遊戯王VRAINS もう1人の『LINK VRAINSの英雄』 作:femania
もともと考えてた話の構成では、前編、デュエルの中編、その後の後編になる予定でしたが、デュエルの内容を変更したことで大幅文量アップ。
よって、もともと中編の内容だったところを中編1、2とし、元々後編で書こうとしていたところを、後編の1、2にしています。
中編2です。
この編でのオリカは以下のように。
『アンダーフロー・エクスチェンジャー』
レベル2 サイバース族 ATK100/DEF100
①自分がダメージを受ける場合、そのダメージによって自身のライフポイントが0になるとき発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、自分のLPを100にする。この効果を発動したターン、このカードのコントローラーが受けるダメージはすべて0になる。②このカードが自らの効果で特殊召喚されたとき、自分の手札が2枚になるなるようにカードをドローする。③このカードは特殊召喚されたターン戦闘では破壊されない。
(追記)
投稿時と内容を一部変更しました。デュエルの内容に変更はありません。
『マーカーズ・ギフト』通常魔法
①2つのエクストラモンスターゾーンにリンク4のモンスターが存在するとき、1枚以上が自分のコントロールするモンスターの場合、デッキからカードを2枚ドローする。
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「あ……」
制圧された神殿内は自由にある歩き回ってよいという話を受け、エリーはまず同郷の年下たちに会いに行った。
彼らは不安な面持ちで遊介と彩のデュエルを見ていた。
エリーはきっと大丈夫と彼らを励まし、次にマイケルを捜しに行く。
「おお、エリーか」
「マイケルさん……マスターは大丈夫でしょうか?」
「お前、人質なのにそれか。好きだな、あいつのことが」
マイケルもあまり良い顔をしていない。
ランサーズの面々は別の部屋にいるのか、この場にいるのはマイケルだけだった。
「あいつ……」
「マスターの」
「いや、見ろよ、画面の端っこにたまに映るぐらいだが……」
ブルームガールの曇った顔を指していた。
「裏切ったなんてことはねえ。あくまで俺達の命を守るための措置だった。仕方なかった。でもあいつはきっと、そう思ってはいないんだろうな。遊介を罠にはめた、という事実に引っ張られてるみたいだな」
「……それは」
「万が一遊介が負けてみろ。きっとあいつはこう思う。とんだお人よしだからな。『遊介がああなったのは自分のせいだ。とんだ裏切り者だ』ってな」
「そんなこと……!」
「やばいぜ、デュエルを見る限り、遊介が劣勢だ。どう見てもあのリボルバーさんは、まだ余力を残してる。あの顔は、自分にはまだあれ以外のエースがいるから大丈夫だって目だ」
「そんな、あれほどのモンスターを従えていて、まだ勝負を決める気はないと?」
「ああ。でも、勝ってくれと願うばかりだ。きっとあいつが今負けたら、俺たちはヤバくなる。そんな予感がする。遊介を含めてな」
エリーは首を振った。
「そんなことは起こりません」
「ん?」
「だって私たちは知ってます。マスターは、強い人だって。周りに流されないで、だれしもが最善だと思える道を考えて、それをリスクを恐れず実行に移せる。そんな行動力があるあの人だから、私たちは信じられる。だから、私たちが信じれば、マスターは勝ちます。天城ハルトに勝ったあの時のように」
「……そうだな。エリー、俺達が信じないとな。あいつを」
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遊介 手札3 LP1100
モンスター
魔法罠
目の前には攻撃力3800のモンスター。
対して自分のフィールドには何も存在していない。
手札は残り僅かで目の前の敵を潰す方法を考えなければならない。
遊介は今あるもので何ができるかを考える。
