面倒くさがりな決闘者のARC-V物語   作:ジャギィ

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なんか急に書けたから書いた


第7話

悲鳴を無視する。助けを呼ぶ声を無視する。胸糞の悪い光景を目に映さないように瓦礫の街を駆ける

 

平和なデュエルをしていた世界なだけあって、突如やってきた兵士と機械仕掛けの巨人達に為す術なく蹂躙されていく

 

ズズズズッ…!

 

「わっ!」

 

建物が崩れ落ち、目の前の道を塞ぐ。遅れて10の獣の顔を持つ巨人「古代の機械(アンティーク・ギア・)混沌巨人(カオス・ジャイアント)」がアカデミア兵士と共に現れたので、建物の陰に隠れる

 

「そっち、何人狩ったよ?」

「11人いったぜ」

「クソ、4人も足りねえぜ。まあいい。慣れていけば俺の方が勝つからな!」

「言ってろ!」

 

赤と黄色の軍服を来た子供が楽しげに言う

 

雰囲気だけなら学生の何気ない意地の張り合いだろう。だがその実態は、人間狩りに疑問を欠片も抱かない歪な洗脳兵と言ったところか

 

「クズが……」

 

だからと言って聞いて気分のいいものではないし、洗脳だからと割り切れるほど大人にはなれない。そもそも原作でアカデミアから脱走する人間もいることから、一般的な情緒や倫理が育つ下地はあるという事だ。結局あいつらは弱いものいじめを悪い事だと認識しないクズ、ただそれだけの事だ

 

もっとも、全て理解した上でエクシーズ次元を見捨てて逃げる僕も、同じ穴のムジナでしかないのだが

 

とにかく、1番の目標は敵のデュエルディスクを手に入れること。それを確実に成す為にも、出来る限り孤立してる敵兵を狙うのが1番なのだが、やはり襲撃1日目では見かけた兵士全てが集団で行動している。リスクを避ける以上、今は逃げ続けるのがベターか…ん?

 

(あれは…)

 

砲撃で壊れた道を走る子供がいた。後ろからはアカデミアの兵士達がニヤついた顔でゆっくり追い掛けていて、やがて子供が力尽きて倒れると、その子に向かってアカデミア兵が言葉を吐く

 

「鬼ごっこはおしまいか?」

「うう…こ…こないで…」

 

その子供を、僕は知っていた。この体に憑依したその日に、あのデュエルスタジアムでカイトの後ろに隠れていた小さな子

 

(ハルト…!?)

 

周囲はまだまだ混乱していて、ハルトを助けられる者は誰もいない。つまり、この光景はアニメでは語られなかったカイトが復讐に走るキッカケとなった出来事だ

 

「いや…!やだ…!」

 

必死に懇願するハルトの姿に同情する

 

可哀想に。でも僕は出ていく気はない。例え相手がどれほどの雑魚だろうと、そこから芋づる式に敵がやって来るようになる事は想像に難くない

 

だからその光景から目を背けて逃げようとし

 

「助け……助けて、兄さんっ!!」

 

逃げる……逃げ……

 

───ちくしょう!!

 

ダッ!

 

「何!」

「……兄さん?」

 

なんでだ、なんで飛び出した!?

 

後々絶対に面倒になる!逃げるべきなのに…クソ!クソ!

 

「悪かったな、お兄ちゃんじゃなくて」

「…あなたは…」

「後ろにいろ」

 

目を丸くするハルトから目を背け、3人のアカデミア兵を見る。どいつもこいつも間抜け面を晒した後、高笑いしながら更に間抜け面を見せる

 

「ハハハハハ!こいつはいい!チビのガキを追っ掛けていたら獲物の方からやってきやがった!」

「おい、そいつは俺にやらせろ!」

「アンタはさっきやったでしょ!次は私よ!」

「いいや俺だ!」

 

敵を目の前に醜い争いをするガキ共。…そもそもこいつらがハルトを無闇に追っかけ回したりしなければこんな事にならなかったと思うと、腹の底からムカムカしてきた

 

「まとめて来い」

「…なんだと?」

「寝惚けてんのかクソガキ共?それとも耳くそでも詰まってんのか?3人まとめて相手してやるっつってんだよ」

 

そこまで言えば、言葉を理解したガキ共が憤る

 

「こいつ、エクシーズの獲物風情が生意気な!」

「徒党を組まなきゃちっさい獲物も捕まえられんカスにはこれくらいのハンデがちょうどいいだろう?とっとと来やがれ、雑魚共」

「貴様!いいだろう、後悔させてやる!!」

 

後悔?後悔だと?

