面倒くさがりな決闘者のARC-V物語   作:ジャギィ

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第10話

銀河眼の光波刃竜

ランク9 DEF2800

 

このバカヤロウ!!バカヤロウッ!!いくら何でもやり過ぎだろ!?しかも守備表示ってところが一際厄介なんだよチクショウ!

 

そう思っていたのは僕だけではないらしく、アレンも握りこぶしを作りながら大声で抗議する

 

「おいカイト!幾らなんでもやり過ぎだろ!!」

「アレン、今にこいつの実力が分かる」

「ハァ?」

「見ていろ…「銀河眼の光波刃竜」の効果発動!オーバーレイ・ユニットを1つ使い、フィールド上のカード1枚を破壊する!選ぶのは「転回操車」!」

 

光波刃竜(サイファー・ブレード・ドラゴン)」の腕刃が光り輝くと高く飛び上がり、振るった光刃から斬撃が飛び出して、ターンテーブルやレールを破砕する

 

「そして永続魔法「二重露光(ダブル・エクスポージャー)」を発動!この効果により「銀河眼の光波刃竜」を選択し、俺のもう1体のモンスター「銀河眼の極光波竜」は「光波刃竜」と同名扱いになる。カードを2枚セットし、ターン終了時に「光波双顎機」の効果で墓地に送った「光波鏡騎士(サイファー・ミラーナイト)」の効果、デッキから「光波双顎機」を手札に加える。俺はこれでターンエンドだ」

「僕のターン。ドロー、スタンバイ、メイン」

 

引いたカードは「灰流うらら」。ぶっちゃけ初手に来てほしかった

 

状況を整理しよう。相手フィールドには「極光波竜」と「光波刃竜」がそれぞれ攻撃表示、守備表示でいて同名カード扱い、「複葉機」が守備表示。「二重露光」は現状無視していいが、警戒すべきは2枚の伏せカード。事前に「二重露光」を使った事から「光波」系統だと思うが、「光波」はカード化されてないカードも多い(そもそも把握出来てない)から何が飛んでくるか分からない。そもそも汎用罠だって可能性もある

 

つまり…いつも通り先に処理すればいい!

 

「まずは自分フィールドに表側表示のカードがない時、「ライトニング・ストーム」を発動。これは相手の『攻撃表示モンスターを全て破壊する』か『魔法・罠を全て破壊する』かを選んで発動出来る」

「擬似「サンダー・ボルト」と「ハーピィの羽根帚」のどっちかを選べるカード!?」

「「転回操車」を破壊したのが裏目に…」

 

サヤカの言うように、「転回操車」のサーチを止めようとしたのが仇となったな。これでその魔法・罠ゾーンをキレイに吹っ飛ばしてやる!

 

「当然ッ!魔法・罠!!」

「カウンター罠「大革命返し」!!」

「ってハァ!?」

「「ライトニング・ストーム」の発動を無効にし、ゲームから除外する!」

 

立体投影された「ライトニング・ストーム」のカードから嵐の如き雷が降り注ぐが、バリアのようなもので電撃を全て防がれてしまった

 

「なんでそんなカード入ってんの!?」

「何を言う。俺の「光波」は永続魔法と永続罠を多用するデッキ、それらを破壊する対策くらいして当然だろう」

 

ああそうか。1枚2枚割られた程度じゃ機能停止しないことを考えれば、全体除去への対抗策にリソースを割くのは当たり前か

 

でもおかげでとんでもなくピンチだ。デュエリストは僕ら(OCG民)と思考回路が違うせいかどうも読み違えてしまう

 

「仕方ない、フィールド魔法「転回操車」発動」

「2枚目…持っていたのか」

「手札の「灰流うらら」をコストに「ナイト・エクスプレス・ナイト」をサーチ、そしてこのカードは攻撃力を0にする事で妥協召喚することが出来る」

「妥協召喚?」

「…ああ。リリースなしで召喚するって意味」

「なるほど」

 

けたたましい音と光と共に、ランスと盾を持った騎士の上半身がくっついた先頭車両の列車が登場する

 

「機械族、地属性が召喚された事により「デリック・レーン」を特殊召喚、さらに同じ条件のモンスターのみが自分フィールドにいる時「バレット・ライナー」は特殊召喚出来る。共に守備表示」

「レベル10のモンスターがこんなにあっさり…」

「来るか…」

「レベル10の「エクスプレス・ナイト」と「デリック・レーン」でエクシーズ。「超巨大空中宮殿ガンガリディア」をエクシーズ召喚」

 