遊介が攻撃力3800のモンスターを突破する方法は限られている。
戦闘で倒すのならば間違いなくパワーコードトーカーを出すのが手っ取り早い。
しかし、恐ろしいのは相手が伏せているカード。もしもあれが戦闘を防ぐ類のものであれば、次のターン、パワーコードトーカーは破壊され勝ち目はなくなるだろう。
(なら、多少手間がかかっても、効果で除去を行うべきだ)
トポロジックゼロヴォロスは今、リンクマーカーがどこのモンスターゾーンにも向いていない状態でそこに存在する。メインモンスターゾーンの真ん中であれば効果の暴発も狙えたのだが、それを許すほどの甘えを彩が許すはずもない。
「俺はサイバースガジェットを通常召喚!」
新たなサイバースを呼び出す。行く先は既に見定まっている。
サイバースガジェット レベル4 攻撃表示
ATK1400/DEF300
「サイバースガジェットの召喚に成功したとき、墓地のレベル2以下のモンスター1体を特殊召喚できる。俺は墓地に存在する、レイテンシを特殊召喚」
レイテンシ レベル1 守備表示
ATK0/DEF0
「さらに、フィールドにサイバース族モンスターがいる場合、手札のバックアップセクレタリーを特殊召喚できる」
バックアップ・セクレタリー レベル3 攻撃表示
ATK1200/DEF800
「現れろ、未来を導くサーキット! 召喚条件は、効果モンスター2体」
バックアップ・セクレタリーとサイバース・ガジェットが現れたサーキットへと吸い込まれ、2つの光を灯した。
「リンク召喚、現れろ、リンク2、アンダークロックテイカー!」
アンダークロックテイカー
リンクマーカー 左 下
ATK1000/LINK2
「ここで、リンク素材となったサイバースガジェットの効果を発動する。フィールドにガジェットトークンを特殊召喚!」
ガジェット・トークン レベル2 守備表示
ATK0/DEF0
特殊召喚する先は、リンク先にならないように気を付ける。
そして条件はそろった。逆転の一手を遊介は打ち始めた。
「俺は墓地の『バックアップ・アナリシス』の効果を発動する! 自分のターン。墓地のこのカードを除外し、LPを半分支払うことで、最初の効果を発動できる。この効果は、このカードが墓地に送られたターンには発動できない。俺の墓地にはバックアップセクレタリーがいるため発動可能。相手のモンスター効果を無効にし、墓地のバックアップセクレタリーを手札に戻す」
遊介 LP1100→550
「好きね、そのモンスター」
彩の余計な一言にわざわざ遊介は反応を返さない。
「これで、ゼロヴォロスの効果は発動されず、その攻撃力も元に戻る」
トポロジック・ゼロヴォロスATK3800→3000
「現れろ、未来を導くサーキット! 召喚条件はモンスター2体以上。俺は、リンク2、フィールドのアンダークロックテイカーに、レイテンシ、ガジェットトークンの3体をリンクマーカーにセット!」
3体のモンスターは上空へと向かい、呼び出される竜の礎となる。
遊介が絶対的信頼をおくその竜は、幾度となく遊介の危機を救い、ハルトとの戦いから、闇の世界での激闘、その後の強敵との戦いにおいて、何度も遊介に光明を見せてきたエースモンスター。
「リンク召喚! 電脳世界の守護を司る竜。迫る敵を排斥するため、その姿を現せ! ファイアウォール・ドラゴン!」
ファイアウォール・ドラゴン
リンクマーカー 上 下 左 右
ATK2500/LINK4
その竜が現れたとき、彩の目が輝いた。
「来たわね……、こうして相対すると、やっぱり、凄いわ……!」
これに関しては遊介は言われて悪い気はしない。この竜は今や、多くの苦難を共にした相棒であり、自分の絶対的エースモンスターだ。
しかし、笑みは見せない。今は、真剣な戦いだ。そして相手は、倒すべき敵。油断につながる行為を、遊介は意識的に慎んだ。
「墓地のスペースインシュレイターの効果を発動する! このカードが墓地の存在し、フィールドにサイバースリンクモンスターが特殊召喚されたとき、このカードを墓地から、そのモンスターのリンク先になるように特殊召喚!」
