面倒くさがりな決闘者のARC-V物語   作:ジャギィ

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お待たせしました。やっぱデュエル回となると文字数が長くなりました。具体的には5000文字くらい


第5話

白星 風斗 LP4000 手札2枚

 

グリーン・ガジェット

レベル4 ATK1400

マシンナーズ・フォートレス

レベル7 ATK2500

 

伏せカード 1枚

VS

黒咲 隼 LP4000 手札5枚

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

黒咲の方を見ながら考える。「マシンナーズ・フォートレス」の攻撃力は2500、しかし特殊召喚したモンスターだ。つまり黒咲のデッキカテゴリである「RR(レイドラプターズ)」エクシーズモンスターに多い、特殊召喚モンスターに対して発動する効果が使えるということだ

 

「俺は「RRーバニシング・レイニアス」を召喚!」

 

黒咲が最初に召喚したのは展開のためのモンスター。脚部が輪っか状になっている濃緑の鳥が現れる

 

…しかしこうして実際にソリッドビジョンで見ていると、鳥獣族じゃなく機械族の間違いだろと思ってしまう見た目だな「RR」モンスターは

 

「「バニシング・レイニアス」は召喚に成功した時、手札の「RR」1体を特殊召喚できる。俺は手札の「トリビュート・レイニアス」を特殊召喚!」

 

甲高い声を上げて「トリビュート・レイニアス」が姿を現す

 

「「トリビュート・レイニアス」は召喚・特殊召喚に成功した時、デッキの「RR」カード1枚を墓地に送る。デッキの「RRーミミクリー・レイニアス」を墓地に。そして「ミミクリー・レイニアス」は墓地に送られたターン、墓地のこのカードをゲームから除外することで「RR」カードを手札に加えることができる。俺は「RRーレディネス」を手札に加える!」

 

デッキから1枚のカードを手札に加えると、次に別のカードをデュエルディスクにセットする

 

「俺は永続魔法「RRーネスト」を発動!このカードは自分フィールドに「RR」モンスターが2体以上いる時、デッキ・墓地の「RR」モンスター1枚を手札に加えることができる。効果でデッキから「ファジー・レイニアス」を手札に加える。そして「ファジー・レイニアス」は1ターンに1度、自分のフィールドに「ファジー・レイニアス」以外の「RR」モンスターがいる時、手札のこのモンスターを特殊召喚できる!守備表示で特殊召喚!」

 

ぐるぐる回り、さらにモンスターを特殊召喚する黒咲。さて、守備を固めるか?それとも攻めるか?

 

(レベル4のモンスターが3体…来るぞ、遊馬!!)

「俺はレベル4の「バニシング・レイニアス」「トリビュート・レイニアス」「ファジー・レイニアス」の3体でオーバーレイ!!」

 

ふざけたことを考えてる間に3体のモンスターが闇色の球体に変化する。そしえ僕と黒咲の間に現れた宇宙のような渦に飲み込まれていく

 

「雌伏のハヤブサよ。逆境の中で研ぎ澄まされし爪を挙げ、反逆の翼っ翻せ!!!」

 

さながらビッグバンのような爆発が起こり

 

「現れろォ!!ランクッ4!!「RRーライズ・ファルコン」!!!」

 

6枚の大きな翼を翻す黒いハヤブサが姿を見せた

 

RRーライズ・ファルコン

ランク4 ATK100

 

ここで「ライズ・ファルコン」を出してくるか。黒咲の初手を考えればサーチ効果を持った「フォース・ストリクス」2体を並べることだって可能だった。でも防御を固めてこないということは

 

(こっちのリソースを削る気か)

「「ライズ・ファルコン」のモンスター効果!オーバーレイユニットを1つ使うことで、ターンの終わりまで相手フィールドの特殊召喚されたモンスター全ての攻撃力を「ライズ・ファルコン」の攻撃力に加える!」

 

隼の周りで衛星のように動く3つの光の玉。そのうちの1つが弾けると「ライズ・ファルコン」の体が炎を包まれた

 

ATK100→2600

 

しかし不可解だ。これでは与えられるダメージはたかだか100、こっちがもっと特殊召喚したモンスターを出してからの方がダメージを多い。下手すればライフを全部消し飛ばすことだってできるのに

