この世全ての善   作:りおんぬ

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キングプロテアってマジですか……。ヒュージスケールがエグすぎる。あれは味方側に入るとどんな感じなんでしょうかね。『毎ターン自身に最大HPがアップする状態を付与(5T)』みたいな?
CT長そう……12-10くらいありそう……。


Atar FrashegirdⅡ

「『増幅(アンプリファイア)』……『増幅(アンプリファイア)』……『増幅(アンプリファイア)』……!」

 

スペンタマユは魔力逆流を利用した魔力の増幅を繰り返していた。

その脳裏をよぎるのは、先程遠坂凛と話し合った『作戦』の内容。

 

『ルーラー、あなたがあの黒い巨人のカウンターとして呼ばれたのなら、当然あれに対する有効打も保持してるわよね?』

『はい。というか、宝具がまさにそれです』

『なら、あなたを切り札にするわ。私達がギルガメッシュと巨人を食い止める、だからあなたは宝具を発動させなさい』

『……いや、単体ではほぼ発動不可能ですよ? イグニッションになる魔力源がないと──』

『そんなの自分で作ればいいじゃない。宝石魔術を使えば着火点くらいは簡単に作れるわ』

『でも、時間が──』

『だーかーらー! その時間を私たちで稼ぐから、その隙にとっとと宝具を発動しなさいってこと! オーケー!? いいわね!?』

『アッハイ』

 

「……まったく、サーヴァント使いの荒いマスターですね」

 

とそこで、足元から横槍が入る。

首まで埋められたアンリマユだ。

 

「オイオイオイ待て待て待て! テメェまさか本気で『アレ』を使う気か!? やめろオレが余波で死ぬ! そしたら今度こそあの巨人野郎が制御不能になっちまうぞ!?」

 

そう、先程アーチャーがルーラーを制止していたのには当然訳がある。

どれだけ容姿と性質に変容があろうと、あの黒い巨人と足元に埋められている黒い少年が『この世全ての悪(アンリマユ)』という同一存在であることに間違いはない。そこには確固たる繋がりがある。

復讐者はそこを突いた。彼らだけに見えているラインを伝い、強引に肉体の制御権を奪ったのだ──あの黒い巨人がここまで肥大化と再生以外のアクションを一切行っていないのも、そこに起因する。

要するに、動きたくとも動けないのだ。

 

「別に構いません。アレが動き出す前に私が仕留めます」

「その自信はどっから湧いてくるんだ!? 馬鹿か、馬鹿じゃねーか! まさかとは思うがテメェの頭ン中も真っ白なのか!?」

「やかましい。貴方なら知ってるでしょう、私の宝具はそういうものだって」

 

その言葉に、アンリマユが押し黙る。

スペンタマユの宝具はズバリそのもの『対悪宝具』。いつかの時代にて、とある騎士が持っていた『盾』や『槍』と同レベルの代物である。

それは『この世全ての悪』に対する最大の切り札。

人類の善性を極限まで肯定した、究極の一。

その銘は──

 

「ふんっ!!」

 

掛け声と共に、メディアが歪な形の短剣を地面に突き刺す。

見れば、辺り一帯は聖杯の泥によって覆い尽くされ、今にも裁定者たちの方へ向けて押し寄せんとしていた。

その泥の津波へ向けて彼女は宝具を突き刺し──

 

「──『破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)』ッ!!」

 

真名を開放する。

直後、花火が弾けるような軽快な音と共に、円蔵山を丸ごと覆いかけていた泥がまとめて消し飛んだ。

しかし、彼女の表情は優れない。

 

「やっぱり駄目ね……泥自体は大聖杯の術式ともあの巨人の存在とも関係のない副次的なものだから、まとめて消し飛ばしたりは出来ないわ」

「いえ、泥の侵攻を初期化できるだけでも十分です! そのまま辺りの警戒をお願いします──『増幅(アンプリファイア)』!!」

 

