電脳戦機IS 〈CYBER TROOPERS -Infinite Stratos-〉   作:魚狗

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ここからオリ主メインのIS学園編です。
アイザーマンはしばらく空気になるかも?ご容赦を…。


第二章 「new orthodoxy」 IS学園編
Ver. 11.0 soldier blue


「へぇー、本当に島一つまるごと学園にしてるのね」

 

フェイと共にモノレールの車窓からIS学園の島を望む。

博士たちとサイファーに出会い、共に戦い、そして宇宙に上がったあっという間の一年半。けれど、一年半ぶりに戻ってきた日本は何も変わっていなかった。

 

「それより、本当によかったのか?ここに来たら篠ノ之束の所に戻りくいだろ」

「束は別に私がいなくても、簡単にくたばったりはしないわよ。それにシャドウの件で少しは懲りたでしょ?」

 

確かにあれ以来音沙汰ない…不気味なくらいに。

 

「だといいんだが…」

「学生生活なんて超久しぶり。楽しみ~」

 

そんなフェイと対照的に俺の中には不安が渦巻いていた。それは単に周りが女子ばかりだからとかそういうのではなく、もっと漠然とした予感のようなもの…。

 

「なぁ…」

「何?」

 

だから、フェイにこんな話を振ったんだろう。

 

「お前は元々Vクリスタルだったのか?それとも人間?」

 

「さぁ?パパからは何も聞いてないわ」

「そうか…」

 

意外だった。普通の方法で造られたはずないことは理解しているたが…。

 

「けど…」

「ん?」

 

「私は、私よ。どんな時だって」

 

 

 

『力強く羽ばたき、快活に笑い飛ばし、高らかに歌い上げて欲しい…』

 

「はは…そうだったなお前は……」

 

父が彼女の遺した言葉は、俺にも不安と向き合う勇気を与えてくれた。

 

 

――――――

 

と言ったな、あれは嘘だ。

 

(おい…)

 

講堂で入学式に参加しているんだけど、クラス名簿を見て眩暈がした。

 

一年一組

担任:織斑千冬………大沢翔、織斑一夏……篠ノ之箒…(名前はアルファベット順)

 

クソが!問題児だらけかこのクラスは!どうなんだテメエは!?

隣を見たらイギリス代表候補生のセシリア・オルコットに睨み返された…。

ちなみにフェイは二組だ。

こりゃ一波乱じゃ済まないだろうなぁ…。

 

