面倒くさがりな決闘者のARC-V物語   作:ジャギィ

4 / 12
大雨のせいで出かけられない。ああ、ぐらんぶるとこのすばの新刊買おうと思ってたのにぃ……


第4話

サヤカと瑠璃のデュエル、それはサヤカから始まって6ターン目に終わりを迎えた

 

「「フェアリー・チア・ガール」で攻撃!!」

 

サヤカが操るエクシーズモンスター。チアガールのような格好の妖精「フェアリー・チア・ガール」が攻撃をする。瑠璃の切り札である腕が翼になっている鳥人「LL(リリカル・ルスキニア)–アセンブリー・ナイチンゲール」に命中し、瑠璃のライフを削りきった

 

「きゃああああ!!」

 

ソリッドビジョンの衝撃が瑠璃を襲うが、食らったのは攻撃の余波だったためケガなどはせずに済んだ。そのままペタリと座り込む瑠璃

 

《WINNER!!SAYAKA!!》

『勝者!クローバー校1年、笹山サヤカ!!』

 

ワアアーーーー!!!

 

デュエルの決着に観客たちは歓声と拍手で建物内を埋め尽くした

 

「おっしゃあ!サヤカの勝ちだ!!」

「瑠璃もなかなかに接戦はしていたけどな。……やっぱり火力不足なところがあるか」

「だよなぁ。もっと攻撃力の上がる装備魔法とか入れとけば低い攻撃力を補えるからな」

 

サヤカの勝利を喜びながらもアレンは瑠璃のデッキの弱点を口にするが、僕がこぼした火力不足という言葉は瑠璃一個人ではなくこの世界全体に向けての言葉だった

 

(エクシーズモンスターは出しやすい代わりに全体的にステータスが低い。それを補うエクシーズ素材を使った効果は凄まじい効果を持つ奴もいる…が、微妙だったり限定的だったり挙げ句の果てに使えない効果だったりが大半以上だ。しかも中にはエクシーズ素材にカテゴリや種族指定のモンスターもいるから、汎用性が高く強いカードなんかごく一部しかない。それこそ前の世界じゃ相手の使うカードを特定できる程度には)

 

だけど油断はできない。あくまでそれは汎用性を突き詰めた結果だ。「ヴェルズ・オピオン」や「バハムート・シャーク」からの「餅カエル」のコンボなど、カテゴリ・種族統一に入るエクシーズにだって強力な奴はたくさんある

 

「…うん?」

 

そんな考え事をしていると、デュエルを終えたハズのサヤカと瑠璃が話し合っていた。あれは……サヤカが瑠璃にカードを渡している?

 

(もしかして今、あのシーンなのか?)

 

それはアニメ終盤の回想で出てきた話のことである。デュエルを終えた瑠璃がサヤカからフェイバリットカード「リトル・フェアリー」を受け取ったのだが、黒咲隼がその馴れ合いを許さず瑠璃の持った「リトル・フェアリー」のカードをはたき落とすといったことが語られたのだ

 

正直本編にはほぼ関係ない小話といったところなのだが、そこで1つの欲求が浮かぶ

 

(今のタイミングなら、ストーリーに関与せずに主要キャラと話したりできるんじゃないか?)

 

何事もなく元の世界に帰りたいと思う一方、できるなら主要人物と話したりデュエルしたりできたらと思ったりもするのだ。なにせ元の世界に戻ればこんな機会は絶対来ないのだ。来ても困るが

 

でも下手に主人公たちに関わって元の世界への手がかりとかが得られなかったら意味がない。一刻も早く帰りたくもある、だからこそ諦めてスタンダード次元に逃げて一般人に成りすまそうと考えていたのだが…

 

(だとしたらチャンスは今しかない!)

「オイ!?どこ行くんだよ風斗!」

 

アレンが何か言ってるが聞いているヒマはない

 

“思い立ったが吉日”の言葉通り、僕は急いでデュエルコートに向かうために観客席を後にした

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「瑠璃、もらうんじゃない」

「兄さん!」

 

「リトル・フェアリー」を受け取ろうとする瑠璃に対して、デュエルコートに下りてきた黒咲はそう言う

 

デュエリストにとって大切な自分のカードを他人にやすやすと渡そうとするサヤカの行動を理解できない黒咲は、瑠璃に近づいてカードをはたき落とそうと手を振るい

 

ガシッ

 

「人のカードをはたき落とそうとは、穏やかじゃないな」

「ッ!?」

 

横から伸びた手が腕を掴んで止めた

 

「誰だ!」

「なに、ただのサヤカの知り合いだ」

「風斗、どうしてここに!?」

 