スペース・インシュレイター
リンクマーカー 上 下
ATK1200/LINK2
「スペースインシュレイターのリンク先のモンスターの攻撃力は800ダウンする」
ファイアウォール・ドラゴン ATK2500→1700
「あら、攻撃力、下げちゃっていいのー?」
「今に判る。ファイアウォールドラゴンの効果! このカードが相互リンク状態のとき、フィールド、もしくは墓地のモンスターを、このカードとの相互リンクの数まで手札に戻す! 俺はお前の場の、トポロジックゼロヴォロスを手札に戻す! エマージェンシーエスケープ!」
ファイアーウォール・ドラゴンから激しい電撃が放たれる。
凄まじい力を見せていたゼロヴォロスもこれには耐る術はなく、その姿を消した。
「やるね。ゼロヴォロスでごり押しは無理か……」
「お前のフィールドはこれで空いた。バトルだ!」
遊介は彩を指さし、宣言する。
「ファイアウォールドラゴンでダイレクトアタック! テンペストアタック!」
体が赤く光り、翼が円形の炎の壁へと変貌する。そして顎の先に集束し始めたエネルギーが閾値を超え、暴風すらも破滅させる赤い閃光が放たれる。
彩はその攻撃を前に、
「でも遊介、タダで通すと思ってるの?」
と余裕の表情で応えた。
「私は手札のチェックサムドラゴンの効果を発動。相手モンスターの攻撃宣言時、このカードを手札から特殊召喚する!」
彩が盾として呼んだモンスターは、これもまた闇属性のドラゴン。
チェックサム・ドラゴン レベル6 守備表示
ATK800/DEF2400
攻撃力が下がったファイアウォールドラゴンの攻撃を、盾として真っ向から受け、彩に被害が及ばぬよう盾となった。
ファイアウォールドラゴンは再び攻撃をしようとするが、守備力が高く突破できない。
「どうする遊介? このまま攻撃する?」
「するわけないだろ、さすがにそう易々と決着はつかないか」
「当然でしょ。そして、チェックサムドラゴンの効果で、私はLPを守備力の半分、1200だけ回復する」
彩 LP1000→2200
彩は始皇帝の陵墓で思いLPコストを払ったうえでの戦いにも関わらず、いつの間にか、LPは逆転された。
LPの上下は焦る要因ではない。それは最近の戦いの中で、身に染みて分かっている。
しかし、それでも、遊介には一抹の不安がよぎる。ここで仕留められなかったことが、後で自分をより追い込むのではないかと。
ダメだ、と遊介は自分に言い聞かせながら、深呼吸する。
(負けるとはまだ決まっていない。弱気になるな。ファイアウォールは呼べた。戦況は厳しくても、俺は戦えている。勝ちの目はまだあるはずだ)
自分を守るように背中を見せるエースモンスターを見て、
「俺はこれでターンエンドだ」
次に来る彩の戦術を迎え撃つ覚悟を決める。
「さすがだな、俺は今ので決めるつもりだった」
「本気で殺しに来てるのがビンビン伝わったよ。なんか嬉しかった」
「嬉しいか。そうだな……俺は、悲しい」
「なんで?」
「このデュエル、本当の、正々堂々の試合でやりたかった」
彩は遊介の言葉を聞き、しばらく黙る。
「俺は……! 光の世界を賭けてとか、エデンの理想を叶えるためとか、こんな」
「でも、私は、こうすることを選んだ。ごめんね遊介」
もう道は交わらない。
この戦いで、光の世界の、遊介の仲間が愛し、遊介が仲間のために守ろうと決めた街の未来が決まる。
エデンの侵略戦争の拠点とされるか、これまで通り、デュエルの世界に馴染めない弱者の縋れる光になり続けるか。
他を踏みにじる道と、理想を探し続ける道。
このデュエルは、どちらかの道が途切れるデュエルになる。
彩は、そう言った。
遊介 LP550 手札1
モンスター ④ ファイアウォール・ドラゴン ⑤ スペース・インシュレイター
魔法罠
(彩)
□ □ ■ □ □ 魔法罠ゾーン
□ □ ⑥ □ □ メインモンスターゾーン
□ ④ EXモンスターゾーン
