面倒くさがりな決闘者のARC-V物語   作:ジャギィ

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第12話

ギャップというものをご存知だろうか?

 

単語としての意味は裂け目・割れ目・隙間・隔たり・欠落・空白・相違・格差・不均衡といったところか。そこから更に突っ込んで、悪そうな見た目に反して凄くいい奴だったとか、なんでも完璧な女の子が実は料理だけは壊滅的に苦手だとか、印象と現実に大きな相違・格差を感じるという俗な意味合いがある

 

僕は今…それを身をもって体感してる

 

ギミックパペットージャイアントキラー

ランク8 DEF2500

 

「う、嘘だぁあああああっ!!」

 

空光が!あのお淑やかで!上品で!優しくて!完璧超人な空光がⅣ枠ゥ!?何の冗談だよオイ!?

 

 

(フォー)」。本名、トーマス・アークライト。この世界の前作、「遊戯王ZEXAL」の1期に登場した敵キャラであり、甘いマスクと物腰柔らかな性格、日本チャンプになるほどのデュエルの腕を持った完璧超人──というのは仮の姿

 

その本性は「希望を与えられ、それを奪われた時に見せる美しい顔を相手に与える」ことをファンサービスと称する生粋のサディストであり、初登場回ではその凄まじいインパクトで遊戯王界隈を賑やかしたほどの男だ

 

そう、男…IVは本来男なのだ。確かに、“白星ふうと”の幼馴染である神月アレンのモチーフである「神月アンナ」も女の子であった事を考えれば、性別が変わってても不思議ではない…不思議ではないが

 

ギャップがっ!IV以上に!激しいんだよっ!!

 

 

この世界で4番目には仲が良い子が晒した本性によるギャップで脳が焼き切れそうだ。4番目に仲が良いだけにⅣ枠ってか?やかましいわっ!

 

待てよ、もしかしてⅣだから四葉(ヨツバ)って名前……あ、ああ!よく考えたら空光ってのも

 

空光(あきひかり)(あく) (ライト)→アークライト

 

…って読めるじゃん!?事前知識なしじゃ分っかんねえよこんなの!

 

「ウフフフフ、楽しい楽しいファンサービスの始まりです!」

「おのれ!本性を表したな悪鬼め!」

「これが『エクシーズキラー』と噂されるモンスターか…!」

「ちょっと待て聞き捨てならないワードが!」

 

そりゃ「エクシーズキラー」だろうよ!そりゃ強いだろうよ!エクシーズ次元限定ならこいつほど猛威を振るうモンスターはそうそう居ないよ!

 

「さあ、無駄話はおしまいですよ!「ジャイアントキラー」のモンスター効果!オーバーレイ・ユニットを1つ使用し、相手の特殊召喚したモンスターを1体破壊!」

「させん!永続罠「幻影霧剣」発動!このカードの対象となったモンスターは攻撃と効果の対象にならず、自身の効果も無効化される!これで「ジャイアントキラー」を…」

「速攻魔法「サイクロン」!」

 

公開された「幻影霧剣」から亡霊を纏う剣を射出されるが、同じく「サイクロン」から吹き出した竜巻が霊剣ごと「幻影霧剣」のカードを粉砕する

 

「「幻影霧剣」破壊!永続罠である「幻影霧剣」は効力を失いますわ!」

 

「ジャイアントキラー」の手から伸びた複数の糸が「ブレイクソード」を捕え、自分の元に引っ張ろうとするが…

 

「ならば俺はさらに「幻影翼(ファントム・ウイング)」を「ブレイクソード」を対象に発動!「ブレイクソード」の攻撃力は500ポイントアップし、このターン戦闘及び効果では1度だけ破壊されない!」

 

翼の幻影がデュラハンの背中で羽ばたいかと思うと「ブレイクソード」は糸を力ずくで引きちぎった

 

ユートは安心した顔をするが、そこで因士が叫ぶ。そう、「ジャイアントキラー」は…

 

「ダメだ!「ジャイアントキラー」の効果は!」

「そう、残念ですが「ジャイアントキラー」は1ターンに2度までこの効果を使えますの」

「なんだと!?」

「「ジャイアントキラー」の効果を再び発動!」

 

