電脳戦機IS 〈CYBER TROOPERS -Infinite Stratos-〉 作:魚狗
DN社本社。
その大会議室にずらりと座った幹部社員たち。その一番前に立つ、この場に相応しくない少年に向けられる目は、好奇や疑い、決して快くない物がほとんどだ。声はしないが、ざわつくような雰囲気に議場が包まれる。
「良く来てくれたねファラー君」
真正面に座るDN社社長が沈黙を破った。
「いえ、この度は私のような若輩者に声を掛けていただき光栄です」
「そう謙遜せずともいい。才能に年齢が関係ないことはDr.篠ノ之で痛感したよ……」
社長はそういうが、本心からそう思っている者がこの場に何人いるだろうか。甚だ疑問だ。
「君の論文、読ませてもらったよ。早速だがISの未来についての君のビジョンを、聞かせてもらおう」
さて彼らに一つ、オーバーテクノロジーの使い方を教授するとしよう。
「まず、私は現行兵器の技術をIS用武装に応用し、ISの兵器としての運用法を確立する必要があると考えます」
残念ながらISの利用法は当初の宇宙開発用から軍事用にすり替わってしまっている。白騎士事件で端的に兵器としての性能見せつけられては、どうにも仕方ない。もちろん表立った軍事作戦投入はアラスカ条約に違反するが、「もしどこかが変な気を起こしたら、それを潰せる」だけ力がなければ安全保障は達成できない。確実に他のISを上回る能力を持った「対IS用IS」を、今どの大国も求めている。
「意外だね。君なら一機で他を圧倒するような革新的なものをいきなり提案してくると思っていたが、堅実な路線を選ぶのだね」
社長も含め幹部たちは皆どこか拍子抜けしてしまったようだが、もちろんそれには理由がある。
「はっきりと言いまして、我々はISのことをまだ何も知りません。ですから、まずISを知らなければなりません。ISに何ができるのか、何ができないのか、どう使えばよいのか……そして、そもそもISとは何なのかを」
僕でさえ、Vクリスタルを核としたVRという類似品を知っているだけで、この世界で篠ノ之束に創られたISが全く同じものである保障はない。
「そこで、実用と基礎、両方の研究を同時進行で進める必要があり、そのためのデータ収集が必要です」
「実用について、私は論文の中でPICや量子格納の応用やISの防御機構に干渉するような次世代兵装の提示しており、その有効性は十分に検証していますが、実戦で果たして通用する物かは明言しかねます。また、一からの開発になるわけですから予算や時間も莫大なものになり、失敗した場合のリスクが高くなります。幸い、我が国は世界でもっと多くのISコアを有しています。有事の場合に、十分な連携が取れて数の利を生かせるだけの汎用機を揃えることが、第一の目標になるでしょう。そして、そこから得られたデータを十分にフィードバックして、高性能次世代機の開発に取り掛かるべきと考えます」
「次に基礎研究について、ISコアの解析は困難であることは疑いようもないでしょう。どう考えても現行技術でないこと、それを篠ノ之博士が厳重にプロテクトしているのですから……。それでも、もし新たに作ることができれば大きなアドバンテージをあることができます。作ることが叶わなかったとしても、そこから得られる情報は少なくないはずです」
ここまで一気に捲し立てたが、反論は一つもなかった。方針が決まれば、あとは具体的な企画を決めていくだけだ。
その内容をまとめると、汎用機開発の基本コンセプトは前衛型と火力支援型だ。別にテムジンとライデンを参考にしたわけでなく、基本的に忠実なこの形に自然と収まるものだ。そして、これをIS学園や競技会に投入してデータを収集することになった。
