電脳戦機IS 〈CYBER TROOPERS -Infinite Stratos-〉   作:魚狗

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(´・ω・`)


第一章 「REVERSE CONVERT」 原作過去編
Ver. 1.0 shuffle the kismet


今まで無名だった研究者……どころか14才の少女、篠ノ之束が突如発表した『インフィニット・ストラトス(IS)』と名付けられたマルチフォーム・スーツ。

世界中はそのスペックに驚愕し、しかし女性にしか扱えないことに多くの者が落胆した。

それでも様々な思惑が生じ、世界を包んだことに違いはなかった。

 

全うに宇宙開発に利用を検討する者。

女性の地位向上の起爆剤にしようという者。

兵器への転用を画策する者。

混乱の種と断じ、黙殺を図ろうとする者……。

 

それと同時にこのオーバーテクノロジーの塊の出所に疑いの目を向ける者も少なくはなかった。

だが、完全にブラックボックス化され、束が口を開かない以上それを知ることができる者が現れることはない……はずだった。

 

しかし、ただ一人、ISという存在の真の姿を、発表と同時に見定めていた者がいた。

 

「まさかこんな世界に来て、また()()に関わることになるなんてね……」

 

懐かしむような、皮肉るような笑みを浮かべながら、彼はディスプレイに表示されたISの情報を眺めていた。

この14歳になるアメリカ人の少年には、他人に話すことのできない秘密があった。

それは、あるきっかけで前世の記憶を保ったまま、この世界に転生してしまったこと。

前世の、この宇宙の平行世界に存在する電脳暦と呼ばれる世界で、彼の名を知らない者はいない。

 

『Dr. アイザーマン』

 

彼は電脳暦に多大な革新と混乱をもたらした、篠ノ之束など遥かに凌駕する正真正銘の奇才であった。

 

 

――――――

 

 

――電脳暦

企業に運営されるようになった国家、通称『企業国家』は月で発見された超高度古代文明遺跡『ムーンゲート』から得られたオーバーテクノロジーの応用を、ビジネスとして大々的に展開していた。

その中で最も大きな比重を占めるのが、企業国家間の紛争解決とショー・ビジネスを担う『限定戦争』に投入される巨大人型機動兵器『バーチャロイド(VR)』である。

このVRを成り立たせるエンジンともいえる装置が、オーバーテクノロジー技術の粋を集めた『Vコンバータ』だ。

Vコンバータは人間の精神を触媒として『電脳虚数空間(C.I.S.)』から無尽蔵のエネルギーを引き出し、さらにデジタル情報を基に虚空に物質を実体化させることができる。

反面、Vコンバータは人間の精神と強く干渉し合うため制御は容易でなく、戦闘用に最適化された制御システム『マインド・シフト・バトル・システム(M.S.B.S.)』を搭載した上で、十分な適正(バーチャロン・ポジティブ)を持つパイロットにしか扱えない。

それが、Vコンバータが実質VRという戦闘兵器にしか用いられていない原因になっていた。

 

そんな中でアイザーマンはVR開発者として名を馳せていたが、その他にもかつてから意欲的に取り組んでいるオーバーテクノロジー分野があった。

それはVコンバータの物質実体化機能を応用し、C.I.S.を経て遠隔地に物体を瞬間移動させる長距離転送システム『定位リバース・コンバート』である。

現在VRしか転送できず、それ以外にも様々な制約のある定位リバース・コンバートを、無制限な転送装置として完成させ物流業界に変革をもたらす。

それが、アイザーマンがトップを務める9大プラントの一つ『サッチェル・マウス(SM-06)』の計画だった。

 

4年前、大型の起点装置を用いた惑星間転送を実用化したアイザーマンの次なる目標は、VR単機による定位リバース・コンバートであった。

VR単機の定位リバース・コンバートはすでに行われているが、それはあくまで極めてバーチャロン・ポジティブの高いパイロットとコスト度外視のチューンを施されたVRでのみで、その敷居は極めて高い。

