走り続けてかれこれ数十分。
ようやく、一番近いサーヴァント反応のもとへたどり着くことができた。
ルーラーの特権をもってしてもクラスの判別までは出来ないため、バーサーカーとかち合わない事を願うばかりだが……。
「それにしても、大きな家だなあ」
生前も、こんな大邸宅は見たことが無い。まあ、その生前の知識自体が割かし朧気ではあるけども。
それでも『彼』と違って呪法で名前を剥がれたりとかされていない──むしろ
「これがあのいけ好かないボブ野郎だったら不味かったでしょうけどねー」
脳裏に浮かぶのは、褐色白髪のデトロイト。あれで純日本人だと言うのだから、出会った当初はそれはもう驚いた。
たしかどこぞのミラクルハイパーエキセレントダイナマイツエロティックビーストがどうこうって話だったけど……。
「まあいいや。お邪魔しまーす」
格子の門を開けて入り込む。
入った先から防衛用の魔術と思しき代物が大量に飛んでくるけど、ルーラーなめんな。対魔力も高ランクで持ってますから。
そして、そのまま悠然と屋敷のドアに手をかけようとした、その時。
「──
そのドアを根こそぎぶち抜く形で、一本の矢が飛んできた。
というか、矢じゃなくて思いっきり剣だった。
「とぉおおおおおうっ!!?」
慌てて
ちっくしょー、いきなり手札が一つなくなった!
「まあ、魔力さえあれば
潔く残骸を放り投げ、ついでに右手を思いっきり振り回す。
まとめて振り回される形になった袖から飛び出したのは、大小無数で色とりどりの宝石。
バラバラとあたりに散らばっていくのを確認して、呪を紡ぐ。
「――
バシュッ! と音を立てて、砕けた宝石からこれまた色とりどりの煙が噴き出した。
あっという間に、屋敷の周りがサイケデリックに彩られる。
そしてその煙に紛れて、少女はさっさと撤退していった。
その姿が、先ほどまで相手にしていた主従にしっかり見られているとも知らずに。
先ほどまで激戦(?)が繰り広げられていた屋敷、その二階にて。
双眼鏡を片手に敵を眺める二人組がいた。
そのうちの片方、赤い服のツインテールが口を開く。
「うわっ、本当にそっくりねあいつ」
「そう言ったろう」
「だからってサーヴァントの親類呼ばわりはどうなのよ!? ぶっ飛ばすわよ!」
肩をすくめるこれまた赤い褐色の美丈夫にたいして、うがーっ! ツインテールが噛みつくように叫ぶ。
しばらくして、努めて怒りを抑えているような風に言った。
「……で、相手に関して何か分かった? 私が見る限り、ステータスは中の下くらいだったけれど。しいて言うなら、敏捷値がやたらと高かったくらいね」
「ああ。少なくとも、
「それは見ればわかるわよ。っつーか、あんだけばらまいてやることが煙幕だけって……コスパを完全に度外視してるわよね」
「それに関してだが……少し、気になることがあってね」
「なによ」
ツインテールが訝しげに問いかける。
それに対して、美丈夫が思い切ったように口を開いた。
「彼女が宝石を投げたのは見ていたと思うが……そこがおかしい。いくら袖口が広くとられているといっても、あそこまでの量の宝石を収容できるとはとてもじゃないが思えない」
「!」
「そして、私が狙撃でへし折った剣だが……彼女が投げ捨てた直後に、影も形も消えてなくなった」
「……は?」
唖然とするツインテールに対して、美丈夫はやれやれといった風に、再び肩をすくめて見せた。
「……どうやら、随分と面倒なサーヴァントが呼ばれたようだな。ルーラーであることが唯一の救いか」
「いやー参りました。まさか今代のアーチャーが抑止だとは! なんで教えてくれないのさ
夜の街をとんでもない速度で駆け抜けながら、スペンタマユが吐き捨てる。
そして、袖口から宝石を取り出したかと思うと、それを一息に飲み込んだ。
途端に、ただでさえ速かった彼女の足がさらに速くなる。
目指すは聖杯の在処。
どこにあるかはわからないが、とりあえず諸悪の根源をぶん殴りに行こう。
「待ってろこんにゃろー!」
服装は槍エリの第二再臨を想定。ただし色は真っ白で、スカートももう少し貞淑になっています。