 

「それをするのはお前らの方だ…!砕いて、踏み躙って、磨り潰して…二度とカードなんざ握れなくしてやるッ!!」

 

 

 

「「「「デュエル!!」」」」

 

 

 

「俺の先行!「古代の機械兵士(アンティーク・ギア・ソルジャー)」を召喚!」

 

右腕の先端にリボルバー式の銃塔がつけられた機械の兵士が現れる。「古代の機械(アンティーク・ギア)」固有の「攻撃時、相手は魔法・罠を発動できない」という効果を持つだけな、低ステータスのモンスターだ

 

「先行は攻撃できないからな。俺はこれでターンエンド」

「俺のターン、ドロー!俺も「古代の機械兵士」を召喚!ターンエンドだ!」

「…ウッソだろお前…」

 

リンク全盛期の環境に慣れ過ぎた身からすれば信じられない光景だ。それだけ潤沢な手札がありながら、モンスター1体を召喚して何も伏せずに終了

 

手札事故なのかと思いきやあの自信満々の表情。この体たらくじゃ例え1期のカードプールしか使えなかったとしても、僕達の世界の住人に勝つことは不可能だな

 

「私のターン、ドロー!私も「古代の機械兵士」を召喚!更にカードを1枚セットして、ターンエンド!」

 

かと思えば、最後の赤服のアカデミア兵(珍しいことに女子)はカードを1枚伏せてこっちにターンを渡してきた。前の2人が落第以下だっただけに、これには思わず拍手

 

「えらいえらい。ちゃんとカード伏せれるプレイングは出来たんだね。これはちょっと困ったことになったなぁ」

「アンタ、バカにしてるの!?」

「…当たり前だろ?自信満々に挑んできて、蓋を開けてみれば3人掛かりでこの程度…悪いこと言わないからサレンダーしときなよ?今ならデュエルディスクだけで見逃してあげるから」

 

そう言って鼻で笑ってやれば、すぐ怒り心頭になるガキ

 

「このっ!!」

「落ち着け!…状況が分かってないようだな?貴様らが使うエクシーズモンスターの殆どがステータスが低い代わりに効果が強力、しかしその効果も回数制限があるという始末だ。例え我々の内の1人を倒すことが出来ようと、後の2人に貴様は負けておしまいだ」

 

…なるほど、その程度の知識と対策はしてきたわけか

 

確かにエクシーズモンスターの効果はエクシーズ素材分しか使えないし、効果が強力な反面ステータスが控えめだというものあながち間違ってはいない…

 

しかし、しかしだ

 

「一体何年前の話をしてるんだそれは?」

「はぁ?」

 

ぶっちゃけた話、このデッキは最新のデッキではない。というのも流石に切り札であるデッキは奥の手中の奥の手であり、今使ってるデッキもエクシーズ次元で使っても怪しまれないよう、エクストラデッキをエクシーズで縛ってるくらいだ

 

それでも、こいつら程度を薙ぎ倒すのは造作もないパワーを持ったデッキと言えるだろう…文字通り、な

 

「無駄話は終わりだ…これより蹂躙する。僕のターン。ドロー、スタンバイ、メイン」

 

フェイズを宣言しても伏せたカードは発動しない…カウンター罠?念には念を入れるか

 

「相手モンスターの数が自分より多い場合、速攻魔法「緊急ダイヤ」は発動できる。効果でデッキから地属性、機械族のレベル10、4のモンスターを1体ずつ守備表示で効果を無効にして特殊召喚する。「マシンナーズ・カーネル」と「バトレイン」を特殊召喚」

 

右腕にチェンソー、左腕にレールガンを装備した四足歩行の、「混沌巨人(カオス・ジャイアント)」程ではないが巨大なロボットが姿を現す。その陰から赤い列車もレールを引いてやってくる

