッフルする」
カードを手札に加えた。
「さて、これで条件は整った。私のLPは1000を下回っている」
「何を言っている、1000を下回ってたらなんだって言うんだ?」
「ふふふ、遊介、鈍いなー。アレしかないでしょ」
何かを楽しみにワクワクしているような様子。
彩は遊介を置いて上空へと上昇する。
「何を……」
次の瞬間、彩に目掛けて横向きの竜巻が現れる。
遊介が知らないはずはない。あれは、ストームアクセスを使うときに現れる新しい力を内包したデータの集合体。
「まさか……」
しかし、別におかしな話はない。
スキルは一人一人固有のものがあるが、同じものを他人が持たないわけではない。たまたま遊介と同じスキルを彩が持っていても、あり得ない話ではないのだ。
「聞こえる……」
彩は風に突撃する。
「荒ぶる魂が、力の振るう場所を求める声が……私に捉えられるのを、待っているのが」
手を開き、そのスキルの名を宣言した。
「ストームアクセス!」
膨大な情報が1枚の形となって、その手に収められた。
「良き力だ!」
遊介の前に再び凱旋した彩は、
「私は2体目のスニッフィングドラゴンを通常召喚!」
効果は1ターンに1度しか発動できないのにも関わらず、2体目のスニッフィングドラゴンを召喚した。
そしてフィールドにはトゥリスバエナとモンスター1体。
リンク4が呼べる状況。
「さっき手札に加えたのは……!」
「ええ。想像通りよ。現れろ、我が道を照らす未来回路!」
上空に再びサーキットが現れる。
「召喚条件は効果モンスター2体以上! 私はリンク3のトポロジックトゥリスバエナとスニッフィングドラゴンをリンクマーカーにセット!」
リンク4。それは最強格のリンクモンスターの証。
「リンク召喚! 永久の創世と共に、無限に再生する無の終焉! 出現せよ! トポロジックゼロヴォロス!」
現れたのは竜でもなければ、何かの悪魔でもない異質な見た目のモンスター。しかし、伝わってくる覇気は、それが只者ではないことをしっかりと示している。
「あれは……なんだ……?」
遊介はそれを見て言葉を失った。
トポロジックは知っていたが、遊介の知るトポロジックは3枚、トゥリスバエナ、ボマードラゴン、ガンブラードラゴン。
あんなトポロジックは見たことない。
トポロジック・ゼロヴォロス
リンクマーカー 左上 右上 左下 右下
ATK3000/LINK4
「私だって、あなたの知らないカードの1枚や2枚使うわ。この世界で手に入れたこの世界独自のカード。すごく頼もしい戦力よ」
この世界では自分のオリジナルスキルだと思っていたそのストームアクセスを先に決められ、呼び出されたリンクモンスター。遊介は分かる。今まで起死回生で乗り越えてきた空こそ分かる。
このターン、間違いなく自分が追い詰められることが・
「そんな怯えた顔をしないで遊介。どうなるかはすぐにわかるわ。私は永続魔法『装填準備』の効果を発動する。手札のヴァレットモンスターを特殊召喚。効果で手札に加えた、マグナヴァレットを特殊召喚する」
マグナヴァレット・ドラゴン レベル4 攻撃表示
ATK1800/DEF1200
問題はトポロジックのリンク先に特殊召喚されたこと。
(トポロジックの共通効果は、リンク先にモンスターが特殊召喚された場合、強力な効果を発動すること……!)
