遊戯王VRAINS もう1人の『LINK VRAINSの英雄』   作:femania

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注意事項(必ず以下を了承したうえでお読みください)

・小説初心者で、連載小説初挑戦です。至らない部分はご容赦ください。
・話によって、一人称だったり、三人称だったりと変わります。
・クロスオーバー作品なので、遊戯王アニメシリーズのキャラが登場することもありますが、設定が違うので元と性格や行動が違うことがあります。
・過去にアニメシリーズで使われていたデッキを本人ではなくこの作品のオリジナルキャラが使うことがあります。また、使用されるデッキはエースモンスターはそのままにデッキをアレンジしたものになっていることがあります。
・この作品はシリーズのキャラに優劣をつけるものではありません。勝敗についてはストーリーの構成上、容認していただけると幸いです。
・この話はフィクションです。
・人物描写はスキップしています。言動を参考に想像しながらお楽しみください。
・オリジナルのカードも使ってます。
・作品はほぼオリジナル展開です。

これでOKという人はお楽しみください!


シンクロ世界編 プロローグ

プロローグ

 

 

この世界は勝者と敗者がはっきりと分かれている。

 

勝者はネオドミノセントラルシティと呼ばれる富裕層の地区で充実した生活を送ることを許され、支配者階級となる。

 

敗者はサテライトタウンと言う場所で、貧しい生活をおくりながら、富裕層の生活を支えるために下で働き続けるしかない。さらに破産した一家はシティに特別労働者として送還され、支配者階級に奉仕をし続けるほかになくなるだろう。

 

ただ1つの例外を除いて。

 

かつてこの世界では、サテライトタウンの生まれでありながら、シティに否応なくその存在を刻み、世界を救った英雄がいた。

 

星屑の竜をエースモンスターとして使役するその男は、仲間と共に己の信念とデュエルの腕でその世界を変えたのだ。

 

既に何百年も前の話になるが、その英雄を忘れなかった人々は、その伝説と共にこのネオドミノセントラルシティに1つの掟を残した。

 

それは、可能性を否定しないこと。

 

たとえサテライト出身でも、十分な成績を残せばシティの人間となる。しかしその逆で、役に立たないクズをサテライトに流すという制度も付けた。

 

十分な成果と聞き、真っ先に思い浮かぶのがデュエルだ。この世界ではデュエルの技術がさらに進化し、現実となるソリッドヴィジョンの開発に成功。ライディングデュエルに必要なDホイールも進化を遂げ、ますますデュエルが盛んに行われるようになっている。

 

デュエルは人々を楽しませる最高のエンターテイメント。そして人々を楽しませるデュエルを見せるプレイヤーはどんな立場であっても尊敬される存在となることができる。

 

故にサテライトタウンに住む子どもたちは将来をデュエルに賭ける者も多い。

 

自らのデュエルの腕でこの世界への挑戦者となり、必ず成り上がると誓うのだ。

 

勝者となる。ただそれだけを夢見て、己のデュエルの腕を鍛えるのだ。

 

 

 

泣いている彩。それを見る幼馴染2人。慰めに意味はない。これから彼女が歩んでいく地獄を彼らは想像することすら許されない。

 

今日、サテライトタウンの地である発表があった。

 

彩がシティに特別労働者としてタウンを出ることになった。

 

「う……うう」

 

いつか3人でプロになってシティで名を売るという未来はこれで潰えた。明日、彩はどこか知らない場所へと働きに出なければならなくなった。家の多大な借金を返済するために。

 

それを止める術は、今の親友2人に存在しなかった。

 

「私、別に売られることが悔しいわけじゃない」

 

彩はその日、2人に自身の胸の内を明らかにする。

 

「私、夢だった。本当に、本当に、3人で一緒に、デュエルでシティに挑みたかった」

 

しかしそれはもう叶わない夢。

 

「昔約束してたのに。ずっと楽しみだったのに……」

 

それに対し、遊介は言う。

 

「安心しろ。まだあきらめちゃいけない」

 

「でも、一度特別労働者として就職したら、もう自由な時間は許されない」

 