 

「いきなりレベル10のモンスターだと!?」

「その程度でいちいち騒ぐなよ面倒臭い。地属性、機械族が召喚・特殊召喚されたことにより、手札から「デリック・レーン」の効果で自身を特殊召喚」

 

更に、後部車両にクレーンを乗せた黄色い列車も登場する

 

「この効果で出てきた「デリック・レーン」は攻守が半分になるが、このデッキでは関係のない事だ」

「レベル10のモンスターが…2体…」

「「カーネル」「デリック・レーン」の2体を重ねてエクシーズ」

 

オレンジの巨大な球体になった2体が割れたコンクリートの上に現れた銀河の中央に吸い込まれていく。そして光の柱が立ち…アカデミア兵達を巨大な影が覆う

 

「来い。「超弩級砲塔列車グスタフ・マックス」」

 

3本のレールでようやく走ることの出来る巨体、堅牢な装甲、何より目を見張るのは地の彼方まで届かせると言わんばかりに大きく、どこまでも長い砲塔だった

 

超弩級砲塔列車グスタフ・マックス

ランク10 ATK3000

 

「攻撃力、3000…!」

「「グスタフ・マックス」の効果発動。エクシーズ素材を1つ取り除き、プレイヤーに2000の効果ダメージを与える」

「…はぁ!?に、2000ものダメージだと!?」

「「グスタフ・マックス」、照準合わせ」

 

「グスタフ・マックス」の周囲を旋回するオーバーレイ・ユニットが弾け、その巨大な筒先を、カードを伏せたアカデミア兵に向ける

 

ガコン

 

「わ、私!?」

FIRE(撃て)

 

ドォン!

 

簡素な言葉を引き金に放たれた砲弾は、そのアカデミア兵の目の前に着弾し、爆風で容赦なく吹っ飛ばしていく

 

「きゃああああ!!」

 

アカデミア兵C LP2000 手札3枚

 

吹っ飛ばされた女子生徒の仲間を見て、リーダーと思わしき男が忌々しげにこちらを見るが、知ったことではない

 

「クソ、なんて効果だ!」

「今エクシーズ素材として墓地に送られた「デリック・レーン」の効果を、伏せたカードを対象に発動。対象のカードを割る」

 

流れるようにセットされたカードが光の破片となって粉々に砕け散っていく。破壊したのは…「古代の機械蘇生(アンティーク・ギアリボーン)」?なんだ、警戒して損した

 

「ああ!?「古代の機械蘇生」が!」

「更に「グスタフ・マックス」を上から重ねてエクシーズ」

「な、何!?」

 

強烈なインパクトを刻み込んだ「グスタフ・マックス」が小さく圧縮された光球になり、自身のオーバーレイ・ユニットと共に銀河の中に飛び込む

 

そうして現れるのは、先ほどよりも巨大で、圧倒的で、これまた長身な砲塔を携えた戦闘列車

 

「「超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ」をエクシーズ召喚」

 

超弩級砲塔列車ジャガーノート・リーベ

ランク11 ATK4000

 

「グスタフ・マックス」以上の怪物が登場したことにより、とうとう戦意が挫けたアカデミア兵が尻もちをつく

 

「こ、攻撃力、よん、せん…?な、なんだよ…!なんだよお前ぇ!?」

「エクシーズ素材を1つ使い「ジャガーノート・リーベ」の効果発動」

 

それに意を返す事もせず、僕は粛々とデュエルを進める。それがより恐怖を煽るのか、3人とも真っ青な顔でこちらを見る

 

「自身の攻撃力を2000アップさせる」

 

ATK4000→6000

 

4000という元々暴力的な数値が更にパンプアップされ、この世界では一撃受けるだけでモンスターを通しても2000以下ではワンパン、それ以上でも致命傷は避けられないモンスターが3人の兵士を威圧する

 

「う、うわぁあああああ!!」

「あ、おい!?」

 

それを見て、恐怖に屈した1人が背を向け逃げ出す

 

「逃がすかよ。バトルフェイズ、「ジャガーノート・リーベ」で「古代の機械兵士」を攻撃」

 

ガコン

 

おあつらえ向きな事に「古代の機械兵士」もプレイヤーに随行している為、追い討ちをかけるのにはちょうどいい

 

「照準……FIRE」

 

ドォ…オオオン!!