□ □ □ ⑤ □ メインモンスターゾーン
□ □ □ □ □ 魔法罠ゾーン
(遊介)
ターン6
「私のターン、ドロー!」
デッキからカードを引く彩の顔は自信に満ち溢れている。
それは明らかに嵐が来ることを予言するものだった。
彩 LP2200 手札3
モンスター ⑥ チェックサム・ドラゴン
魔法罠 伏せ1
「でも遊介、貴方もいいセンスだと思うよ? 並みのデュエリストじゃ、トポロジックで全員倒せちゃうからね。つまらない」
「……そうか」
「でも遊介ならこれくらいは倒すんじゃないかって楽しみにしていたの。そしてそれが実現した。期待通り、このデュエル、熱くなってきたね」
彩の目が変わったのが遊介に判る。
本気の目、獲物をこれから撃ちぬく。その殺気が籠っている。
「さて、ここからは本気だよ……?」
彩が最初に発動したのは伏せていたカード。
「トラップカード、『闇次元の解放』を発動。除外されている闇属性モンスターを特殊召喚する。私は、除外されていたマグナヴァレットを特殊召喚!」
彩は自らの効果のトリガーとしたモンスターを呼び戻す手段まで用意していた。
マグナヴァレット・ドラゴン レベル4 攻撃表示
ATK1800/DEF1200
実際相手ターンに使える状態だったので、チェックサムドラゴン含め2回分の攻撃には対処できた計算になる。このカードは盾としても使えるように設置されていた。
それに気が付いた遊介は、本当に無駄のない動きをする彩に感心を禁じ得ない。
「さらに私は速攻魔法『スクイブ・ドロー』を発動する。フィールド上のヴァレットモンスター1体を破壊。デッキからカードを2枚ドローする。私は、マグナヴァレットを破壊し、2枚ドロー!」
デッキから新たなカードを招きいれ、そして、手札にあることをほのめかしていたフィールド魔法をここで使用した。
「フィールド魔法、『リボルブート・セクター』を発動。その効果で、私は2体の『ヴァレット』モンスターを手札から守備表示で特殊召喚する。来い、ヴァレットトレーサー、メタルヴァレット」
彩は手札の弾丸を2発、フィールドに出現させる。
ヴァレット・トレーサー レベル4 守備表示
ATK1600/DEF1000
メタルヴァレット・ドラゴン レベル4 守備表示
ATK1700/DEF1400
「『リボルブート・セクター』が場に存在する限り、私のフィールドのヴァレット達の攻撃力、守備力は300アップする」
ヴァレット・トレーサー DEF1000→1300
メタルヴァレット・ドラゴン DEF1400→1700
「そして、私は2枚目の『装填準備』を発動する」
「2枚目?」
「遊介? こんな便利なカード、1枚だけ入れるわけないよね? 便利カードは積めるだけ積むでしょ? 効果の説明は省略、私は墓地の闇属性ドラゴン族モンスターの数だけデッキの上からカードをめくる」
彩 LP2200→1700
彩が使っているのはヴァレットデッキだ。5枚以上デッキのカードを上からめくれば、その中にヴァレットが存在する可能性は高い。
「あら偶然。私はマグナヴァレットドラゴンを手札に加える。そして『装填準備』の2個目の効果で、マグナヴァレットを特殊召喚」
マグナヴァレット・ドラゴン レベル4 攻撃表示
ATK1800/DEF1200
「そして、ヴァレットトレーサーの効果を発動する。表側表示のカードを1枚破壊し、デッキからヴァレットトレーサー以外のヴァレットを特殊召喚する。このターン私は闇属性モンスターしかエクストラデッキからの召喚ができなくなるけどね。私は『装填準備』を破壊し、デッキから、オートヴァレットドラゴンを特殊召喚」
オートヴァレット・ドラゴン レベル4 攻撃表示
ATK1600/DEF1000
「『装填準備』の効果。自分のカード効果によって破壊された場合、カードを1枚ドロー」
恐るべきことに、彩のフィールドはモンスターで埋め尽くされた。
これならば、呼び出せる。高リンクモンスターを。
(……来るのか……!)