彼女が術を唱えるごとに、辺りに散らばった宝石の放つ光が強まっていく。

あまりの光量に、彼女を中心とした一角だけがまるで昼間のようになっていた。

そこへ、いくつかの黄金の武具が飛来する。言わずもがな、ギルガメッシュが撃ち放ったものだ。彼がこちらに対して見向きもしていないところを見ると、おそらく流れ弾である可能性が高い。

そして、真っ直ぐにスペンタマユへの直撃コースを突き進むそれを──

 

「はあっ!」

 

小次郎が一つ残らず弾き落とす。

直撃コースに乗っていなかった武具のいくつかはそのまま脇を通り過ぎ、そのうちの一本がアンリマユの前髪を掠めた。

 

「うひゃあ怖ぇ!! 掠った! 前髪掠ったんだけどちょっと!?」

「やかましい、黙りなさい」

「なんでさ!!」

 

嘆く復讐者。こちらも段々と『殻』本来の性格が出始めてきているが、誰も気にするものはいなかった。

その後も、泥を消し飛ばし、武具を弾き、術を唱え──刻一刻と移り変わる状況に食い下がってく。

しかし、それにも限界はある。

バキンッ!! という甲高い金属音が響いたかと思えば冷や汗を流しながら佐々木小次郎が呟いた。

 

「──これが限界か。刀がなければ私など、路傍の石と変わらんと言うのに……」

 

見れば、彼の持つ刀が刀身半ばで真っ二つになっている。

いかに大雑把な撃ち方をされていようとも、彼が弾いていたのは正真正銘一級品の宝具。

ただの刀では、些か役不足だったか。

折の悪いことに、そこへ一直線に飛来する一本の直剣が。

彼──『佐々木小次郎』の殻を被った誰かは、それを見て覚悟を決めた。

今なお自分目がけて突き進む名もしれぬ宝具へ向けて、折れた刀を静かに構える。

それを見た裁定者は目を剥いた。

 

「ちょっ、正気ですか!? 今さっき自分で言ってましたよね、刀のない自分はクソ雑魚……失礼言いすぎました、とにかく弱いって!!」

「ああ、確かに『この』私はそうだろうな」

 

──だが。

()()()()()、果たしてどうだろうな?

小次郎はそう言って、宝具へ向けて真っ直ぐに突っ込んだ。

そして。

 

「秘剣」

 

 

「燕返し──!」

 

彼は、その言葉と共に折れた刀を振り下ろす。当然、それは目の前の宝具には届かない。

だがどうした事か──その両脇から迫る二本の剣閃。

他ならぬ……否、()()()世界から彼が呼び寄せた剣閃は、その宝具へと寸分違わず叩き込まれた。

轟音と共に、宝具が地面へと突き刺さる。

唖然とするスペンタマユに、彼はこともなげに言った。

 

「なんということは無い、ただの棒振りが生涯をかけて成し遂げただけの児戯だ。だが、剣を撃ち落とす程度など造作もないことよ」

「いやいやいやいやそっちじゃないでしょ! そっちじゃないですよね!? 今明らかに人智を超越した何かが起こってましたよね!? えっ? 貴方本当にただのアサシンなんですかコジロー!?」

「実際そう召喚されているのだからな。それと、私に噛み付く暇があるなら手を動かした方がいい。そら見てみろ、女狐が今にも殺してきそうな勢いでこちらを睨んでいるぞ」

「アッハイ」

 

しかし、そんなふざけた事をしている間で準備は整った。彼女は気を引き締め、この場にいる全員に告げる。

 

「準備完了です! 気をつけてくださいね、割りと何が起こるか分かりませんから!!」

 

そして。

 

 

「──其は白き善なる神、陽のいと聖なる主」

 

「邪悪を許さず、不徳を許さず、不義を許さぬ不滅の聖者(アムシャ・スプンタ)

 

「我が身体(からだ)を、我が精神(こころ)を、我が運命(たましい)を余すことなく捧げよう」

 

「正義と法を生みし知恵ある者よ。我が行い、我が運命、我が成しうる聖なる献身(スプンタ・アールマティ)を此処に」

 

「いざ謳え、今こそ匡正の時来たれり」

 

 

 

 

 

「──『生命綴り捧ぐ聖火(アータル・フラシェギルド)』!!」

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