 

~~~~~~

 

各教室に移動し副担任の山田先生の下、生徒の自己紹介が行われている。

俺の席は廊下から二列目の後ろから二番目だ。左に一人挟んでオルコットがいる。あと後ろのゆるーい雰囲気の子の名前が布仏本音(のほとけほんね)ということが判明した。

そして視線を前に戻せば教壇の目の前の席で、緊張で固まり微動だにしないもう一人の男子がいる。入学式の時からあんな感じで、俺の存在に全く気づいてない中学時代の友人。

 

織斑一夏

 

こいつがISを動かしたというニュースに驚かなかったのは、種を知っているうちの初期メンバーくらいだろう。この件に果たして篠ノ之束が関わっているのかいないのか…。ともかくこれはこれで色々と好都合だ、一夏にも、俺にも…。

 

何せ周りに女子しかいない異常空間。必然的に俺と一夏に向く視線と、肩身の狭さが半分以下になるのは正直助かる。あっちの方がイケメンだし、色々注目を集める体質してるしな。

 

おっと、俺の番か…。

 

「大沢翔です。出身は日本ですが、今は中東の研究機関で主に宇宙開発任務をやってます。といっても俺も高校生なので、ここでは皆と学生生活を楽しめたらと思ってます」

 

こんなもんかな…あ、そうだ。

 

「あと、一番前で固まってるのは俺の中学時代の友達なんで、そいつのことも一つよろしくお願いします」

 

『えええっ~!?』

 

クラスの大半が驚愕に声を上げる。どうせすぐ知れることだしこれくらいの情報はサービスだ…、ほらハードル下げたぞ一夏、後は頑張れ。

 

 

「えー…織斑一夏です。よろしくお願いします………………以上です」

 

期待した俺が馬鹿だったか…皆ずっこけてるじゃねぇか…。

その時教室の扉が開き、中に入って来たのは……おぉ…ホントに千冬さんだ。

 

バシーーン!!

 

うわぁ…見えない速さの出席簿で一夏が頭を殴られた…すげぇ痛そう…。

 

でもって千冬さんの自己紹介とともに耳をつんざく黄色い声。さらにその後のやり取りで二人が姉弟だって、知らなかったやつも気付いたな…。初日から賑やかなのはいいことだ。

そのおかげで、

 

「それから、大沢。話がある。放課後私の所まで来るように」

 

千冬さんからの呼び出しはあまり騒がれずに済んだ。

 

「えっ…大沢…?」

「よぉ一夏、久しぶり」

 

それに振り向いた一夏が俺の顔を見て再びフリーズする。気づくの遅いよ…。

 

そんなこんなで山田先生が教壇に立ち、授業が始まった。

 

 

 

「皆さんも知っている通りISの正式名称は『インフィニット・ストラトス』。日本で開発されたマルチフォームスーツです。開発された当初から宇宙空間での活動が想定されていて、長い停滞期間を経て最近ようやく宇宙開発事業に使用されるようになりました。アラスカ条約によって軍事利用は禁止されているのでそれ以外には競技種目、スポーツとして活用されていますね。そしてこのIS学園は、世界唯一のIS操縦者の育成を目的とした教育機関です。世界中から大勢の生徒が集まって、操縦者になるために勉強しています。様々な国の若者たちが自分たちの技能を向上させようと日々努力をしているんです。では、今日から三年間しっかり勉強しましょうね」

 

『はい!』

 

 

 

 

一時間目の後の休み時間。

 

「翔!なんでお前までいるんだよっ!?」

「なんで、じゃねぇよ!俺、一応組織の代表でここに来てるんだけど…」

 

マジで俺のこと知らなかったのかこいつ…。

 

「そうなのか?…あれ?ISを起動させたのって俺が初めてじゃ…」

「“普通のIS”は、な。俺のは魔改造版だからよ。少しはニュースとか見ろって」

「結構見てるぞ俺!?…ま、ともかく久しぶりだな……そっか留学に行くってのは…」

「あぁスカウトされてさ……悪ぃな嘘吐いちまって……」

 

夢への切符を手に入れた俺は、周囲というか親にもそういって飛び出してきちまった。親とはあの後ちゃんと連絡は取ってるけど、いい加減顔出した方がいいか…。

 

「さすがにそりゃ言えないよな…そういうことなら気にしないさ」

「サンキューな…」

 

「…ちょっといいか」

 

「え?」

「お?」

 

振り返るとそこにいたのは、秀郷さんの言ってた篠ノ之束の妹、篠ノ之箒だった。

あれか、幼馴染との感動の再開というやつか?旗男はたいへんダネー。

 

「悪い、翔」

「おう、行って来いよ」

 

二人が廊下に出るとクラスの皆がぞろぞろと扉に群がりその様子を見つめていた。悪目立ちしてくれてホント助かるよ、お前は。

 

 

 

 

二時間目の休み時間。

 

「し、死ぬ……」

「はぁ…大丈夫かよ…」

 

分かってはいたけど…授業についていけず早速グロッキーな一夏。

IS学園の授業は科学や数学の基礎知識がなければ相当キツい。俺は元々そこら辺は平気だし、ISについてもバイバーの開発でサッチェル・マウスの技術部の面々にみっちり叩き込んでもらったので何の問題もない。

こういうのは暗記的なお勉強でしばらく誤魔化せても、それでは身にならないしな。普通の筆記試験を通ってきたわけでない一夏にはそれも厳しいだろうが……参考書間違って捨てるって…お前な…。

 

「まぁ、分からなかったらすぐ聞きに来いよな」

「あぁサンキュー…」

 

千冬さんにケツを引っぱたかれてやる気になったみたいだし、友人として手を貸してやるぜ。

 

「ちょっとよろしくて」

「へ?」

 

なんだ?今度はオルコットか。さすが一夏君、初日からモテモテじゃないか。

 

 

 

「……」

 

はい、この子も問題児でしたー。

…なんというか…オルコットは今流行りの女尊男卑の典型でプライドが高く、それを一夏のISに関する無知っぷりが煽る、煽る…。

もちろん火の粉はこっちにも降りかかってくるわけで…。

 

「そちらの貴方もいくら代表であるとはいえ、たった数名しかパイロットのいない組織の代表なのですから、天狗になられては困りますわね!」

 

それはこっちのセリフだ。

 

「それに私は入試で唯一教官を倒した、エリート中のエリートなのですから…」

 

「あれ?俺も倒したぞ教官」

「は……?」

「マジか……やるな、一夏。てか俺も、うちのもう一人も勝ってるんだけど?」

 

まあ俺の相手は“教官”じゃないけどな。あれか、“通常IS使用の女子の中で”か?

 

キーンコーンカーンコーン

 

「また後で来ますわ!!」

 

 

 

 

三時間目の冒頭。

 

「織斑君を推薦します!」

「私もそれがいいと思います!」

「お、俺!?」

 

来月のクラス対抗戦への出場などを担当するクラス代表を決めているんだけど…、予想通り一夏を推す声が上がる。こりゃ確実にオルコットとぶつかる…

 

「じゃ、じゃあ俺は翔を推薦します!」

「あっ!?て、てめぇ!」

 

一夏、なんてことを!?俺を道連れにする気か!

 

「織斑、大沢、静かしろ。自薦他薦は問わないと言った。選ばれた以上は覚悟しろ」

 

「いや、でも…」

「しかし…」

 

「待ってください!納得がいきませんわ!」

 

ほれ見ろ、言わんこっちゃない…。オルコットが勢いよく立ちあがって噛みついてきた。しかしこれはひどいな…罵詈雑言のバーゲンセールや…。

 

「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で…」

「イギリスだって大したお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ」

「なっ!?」

 

お前も喧嘩を買うな、俺も思ったけど。しかも、“あっ、思わず言っちゃった”みたいな顔しやがって。

 

「あ、貴方、私の祖国を侮辱しますの!?」

 

…オルコットの怒りが有頂天になった。この怒りはしばらくおさまる事を知らない。

 

「決闘ですわ!もちろん貴方も!」

「おう、いいぜ。四の五の言うより分かりやすい」

「…分かった、やるよ」

 

結局こうなるのね…。でも、やるとなったらその気になってきた。俺もなんだかんだ言って根っからの対戦ゲーマーだってことだな。

面倒くさそうな雰囲気から一変した俺に見つめられて、オルコットが少したじろぐ。

 

「一夏。せっかくだ、英国のお嬢様に少し俺たち武士の心得ってやつを教えてやろぜ」

「おう!」

 

 

