この世全ての善   作:りおんぬ

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えー、申し開きもございません。
史上稀に見る大爆死でモチベーションが遥か万里の彼方まですっ飛んで行ったのと、別のソシャゲにハマってそっち原作の小説書いてたりで超絶遅れました、はい。シンプルにごめんなさい。

では。


Anti Holic Utopia

【■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!】

 

咆哮。

周囲一体に山だった物の残骸を撒き散らしながら、『それ』は姿を露わにする。

その姿は正しく黒い巨人──際限なき悪意で満ちたヒトの悪性の極致。

スペンタマユは山の残骸を弾き飛ばしながら、先程まで激戦を繰り広げていたセイバー達のすぐ近くに着地する。

 

「ああもう冗談じゃない! いったい誰なんですかねアンリマユ(あんなヤツ)なんて召喚した馬鹿は!? しかもなんかめっちゃ成長してますし! なんなんですかなんなんですかなんなんですか!?」

「……それに関しては何も言えないわね」

 

召喚した馬鹿の本拠地(アインツベルン)からきた少女が視線を明後日の方向へ逸らす。実際自分たちの先達(?)がやらかした大ポカなので、何も言えなかった。

そのすぐ横では、アンリマユが衛宮士郎と対面していた。

 

「いよっす()()()! 元気してた?」

「えっ、俺……?」

「ああ、分からないならそれで別に良いぜ。名前なんて記号だし、俺はそれが塗り潰されてるだけだからな。っつー訳で最弱英霊アヴェンジャー、真名『アンリマユ』! 呼ばれてなくともとにかく参上ってな!」

「お前は帰れ必要悪!」

「イッテェ!?」

 

ガツン、と復讐者の後頭部にこぶし大の宝石が直撃する。当然のように裁定者がぶん投げたものだ。

アンリマユはその場でたたらを踏み、頭を押さえながらスペンタマユに抗議する。が、彼女はそれを完全にスルー。そして、聖杯戦争の参加者たる七騎のサーヴァントに告げた。

 

「ええと、こうなっては致し方ありません。聖杯戦争の続行は不可能とみなし、皆さんには事態の収束に協力していただきます!」

「不可能……まあ、しょうがないわよね……」

 

今なお聖杯を寄る辺に肥大化を続ける巨人。それを見て、遠坂凛が苦々しげに言う。

だが、巨人を撃滅するにあたって打倒しなければならない障害が存在する。

それは──

 

「フハハハハハッ!! この世全ての悪などと大仰な名を冠してはいるが、やはり所詮は()()()()か!! (オレ)からすればこの程度、十把一絡げの魔獣と大差ないわ!! この(オレ)を打倒したくば、最低でもその5倍は持って来い!!」

 

目の前で高笑いしている、この金ピカだ。

見ているだけで目が腐りそうな汚泥の塊のそばにいるにもかかわらず、平然と高笑いを続けている。いや、メンタル化け物か。あんな代物に呑み込まれたら自分でもただでは済まないだろう、と裁定者は考えているのに……ああ、つくづく霊基の位階の差が憎らしい。

しかもその最大の元凶はと言えば、

 

「いやぁ、お宅も隅に置けないねぇ! こーんなイイ女侍らせちゃってさ、うらやましいぜホントに! ほら、オレってばかくあれかしって貧乏くじ押し付けられちゃっただけの一般人Aじゃん? だからさ、恋愛沙汰とかそういうのとは無縁だったわけよマジで! そこで目についたのがアンタの無自覚ハーレムよ! 羨ましいったらありゃしねぇ! まあ他にも理由があって実はそっちが本命なわけだがまあそれはさておき、そんな訳でオレはアンタの殻を借りたってわけ!」

「お、おう……??」

 

暢気にも衛宮士郎に対して怒涛のマシンガントークを繰り広げている。当の本人が困惑しているよ、いい加減気付けよ。

正直言って今すぐにでも殺してやりたいほどの衝動がスペンタマユを襲ったが、生憎とそうは出来ない理由がある。

 

「おい復讐者!」

「あん? なんだよ裁定者」

「手っ取り早く聞きます、あのクッソ汚い下水野郎のコアは何処ですか!?」

 

なおも肥大化を続ける黒い狂人を指さし、半ギレ状態で裁定者が投げかけたその問いに対して──復讐者は首を捻った。

顎に手を添え、何かを思い出すようなしぐさを繰り返し、その場を何周か歩き回り……そして、唯一確認できる目の部分を笑みの形に細め、両手を広げてこう言い切った。

 

「わっり、全然わかんねぇ!」

「こいつっ! 殺してやる! この場で殺してやる!!」

「落ち着けルーラー! 気持ちはわかるがここでそいつを殺してしまえば本当に手が付けられなくなるぞ!!」

「離してエミヤ丸! こうなったらアイツを殺して然る後にフユキごと大聖杯を消し飛ばして始末をつけるわッ!!!!」

「いよいよもって思考パターンが抑止力(アラヤ)に似てきたな君は!? あと『殻』本来の人格が出てきている!! これ以上は私のマスターの沽券にも関わるからやめてくれ!!」

 

両手に短剣を構えて暴れるルーラーを、アーチャーが背後から羽交い絞めにする。

なおも抵抗を続けるスペンタマユだが、背丈の差は残酷だった。傍から見れば、完全に駄々をこねる娘を嗜める父親にしか見えない。

メディアとメドゥーサはドン引きの表情だし、佐々木小次郎はニヤニヤと見ていてイラつく笑みを浮かべている。

とそこで、アーチャーのマスター──遠坂凛がおずおずと手を挙げて言った。

 

「ええっと……ルーラー? 訊きたいことがあるのだけれど」

「なによ! この期に及んで何か言いたいことがあるっていうの!?」

「うわっ、色違いの別人とはいえ自分と話すのって結構気持ち悪いわね……じゃなくて! その、あの巨人……『この世全ての悪』だったわよね。極限まで要約しちゃえば、アレもサーヴァントの一種なわけでしょ? 特に神霊とかそういう類の存在じゃなくて」

「え? ええまあ、そうなるわね……はい、そうなりますね、一応は。マスター不在の上に神明裁決も通用しないので、完全に制御不能ですが」

「じゃあ、当然サーヴァントの攻撃も通用するわよね?」

「その筈ですけど……」

 

アーチャーの拘束から脱したルーラーがそう答えると、遠坂凛はニヤリと性格の悪そうな笑みを浮かべる。

そして、こう言い放って見せた

 

「私にいい考えがあるわ」

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