「3年耐えてくれ」

 

「え?」

 

「俺がその間に、シティに行く。デュエリストになって、キングになって、お前の借金を肩代わりしてやる」

 

「でも、そんなすぐ」

 

「頼むよ。俺だってまだあきらめたくないんだ。良助だってそうだろ?」

 

隣の良助もまた頷いた。

 

彩はそれにほんの少しの希望を見出す。そして、

 

「ありがとう、遊介、良助」

 

嬉しそうに微笑んだ。

 

 

 

1年後。

 

「良助! どこに行く気だ!」

 

残された2人の道は違えることになる。

 

「遊介」

 

「俺らは彩を助けるって誓ったはずだ!」

 

「……すまん。でもな」

 

後ろでけがをしているのは、サテライトタウンの一部を牛耳る富豪に過労死寸前まで働かせられ続け、倒れている労働者たち。全員まだ12歳から18歳の間の子供だった。

 

「俺はこんなことをしているあいつを。ブロン家のあの野郎を許せない」

 

「でも……」

 

「大丈夫だ。これでもしっかり鍛えてきた。あいつを倒して必ず戻ってくる」

 

良助は自身で組織した義賊団のメンバーと一緒にシティへと赴き、ブロンを暗殺する手段を取った。違法とされる、過度出力のデュエル実体化装置を持って。

 

結局遊介はついて行かなかった。

 

なぜならそんなやり方で成り上がることを望まなかったから。

 

遊介はその戦いの顛末を噂でしか聞かなかったが、凄まじいほどの犠牲者が出たという。

 

結果、良助は二度とサテライトタウンに帰ってくることはなかった。

 

 

 

そしてさらに1年後。

 

絶望渦巻くサテライトタウンに1枚の希望が訪れる。

 

それはキングへの挑戦権。

 

シティで、伝説となったキング、ジャック・アトラスの生まれ変わりとまで噂されるほどの圧倒的カリスマデュエリスト。

 

彼が初めてサテライトタウンに訪問するという。

 

そこでキングと戦うチャレンジャーを募集するとのことだった。

 

ここでキングと戦い勝てばそこには想像もできぬほどの栄光が待っている。

 

これはサテライトタウンに住むデュエリストにとって一世一代のチャンスだ。

 

自分の名前を売る。またとない機会なのだ。

 

そして当然、それに食いつくものは多かった。

 

17歳となった遊介もその1人。

 

かねてからシティからの慈善団体で、Dホイールへの乗り方を指導してくれる男に師事して1年。良助がいなくなった直後から遊介は本気で今日まで自らを鍛え上げてきた。

 

「星也さん。俺、ジャックに挑戦するよ」

 

「……本気か? あいつは強いぞ」

 

俺を弟子にしてほしいと願ったその日から、星也は住み込みで、弟子2人を鍛えている。

 

「そういえば昔から気になってたんだけど、知り合いなのか?」

 

それの兄弟弟子にあたる、もう1人の星也の弟子が奥の部屋から顔を出した。

 

「……ユーゴ、それはお前が俺に勝てた時の褒美だと言ったはずだぞ?」

 

「うへえ、やっぱガード堅いなー」

 

ユーゴもまた、遊介と同じ目的を持つ少年だった。特別労働者として働きに出たリンという幼馴染を取り戻すと息巻いている。

 

そんなこともあり、遊介とユーゴはすぐに意気投合。

 

彩や良助以外と仲良くなることはないと思っていたが、以外といい関係になっている。

 

「それより、遊介! お前抜け駆けはなしだぞ!」

 

「は?」

 

「ジャックと戦うのは俺だ」

 

「何言ってんだお前? 戦うのは俺だ」

 

「ならデュエルで決めるぞ」

 

「上等」

 

表に出て決闘を始めようとする2人を見て、

 

「待て」

 

と制止するのは師匠たる星也の務め。その理由を遊介が尋ねると、

 

「そもそも、ジャックと戦うにはライディングデュエルをする必要があるだろう。そしてサテライトタウンで行われる予選に勝ちぬかないといけないはずだ」

 