掌から飛んだ細い糸が、今度こそ「ブレイクソード」を捕らえる。そのままゆっくりと「ジャイアントキラー」の方に引っ張られる「ブレイクソード」に待つのは……開かれた胸部の入り口で凶悪に回転する粉砕機

 

「な……ま、まさか!?」

 

ユートが察するがもう遅い。「ジャイアントキラー」の胸部まで引っ張られた「ブレイクソード」は粉砕機に無理やり引きずり込まれる

 

『グォォォォォッ!!』

 

苦悶の声をあげ必死に逃れようと抵抗するが、抵抗虚しく嫌な音を立てながら徐々に粉砕されていく

 

ギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!!!

 

『グォオアアアァァァァッ!!』

「ブ、「ブレイクソード」…」

 

あまりに凄惨な光景に会場にいるチビッ子達は泣き喚き、それ以外は殆どが閉口する。ハート校の生徒だけが慣れた風に眺めていて、空光に至っては鼻歌を歌ってる始末。じゃ、邪悪が過ぎる…!

 

「そして、破壊したモンスターがエクシーズモンスターならば、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージをコントローラーに与えます!」

「何!?」

 

そして「ブレイクソード」を粉砕し切った胸部の穴から巨大な砲塔が顔を覗かせ、赤いエネルギーをユートに放つ

 

「ディストラクション・カノン!!」

「ぐわああああっ!!」

 

ユート LP2000

 

「くっ…しかし、「幻影騎士団」は倒れない!破壊された「ブレイクソード」のモンスター効果!墓地の「幻影騎士団」を2体特殊召喚し、そのレベルを1つ上げる!甦れ、「幻影騎士団」達よ!」

 

幻影騎士団ティアースケイル

幻影騎士団サイレントブーツ

レベル3→4

 

「あら、モンスターを残しちゃいましたか…では、わたくしはカードを2枚セットして、ターンエンドしますわ」

「僕のターン、ドロー、スタンバイ、メイン」

「…何故わざわざフェイズ宣言を?デュエルディスクが自動でしてくれますのに」

「クセになってんだ、フェイズ宣言するの」

 

あとアニメ特有の「発動してたのさ!」を極力避ける為。演出としては必要かもしれんが実際にされたら溜まったもんじゃない

 

しかし「ギミックパペット」かぁ…今使ってるデッキとの因果を感じさせてくれるな…

 

「僕は手札の「サイレント・アングラー」をコストに「ワン・フォー・ワン」発動。デッキのレベル1モンスター「鰤っ子姫(ブリンセス)」を特殊召喚。「鰤っ子姫」は召喚・特殊召喚時に自身を除外、デッキから「鰤っ子姫」以外のレベル4以下の魚族を特殊召喚出来る。「カッター・シャーク」を特殊召喚」

 

フィールド上にティアラを被った小さい鰤のプリンセスが現れる。それは除外する際の穴を通って即座に消えるが、入れ違うように赤紫の体皮が目立つ、ヒレに丸鋸がついた機械めいた鮫が出てくる

 

「魚族?聞いていたデッキと内容が違う…」

 

ユートが呟く。約2週間の間、会敵したアカデミア兵は全部「列車」パワーで瞬殺していたからな。聞いていたとはきっとその時のデュエル内容だろう

 

「お前らを同時に相手して脳筋デッキで勝てるとは思っちゃいないさ。自分フィールドの水属性モンスター1体を選択して「カッター・シャーク」の効果を発動する。対象は「カッター・シャーク」自身。対象と同じレベルでカード名が異なる魚族を守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン効果は使用出来ない。「ライトハンド・シャーク」を特殊召喚」

「レベル4のモンスターが2体…!」

「「カッター・シャーク」と「ライトハンド・シャーク」でエクシーズ召喚」

 

頭上の穴からストロビラ幼生と呼ばれるクラゲを模した塔型の何かが現れる

 