 

彼方まで届く轟音を響かせ、「ジャガーノート・リーベ」の砲塔が火を噴く。数秒してから着弾し、「古代の機械兵士」と一緒にプレイヤーのライフを焼き尽くす

 

 

『ぎゃああああああああっ!!!』

 

 

聞くに堪えない悲鳴が、遠くから木霊した

 

アカデミア兵B LP 0

 

「あ、あああ…!」

 

もはやこいつらは狩人ではない。獲物でもない。絶対的強者に捕食されるだけの餌だ

 

なんと弱いのか、なんとつまらないのか。こんなクソみたいな世界観でなければもっとグレードの低いデッキで遊んであげても良かったのだが、生憎と死にたくはない。だからこそ、代わりにこいつらには地獄を見てもらうのだ

 

「「ジャガーノート・リーベ」は通常の攻撃に加えエクシーズ素材の数だけモンスターに攻撃出来る」

「……え?」

「「古代の機械兵士」に攻撃」

 

ガココン

 

「や、やめ──」

「FIRE」

 

聞く耳持たん

 

ドォオオン!!

 

「ぐあああああああ!!!」

 

アカデミア兵A LP 0

 

エクシーズ次元産のデュエルディスクは質量を持たないため、普通なら肉体にダメージはないし、精々軽いショックを受けたりするくらいだ

 

しかし衝撃の強さはダメージ総量に比例する事があるとこの世界である程度過ごして知った。だから初期ライフ(アニメ)を一撃でもっていく衝撃は相手を簡単に吹き飛ばし、そのまま壁面に叩きつけられて気を失った

 

そんな仲間達の末路を見て、残った女子は座り込んだまま後退り、ガタガタと震えながら涙を流して怯えていた

 

「ひっ…ひィ…!!」

「「ジャガーノート・リーベ」のエクシーズ素材は1つだけだからもう攻撃は出来ない。カードを1枚伏せてターンエンド。………どうした、お前のターンだぞ?早く進めろ」

「わ、わたしの……わ、わたしは……」

 

プライドがそうさせるのか、それともマトモに動けないからか、デッキの上に手を置こうとしては引っ込め、かと思えばゆっくりとデッキの上に手をかざそうとする

 

「言っておくがサレンダーは認めん」

「!? な、なんで!?」

「お前が惨めに這い蹲って命乞いする姿が見たいからだ」

「ふ、ふざけないでよっ!!この悪魔!!」

「ふざける?ふざけるだと?お前達にだけは言われたくないよ。これだけの事をしておいて、ふざけてるのはどっちだって話だ」

 

僕自身は割り切ってるため怒りはそこまでないが、胸の奥底から鬱々とした怒りと憎しみが何故か湧き上がってくる。きっとそれは「ふうと」のもので、それだけこの侵略行為が許せないのだろう

 

「さあ、早く立て。カードをドローしモンスターを召喚しろ。魔法を使って罠を伏せろ。エクシーズの獲物とやらを狩ってみせろ!」

「いや…いやぁ…!いやあ!!」

「お楽しみはこれからだ!!早く(ハリー)早く(ハリー)早く(ハリー) !!

早く(ハリー)早く(ハリー)早く(ハリー)!!!」

「だめっ!!」

 

その時だ。制止する大声と同時に脚に誰かがしがみついたのは

 

後ろに顔を向ければ、見慣れた怯えた表情の、しかし強い決意の眼差しをしたハルトと目が合った

 

「もう、やめて…これいじょう、だめ…!」

「………」

 

周りを見渡す。先ほど吹き飛ばした2人はどこにも見当たらない。多分原作でも描写されていた、アカデミア製のデュエルディスクによる強制帰還システムで融合次元に戻されたのだろう

 

ならば、この赤ん坊のように泣きじゃくる兵士のデュエルディスクは、今最速で手に入れられる次元跳躍装置というわけだ

 