「数を揃える」というのには当然パイロットも含まれる。ISの使用にはそれなり適正が必要であり、これもVRと同じだ。ISからの信号に対する脳波応答を見ることで判別可能なことが篠ノ之束から開示されていて、高い適正を持った人間をまとまった数で探す必要がある。この脳波解析法の確立は必須だったが、人材発掘には既にいい方法がある。
次世代兵装の開発だが、後回しと言ったものの何もしないわけにもいかない。というわけで提示したのがビーム砲、PICを活用して荷電粒子やプラズマなどを加速・発射する兵装の開発だ。電脳暦でも基礎はあったもののVRが登場するまでは実用化されなかった兵器群。色々と応用も広がるし、初めに手を付けるには妥当なところだろう。
そして、コアの解析である。これが一番の難題であり、今僕が最も興味を持っている課題だ。IS兵装の開発とか正直どうでもいい。プロテクトを解き、情報を抜き出し解析、そしてVクリスタルに至ることができれば、ISコアをVコンバータ化してその機能を使うことができる。そうすれば「IS」にもう用はないのだから。
~~~~~~
「ファラーさん、こちらになります」
厳重なセキュリティーを通り抜けて案内されたのは、DN社総合研究所の地下深くに設置された格納庫。そこにDN社に割り振られたISの一機が鎮座していた。背中の箱型のコアと搭乗部位を中心に簡易な腕部と脚部だけが付いている。
「これがIS……」
なんだかんだ言って実物のISを見るのはこれが初めてだ。
初めてVRを見た時の心躍る気分を思い出す。
触れてみたい。自然と手を伸ばし、指が触れた瞬間……
「っ……!?」
脳に直接流れ込んでくる膨大な情報。訳も分からず咄嗟に手を引っ込めた。
「どうなされました?」
挙動不審な僕に気づき案内役が声を掛けてきた。
「……いや、静電気が走っただけですよ……」
早くなった鼓動を誤魔化し、平静を装って嘘をついた。
(今のは、まさか……!?)
そのまさかだ。僕は今、『ISを起動させ損ねた』。
戸惑いながらも情報を整理する。
何故だ。ISは男性には使えないはず。もう相当数の実験が行われ、起動したに成功した男性は一人もいない。何故僕は起動できる?思い当たる節は……ありすぎる。
ともかくこれを明かすのはだめだ。知られれば被験者にされてしまう。僕は研究者であってモルモットではない。
ISに触れたら謎が解けるどころか、また一つ増えてしまうとは……。
~~~~~~
DN社に入ってから一年。
DN社はいち早く第二世代型ISの実用化に成功していた。アサルトライフルとショットガン、グレネードランチャーの使い分けを主体とする前衛機と、スナイパーライフルとミサイルで支援する後衛機は、単体では飛び抜けた能力は持たないもののチーム戦でのバランスの良さが高く評価されている。
収集されたデータからは現行兵器では戦闘の高速化による命中率の低さが露見してきて、意表を突いて状況を変えられるものであったり、一撃必殺の威力をもった装備の必要性が判明した。
ビーム兵器も荷電粒子を発射する段階までに至っている。
そして、適正者発掘だが簡易診断法がほぼ確立され、いよいよ計画を実行する段階に来た。
察しのいい人はもう気が付いているだろうけど、その方法とは、「家庭用ゲーム機に診断装置を仕込む」というものだ。電脳暦でも似た方法(あの時はアーケード筐体だった)を使ってVRパイロットを発掘していたので、それを参考にさせてもらった。
ゲームをプレイしていて集中しているときは脳波も増大する。そこにコントローラーから微弱なIS起動信号を模したパルスをプレイヤーに与え、その応答を見る。この装置をDN社が出資している電子機器メーカーから発売される次世代ゲーム機に潜ませるのだ。このゲーム機はネットワーク接続されるから、適正が高い人間がどこに住んでいるかもすぐにわかる優れものだ。
一方でコアの解析は芳しくないの一言。日夜、僕自身が優秀な部下たちとあのブラックボックスに挑んでいるが、まさに難攻不落であった。