「それはそうだけど……」

 

「まずはこれを見ろ」

 

星也がノートパソコン型のDホイールメンテナンスデバイスに映っている映像を見せる。その中に映っているのはまさしく、キングのデュエルの様子だった。

 

ジャック・アーロンが敵を圧倒的に倒していく映像。それも1つだけでなく数多く。

 

「どうだ?」

 

「なんと言うか、圧倒的フィールだな……」

 

「さすがジャックだぜ」

 

子供並みの感想しか出ない2人にため息をついた星也だったが、それを水に流し必要な助言を行う。

 

「お前らはこれと戦うと言っている。スターダストを使った俺に瞬殺されている程度では話にならない」

 

「まあ、そうだけどよ……」

 

ユーゴは痛い指摘を受けて、返答に困る。それは当然遊介も分かっている。ジャックは強力なドラゴンを使役し圧倒的なデュエルを人々に見せる。それに圧倒されていてはただの雑魚デュエリストということになり、夢も叶わないというものだ。

 

今で、彩を、そして良助を救うという夢は諦めていない。

 

星也は覚悟だけは一人前のひよっこ2人を前に言う。

 

「今日からは俺と徹底的にデュエルだ」

 

「え?」

 

「俺にまぐれでも勝つまでやる。せめてそれくらいじゃないと話にならないからな」

 

「勝つまでって、俺ら星也さんのLP1000削るのが限界」

 

「その程度じゃ話にならない。後はお前達の軟弱なフィールをもっと出力が出るようにしないと、ジャックに隣走られるだけで転倒しかねない」

 

星也のこの言葉をきっかけに、遊介とユーゴはさらに厳しい修業へと身を投じていくことになる。

 

 

 

サテライトタウン、キングとの対戦権を賭けたデュエル公式大会。

 

そこでは2人のデュエリストが猛威を振るった。

 

1人は、煌めく翼をもつ竜を従えたデュエリスト。

 

もう1人は、戦士族と機械族の混合デッキを使うデュエリスト。

 

その2人はサテライトタウンの中で圧倒的な戦績を残し、他のサテライトタウンデュエリストを寄せ付けない。

 

そしてついに、その2人のデュエルが始まる。

 

勝者がジャックと戦うのだ。

 

「遊介! 手加減なしだぜ」

 

「ああ、ユーゴ。お前の竜は俺に跪くことになるだろうな!」

 

2人はDホイールに乗って、審判の号令と共に走り出す。

 

「スピードワールド10セット!」

 

『デュエルモードオン・オートパイロット・スタンバイ』

 

「ライディングデュエル・アクセラレーション!」

 

この世界でのデュエルは風と共に在る。

 

Dホイールでモンスターと共に地を駆けながら、互いのフィールをぶつけ合う決闘。当然Dホイールの故障や破壊、搭乗者が落ちたりしても敗北となる。

 

高速の世界で、カードを操りぶつかり合う。

 

ここでの勝者が、キングと戦うことになるのだ。

 




というわけで、番外編の最初はシンクロ遊介の過去編です。
ノリとしてはクラッシュタウン――嘘です。

遅くなって申し訳ありません。
一応プロットを考えて書き始めたのですが、最初に考えたものだと話が長い+遅いという感じになりそうだったので、スピーディーに話を進めるために、内容をすべて変更して書き直していたので11月に入っての投稿になりました。

次回から番外編本編に入りますが、シンクロ世界番外編の投稿は12月末完結を目指しています。しかし、本編に関わる内容でもあり、シンクロ遊介がどのような経緯でリンクヴレインズに来たのかがわかる話にするので、所詮番外編やろ? と思わずお付き合いいただけると幸いです。

一応、どんな話になるかというと話をすると、ダークシグナー編を参考に、オリジナル展開で話をしようと思っているところです。

がもしかしたら変わるかもしれません。まだ迷っているところが多い現状です。


この中で1人だけ、詳しく知りたい人を選んでください。

  • シンクロ遊介
  • エクシーズ遊介
  • アゼル
  • 光津真澄

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