この世全ての善   作:りおんぬ

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水着イベ、ストーリー突破。
未クリアな人のためにネタバレは控えますが、まあ……案の定、でしたね。
それにしても同人ポイント100万いけるかな……


True or Fake

「──!」

「ッ!!」

 

ガッキィィィン!! ととてつもない轟音が響く。

スペンタマユの短剣と言峰綺礼の黒鍵が正面からぶつかり合ったのだ。

そのまま互いをはじき飛ばし、距離をとったかと思えば再び交錯する。

その繰り返しだ。

時折、周囲一帯にばらまかれた宝石が炸裂し、洞窟に炸裂痕と亀裂を刻み込む。

一見すると戦況は完全に拮抗しているように見えるが、しかし内心ルーラーは勝利を確信していた。

 

(いくらクソ野郎(アンリマユ)と一体化してるといえど、人間をやめた訳では無いはず。だとすれば、このまま持久戦に持っていけば削り殺せる……!)

 

僅かに口元を綻ばせる裁定者に対して、人間はしかし冷徹な表情のままに黒鍵を振るう。

それに対してスペンタマユは右手の短剣──右手抱擁(アムルタート)を沿わせることでその軌道を逸らし、返す刀で左手抱擁(ハルワタート)による刺突をかます。

しかし神父はそれを体を捻って最小限の動きで回避し、すぐさま反撃に転じていく。

説明すればただそれだけの動き。

しかし互いに残像ができるほどの速度でこなしていれば、それは立派な脅威に値する。

ガガガガガガガガッガガガガッギギギギギィ!! と断続的に連なった金属音が静寂を引き裂く。

ここに来て、言峰が明確なアクションを示した。

鍔迫り合いから互いに互いを弾き飛ばし、無理やりに距離をとる。

そうして取り出したのは、黒鍵とはまた違う一対の歪な短剣──ってまさか!?

 

右歯噛咬(ザリチェ)左歯噛咬(タルウィ)!? オイコラどっから持ち出しやがりましたか代行者ァ!!」

「たまたま懐に入っていたのだがな。これがなかなかどうして使いやすいのだよ」

 

絶対嘘だ。

右歯噛咬(ザリチェ)左歯噛咬(タルウィ)──自身の対極たるアンリマユの扱う短剣。それぞれ、『武器奪取』と『武器破壊』を司っている。この地味ぃな陰湿さはいったい誰に似たのか。持ち主に決まっているだろう。

いくらこちらも無限に武器を生成できるとしても、作るたびに破壊と強奪を繰り返されるのではらちが明かない。

そう判断したスペンタマユは、すぐさま戦法を中距離戦闘へシフトした。

所かまわず宝石をばら撒いていく。

その中に込められたのは単純明快な爆破術式。トリガーは『()()()()()()()()()()()()()()()()()()』。

立て続けに爆音と振動が炸裂する。

男と女は互いにそれを躱しながら、空中で激突する。

 

「ハッ!!」

「甘い」

「せぇあっ!!」

「ふっ」

 

時折至近距離でぶつかり合う。

砕けるのは常に裁定者の短剣だが、無限に生成できる以上あまり関係はない。

だが、どうしても生成というラグは存在する。

互いに互いの武器を狙い、何度も何度も衝突を繰り返す。そしてその度に砕けた銀の欠片が宙を舞い、そして地面に落ちる前に粒子となって融けていく。

そんな、いっそ幻想的にも見える光景が広がっていた。

だが、洞窟からすればたまったものではない。

何せ、宝石が炸裂するたびにそこら中に亀裂が生まれ、そこから壁が崩れていくのだ。

見る見るうちに壁の亀裂が広がり、敷き詰められた回路が損壊していく。

 

(……そろそろやばいかも? さすがに所かまわず爆破はまずかったですかね──)

「何処を見ている」

「おっと」

 

思考が膨大な情報の中に埋もれていく。

しかしそれも一瞬、次の刹那には裁定者は神父と激突していた。

宝石と銀の雨が降り注ぐ。宝石の巻き起こす小爆発が、大地を揺らしていく。

龍洞の外は目も当てられない大惨事となっているが、こちらもそれに負けず劣らず大惨事だった。むしろ崩落の危険がある屋内という都合上、こちらのほうが潜在的な危険度は飛びぬけている。

そして、ついにその瞬間がやってきた。

天井から岩盤が剥離し、バラバラと瓦礫となって降り注ぐ。

そして、二人の眼前で、その瓦礫が投げ放たれた宝石と衝突する──

 

「「──ッ!!!???」」

 

閃光、衝撃、轟音。

二人の体が一瞬で吹き飛び、洞窟の壁面へと叩きつけられた。

その威力たるやすさまじく、叩きつけられた勢いで壁面にクモの巣状の亀裂が生じるほど。そこから剥がれ落ちるように瓦礫が降り注ぎ、縁起の悪そうな男と真っ白な少女はあっという間に岩に埋もれて視認できなくなった。

やがて。

バカン! と岩が砕かれ、そのうちの片方、純白の裁定者がその姿をのぞかせる。

多少土埃で煤けているところはあったが、しかし彼女は健在だった。

 

「はぁ──サーヴァントでなければ即死でした。……で、アイツは仕留めましたかね? 『やったか!?』なんて言いませんよ私は」

『やったか!?』

「だから言わねえっつってんでしょうが! ……ん?」

 

叫び、そして首をかしげる。

おかしい。あの神父をノックアウトした以上、今この場にはスペンタマユしか存在しないはず。

ならば、今の声の出どころはどこだ?

 

「……まさか」

 

少しの黙考。

そして、恐る恐る振り返る。

そこに鎮座するのは、辺り一帯をメタメタに崩されてもなお暗い輝きを放ち続ける霊脈の集結地点にして終結地点──大聖杯。

そして。

 

「いよぉ! 最弱英霊アヴェンジャー、お呼びでなくともともかく惨状! おっと違った大参上!」

「出やがりましたね……クソ野郎!」

 

白と黒。

亡失された史実、その対極同士が対面する。

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