そこでアイザーマンは近年木星圏で採取されるようになった『Vクリスタル』に目を付けたのである。Vコンバータの中核素材である特殊な結晶体『Vクリスタル』。

Vコンバータには一般に地球や火星で産出されるものが使われている。

しかし木星圏で“ある条件下”において少量ではあるが採取されるようになったVクリスタルは地球や火星のものより著しく活性が高く、これらを混合して用いることで誰でも、より少ない精神負荷で、安定で高出力を出せるVコンバータの開発を目指したのだ。

 

性質の異なるVクリスタルを組み合わせた高出力ハイブリットVコンバータの開発は、天才といわれるアイザーマンのまさに十八番。

試作されたVコンバータは順調に目標を達成し、ついに定位リバース・コンバートの実働試験に漕ぎ着けた。

 

 

その日SM-06の所有する火星の大規模実験施設に多くの研究員とともに、そのトップであるアイザーマン博士『3人』すべてが一同に会していた。

『アイザーマン』という人物は才能に疑いの余地のないものの、その業績は画期的ではあるが過激であり、性格や言動は安定しない極めてエキセントリックな、マッド・サイエンティストの範疇に十分該当する人物である。

そして何よりアイザーマンの特異性を示しているのが並立三躯連環体-三体の肉体をもって活動している点だ。

博士はそれぞれ『Y』、『Z』、『R』のイニシャルの肉体を持ち、ZとRは雌体であるが、Yはデフォルトが中性の雌雄可変体である。

彼らは普段意識を共有しているが、時折リンクを遮断して勝手な行動をとることもある。

「性格や言動は安定しない」というのは、このことに起因する部分が多いのだ。

 

「お持ちしておりました、博士」

 

実験場を見渡せるオペレーションルームに姿を現したアイザーマンにプロジェクト主任の男が挨拶にやってくる。

それ以外の研究員たちはトップが来たというのに挨拶もせず、自身に任された作業に集中している。

常に最先端を行くことでその地位を不動のものにした技術者集団SM-06らしい光景である。

 

「やあ、準備の方はどうだい?」

 

返答をした一見すると10台前半にも見える小柄な少年()?が『Y』である。

対人コミュニケーションをとる場合、一般的にスポークスマンに設定された『Y』が発言を行う。

 

「はい、最終チェック中です。あと10分もあれば実験を開始できます」

 

今回の実験は、この施設から数千km離れたSM-06の統治領域への、VR単機による定位リバース・コンバートを予定している。

 

「ふーん…」

 

生返事だけを返し『Y』の興味は既に他に移ったようだった。『Z』などは鼻からそっちが気になって仕方ないらしい。

視線の先には一機VR、SM-06の主力商品『YZR-8000 マイザー』が実験場の中央に直立している。

言うまでもなくそのVコンバータは通常品から新型に換装され、各所を試験データ収集用に改装してある。

 

「そっちはどうかな? 緊張して寝不足だったりしない?」

 

博士はマイザーのパイロットに通信を繋げる。

 

「はははっ! いつも命張って出撃してるんですぜ? こんなんで緊張なんざしませんよ!」

 

豪快に答える中年パイロットの返答に、君はそういう奴だったね、とアイザーマンも笑う。

彼はアイザーマンがSM-06を掌握して以来7年、このプラントに所属しているベテランパイロットだ。

バーチャロン・ポジティブは高くはないが、経験豊富で精神的にも安定しているため、今回のプロジェクトのテストパイロットに選ばれたのだ。

 

アイザーマンがオペレーションルームをあれこれ回っている内に、時間になったらしい。

 

「博士。」

 

主任が少し緊急した面持ちでアイザーマンに呼び掛ける。

 

「うん、それじゃ始めようか!」

 

今は経営者でもあるが、根からの科学者であるアイザーマンの心は沸き上がる好奇心に昂り、気持ちが声にもこもる。

 

博士の号令とともにスタッフが一斉に動き出す

 

“M.S.B.S. Linking...”