「質問に答えろ」

 

兵士はビクリ!と体をビクつかせる

 

「僕の質問と要求に応えるなら、これ以上お前を攻撃しないし見逃してもやる。だから正直に答えろよ?」

「わ、わかっ、たわ……」

 

確認を取って、分かり切った質問をする。如何にも今知りましたと言った風に演技しなければ

 

「お前達は何者だ?」

「融合次元のアカデミア…」

「融合次元?意味が分からんぞ、正直に答えろと言ったよな?この期に及んで戯言を吐く気なら…」

「ほ、本当よ!私達は融合召喚を使う次元で生まれて育った住人!アカデミアって組織に所属していて、このエクシーズ次元を侵攻する為に次元を超えてやってきたの!!」

 

矢継ぎ早に言葉を吐く様子を見て、よっぽどさっきの脅しが効いたようだと思った。省みる気はさらさらないが

 

それより、ここからが本題だ

 

「ツッコミどころはたくさんあるが…じゃあ、どうやってこのエクシーズ次元とやらにやってきた?」

「…私達のデュエルディスクには次元跳躍システムが組み込まれているの。このデュエルディスクを使えば、単独で次元を超えることが出来るわ」

「ふむ…やり方は?」

「デュエルディスクをつけて、このボタンを押してから行きたい次元にタッチすれば…」

 

パネルには“standard”“fusion”“synchro”“xyz”と表示された画面が映る。よし、ここまで分かれば…

 

「なら最後だ。そのデュエルディスクを寄越せ」

「え!?そ、それは……」

「いやか?」

 

背後にはまだ「ジャガーノート・リーベ」が控えている。こうすれば頷くはずだ

 

「うう…わ、わかっ──」

 

カッ!

 

その時だった。そいつのデュエルディスクから嫌な感じのする光が漏れ出たのは

 

僕は即座にハルトを抱えて距離をとるが、アカデミア兵は腕に装着しているからその光から逃れられない。というより、その光は何故か装着者だけを照らすように発している

 

「う、嘘ッ、なんで!?助けて!お願い!たすけ──」

 

その命乞いは途中で途切れた。一際強い光が発したと思うと次の瞬間には消え、光の中心点に残っていたのはたった1枚のカード

 

「マジかよ」

 

そのカードを拾う。名前とテキストに何も書かれてないカード。唯一()()()()()()のは、さっきのアカデミア兵が絶望した表情のみ

 

「……クソっ!!」

 

ガッ!

 

「ッ!」

 

アカデミアのデュエルディスクを手に入れるという目的が思わぬアクシデントで妨害された苛立ちを、地面の瓦礫を蹴る事で霧散させる

 

敵にこちらのデュエルが漏れたかもしれないのに、得るものが何もないという結果にこれからどうすべきか悩んでいると

 

「ハルトー!!ハルトォオオー!!」

「…! にいさん!!」

「ッ! ハルト!!」

 

ハルトの名を叫ぶカイトが出てきた。ハルトは自分の兄を認識するとすぐさま駆け寄り、カイトもそんなハルトを見つけるとしゃがみこみながら、飛び込んでくる弟を強く抱き締めた

 

「ハルト、大丈夫か!?」

「うん…あのひとが、ぼくをたすけてくれたから」

「お前は…」

 

驚いた表情で僕を見るカイト。即座に気持ちを切り替えたのか、真剣な顔で話し掛けてくる

 

「詳しく話を聞きたいが、今この街は危険だ。郊外にデュエル庵という隠れ家がある。急ごう」

「いや、僕は…」

 

一瞬断ろうと考えたが、今後の行動を考えれば安全な寝床は欲しい

 

大丈夫だ、レジスタンスなんぞ参加する気はない。デュエルディスクが手に入ればすぐさよならだ

 

「…なんでもない。案内、頼む」

「ああ。…ハルト、乗れ」

「うん…」

 

カイトはハルトを背負うと、街の外に向かって走り出し、僕もそれを追い掛ける

 

…さっき得るものが何もないと思ったが、この兄弟が引き裂かれることなく一緒にいる姿を見れただけまあ儲けものだと…そう思い込むことにした

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