「この瞬間、トポロジックゼロヴォロスの効果を発動! このカードのリンク先にモンスターが特殊召喚されたとき、フィールド上のカードをすべて除外する!」
「な!」
思わず遊介は声を上げてしまう。
「すべて……?」
「ええ。すべて、遊介の使うシューティングコードトーカーもさようなら。私のモンスターも、カードもさようなら。これでフィールドは綺麗になるわ。さあ、ゼロヴォロス始めなさい! アシュラーエニグマ!」
空中、遊介と彩が走るその下に不吉な模様が描かれる。
そして次の瞬間、灼熱を帯びた光に場は包まれた。
ダメージが通るわけではない。
しかし、微かな刺激も今の遊介には毒だ。
「ぐ……体が……!」
特に灼熱と言えば、先に戦ったイリアステルの太陽を嫌でも思い出させられる。体が、あの時に受けた痛みを覚えている。
遊介が次に彩を直視できた瞬間、その目には彩しか映らなかった。先ほどまで堂々と顕現していたはずのモンスターは存在しない。
「クソ……!」
彩は、この時を待ち望んでいたかのように、まだカードの宣言を続ける。
「『装填準備』の効果! 自分のカードの効果によってフィールドを離れた時、カードを1枚ドローする!」
「アフターケアまでしっかりしてるな……!」
「さて、これでフィールドはがら空き。後は追撃もし放題。私は速攻魔法『クイック・リボルブ』を発動。デッキから『ヴァレット』1体を特殊召喚できる。ただし、この効果で特殊召喚したモンスターは戦闘が行えず、エンドフェイズ破壊される。私はヴァレットトレーサーを特殊召喚!」
ヴァレット・トレーサー レベル4 攻撃表示
ATK1600/DEF1000
「現れろ、我が道を照らす未来回路! 召喚条件はレベル4以下のドラゴン族モンスター1体! 私は今呼び出したトレーサーをリンクマーカーにセット! リンク召喚! 出でよ、ストライカードラゴン!」
ストライカー・ドラゴン
リンクマーカー 左
ATK1000/LINK1
あれほどの召喚を終えてなお、彩の動きは止まらない。
敵ながら遊介はそのデッキのポテンシャルに凄みを感じる。考え抜かれた動き、相手を徹底的に追い詰める容赦のない戦い方。
すべて勝利のために磨かれた相手のタクティクスだ。
彩は今呼び出したリンクモンスターの効果を宣言する。
「ストライカードラゴンがリンク召喚に成功した場合、デッキから『リボルブート・セクター』を手札に加える!」
デッキから、『ヴァレット』の戦術の基本となるフィールド魔法をサーチしたうえで、
「バトル、ストライカードラゴンで、相手プレイヤーにダイレクトアタック!」
さらに追撃も行ってくるところ、容赦はないと言えるだろう。
モンスターのいない遊介はその攻撃をそのまま受けるしかない。
遊介 LP2100→1100
「ぐ……!」
体がよろめく。
天城ハルトと戦った時に受けたのような、想像を絶する痛みは今のところないが、体に累積しているダメージで、体が悲鳴を上げ始める。
(まだ駄目だ。弱音を吐くな! 俺の体!)
遊介は己を鼓舞する。
一方の彩は、バトルが終わり、
「私はストライカードラゴンの効果。このカードと、墓地のヴァレットモンスター1体を選択して発動する。ストライカードラゴンを破壊して、そのモンスターを手札に戻す。私はヴァレットトレーサーを選択」
呼び出されたばかりにも拘わらず、消えていったストライカードラゴン。そして彩の手札には『クイック・リボルブ』で呼び出されたモンスターが手札に戻った。
「私はカードを1枚伏せて、ターンエンド」
彩 LP1000 手札3
モンスター
魔法罠 伏せ1
(彩)
□ □ ■ □ □ 魔法罠ゾーン
□ □ □ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ EXモンスターゾーン
□ □ ③ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ ■ □ □ 魔法罠ゾーン
(遊介)
最終的にはたった1枚の伏せカードとなったが、彩のこのターンに行った行為は、並みのデュエリストの1ターンを遥かに超えているもの。
遊介は、この1ターンで、目の前の敵の強大さをますます感じることとなった。
「さあ、遊介、君のターンだよ?」
笑みを浮かべ次のターンを促す彩。まだまだ余裕のありそうな様子を見て、遊介は過去のデュエル部での経験を思い出す。
(あいつにとっては……ここまでが準備運動ってところか……)
いつも、本気になったときは目を見開き、迫力のある顔になる。余裕のあるうちは、まだ本気ではないことの証明だ。
「まずは奴のデッキの底が見えるところまで戦わないとな」
ターン5
「俺のターン、ドロー!」
カードをドローし、スタンバイフェイズへと突入する。
この瞬間、カードの効果を宣言したのは、彩だった。
「トポロジックゼロヴォロスの効果! 自身の効果で除外されたこのモンスターは、次のターンのスタンバイフェイズに特殊召喚する! そして、このカードの攻撃力は、除外されているカード1枚につき200攻撃力がアップする」
「戻ってくる……」
「そう、私がタダでダイレクトアタックを許すわけないでしょう?」
次元を斬り裂いて再びその姿は顕現する。
トポロジック・ゼロヴォロス
リンクマーカー 左上 右上 左下 右下
ATK3000/LINK4
除外されているカードは、4枚、攻撃力は800上昇する。
トポロジック・ゼロヴォロス ATK3000→3800
「ここにきて、この攻撃力かよ」
「サレンダーする?」
「まさか。俺はお前を倒すと決めた。こんなところで降参なんかしない」
「なら頑張って遊介。この程度じゃ、光の世界のエリアマスターとして、情けないだけだよ?」
「言ってろ。すぐにお前の顔を歪めてやる……!」
中編2へ続く……