それの中心が展開して黄色い球体の口内と赤い目を見せ、鋭い刺胞(しほう)を備えた触手を生やす。そして胴体の左右から伸びた刃状の突起部分、その右側に独特な「04」の数字を浮かび上がらせる

 

「偉大なる先輩、ここに降臨。「No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン」」

 

巨大なクラゲの怪物が、眼下のデュエリスト3人を睥睨した

 

No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン

ランク4 DEF1500

 

「な、「No.」!?」

「何!?」

「ど、どうして風斗さんが「No.」を!?」

 

驚きの反応を見せる3人。特に空光の動揺はひとしお大きい

 

「風斗さん、いったいそのエクシーズモンスターをどこで手に入れたのですか!?教えてください!」

「カードは拾った」

「こんな時にふざけないで下さいます!?」

 

怒られた

 

とはいえ、こことは違う世界のパックで当てたと言われても正気を疑われるだけだし、どうしたものか…あ、そうだ

 

「ある日突然、これらのカードが入った箱が部屋から見つかってな…言っとくけどこれは本当だぞ。絶対に嘘はついてない」

 

1番大事なとこは隠してるけど

 

「そんなこと…しかし…でも…」

 

中々事実を呑み込めないのか、うんうん唸ってるが今はデュエル中だと言うことを思い出してもらおう

 

「「ステルス・クラーゲン」がフィールドにいる限り、全てのモンスターは水属性となる」

「小癪な!」

「そして「ステルス・クラーゲン」は自分・相手メインフェイズに1度だけ、相手フィールド上の水属性モンスター1体を破壊し、さらにその攻撃力の半分のダメージを与える」

「「ジャイアントキラー」と同じ効果!?この為にわたくし達のモンスターを水属性に…」

「いや、「ジャイアントキラー」と違いエクシーズでなくともダメージを与えてくる。しかもこちらのターンでも効果が使えるとなれば、俺達は容易にモンスターが出せなくなる…!」

 

ユートの言うように、これは僕なりに考えたバトルロイヤル…というより対アカデミア用に構築したデッキ(ver.エクシーズ)だ。切り札1体出すだけで満足する事が多いこの世界のデュエリストは、このモンスターを1体出しただけで大抵積む

 

てか「ステルス・クラーゲン」が1番有効に働いてるだけで、元々「バハムート・シャーク」からの「餅カエル」や「深淵に潜む者」、「未来皇ホープ」からの「未来竜皇ホープ」に「アーゼウス」まで妨害札はなんでもござれだ。おまけに「御前試合」も入れてる為、「ステルス・クラーゲン」がいる状態で出されればエクシーズ次元で突破出来る人間はいな…いや、ユートや黒咲やカイト辺りは超えてきそうだな

 

「さあどうする?カードを発動するタイミングは今ここしかないぞ?」

「さらに対象を選ばない効果…!?くっ…」

「速攻魔法「天架ける星因士」を発動!ぼくの「デネブ」をデッキに戻し、代わりに「ベガ」をデッキから特殊召喚する!更に「ベガ」が特殊召喚に成功した時、手札から「シリウス」を特殊召喚!」

 

白鳥の戦士が因士の元に帰り、代わりにこと座としし座を司る戦士が飛び出してくる

 

「…仕方がないですね!わたくしの場に「No.」が存在する時、このカードは発動出来ます!永続罠「ナンバーズ・ウォール」!」

 

あれは…なんだっけか?マイナー過ぎてよく覚えてないが、ここで使うということは破壊耐性付与か?

 

「このカードがある限り、()()()()()()()()N()o().()()は効果で破壊されなくなり、さらに戦闘でも「No.」以外の戦闘では破壊されなくなります!」

 

うん?それってつまり…

 

「ただし、わたくしの「No.」モンスターが破壊されれば、このカードは破壊されます!」

「ちょっと待ったぁ!それだと(風斗)が出した「No.」も強化されないかい!?」

 

因士の言う通り、「ナンバーズ・ウォール」のテキスト通りならこっちの「ステルス・クラーゲン」も戦闘・効果耐性が付与されることになる

 