そんな時に一通のメールが舞い込んだ。
From:Tabane SHINONONO
それはあの篠ノ之束からの面会を求める連絡。前から彼女と直接会って話をする必要があると思っていた。渡りに船ではあったが、彼女はほとんど軟禁状態らしく、こちらに会いには来られないとのこと。僕は迷わず日本に飛んだ。
~~~~~~
「初めまして、クリス・ファラー君」
「こちらこそ、初めまして篠ノ之束博士」
目の前に現れたのは、やはり今の自分と同い年のごく普通の少女だった……頭につけたウサ耳さえなければ……。しかし、多くの研究者を見てきた僕には分かる。彼女の体から出る才気は本物だということを。
「束でいいよクリス君。噂は色々聞いてるよ」
「君ほどではないさ。そういえば、僕は君に連絡したことがあったけど、覚えているかな?」
「そうそう後で気が付いたよ。あの時うちの子をあんなに褒めてくれたのって、君ぐらいだったからね」
もちろんあの時の文面には情報を引き出すための世辞がかなり含まれてはいたが、それでも素直に完成度の高さを評した僕の言葉は「身内以外に極端に淡泊」と言われる彼女の心にも届いたらしい。
今日、この場で聞きたいことは山ほどある。
「束……今日は色々込み入った話もしたいのだけど……」
「大丈夫、この部屋のセキュリティーは完璧だよ」
その内容は他人に聞かれるとまずいことが多すぎる。彼女もそのことは理解していた。
「そう……なら最初に教えてくれ。君はこれで良かったのかい? 宇宙を目指しているんだろう?」
この現状……ISの兵器転用についてどう思っているのか。
「まあ仕方ないよ。あれだけの性能があるんだから、ほとんどのトコがそういう使い方を考えるだろうし」
「それでも、もっとマシなプロモーションの仕方があったんじゃないか?」
「
「もう隠す気はなしか……。せめて、あんな分かりやすい自作自演以外の方法を使うべきだったと思うけどね……」
「クリス君、今『君
「もちろん僕も宇宙へ行きたい。調べたいこと、探してみたいものが沢山あるしね。だから君と僕の目的はちゃんと一致しているからこそ、この状況をどうにかする気があるか聞いたんだ?」
これは本心だ。この世界でまた宇宙へ。それも今度はもっと遠くへ……木星の外、いや太陽系の外までも行ってみたいと。その想いは昔と変わらない。
「でも、実際戦争に使われないようにはなったでしょ」
「言っては悪いが……操縦者を感情的で命令を聞かせにくい女性限定にして、しかも数も限りがある……。兵器としての運用に障害を持たせて、核の代わりに抑止力の座に座らせた、か……?」
「ま、そんなところだね」
「つまり、本来なら男女ともに使えるものを君が制限したわけだ」
「さすがに気づいてた?」
「推測だったけどね。悪くない手ではある」
憶測というのは嘘だ。バーチャロン・ポジティブに男女の差異はないことは分かっている。
だからこそ、僕はそれに賛同できない。
「だが、いざ宇宙へ行くとなった時に人類の半分を地球に置いていくというのはナンセンスだ。男と女がいなければ人は子孫を残せないし、宇宙を切り開くのに男性の持つ闘争心は不可欠だ」
「時が来れば解除する気もあるよ。それにもしかしたら誰かに解除されちゃうかもしれないしね」
「それは君かもね」とは言わなかったが、そんな含みを持った視線を束は向けてくる。
確かに僕はISを根本から作り変えようとしている。束はやはり転生者で、本当は僕の素性を知っているのでは、という疑念が膨らんでいく。
そして、次の言葉で僕の顔は凍りついた。
「でも、男も使えるってことはクリス君が一番よく知ってるよね……」
動転しかけた何とか思考を繋ぎ止め、必死に頭を回転させる。
どうやら常にコアは一定の監視下にあって、あのIS起動未遂は束に知られてしまっていたか……!