伸びた手の正体は僕のものだ。手を振り払おうと黒咲が腕を動かすのでこっちもパッと手を離す

 

「下がってろ」

「え?」

 

瑠璃をかばうように黒崎の前に立つ。瑠璃は困惑しながらもサヤカの方へ下がっていった

 

「なんのつもりだ?」

「いや、正直僕も関わる気はあんまなかった」

 

小馬鹿にするようにため息をついてから、強く睨みつける

 

「でも…カードをはたき落とそうとしたな。僕はカードを大切にしないヤツは許せない(タチ)なんでね」

「彼女はその大切なカードを気安く瑠璃に渡そうとした。己の魂といえるカードを渡すなど、デュエリストとして許されることでない」

 

デュエリストとしての誇りが高い黒咲らしい弁論だった

 

「だとしてもそれを他の人間に押し付けていいワケにはならない。たとえ相手が肉親でもな」

「…なにが言いたい」

「言わなくてもわかるだろう」

 

左腕にデュエルディスクを装着する様を見せつける。つけたのは今が初めてだが、まるで何年も扱ってるかのように体は自然と動いた

 

「意見の押し付け合いはコイツの専売特許だろ?」

「デュエルでこの俺を黙らせる気か…いいだろう」

 

どうやら向こうも乗り気らしい。先ほど瑠璃が立っていた場所に立ってデュエルディスクを構える

 

こちらも距離をとって対面するように立ち、デュエルディスクから赤いプレートを出現させる

 

サヤカたちも移動を終えたらしい。観客席を見るとアレンとカイトがいる場所にサヤカと瑠璃、そしてユートも一緒に来ていた

 

「さてと、やれるだけやってみるか」

 

デッキは宿主さまの「代償ガジェ」、エクストラの中身は貧相、しかもこの世界で初のデュエルで相手はアニメでも屈指の実力者だ

 

全力を尽くそう

 

 

 

「デュエル!」

「デュエル」

 

 

白星 風斗 LP4000 手札5枚

VS

黒咲 隼 LP4000 手札5枚

 

 

「先行はお前からだ」

「そうか。僕のターン、スタンバイ、メイン」

 

アニメじゃほとんど明言されることがないフェイズ宣言をしながら手札を見る

 

(「グリーン・ガジェット」「レッド・ガジェット」「血の代償」と「マシンナーズ・フォートレス」が2枚か…「グリーン・ガジェット」を召喚してサーチした「レッド・ガジェット」を使って「フォートレス」を出しとくのが無難か)

「まず僕は「グリーン・ガジェット」を召喚」

 

手札の「グリーン・ガジェット」を赤いデュエルディスクの真ん中に置く。すると光と共に姿を現したのは、緑色の大きな歯車に手足がちょこんと生えたモンスターだった

 

「おお、これが…」

 

初めて自分で召喚したモンスターに感動を隠せない。出したのは素材程度にしか使わないモンスターだが、今の僕にはキラキラに輝いているように見えた。グリーンなのにゴールドやシルバーに見えるよ

 

「何を(ほう)けている。早くターンを進めろ」

「あ……悪い」

 

デュエル中に遅延とも言える行為をしたこっちに非があるため、素直に謝った

 

「じゃあ仕切り直して、召喚に成功した「グリーン・ガジェット」の効果。「レッド・ガジェット」をサーチする」

 

デッキから飛び出した1枚を手に取るとそれは「レッド・ガジェット」。デュエルディスクって便利だなと思いながら僕はそれを黒咲に見せる

 

「そして手札の「マシンナーズ・フォートレス」の効果。合計レベル8以上の機械族を手札から墓地に送ることで手札・墓地からこのカードを特殊召喚できる。さっき手札に加えた「レッド・ガジェット」と「フォートレス」自身を墓地に送り、「フォートレス」を墓地から特殊召喚」

 

2枚のカードが墓地に送られる演出が出ると、そこから轟音と共に巨大な戦車型マシンが出てくる。戦車とは思えぬ威圧感は“要塞”の名に相応しい

 

「1枚伏せてターンエンド」

 

 

白星 風斗 LP4000 手札2枚

 

グリーン・ガジェット

レベル4 ATK1400

マシンナーズ・フォートレス

レベル7 ATK2500

 

伏せカード 1枚

VS

黒咲 隼 LP4000 手札5枚

 

 

「攻撃力2500の上級モンスターを出してきたか。だがその程度の実力で俺を倒せるなどと思うな!」

 

凄まじい気迫を発しながら黒咲はカードをドローした。デュエルは始まったばかりだ




初のデュエル回!!でも途中で区切ります!

主人公の最初のデッキが「代償ガジェ」ですが、この時点ではまだ「血の代償」は禁止カードじゃないと思っていてください

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。