あと、コメントでゾロアスター教に関する意見をいただきました。が、なんとこの筆者はさらっとwikipediaを覗いただけで「よし、いけるな」とGOサインを出したドサンピンですので、その類の矛盾は生暖かい目で見過ごしていただきたく。
──気が付くと、彼女はとある町にいた。
「ここは……うん?」
頭に流れ込んできた知識を読み解いていく。
どうやらここはフユキという町だそうだが……内心、彼女は『またか』という気持ちだった。
というのも、ルーラーのサーヴァントは通常の聖杯戦争では召喚されない。
つまり、彼女がここにいる=ド級の厄ネタという訳だ。冗談ではない。
そして、今となってはそこそこ数の増えたルーラーの中から、何故彼女が選出されたのか。
その秘密は、万能の願望器たる聖杯現状と、ルーラーである少女の出自にあった。
「──アンリマユ」
アンリマユ。ゾロアスター教における悪神だ。
これより行われる聖杯戦争は『第五次』。となれば、当然の如くそれ以前にも聖杯戦争は行われている。
その内の一つ──第三次聖杯戦争にて、『魔術礼装としての』聖杯を作り上げた御三家が一、アインツベルンがやりやがった。
あまりにも勝て無さすぎて嫌気がさしたのか、それとも自らの策に自信があったのか……今となってはそれも不明だが、とにかく彼らはある英霊を呼び出した。
それこそがアンリマユ──『この世全ての悪であれ』と願われた、一人の少年である。
当然、明確な功績が残っているわけでも素晴らしい武勲を持っている訳でもない──つまり、スキルはおろか宝具すらも保有していなかった可能性が著しく高い──サーヴァントが人外魔境の集う聖杯戦争に勝てる訳がなく。アインツベルンは序盤であっさりと敗退した。
だが、問題はここから。
アンリマユはその性質上、立場としては『聖杯に願う側』ではなく『人々に願われる側』に近い。そんな存在が聖杯に取り込まれたのだ。そこから先は早かった──混線した大聖杯上に下にの大騒ぎ、てんやわんやにすったもんだな阿鼻叫喚の末──あら不思議、無色透明な中身が真っ黒なドロドロに早変わり。
かくして、聖杯は『悪意的手段で願いを叶える』というはた迷惑な代物になったのだった。
そのせいで反英霊も召喚可能になったのだが、代わりにルーラーのサーヴァントは一切召喚不可能となってしまった。
にも関わらず、何故ルーラーの彼女は召喚されたのか。その理由は、彼女の真名に隠されていた。
「よーし……『殻』は適当なマスター候補ちゃんのを借りたけど、どうやら私は私を維持できているみたいだ」
スペンタマユ。亡失された史実においても、正真正銘アンリマユと対極に位置していた善神。対アンリマユとしてこれ以上ない良カード。
その権能が聖杯の『泥』を精密に打ち消し、さらに抑止力が無理やり召喚の枠をねじ込んだのだ。まさに、彼女以外には不可能な荒業である。
「『
そう嘯きながら、スペンタマユは町を探索し始める。
自分の存在が、既に多くの魔術師に探知されているとも知らずに。
『マスター。新たなサーヴァントが召喚された』
「へえ、そう。クラスとかは分かる?」
『ああ。というか、目の前で見た条件に該当するクラスなど一つしか有り得んよ』
「条件? 何の話よ」
『
「へえ、マスターが居ないのね……ハァ!? それって!」
『ああ、ルーラーでほぼ確定だろう。気を付けてくれマスター、この聖杯戦争、確実に何かが隠されているぞ』
「ええ、精々気を張らせて貰うわ」
『そうしてくれ。……ところでマスター』
「何よ」
『サーヴァントの親類に心当たりはないかね?』
「アンタ馬鹿じゃないの?」
「アサシン」
「うん? 直に話をしに来るとは珍しい事もあったものよな。なんだ、私に惚気話はしても無駄だぞ」
「ルルブるわよ。じゃなくて、新たなサーヴァントが召喚されたわ」
「……そうか。言われずとも分かっているとは思うが、私は門番──間違っても接触せよと命じてくれるなよ?」
「そんな事話してるんじゃないわよ」
「ではなんだ、やはり惚気──」
「ルルブるわ」
「分かった、黙るからその奇っ怪な短剣を下ろしてはくれまいか」
「最初からそうしなさい」
「あいわかった。それで女狐、お主はどう出る?」
「どうもこうもないわ。宗一郎様と専守防衛よ」
「
「──、」
「待てよせ分かった謝る謝るからその杖を下ろし「コリュキオン!」アッー!」
「……ほう。また変わったものが呼ばれたか、面白い」
「まあよい、せいぜい