でも先輩(ステルス・クラーゲンを指している)は「ライトハンド・シャーク」をエクシーズ素材にしてるから戦闘耐性は既に付いてるし、効果破壊に対しても先輩独自の対策があるから、ぶっちゃけ特に恩恵がないから面倒臭い

 

「しょうがないでしょう!?こうでもしなければこちらの「ジャイアントキラー」が破壊されるのですから!」

「だからってあんな厄介なモンスターに塩を送るかい普通!?」

「うるさいですわね!あなたって人はいつも!」

「なにおう!?」

「なんですか!?」

 

ええいやかましいっ!喧嘩を中断させる為にデュエルを強引に続行させよう

 

しかしどうしたものか。「ジャイアントキラー」は論外として、「ベガ」を破壊しても因士の手札には「アルタイル」があるから、もし別の「星因士」がいればエクシーズ召喚される

 

一方ユートも厄介だ。「ダーク・リベリオン」の召喚を阻害するという意味では「幻影騎士団」を狙ってもいいと普通は考えるが、「幻影騎士団」は墓地除外で発動出来る効果持ちが殆どだ。ユートの場に残ってる「ティアースケイル」は墓地からの蘇生、「サイレントブーツ」はサーチ

 

ここは…

 

「……僕は「ステルス・クラーゲン」の効果を「幻影騎士団ティアースケイル」に使う」

 

「ティアースケイル」なら墓地蘇生を使われてもレベル4になっている「サイレントブーツ」とはレベルが合わないからエクシーズ召喚は出来ない。ダメージが少ないのは残念だが、サーチされて逆転札を手札に加えられるよりは遥かに良い

 

「ポイズン・スティックス」

 

4本の触手が伸び、刺胞を鎧の亡霊に突き刺す。毒は何故か幽霊にも有効で、「ティアースケイル」は苦しみ悶えたのちに消滅した

 

ユート LP1700

 

「くっ…!」

「カードを2枚伏せてターンエンド」

 

()()()は終えた。残り手札は2枚、後は破壊カードを引かれなければどうにかなるはず

 

「僕のターン、ドローゥ!」

 

やたらキザったらしい態度と共にドロー時の掛け声がエコーする。挙動の一々がうぜぇ…

 

「スタンバイフェイズに永続罠「御前試合」発動」

「「御前試合」?なんだいそれは?」

「このカードがフィールド上に存在する限り、互いにフィールド上に存在するモンスターは()()()()()()()()()()()()に制限される」

「ハッハッハ!じゃああまり意味はないねえ。何せ僕の「テラナイト」モンスターは光属性で統一されているからね!相性が悪かったね!」

 

「御前試合」が、自分のデッキには効かない事に高笑いする因士の姿を見て、内心ほくそ笑む。ああ、確かに相性は『悪い』な…

 

「…………まさかっ!?」

 

そして因士がモンスターを召喚する直前、空光が状況に気づいて青ざめる。もう気づいたのか?流石だな空光

 

「さあ行くよ!「星因士デネブ」を召喚!」

 

ビーッ! ビーッ!

 

「うわっ!?エ、エラー?どうして?」

「言ったろ、一種類の属性しか場に出せないって」

「何言ってるんだい!?僕が召喚しようとしたのは光属性の「デネブ」!僕のフィールドにいるモンスターは…全て…」

 

大声で抗議する因士だが、自分フィールドに存在するモンスター達の属性を見て、徐々に声が小さくなっていく

 

「み、『水属性』……」

「そう、お前達のモンスターは全て「ステルス・クラーゲン」により水属性に変わっている。「ステルス・クラーゲン」と「御前試合」、どちらかを処理出来なければ水属性以外のモンスターの召喚は不可能だ」

「な、なんだと…!?」

 

3人はそれぞれ闇、光、闇属性モンスターを主軸としたデッキ。当然エクストラデッキのモンスターも統一されていることを考えれば…

 

「さあ、どうする?」

 

苦々しい表情を浮かべるユートと空光と因士を前に腕を組みながら、僕は問い掛けるのだった




安易にバトルロイヤルなんて書くもんじゃないね。長いし考える事多いしで大変だもん
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