爆光の中から現れるは、赤い鉄柱をカヌーのように繋げた巨大な空飛ぶ舟とでも呼ぶべき、とてつもない存在感を放つ宮殿だった

 

超巨大空中宮殿ガンガリディア

ランク10 ATK3400

 

「「グスタフ・マックス」じゃない!?」

「でも、大きいよアレン…ソリッドビジョンを最小サイズに設定してあの大きさなんて…」

 

サヤカの言う通り、「ガンガリディア」は最小サイズにも関わらず背後の空間をギリギリ埋め尽くす巨大なモンスターだった。…今後外で活動することも考えて、使うデッキ考え直すか…

 

「「ガンガリディア」の効果。エクシーズ素材を1つ取り除き、フィールド上のカードを破壊、その後1000ポイントの効果ダメージを相手に与える」

「破壊とバーンを同時に行う効果!」

「破壊するのは当然その伏せカード」

 

ビームが裏向きのカードを粉砕。破片がカイトに降り注ぎ、少なくないダメージを与える

 

「くっ…!」

 

天城カイト LP3000

 

破壊したのは…「光波防壁(サイファー・シールド)」?効果はこのカードがフィールドに存在し、同名の「光波」モンスターが2体以上いる限り、そのモンスターは戦闘で破壊されず、効果ダメージは0になる…

 

「………あっ!やらかした!」

 

もし「グスタフ・マックス」を召喚していたら、効果ダメージは0にされるけど「極光波竜」に戦闘耐性も付与されるから、「ジャガーノート・リーベ」のサンドバッグにして2000×2の戦闘ダメージでちょうどライフを削り切れたのに!

 

「クッソ…!エクシーズ素材として墓地に送られた「デリック・レーン」の効果!「銀河眼の光波刃竜」を破壊!」

「エクシーズ召喚した「光波刃竜」が相手の攻撃または効果で破壊された時、効果発動!墓地の「銀河眼の光波竜」を特殊召喚する!」

「また守備表示…!ええい、ランク10の機械族である「ガンガリディア」を素材にエクシーズ!」

「何!?」

「「超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ」をエクシーズ召喚!」

 

超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ

ランク11 ATK4000

 

「こ、こんなエクシーズモンスターが…!」

「すごい……」

 

アレンやサヤカ、大勢のクローバー生がポカンとしている中、カイトだけは強い眼差しで警戒していた

 

「これはあの時の…!」

「「ジャガーノート・リーベ」の効果発動!エクシーズ素材を1つ取り除き、このカードの攻撃力を2000アップさせる!」

「攻撃力6000だと!?」

 

ATK4000→6000

 

「バトルフェイズ!「ジャガーノート・リーベ」で「銀河眼の極光波竜」を攻撃!!」

「迎え撃て、「極光波竜」!!」

「FIRE!!」

「滅尽のサイファー・ストリーム!!」

 

ドォン!!

 

火焔を纏った砲弾が撃たれ、それを「極光波竜」が圧縮した光線で掻き消そうとする。しかし砲弾は猛スピードで光の中を掻き分け、やがてドラゴンの口の中に到達、貫通し、「極光波竜」は悲鳴を上げながら爆散した

 

天城カイト LP1000

 

「ぐぅぅ…!!」

「「ジャガーノート・リーベ」はエクシーズ素材の数だけモンスターに追加攻撃出来る!「光波竜」に攻撃!FIRE!!」

「「光波竜」ッ!」

 

続けざまの砲撃により「光波竜」も失ったカイト。しかし相手にはまだ「複葉機」がいる、油断はしない

 

「メイン2、エクシーズモンスターが戦闘を行ったターン、エクシーズモンスターに重ねてこのモンスターはエクシーズ召喚出来る!」

 

 

「人類最大最後の究極的一撃を以て災禍を撃滅すべし!!「天霆號(ネガロギア)アーゼウス」!!」

 

 

それは星すらも滅ぼせる人類の積み重ね

 

最小サイズでありながらデュエルコートをほぼ埋め尽くしても尚、窮屈そうなほどに巨大な体躯、圧倒的存在感

 

神をも殺す最終兵器がカイトを見下ろしていた

 

 

天霆號アーゼウス

ランク12 DEF3000

 

「なんだ、このモンスターは…!?」

「これで僕はターンエンド」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「嘘だろ」

「カイトが、押されているなんて…」

 

目を疑う光景だった

 

クローバー校最強のあのカイトが押されて、膝をついている。他でもない、自分より弱かったはずの幼馴染の手によって

 