 

それに「フォートレス」は戦闘破壊されればフィールド上のカードを1枚破壊できる効果もある。だというのに「ライズ・ファルコン」を出してきたということは効果を知らないってことなのか?アニメの世界じゃ効果を知らず驚くことはよくあることだし十分ありえるか

 

「さらにオーバーレイユニットとして墓地に送られた「ファジー・レイニアス」の効果で、デッキから同名カード1枚を手札に加える。バトルだ!「ライズ・ファルコン」で「マシンナーズ・フォートレス」を攻撃!」

 

「ライズ・ファルコン」が天井ギリギリまで上昇する。そしてそのまま勢いよく急降下し、炎を纏った脚の爪で「マシンナーズ・フォートレス」を切り裂く

 

「「ブレイブクロー・レボリューション」!!!」

 

ズパァンッ!!

 

爪による破壊痕が機体に刻まれる。青白い電気をバチバチ散らしながら「マシンナーズ・フォートレス」は破壊された

 

白星 風斗 LP3900 手札2枚

 

しかし飛び散った機体のパーツが散弾銃の弾のように「ライズ・ファルコン」に殺到し、パーツが直撃すると「ライズ・ファルコン」も「フォートレス」と同じ末路を辿った

 

「クッ…」

「「フォートレス」は戦闘破壊されたらフィールドのカード1枚を破壊する。対象は「ライズ・ファルコン」」

 

結局、何がしたかったのかさっぱりだよ

 

「俺がそのモンスターの効果を知らないと思っていたのか?「ライズ・ファルコン」が破壊された時、手札から速攻魔法「RUM(ランクアップマジック)ーラプターズ・フォース」を発動!」

「?」

 

だが黒咲の目には「ライズ・ファルコン」が破壊された驚愕などなかった。破壊と同時に発動してきた「RUM」がなんなのか思い出せずにいると黒咲はエクストラデッキからカードを取り出す

 

「このカードは俺の「RR」エクシーズモンスターが破壊され墓地に送られたターン、破壊されたモンスターを特殊召喚する。そしてそのモンスターよりランクが1つ上の「RR」エクシーズモンスターにランクアップさせる!!」

「……ああ、あったなぁそんなカードが」

 

黒咲の説明で使用されたカードの中身を思い出す

 

つまり黒咲は僕が「ライズ・ファルコン」を効果破壊するところも読んだ上で「フォートレス」を処理しに来たのか

 

(てことはここで「ブレイズ・ファルコン」が飛んでくるというわけかな。少なくとも僕なら出す)

 

そんなことを考えてるうちに、黒咲の場に復活した黒い隼が紫の流動する球体に変わっていく

 

「獰猛なるハヤブサよ。激戦を切り抜けしその翼翻し、寄せ来る敵を打ち破れ!」

 

燃え盛る火炎を纏った鳥のようなシルエット

 

「ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!」

 

ボシュゥゥ!

 

「現れろ、ランク5!「RRーブレイズ・ファルコン」!!!」

 

熱風とともに目覚ましいまでに赤い体のハヤブサが雄叫びの声をあげた

 

RRーブレイズ・ファルコン

ランク5 ATK1000

 

「「ブレイズ・ファルコン」はオーバーレイユニットを持つ時、相手プレイヤーにダイレクトアタックをすることができる!」

 

「ブレイズ・ファルコン」は宙に浮いた体を動かして僕の真上に移動し

 

「「迅雷のラプターズ・ブレイク」!!!」

「ゔっ!?」

 

まさかの電撃を落としてきた。身構えていたとはいえ想像以上の攻撃に思わず叫び声が漏れてしまった

 

白星 風斗 LP2900 手札2枚

 

「風斗!!?」

 

軽く横を向くとアレンが焦燥に満ちた顔で今にも観客席から入ってきそうなほど柵を乗り出してこっちを見ていた

 

「痛い、い、痛…ッ痺れ過ぎて逆に痛い……1000ダメでこれって…」

「随分と想定が甘い奴のようだな。だがまだこんなものではない!「ブレイズ・ファルコン」は戦闘ダメージを与えた時、相手フィールドのモンスターを1体破壊する!」

「あ、ヤバッ」

 

前を向くもすでに遅し。「ブレイズ・ファルコン」の赤い羽根がファ○ネルのように飛び交うと、そこから発射したレーザーの嵐に貫かれて「グリーン・ガジェット」は爆散した。グ、「グリーン・ガジェット」ォォー!!!