 

新型のVコンバータと定位リバース・コンバートに合わせ改良されたM.S.B.S.を介してパイロットの精神がVコンバータに接続され、同時に外部からエネルギー負荷が掛けられる。

Vコンバータ内でエネルギーが臨界状態に達した次の瞬間、活性状態に移行したVコンバータから眩い光が放たれ、機体にエネルギーの息吹きが吹き込まれる。

 

無事Vコンバータは起動。

だが、本場はここからである。

 

パイロットが徐々に出力を上げていくと、機体を取り巻く『ゲートフィールド』と呼ばれるC.I.S.と接する力場もその密度を増していく。

その密度は定位リバース・コンバート可能とされる数値まで高まり、機体を包むように安定した。

 

『転送開始』

 

全員が固唾を飲んで見守る中、転送シーケンスに入った機体の周りを光の0と1の羅列が包み込む。

そして、機体の真上にゲートフィールドが作り出したC.I.S.への入り口が口を開け、

機体が情報の渦になってそこに消えかけた。

 

その時――

 

ゲートフィールドに僅かに乱れが生じた。

 

ほんの僅かだった乱れは一瞬にして大きな歪みに発展した。

 

『ゲートフィールド範囲拡大! 制御不能っ! 暴走していますっ!』 

 

切羽詰まったスタッフの声。

 

「M.S.B.S.緊急解除!」

 

主任にももはや冷静さはない。

 

『駄目です! 操作受け付けませんっ!』 

 

そこまで5秒あっただろうか。

 

次の瞬間機体から半径500mにあったすべての物質が一瞬でC.I.S.に呑み込まれた。

 

 

 

(ははは……参ったね……)

 

まるで無重力空間に投げ出されたような感覚の中で、アイザーマンは嘲笑した。

 

(まさか0プラントの二の舞を、この僕がするなんてね……)

 

ムーンゲート解析の初期、アイザーマン自身も所属していた月の巨大研究施設『0プラント』で今回と良く似た事故が発生し、人的にも物的にも大きな被害を出した。

アイザーマンは運良く難を逃れたが、誰も気付かぬまま無音ですべてが消失した後の景色を、今更ながらに思い出していた。

 

(今回は周囲の大気も一緒に消えたから、音もするし、すぐ気付くかな……?)

 

完全な現実逃避から何とか思考を切り替える。

 

(といっても、どうしようもないね……)

 

C.I.S.では精神も物質も、その形を止めていることはできない。

VRに乗った者の中には生還した例もあるが、生身では万に一つも助かる道はない。

 

現にすでに五感がない。恐らく肉体が消滅したのだろう。

そういえば、今は久しく忘れていた自分が一人の人間である感覚を取り戻しているのは、3つの肉体すべてが消滅したためか。

 

(愚か……だったのかな……僕も……)

 

人を超えた力は、自分にまだ見ぬ世界を夢見させた。

問題を抱えながらもうまくいってきた。

それ故に、これはパンドラの箱かもしれないという疑念を、いつの間にか置いてきてしまっていた。

 

(もう十分か……)

 

自分は多くのことを成し遂げたと思う。元よりやるだけやって後は丸投げするつもりで、後先ののことなど考えてこなかった。

 

ただ……

 

(この後に及んで未練がましいね……)

 

アイザーマンの中に忘れかけていたものが蘇ってくる。

ムーンゲートが発見されたニュースを聞いたあの日。

その時抱いた、くだらない夢。

 

しかし、だんだんとその意識も薄れていく。

 

まだ……僕は……

 

聴覚を失っているはずなのに聞こえるC.I.S.の発する不思議な音階の中に、アイザーマンの意識は飲み込まれていった。




というわけでIS×VOで書いていこうと思いますので、一つよろしくお願いします。
ISコア≒Vコンバータという超解釈ですので悪しからず。
VRは第二世代ベースでできる限り全機種出したいですが…。
バーチャロンの世界観って結構膨大で、文才ないので全然伝わってないと思いますので、
興味があったらwikiって頂ければ幸いです。

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