「そうか、僕を呼んだ理由はそれか……。なぜ僕は使える?」
「それは秘密、というか心当たりはないの?」
ある……むしろありすぎてがどれが効いているのかなど分からない。
「そのうち分かるかもしれないよ? 色々調べてるんでしょ、コアのこと」
そうこうしているうちに話題を切られてしまった。でもそれはそれで良かったかもしれない。あのまま話をしていれば余計なことを口走るのは僕の方だっただろう。
「当り前だろう。自前で作れるならそれに越したことはないしね。さすがというか、悔しいけど芳しくないね。物理的に破壊は不可能……でも制御部分から抽出できる情報も意味をなさない。お手上げだよ。敗北を認めるから、答えの教えてほしいものだね」
正確には答えは知っているが解き方がわからない、だが。
「残念そういうわけにはいかないよ」
ドヤァといった表情でふんぞり返る束。……ウザい。
「材料も?」
「……当り前だよ」
やはりVクリスタルについては、簡単に口外はできないだろう。
しかし、このままでは埒があかない。ここはこちらもカードを切っていくことにしよう。
「それじゃあ……コアの作り方をどこで知った?」
「……まるで私が誰かに教えてもらったみたいだね」
束の表情から余裕が消える。説明書に書いてあったのよ、などとジョークをいうこともできないようだ。
「ノーヒントで作れるものじゃない。まるでオーパーツだ。……まさか、本当にオーパーツを基にして?」
リスクはあるがもう一枚、『これは古代超文明の遺産だった』というカードを切っていく。
「……どうかな。いい線いってると思うよ」
「ほう、認めるのかい?」
「まあ今までの科学では到底不可能な現象を起こしてるんだから、気づく人は気づくでしょ。でもそれを形にしたのはこの束さんだし、ほかの人に真似されない自信もあるしね!」
「大丈夫、君の能力を疑ってはいないよ」
開き直ったように声を張り上げた束を宥める。実際、人の精神と干渉しあうあの扱いの難しいVクリスタルを、今のところ問題なく封じ込めている彼女の能力に疑いはない。
「さて、今日はそろそろお暇させてもらうよ」
「そう?じゃあ研究の方、せいぜい頑張ってね」
「ああ……そうだ束……」
「なに?」
席を立って束を見下ろしながら、彼女に最後に伝えなければならなかったことを言い放って僕は部屋を出た。
「大きすぎる力は時に何時も御し難いものだ。それは十分に注意しておくことだね」
そう、あくまで今のところうまく行っているだけ……。
帰路の飛行機の中で束との会話を反芻する。
彼女はどうやら電脳暦からの転生者ではないようだ。もし転生者ならもう少しかまをかけてきてもおかしくはない。電脳暦のことをほのめかすような言葉は見当たらず、電脳暦の知識はなく、バックに協力者がいる気配もない。
となると、電脳暦にオーバーテクノロジーがもたらした厄災については知らないとみるのが妥当だろう。ISに対して、人々の争いを助長する以上に僕が懸念しているのがそれだ。
幻獣、影、破壊神……
VクリスタルとCISに関与する以上避けられなかったこれらすべてがこの世界でも出現する確証はないが、少なくとも一つは高い確率で発現してしまうだろう。
そうなった時、果たしてISはあれらに対抗できるか?
やはり、ISのVR化による強化を早急に進めなければならない。だが、今は策略を巡らせてDN社での自分の地位を固めている段階。それでも無差別に人々が殺戮されかねない状況を黙ってみていられるほど、僕は人間ができているわけではない。
少々急いだほうが良さそうだ……。
~~~~~~
束との接触からさらに一年半の時が流れた。
先日、束が失踪したというニュースが流れた。彼女の才能を、あるいは命そのものを本格的に狙う輩が現れはじめたか。それとも、周囲の人間との関係が嫌になってしまったのか。理由はどうあれ、あれは簡単にくたばったりはしなそうな奴だ。心配するだけ無駄だろう。
その間遅々として進まなかったISコアも徐々に前進し、ISの主要機能を制御している外殻記憶領域へのアクセス、そしてついに中枢、つまりVクリスタル本体の記憶領域にアクセスすることに成功した。とはいっても書き込まれている情報を解読するには至らない。けれど、僕にとってはそれで十分だ。コアつまりVクリスタルにアクセスできれば情報を『消去』、そして『上書き』することはできる。そして書き込むべきデータは僕が誰よりも知っている。