「ひょっとしたら、風斗が勝っちゃうかも…?」

「わ、わからねえ……」

 

正直言って、これはあまりにも高次元なデュエルだった。「光波竜」がフィールドを制圧したかと思えば、見たこともない巨大エクシーズモンスターが圧倒的な火力で「光波竜」を蹂躙する

 

プロ行きが確実と謳われているほどのカイトと読み合い、互角以上にデュエルしている風斗

 

「なんで……」

 

──妬ましい

 

弱かったはずなのに。いつも後ろに着いてきてたはずなのに。引っ張ってやらなきゃいけない奴だったのに

 

気がついたら目の前の、遥か遠くにいて

 

どうして置いていったのだと、どうして引っ張ってくれなかったのだとアレンは喚きたかった

 

「俺のターン…!ドロォオオオッ!!」

 

アレンの心境とは裏腹にデュエルが進む。気迫の籠った渾身のドローは風圧すら生み出し、対戦相手や観客の髪を靡かせる

 

「「貪欲な壺」を発動!墓地のモンスターカードを5枚デッキに戻し、2枚ドローする!」

「ここで「貪欲」!?そういうの(アニメ特有の神引き)本当ズルいなぁもう!」

 

「銀河眼の極光波竜」「銀河眼の光波刃竜」「光波翼機」「光波双顎機」「光波鏡騎士」がそれぞれデッキ・EXデッキに戻り、カイトはそこから逆転出来る2枚のカードを貪欲に狙う

 

「ドローッ!!」

 

カイトは引いた2枚のカードを確認し…

 

カン☆コーン

 

「…来た!俺は「光波双顎機」を召喚!手札1枚をコストに「光波」モンスターを特殊召喚!「光波鏡騎士」をデッキからフィールドに!さらに今墓地に送った「光波異邦臣(サイファー・エトランゼ)」の効果で、デッキから「RUMー光波昇華(サイファー・アセンション)」を手札に加える!」

「「RUM」…!」

「フィールドの「複葉機」の効果により、「光波鏡騎士」と「光波双顎機」のレベルを8に!」

 

レベル4→8

 

『レベル8のモンスターが2体!』

『カイトの勝ちだ!!』

 

観客の勝利宣言をBGMに、カイトは高らかに叫ぶ

 

「俺はレベル8となった2体のモンスターで──」

 

 

「この瞬間、「天霆號アーゼウス」のモンスター効果発動」

 

 

直後、恐ろしく冷え切った声がフィールドに響く

 

「アーゼウス」のオーバーレイ・ユニットが2つ弾けたかと思うと、重厚な音を鳴らしながら胸部を展開し、エネルギーをチャージする

 

「エクシーズ素材を2つ使う事で、「アーゼウス」を除くフィールド上のカード全てを墓地に送る…()()()()()()()()()()()()使()()()()()

『フィールドリセットを内蔵したエクシーズモンスター…!?』

 

誰かが恐れ慄くように呟く

 

強過ぎる、誰もがそう思った。それだけ極悪な効果を持っていながら、エクシーズ次元のデュエリストなら誰でも簡単に召喚出来るほど召喚条件があまりにも緩過ぎるのだから

 

エネルギーを溜め終えた「アーゼウス」はその胸部から、全身から迸る力を解放し…

 

神滅の雷火(ネガロギア・カタストロフ)

 

破滅の光がフィールドを焼き尽くす

 

生き残っているのは、機械で出来た巨躯だけだった

 

「僕の勝ちだな」

 

そう言う風斗。そんな彼に向かってカイトは

 

「いいや」

 

「光波昇華」とは違う最後の手札を静かに

 

「──俺の勝ちだ」

 

 

「死者蘇生」のカードを見せつけた

 

 

「なっ」

「甦れ!!「銀河眼の光波竜」!!」

 

驚く間もなく復活するカイトの相棒。そして最後の1枚が、カイトの勝利へのキーカード

 

「そして「RUMー光波昇華」を発動!「銀河眼の光波竜」を、1つランクが上のエクシーズモンスターにランクアップさせる!1体のモンスターで、オーバーレイネットワークを再構築!!」

 

 

「闇に輝く銀河よ!とこしえに変わらぬ光放ち、未来を照らす道標となれ!!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!!」

 

 

「降臨せよ!!ランク9!