~~~~~~

 

「お久しぶりです、千冬さん」

 

放課後、教室の机に突っ伏した一夏と別れて、俺は言われた通り面談室にやって来た。

 

「ここでは織斑先生と呼べ…まぁいいか…久しぶりだな、大沢」

 

千冬さんとは一夏の家に遊びに行ったときに何度も会っていて、お互いに知っている。ただISコアの正体に薄々気が付いていた俺にとって、篠ノ之束の友人であり『ブリュンヒルデ』であるこの人は、どこか近寄りがたい存在でもあった。

 

「お前が中東の3機の一人だと知った時は驚かされたよ」

「僕も織斑先生が決勝戦を棄権されたのには驚きましたけどね」

 

お互いに特別な、転機の日となってしまったあの日…。

 

「ふん…真相は知っているんだろう?」

「まぁ、大体は…それで一夏を自分の手元に?」

 

IS学園は安全だ。セキュリティも硬く、政治的に手を出すのも容易ではない。ISを動かせる“唯一”の男である一夏を様々な悪意から守るには最適な場所だ。

 

「私はそこまで過保護じゃない……が、その口振り…一夏がISを使えるのは知っていたと言いたげだな」

「……」

 

いきなり失言だ。一夏がISを使えなければ学園に入れることはできない。使える前提で話をしてしまった…。

 

「束がお前たちのことを散々に罵倒していたぞ。色々余計なことをしているとな」

 

奴からのリークだったか…。

 

「余計なこと、とは心外ですね…そういう千冬さんは奴の味方で?」

 

最も束に近しいこの人に俺たちがどう思われているかというのは内心不安だった。

 

「…あれは曲がりなりにも私の親友だ。だが私個人はお前たちのやり方を否定する気はない、ましてや教師としては当然な。信用できないか?」

「いえ、そんなことは。でも直接千冬さんの口から聞けて安心しました」

 

近寄りがたくはあったが、姉弟揃って本当に真っ直ぐな人なのは良く知っている。心配していた俺が馬鹿みたいだ。

 

「それから秀郷さんが宜しくと」

「まったく、師範もいい歳をして盛んな人だ。私のような若い者はまだまだ負けてはいられないな」

 

…若い?

 

「貴様、死にたいらしいな…」

 

ボキボキと指を鳴らす千冬さん。なぜバレた…てかやべえ、こ、殺される!?