遊介には1つの予感がある。
相手はヴァレット使い。そして彩の余裕めいた表情。多くのモンスターをそろえた事実。
それは、たった1体、しかし、とんでもなく強力なエースをまだ持っているということ。
そして、この布陣であれば、エースはアレしかいないこと。
彩の目が変わったのも、恐らく、そのモンスターが存在することによるだろうからだと言うこと。
「現れろ……我が道を照らす、未来回路!」
彩の後方にリンクサーキットがオープンする。
「召喚条件は効果モンスター3体以上。私はチェックサムドラゴン、メタルヴァレットドラゴン、ヴァレットトレーサー、オートヴァレットドラゴンの4体をリンクマーカーにセット!」
遊介の額に冷や汗が流れるのは、デュエル中これが初めてだった。
先ほど出たトポロジックも強力だったが、その時ですら遊介は動じなかった。しかし、次に来るモンスターは、歴代でも名を残すに違いないほど圧倒的強者だ。
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「あいつ、まだ余力を残してたのか……!」
マイケルは目を見開く。
「大丈夫です。マスターならきっと……!」
エリーは祈る。
そしてそんな2人の近くに、このデュエルを見守ろうとする新たな客が現れた。
「それは、どうかしら」
「お前、たしか、マスミ、とかいう」
「ええ。あなたたちに巻き込まれて見事に人質よ。どうしてくれるのかしら」
「それは、申し訳ない」
「まあ、いいわ。あなたを怒っても仕方のないことだし。それより、彼、本当に大丈夫かしらね」
「……大丈夫だろ」
マイケルはそう言ったが、光津真澄は、画面の中の遊介を見て、
「どうかしら、彼の目、少しずつ光を失っているように、私には見えるわ」
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「閉ざされし世界を貫く我が新風! リンク召喚! リンク4、ヴァレルロード・ドラゴン!」
現れたのはリボルバーの名にふさわしい、銃を想起させる体をもつ竜。
ファイアウォールドラゴンと同じく、場に存在するだけで圧倒的プレッシャーを与える存在だ。
ヴァレルロード・ドラゴン
リンクマーカー 左 右 左下 右下
ATK3000/LINK4
遊介の悪い予感は的中した。
そう、ヴァレットデッキの真のエースモンスターはトポロジックではない。あのヴァレルロードドラゴンを筆頭とする、ヴァレルシリーズのリンク4のドラゴン。
「どうしたの、怖い顔よ? 遊介」
彩はニヤリと笑みを一瞬だけ見せて、
「マジックカード『マーカーズ・ギフト』を発動。自分と相手のエクストラモンスターゾーンにリンク4のモンスターが存在するとき、デッキからカードを2枚ドロー」
呼び出したモンスターの力を解放する。
「バトル、ヴァレルロードドラゴンで、ファイアウォールドラゴンを攻撃!」
この攻撃が通れば、遊介は終わる。
しかし、彩はあえてそうはしなかった。
「ヴァレルロードドラゴンの効果。相手モンスターと戦闘を行うダメージステップ、相手モンスターのコントロールを奪う! ストレンジトリガー!」
ヴァレルロードドラゴンから、青い弾丸が放たれた。
その弾はファイアウォールドラゴンに直撃し、それを受けたファイアウォールドラゴンは呻き、そして意味もなく体を赤くし、そして相手フィールド上へと転移する。
遊介にはそれを防ぐ手立てはない。自分が信頼を置いているエースモンスターが奪われる様を、ただ見ている事しかできなかった。
「ふふふ……奪っちゃった」
この状況はわざと行ったことなのだろう。
デュエルの前、彩は遊介のすべてを奪ってやると宣言した。
この光景はその宣言を実行に移した結果ということ。
「彩……!」
ファイアウォール・ドラゴンはスペース・インシュレイターのリンク先を離れ、攻撃力は元に戻っている。
ファイアウォール・ドラゴン ATK1700→2500
「こんなふうにね、遊介から希望を奪っていくわ。もう、私と戦えるだけの力をなくすまで。遊介の最後の表舞台にふさわしい、残念な結末でフィニッシュにしてあげる! あなたのエース、ファイアウォールドラゴンで」
残酷な宣言がされた。
「スペースインシュレイターを攻撃!」
