「さてさて。とりあえず今日は全部のサーヴァントに通告しに行きましょう」
教会で胡散臭い神父と心理戦(?)を繰り広げた翌日。
少女は、この周辺て唯一ある山へと歩を進めていた。
円蔵山……だったか。
ココ最近ずっと思っていたが、入口周辺の竹林には対サーヴァント結界が張ってあるし頂上付近にある二つの反応は互いに至近距離なのにぶつかった形跡が見られないし、とにかく怪しさMAXなのだ。これは声をかけるしかあるまい。
……ゴタゴタで随分と行くのが遅れたが。
「ヘエーエ エーエエエー エーエエー ウーウォーオオオォー ララララ ラァーアーアーアー……」
最近この近辺でよく聞く歌(なのか?)を口ずさみながら、階段をひたすら登る。
……長い。
それでも根気よく登り続けていると、二つある反応の内の一つが近付いてきた。
やがて、木造の門らしき何かが見えてくる。それに、和装姿の青年も。
瞬間、彼のステータスが開示された。
つまりあれもサーヴァント。聖杯戦争の参加者だ。
「……うん?」
サーヴァント:アサシン
【真名】
佐々木小次郎(******)
【マスター】
メディア(キャスター)
【ステータス】
筋力C 耐久E 敏捷A+ 魔力E 幸運A 宝具×
【スキル】
心眼(偽)[A]
宗和の心得[B+]
透化[B]
燕返し[―]
【宝具】
なし
「おいこら」
なんということだろう。思いっきりルール違反だった。
ルーラーがいるっつってんのになんでどいつもこいつもやりたい放題なのか。神明裁決で全員自害させるぞ。強制終了させるぞ。
しかも宝具なしってどういう事だ。サーヴァントとして召喚されたのなら、ランクはともあれ必ず宝具を持っているはずなのに。
「……まあ、本人に聞いてみればいいことです」
そのまま階段を登り切り、青年――アサシンに声をかける。
「アサシンですね」
「……む。いかにも、私がアサシンのサーヴァントだ。名を佐々木小次郎という」
「出会って数秒で真名名乗るとかそれでもサーヴァントですかあなた」
ずっと思っていたが、やはり今回の聖杯戦争はずば抜けて頭がおかしい。
存在しないはずの八騎目のサーヴァント、汚染された大聖杯ついでに監督役、抑止の守護者と裁定者の重複……なんなの? ここだけ呪われたりしてる? いや呪われてたな。
「……まあ、真名が云々に関しては私も人のことは言えませんが。どうも初めまして、ルーラーのスペンタマユです」
「ふむ、ルーラーとな。して、何cmだ?」
「違う、そうじゃない」
どうしてそうなる。
ともかく、アサシンの正体、あとついでにキャスターのルール違反も発覚したため、手っ取り早く寺に向かう。
が、このアサシンが鬱陶しかった。
「ああ、待たれよ娘っ子」
「なんですかアサシン。こっちは仕事が山積みなうえにたった今もう一つ増えたせいでイライラしてるんですけど」
「あいやそれは女狐が申し訳ない。だが、それは別としてだな」
瞬間。
しゃりん! という音が響いたかと思うと、アサシンの脇にあった木に斬り跡がついた。
ほとんど中心近くに到達するほどの深い傷だ。一撃でも貰ってしまえば、ルーラーなだけでクソステの少女には致命傷だろう。
そして、スペンタマユの脳裏には腰あたりから両断された自身の姿がありありと浮かんでいた。
「生憎と女狐からの指示でな、ここを通すわけにはいかんのだ」
「……だからルーラーだっつってんでしょうが」
「ええー? ほんとにござるかぁ?」
もうなんか、もうだった。
かくして裁定者の堪忍袋の緒は引きちぎられ、ルール無用の戦闘が幕を開ける。未だに昼間だというのに。
数時間後。
ある武家屋敷のテレビ画面には、
また、現場ではフードを被った麗人によって和装の青年が説教されている光景が。
そして、そこから少し離れた場所で、