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

 

白星 風斗 LP2900 手札2枚

 

伏せカード 1枚

VS

黒咲 隼 LP4000 手札2枚

 

RRーブレイズ・ファルコン

ランク5 ATK1000

ORU 1

 

RRーネスト

伏せカード 1枚

 

 

「絶対アレ「レディネス」だよな…ドロー。スタンバイ、何もないならメインフェイズ」

 

引いたカードは「マシンナーズ・ギアフレーム」。デッキには3枚目の「フォートレス」の他に「カノン」もあったハズ

 

「「マシンナーズ・ギアフレーム」を召喚、召喚時効果でデッキから「ギアフレーム」以外の「マシンナーズ」モンスター1枚を手札に加えることができる。……「マシンナーズ・カノン」を手札に」

 

オレンジ色のシュッとしたフォルムのロボットが出てくる。4秒ほど硬直してから、ヘルメットのようなものを被った顔の1つ目が光を投射して「マシンナーズ・カノン」のカードを映し出す。僕がデッキのカードを確認していたゆえの硬直だった

 

それを確認すると僕はデッキからサーチしたカードを人差し指と中指の間に挟み、すぐに墓地に送ってから墓地の「フォートレス」を取って黒咲に見せる

 

「墓地の「マシンナーズ・フォートレス」の効果、手札のレベル8「マシンナーズ・カノン」を捨て自身を蘇生させる」

 

巨大な砲塔を背負った「カノン」は一瞬フィールドに出てきたかと思うと「えっ!?オレの出番これだけ!?」と言わんばかりに振り向いてから霧散していった。そして謎の罪悪感を感じてる間に入れ替わる形で「フォートレス」が登場する

 

「ここで永続罠「血の代償」を発動。ライフを500払うことで通常召喚できるようになる。500払い「レッド・ガジェット」を召喚」

 

フィールドに「グリーン・ガジェット」に似た赤いモンスターが出てくる

 

白星 風斗 LP2400 手札1枚

 

「「レッド・ガジェット」の召喚時効果、デッキの「イエロー・ガジェット」を手札に加える。そしてもう1度500ポイント払い「イエロー・ガジェット」を召喚」

 

「イエロー・ガジェット」が出現する。見た目は簡単に察することができるだろう

 

白星 風斗 LP1900 手札1枚

 

「「イエロー・ガジェット」も他の「ガジェット」と同様の効果を持っている。召喚時効果で「グリーン・ガジェット」を手札に……そして2体の「ガジェット」と「ギアフレーム」を重ねる」

「…!」

 

正直、コイツは今使うべきではない。しかし使わなければ反撃もできずやられる

 

「「スキルゲイナー」をエクシーズ召喚」

 

「ガジェット」2体と「ギアフレーム」が重なり、雷が落ちる。そして雷の落下位置には、2本の刀を持ち、白い仮面と赤いマフラーのようなものが特徴のモンスター「スキル・ゲイナー」だった

 

隻眼のスキル・ゲイナー

ランク4 ATK2500

 

“白星 ふうと”の切り札といえる「隻眼のスキル・ゲイナー」。端的に言えばエクシーズモンスターの能力をコピーできる効果を持つ。ゆえにエクシーズ召喚が主流のエクシーズ次元ではそれなりの強さを発揮できると言える

 

でも「RR」の瞬間火力を利用するなら、このカードは確実にトドメを刺せるタイミングで使うべきなのだ。それもバレれば絶対警戒してくるから初見で出す必要もある

 

しかしそれができなかった。慣れないデッキ、パワーカードの差と言えばそれまでだが、それ以前に黒咲は堅実なデュエルをしていた。普段と違って守備表示で出したりすれば良かったかもしれない。性格上無理だと思うが

 