デュエルは情では動かない。ファイアウォールドラゴンは望まずとも、彩の命令を受けて攻撃を準備する。
遊介は、いつも自分側から放たれているその攻撃を正面にする。
何の言葉も出なかった。
「遊介!」
悲鳴が聞こえる。
それも当然だ。この攻撃をまともに受けたら終わりなのだから。
よりにもよって、ファイアウォールドラゴンに終わらせられるとは、誰が考えただろうか。
「テンペストアタック!」
放たれた攻撃、遊介は、その攻撃に対して。
「……」
何もしなかった。
否、遊介にこの攻撃を止める手段は既になかった。
(勝)ファイアウォール・ドラゴン ATK2500 VS スペース・インシュレイター ATK1200(負)
そして遊介には、その差の分。1300のダメージが襲い掛かり、遊介は負ける。
「終わってみれば、あっけない幕引きね」
「……」
「何か言ったら、負け犬さん。ああ、もしかして痛くて何も言えないのかな?」
「負け犬?」
「ん?」
「誰が、負けたって?」
「え?」
彩がどや顔で勝者としての振る舞いを見せているところに、飛び込んでくるのは、苦しそうにもしながらも、まだ耐えている遊介の姿。
「うっそ、どうやって……」
「俺は手札のアンダーフロー・エクスチェンジャーの効果を発動する。俺のLPが0になるダメージを負うときに発動できる。自分のLPを100にして、このカードを特殊召喚。俺がこのターン受けるダメージは0になる」
遊介 LP550→100
アンダーフロー・エクスチェンジャー レベル1 守備表示
ATK100/DEF100
「その後、自分の手札が2枚になるように、カードをドローする!」
遊介はデッキからカードを引く。
このカードは希望だ。次のターン、あのヴァレルロード・ドラゴンを倒し、彩を倒すに至るための。
「へえ……まだあきらめてないんだ」
「当たり前だ」
少し遊介はふらついたが、しかし、彩を睨み返す。
遊介は、少し遠くでデュエルを見守っているブルームガールを見て、そしてまた光の神殿を見て、彩に言った。
「俺がここで勝たないと、きっと俺の仲間のみんなが嫌な思いをする。そんなの、彼らと一緒に戦う仲間として、リーダーとしてあるまじきことだ。俺に希望がかかっているのなら、その声に応えないといけない」
赤馬零児は、仲間の見守る中、あのイリアステルと互角以上の戦いをして見せた。すべては仲間を守るために。
ならば遊介もまた、どんな状況でも負けてはいけない。
「俺はチーム『players』のリーダー、遊介だ。俺は、彼らの願いを、光の世界を守るために負けるわけにはいかない!」
「その意気、さすが遊介ね。なら来なさいよ。私は全力をもってあなたを全力圧倒的に超えて、潰す」
「やってみろ」
「まずは、そこからどうやって這い上がるか、お手並み拝見ね。私はカードを1枚伏せて、ターンエンド。エンドフェイズ、スクイブドローで破壊された方のマグナヴァレットの効果、自身とは別のヴァレットをデッキから呼び出す。現れよ、オートヴァレットドラゴン」
オートヴァレット・ドラゴン レベル4 攻撃表示
ATK1600/DEF1000
「さ、これで私のターンは終わり。迎撃の布陣は整った」
彩 LP1700 手札1
モンスター ⑦ ヴァレルロード・ドラゴン ⑧ マグナヴァレット・ドラゴン
⑨ オートヴァレット・ドラゴン ④ ファイアウォール・ドラゴン
魔法罠 伏せ1
(彩)
□ □ ■ □ □ 魔法罠ゾーン
⑧ ⑨ ④ □ □ メインモンスターゾーン
⑦ □ EXモンスターゾーン
□ □ ⑩ □ □ メインモンスターゾーン
□ □ □ □ □ 魔法罠ゾーン
(遊介)
遊介の前に3体の敵。
そしてその奥には、堂々と迎撃の体勢をとる彩の姿。
遊介は深呼吸し、自身に訴える。
(さあ、このターンが勝負だ!)
遊介は次のターンであの布陣を突破するべく、手に力を込めた。
風が吹く。
その中に動く希望をつかみ取る。
それが遊介が勝つ唯一の方法だった。
次回より後編です。
26話、どれだけ多いんだ?
と作者も思ってます。
これなら2話分は想定して話をつくるんだったと後悔しています。
26話は、デュエルパートの変更部分を完成次第投稿していきますので、1日ごとに様子を見に来ていただけると幸いです。