 

「…今日は許してやる、ありがたく思え。新アラブ連の代表を入学初日からぶっ飛ばす訳にもいかんしな。そうか…今やお前は師範の上に立っている訳か…偉くなったものだな」

「や、止めてください、形だけですよ…」

「だがそれは師範がお前の実力を認めているからだろう?あの更識を破ったのも事実だしな」

 

確かにその二つは誇れることではありますが…。

 

「そういう訳だ、実力派の先輩としてあの馬鹿の面倒を見てやれ。その方が私の仕事が減る」

 

やっぱただのブラコンじゃねぇかこの人…しかもツンデレか?

 

「何か言ったか?」

「…いえ…というか、それは職務放棄って言うんじゃ…」

「この学園の生徒である以上、教師の指示に対する拒否権はないと思え」

「ええ―…」

 

もとから面倒は見るつもりだったからいいけど…。時々こういうジャイアニズム出さなきゃいい人なのになぁ…。

 

「返事は?」

「はいはいやりますよ」

「はいは一回だ」

「hai!」

 

「よろしい、戻っていいぞ。だが、帰ったら早速一仕事かも知れんがな、くくく…」

「?」

 

どういう意味か寮に着くまで分からなかったが、さすがはやつの姉ということか…。

 

一夏と篠ノ之妹の部屋(!)の扉が穴だらけだった…。

 

ラッキースケベか?ラッキースケベなのか!?

おかげで辺りにたむろってた女子に質問責めに合う羽目に…。篠ノ之妹のことはよくは知らないんだけど…。

 

つうか普通俺と同室だろ、ベッド空いてるんだし。俺が代表候補生用の高セキュリティ区画の部屋だから色々都合が付かないのは分かるんだけどさ…。寮長の千冬さんがノリで決めたんだろうなぁ…。

 

中学の時も色々酷かったが…一夏のフラグビルダー振りは全く衰えを見せていなかった。

 

 

――――――

 

翌朝、6時半に起きて日課のランニングに出る。学園生活で体を鈍らすわけにはいかない。こうして走るとき感じる砂漠の冷え込む夜明け空気やロシアの針葉樹の森の匂いも好きだが、やはり故郷の潮風が運ぶの草木の匂いは落ち着く…。

 

…はずだったんだけど、走ってる人結構いるのね…。声かけられっまくって全然落ち着かねぇ…。

 

 

 

その後、食堂に行ったらフェイがいた。

 

「おはよ~」

「おはよ。そういや、お前の部屋って誰がいるんだ?」

「それがいないのよ。なんか、国の都合でまだ来てないらしいわ。寂しいったらありゃしない!」

「ふーん」

 

食事を受け取って、席を探して辺りを見渡すと一夏と篠ノ之妹がいた。

 

「一夏、おはよう」

「おはよう。ん?そっちは?」

「昨日少し話した、うちの同僚だ」

「はじめまして、フェイ・イェンよ。フェイでいいわ、よろしくね」

 

フェイの戸籍は結局、華人の『フェイ・イェン』ということになり、『フェイ』がファーストネームになった。

 

「ああ、織斑一夏だ。よろしくな、フェイ」

「翔から色々聞いてるわ、ふふふ…」

「お、おい翔、変なこと言ってないだろうな!?」

 

安心しろ。女性関係が派手なことは言ってある。

 

「さーてね?それよりなんか思うことはないか?」

「ん?あ~、確かに共通点多いな」

「だろ」

 

一部はたぶんフェイが圧勝だがな!

 

「それって二人の中学時代の友達のことでしょ?」

「そうそう、鈴っていうんだけど…」

「む…」

 

一夏まわりにフェイと、それ以外にも女の気配を感じた篠ノ之妹の気配が殺気立つ。フォローしとくか。

 

(フェイ…)

(ん?あー、はいはい)

 

「貴女が篠ノ之箒さんね?フェイ・イェンよ。よろしくね」

「大沢翔だ。一夏から話は聞いてるだろ?」

「あ、ああ…よろしく……」

 

反応悪いな。まあこいつの場合、事情が事情だしなあ…。むしろ、割と反応した方みたいで一夏が驚いている。

 

「あれ、翔たちと箒って知り合いだっけ?」

「まあね、実は…」

 

「いつまで食べている!」

 

食堂に響く織斑先生の声で優雅な朝食の時間は終わりを告げた。

 