成功すれば、男女ともに使用できてISを超える能力を持った、『VR』というISとは似て非なるマシンが出来上がる。だが、もしそれを実行すれば、対象となるコアは二度とISには戻れない。それこそ束に頼まなければ。IS一機を潰してしまう実験を、さすがに上は許可しないだろう。成功すればいいが、失敗すれば虎の子のコアを失う大損害だ。
だから、成功させてしまえばいいのだ。
僕は独断で計画を実行に移した。
Vクリスタルに書き込まれたISのデータをフォーマットすると、コアを覆っていた物理障壁は消滅した。どうやら強固なゲートフィールドが外装に沿って展開していたらしい。コアを開けてみると中身はやはりVクリスタルだった。ISコアはVコンバータのようにVクリスタルをディスク状にしたものではなく、八面体結晶のまま搭載している。それはあたかも古代文明がムーンゲートに残した『BBBユニット』のようだ。
このクリスタルにとりあえずDN社の第二世代型ISの機体データを書き込む。そして、このまま無差別に精神干渉するVクリスタルをむき出しのままを放置するわけにはいかない。ひそかにIS用に製作していたIS用MSBSを外殻記憶領域へインストールした。これで精神干渉は安全な負荷で操縦者のみに指向するようになる。
さあ、それでは起動させてみるとしよう。
僕のかつてのバーチャロン・ポジティブはAランク。VRの起動には何の問題もないレベルだ。Vクリスタルが使えず今の自分が果たして十分なバーチャロン・ポジティブを持っているか分からず正直ビクビクしていたが、剥き出しのVクリスタルに触れて何もなかったのだから、昔通りの値はあるのだろう。
一度深呼吸をしてMSBSを介して脳波をコア、いや『Vコンバータ』と接続する。起動のためのエネルギー負荷をVコンバータにかけながら、リンクをより深くしていく。
そして、ぱあっと頭の中に光が広がる瞬間が訪れ、同時に視界も目一杯の光に覆われた。
(しばらく振りだね……この感覚は……)
VRの初期起動リバースコンバートなんて電脳暦では自分などが行うものでもなかったため、本当にいつ以来だろうか。
0と1の光の中に書き込んだISがリバースコンバートされていく。
男女ともに扱えるIS……VRがこの世界に降り立った。
……はずであった。
その機体早速お披露目し、試運転を行うはずだった。
しかし、信じられなことにVRは動かなかった……。社員のほぼ全員に試してもらっても、誰にも動かせなかったのだ。男性どころか女性にさえ……。
例外のように動かせたの僕と代表候補性のナターシャ・ファイルスだけだった。ナターシャはSランクのIS適正を持っているが、自機以外ではB程度の適正しかもたない。一方の僕はAあるものの、数値的に僕より高い男性社員は他にもいた。
しかし、失敗を検証する暇さえ僕にはなかった。
独断でコアを一つ破壊したのだ。厳しい非難がここぞとばかりに僕を快く思っていなかった者たちから浴びせられた。
男女ともに使えても、どんなに優れていようと、動かせる者をこれだけ制限してしまっては兵器としては使えない。もっともな意見に反論できる理由は、電脳暦で知ったことでばかりで、今とても口にはできなかった。
責任を取る形で僕は窓際に追いやられ、成果は握りつぶされた。それでも追放されなかったのは、その他の業績、とくに人材発掘の功績があったためか……。
思わぬ形で挫折を味あわされてしまった。急ぎすぎてしまったか。電脳暦で得た知識に頼りすぎたせいだろうか。このまま宇宙に出ることは叶わないのではないかとさえ思いさえした。
そんな折れかけた心を支えてくれたのは、意外にも僕と共に左遷されたISコア解析班のメンバーたちだった。元々未知の存在に心惹かれて異動願いを出してきた酔狂な連中ばかりのチームだった。僕のせいでこんな目に遭っているというのに、彼らは皆、いまだ敬意を持った目で僕を見てこう言った。
「ISの中に君は自分たちには見えていない、何か別の世界を見ている。それを自分たちも見てみたいんだ」
まるで僕の心を見透かされてしまったような気分。けれど、そこに嫌なものは全くなかった。彼らは僕と同じ根からの科学者だった。彼らにためにも、自分のためにも、ここで立ち止まっているわけにはいかない。自分の道を進まなければならない。
そう言えば、あの時もそんな状態だった。
研究の自由を制限され、そんな中でもがいていた。
あの時の再現……
この世界でやってみるか……
設定直してたのと、リアルが忙しかったのと、先に戦闘書いてたらそっちが楽しくて…で大分時間が掛かってしまいました…