超銀河眼の(ネオ・ギャラクシーアイズ・)光波竜(サイファー・ドラゴン)」ッ!!」

 

超銀河眼の光波竜

ランク9 ATK4500

 

「アーゼウス」に負けず劣らずの巨体がカイトの背後で漂う。星すらも砕く機械の前に、銀河を瞳に宿したドラゴンが雄叫びを上げた

 

完全に形勢は逆転した。「光波竜」の進化系ならば、その効果もより強力になっているはず

 

「…………」

 

「超銀河眼の光波竜」を見上げながら無言を貫く風斗が小さく震える。その震えの元は恐怖か、怒り、悔しさか

 

「……プッ」

 

否、そのどれもが違った

 

「あ───はははははははっ!!あっはっはっはっはっは、はははははははっ!!」

 

笑っていた。大爆笑だった。腹を抱えて大笑いする彼の姿に全員が、カイトですらも目を丸くする

 

「あそこから逆転とかマジかよぉ!信じらんない…いやぁ、ここまで綺麗に負けると逆に清々しいなぁ!!楽しかったー!」

 

こんなに楽しかったデュエルは一体いつぶりだろうかと風斗に取り憑いた名無しの彼は考える

 

元の世界では先行制圧をするかしないかが勝敗を左右し、勝っても負けてもただただ虚無感が勝り、やがて殆ど作業しているだけのデュエルばかりが続いていた

 

無論楽しいデュエルもあったが…ここまで負けを受け入れられる、気持ちのいいデュエルは本当に久しぶりだった

 

外ではアカデミアが侵略している。これはエクシーズ次元の未来を左右するデュエルであり、不謹慎だと思われても仕方がない

 

それでも、彼ははっきりと笑顔で言った

 

「やっぱデュエルはこうでなくっちゃ!!」

「!! ………そうだな…」

 

思い耽るように目を瞑り、微笑みながら呟く

 

そして決意を胸に、カイトは最後の動きをする

 

「「銀河眼の光波竜」からランクアップさせた「超銀河眼の光波竜」は、オーバーレイ・ユニットを全て使用する事で、相手フィールドの全てのモンスターのコントロールを奪い、「超銀河眼」に変える!サイファー・スーパープロジェクション!!」

 

光が「アーゼウス」を照らし、その体を「超銀河眼の光波竜」に変えてカイトのフィールドに移る

 

天霆號アーゼウス→超銀河眼の光波竜

ATK3000→4500

 

「…来いよ!」

「「超銀河眼の光波竜」で、風斗にダイレクトアタック!!」

 

空っぽのフィールドを見据えた「超銀河眼」が口の中に熱を溜め…

 

 

「戦慄の、サイファー・ストリームッ!!」

 

 

光の奔流が、ライフポイントを全て減らした

 

白星 風斗 LP0

 

 

 

座り込んだ風斗に歩み寄るカイト

 

「強かったよ、カイト」

「俺もだ。お前とデュエル出来たことを、心の底から誇りに思う」

「照れるなぁ」

 

顔をほんのり赤くして頭を搔く。しばらく経って、風斗は拍手しながら言う

 

「リーダーおめでとう…ところでさ?さっき強いって言ってくれたんだから監禁するマネなんてしないよね?自由あるよね?」

 

ちゃっかり目的を達成しようとする辺り、彼は強かだった。しかしそんな彼の思考が筒抜けなように、カイトは笑う

 

「ああ、そんな事はしないと約束しよう……俺がリーダーになれれば、の話だが」

「へ…?」

「みんな、聞いてくれ!」

 

クローバー校生ほぼ全員の熱視線を浴びてることに気づかない風斗をよそ目に、カイトが聞く

 

「俺はやはり、風斗こそがリーダーに相応しいとこのデュエルを通じて強く思った!!俺達が失おうとしていたものを取り戻してくれた彼こそをリーダーにしたい!!…賛成してくれるか!?」

『おうっ!!』

「へ?」

 

その返事を皮切りに、大勢の生徒が風斗を囲み、揉みくちゃになりながら話し掛ける

 

「すげぇデュエルだったぜ!!」

「カッコよかった!」

「あんなに強かったなんて知らなかったぞ!」

「一緒にアカデミアを倒そう!」

「頼りにしてるわ、リーダー!」

『リーダー!リーダー!リーダー!』

 

鳴り止まぬ称賛とリーダーコール。思考停止していた彼は、やがて状況を飲み込み始めると小さくプルプル震え…

 

 

「どおしてだよお"お"お"お"お"!!!」

 

 

地下カジノに連れていかれた惨めな男のように絶叫するのだった

 

 

 

…それを遠くで見ている少年と、そんな彼を心配している少女に気づかず…

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