 

~~~~~~

 

一夏に専用機が用意されることになった。ま、当然だな。果たしてどんな機体が来るのやら…。

あと、篠ノ之妹が姉との関係を聞かれて盛大に切れて、クラスの中で浮いた存在になりつつある。

 

『あの人は関係ない!』か……大切な妹に嫌われてるぞ、兎。まあ、実の姉だから心の底から嫌ってるかどうかはわからないか…。

 

「箒、飯食いにいこうぜ。他に誰か一緒にいかないか?」

 

さすができる男、織斑一夏。フォローもばっちりだぜ!

 

 

 

一悶着あったが俺たち3人は生徒でごった返す食堂に来た。俺以外にも布仏さん他2人が付いて来てくれそうだったが、篠ノ之妹が一夏をぶっ倒したのを見て残念ながら退散してしまった。俺もビビったよ…さすが秀郷さんの教え子だ…。

 

早速2組の面々に溶け込んでいるフェイに軽く手を振りつつ、別の席に着く。食事を始めたはいいが、相変わらず喋りたがらない篠ノ之妹に業を煮やした一夏がこっちに話しかけてきた。

 

「なあ、来週の勝負マジでどうすればいいんだよ…」

「うーん…」

 

さすがに相手は代表候補生。付け焼き刃でもいいから練習したかったんだが…、誤算だったのは放課後貸し出される訓練機の予約が完全に埋まっていたこと。このままだと座学はともかく、IS操縦はマジでぶっつけ本番になってしまう。

 

「…お前剣道やってたんだろ。剣道部の子に頼んで少し打ち合って来れば?」

「え?でもそんなんで効果あるのか?」

「戦いでの人間の動きに目を慣らしておくってのは意味があるぜ」

「なるほど、そういうのもありか!」

「……(ピク」

 

お、篠ノ之妹が反応した。そうか…。

 

「そうだ、篠ノ之さんに相手してもらえば?」

 

「なっ…!?」

「うおっ!?箒どうした?」

「いや…その……」

「そういうのはやっぱり嫌か?」

「そ、そ、そうじゃない!」

「じゃあ、頼めるか箒」

「い、いいだろう…放課後剣道場に来い。腕が鈍っていないか見てやる」

「おう、ありがとな」

 

う~ん自分でやっといてなんだが、とりあえず爆発しろ。

 

「そういや、篠ノ之さん。俺に聞きたいことがあったんじゃないか?」

「…あ、ああ…その……師範は元気にしておられるか?」

 

秀郷さんには『箒君のことを頼む』とか言われたが、それは一夏の役目みたいっす。

 

「ああ、ピンピンしてるよ。ホント60のおっさんには見えないよ、あの人は」

「そうか…」

 

安堵で篠ノ之妹の顔からわずかに笑みが零れる。いつもそうやってれば可愛いのに勿体ないね。

 

「師範って、誰だ?」

「一夏…お前……」

「三重の藤原道場の秀郷師範だ。忘れたとは言うまいな…」

「え?いや秀郷さんは知ってるけど、それがなんで翔と…」

「秀郷さんはうちのVRIS景清のパイロットだぞ」

「え……えええええっ!?」

 

それも知らないよな、当然…もういい、諦めた。

 

「…お前らのこと心配してたぞ。そうだな…機会があったら会えるようにするよ」

「…そうか……」

「懐かしいなあ、前会ったのは何年前だっけ…」

 

すまなそうな篠ノ之妹と懐かしむ一夏。反応が対照的だ。篠ノ之妹にはもう少し伝えることがあるが、それは次の機会にするか…。

 

「なあ、VRISだっけ、男でも使えるっていう。実際どうなんだ?」

「珍しく痛いところついてくるなお前…。それが中々難しくてさ…」

 

VRISを扱えるVP所持者の捜索の結果は、正直って芳しくない。約束通り宇宙開発に参加した国にVRISコアを貸して起動実験をやっているんだけど…、殺到する応募者の割に今のところ当たりが出ないでいる。というか、いたら既にゲーム機で引っかかってるよな、きっと。何とか後数人は欲しいんだけどなあ…。

 

「それより一夏、ホント勝負どうしようか…」

「だよなぁ…」

 

何とか訓練機を借りる方法は…

借りる方法は…

方法は……

 

「……あった」

「え?」

「訓練機、借りられるかも…」

「本当か!?」

 

ただこれは、色々高くつく可能性が……ええい!

 

「ただし、昼飯3回奢れ。それで手を打ってやる…」

「…お、おう……」

 

ここはひと肌脱ぐとしますか!




気に入っているのは山田先生のIS説明の変化だ。
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