「「隻眼のスキル・ゲイナー」のモンスター効果。エクシーズ素材を1つ使い、相手のエクシーズモンスター1体を対象に発動。「スキル・ゲイナー」は対象のモンスターの同名カードとして扱い、効果をコピーする」

「エクシーズモンスターをコピーする効果だと!?」

 

「ブレイズ・ファルコン」から薄い影が出てきて、その影と重なった「スキル・ゲイナー」は赤いオーラを纏い出した

 

「「スキル・ゲイナー」の効果。エクシーズ素材を使い「ブレイズ・ファルコン」の『特殊召喚した相手モンスター全てを破壊し、破壊した数×500のダメージを相手に与える』効果を使わせてもらう」

 

赤いオーラで光る二振りの刀を振るい、横一線の斬撃を飛ばす。黒咲のモンスターゾーン全体を斬りつけた一撃は「ブレイズ・ファルコン」を真っ二つにして破壊した

 

「「ブレイズ・ファルコン」…!」

 

黒咲 隼 LP3500 手札2枚

 

僕の場には2500のモンスター2体、黒咲の場は空。これで黒咲は「レディネス」を使わざるを得なくなった

 

「バトルフェイズ、「フォートレス」「スキル・ゲイナー」でダイレクトアタック」

「させん!(トラップ)発動、「RRーレディネス」!!このターン「RR」モンスターは戦闘で破壊されなくなる効果ゆえに今は意味がない……だが、このカードは墓地にある時に除外することで、さらに戦闘・効果によるダメージをターンの終わりまで0にする!」

 

「フォートレス」の砲撃、「スキル・ゲイナー」の斬撃はバリアみたいなものに阻まれてしまう

 

これで「レディネス」を使わせることができた。が、「スキル・ゲイナー」を先に出した時点でこっちの勝機は0に等しい

 

「………もういいだろう」

「?」

 

意外と接戦できて、久々に楽しいデュエルだった。でもこれ以上はもう無駄だ。だから……

 

「!? お前、何をッ」

「サレンダー」

 

僕はデッキトップに手を置いた

 

 

白星 風斗 LP1900 手札1枚

 

マシンナーズ・フォートレス

レベル7 ATK2500

隻眼のスキル・ゲイナー

ランク4 ATK2500

ORU 1

 

血の代償

VS

黒咲 隼 LP3500 手札2枚

 

RRーネスト

 

 

シュゥゥゥ……

 

やることは終わった。消えていくソリッドビジョンに背を向けながらデュエルコートから退場するべく歩く

 

「待て!!」

「…何?」

「キサマどういうつもりだ!自らデュエルを仕掛けておいてサレンダーをするなど、この俺を侮辱しているのか!!」

 

振り向いて見た黒咲の顔はこちらを睨みつけていた。デュエリストとしてのプライドというやつだろうか……どうでもいい

 

「簡単な話だよ。あれ以上続けていても僕に勝機はないどころか確実に負けるって分かっていたからね」

「何を根拠に!」

「お前の「ファジー」じゃない方の手札、他の「RR」だろ?」

 

僕の考えを口にすると黒咲はピクリと動きを止めた

 

「それか蘇生カードかな?そうじゃなかったとしても次のドローで別の「RR」を呼べるカードを引く可能性は充分高い。あとは「ネスト」で墓地の「ライズ・ファルコン」をデッキに戻して再度エクシーズすればそれで終わり、普通に「エトランゼ・ファルコン」を出して自爆特攻してから「ブレイズ・ファルコン」を復活させればそれでも終了。あ、「ソウル・シェイブ」引くって勝ち筋もあるな」

 

そうしてスラスラとサレンダーの理由を口にする。これだけの根拠があるのだ、文句を言われる筋合いはあるまい

 

「まあそういうことだ。頭も冷えただろ?あとは兄妹2人で冷静に話し合うことだね」

 

言うだけ言って、今度こそ僕はデュエルコートから退場した




正直どんな決着かすごく悩みました。主人公を負けさせるってことだけは決めてましたが、久しぶりに書くデュエル描写はホントにキツくて、しかも途中で書いてたデータが消えてやる気無くしかけましたよ

とにかく主人公のデュエルは基本こんな感じです。徐々に口上も口にするかもしれませんがやる気が出ないタイプのデュエルをします

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