面倒くさがりな決闘者のARC-V物語   作:ジャギィ

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第9話

(どうしてこうなった!?)

 

胸中に抱くのは疑問と絶望だった

 

こんなハズではなかったのだ。本来ならカイトをリーダーに据え、裏方になる事でレジスタンスの操作し、そうして幾つか手に入れたアカデミアのデュエルディスクをくすねて原作終了までスタンダード次元で隠れ潜む…という完璧な計画だった

 

それがっ!何故っ!天城カイトとデュエルする事になってるんだっ!?

 

「ねえカイト」

「なんだ?」

「こんな無益な事はやめよ?そもそもカイトはサヤカの応援の時に僕のデュエルの実力を見てるでしょ?ならどっちが強いかなんて分かり切って…」

「俺は回りくどい言い方が好きじゃないからハッキリ言うぞ。あれはお前の本来のデッキではないだろう」

 

あまりに核心のついた言葉に思わず動きを止めるが、まだ切り返せると思い言う

 

「いや、あれは間違いなく僕が昔から使ってきたデッキだよ」

「ならばここ最近で新しくデッキを組んだか。少なくともお前がアカデミアと戦っていた場所で「グスタフ・マックス」や似たモンスターを召喚したのを俺は見ている。ハルトにも確認を取った」

 

だめだつよすぎる。ハルトにも確認を取ってるんじゃ言い訳のしようがない

 

そう思っていると、観客の最前列にいたアレンが驚いた様子で声を上げる

 

「「グスタフ・マックス」!?お前あれを召喚したのかよ!?」

「アレン、それってすごいの?」

「「グスタフ・マックス」は俺が使ってる「列車」カードの強力なエクシーズモンスターだ。でもそいつはランク10の超重量級モンスターだから、デッキ構築の段階で殆どの奴が挫折するくらい召喚の難しいモンスターなんだよ」

「ランク10!?」

「俺だってランク4の「アイアン・ヴォルフ」までしか召喚出来ねえ。それをあいつ、一体どうやって…?」

 

え、何その扱い?

 

「え、そんなに召喚難しい?「エクスプレス・ナイト」とか「デリック・レーン」使えば召喚出来んじゃないの?」

「それだとデュエルする時に大体事故っちまうって説明したじゃねーか!つーかそれで納得が出来ないって実際にデッキ組んで実験して、事故り過ぎって怒ってたのお前だぞ!」

 

そんな事あったんだ。多分憑依する前のことだろうが…まあ言ってることは分からんでもない。「列車」関連のサーチやリクルートカードがなければロクに回らないし、それらがあっても事故ることがあるのが列車デッキだ。それでも最低限回りはするが

 

「なに、デュエルをすれば結果は自ずと見えてくる」

「あのさ、「グスタフ・マックス」とか出したらこの場所がアカデミアにバレるんじゃ」

「ソリッドビジョンのモンスターの大きさは事前に設定出来る。最小にすればバレないだろう」

 

逃げ道を完全に塞がれてしまった。弱いデッキを使ってわざと負けるという選択肢もこれで消え失せた。ログがある以上露骨な手抜きもバレる

 

こうなったらもうカイトが完璧な手札になって、こっちが完璧な手札(嘘)になってくれる事を祈るしかないと、アレンに設定の弄り方を教えてもらいながら思うのだった

 

 

 

「デュエル!」「デュエル」

 

 

 

「先行は僕か……ムッ!」

 

すごい手札だった。「転回操車」「転回操車」「無頼特急バトレイン」「ライトニング・ストーム」「緊急ダイヤ」と、とても後攻向きな手札だった。特に「転回操車」がダブっているのがいい

 

(オイオイこれじゃ…Meの負けじゃないか!)

 

カイトのデッキは「銀河眼の光波竜(ギャラクシーアイズ・サイファー・ドラゴン)」系統のエクシーズモンスターの召喚に特化した「光波(サイファー)」デッキで、1ターンで4000ライフを削り切ることが容易な、そこそこ強力なテーマである

 

普段なら「バトレイン」辺りを伏せてワンキルされない事を祈るとこだが、これならむしろ次のターンに備えたと見せ掛けてがら空きのフィールドを提供してやればいい!

 

「スタンバイ、メイン、僕はフィールド魔法「転回操車」を発動」

 

周辺の景色が激変し、周囲には列車を乗せた大量のレール、そして中心に方向転換に必要なターンテーブルが出てくる

 

「こいつは手札1枚をコストにデッキからレベル10、機械族、地属性のモンスターをサーチ出来るカードだ。「バトレイン」をコストにデッキから「バレット・ライナー」を手札に加える」

「あんなカード、見たことねえ!一体どこで…」

 

今はその驚きの声すら心地いい

 

「カードを1枚伏せてエンドフェイズ」

「えっ、モンスターを召喚しない!?だったら何でさっき、モンスターカードをコストに…?」

「いや、「バトレイン」の効果は」

「エンドフェイズ時、墓地に送られた「バトレイン」のモンスター効果で、デッキからレベル10、機械族、地属性モンスターを手札に加える。「デリック・レーン」を手札に」

 

改めてエンドフェイズになり、ターンがカイトに移行する

 

「そっか、次のターンに備えて風斗は…」

「ああ。でも、そんな悠長な戦術が通じるほどカイトは甘くねえ!」

 

知ってるさ!アニメ後半に出てきただけあって強キャラだったからな…これでリーダーの義務を押し付けて僕は悠々とスタンダードに逃げられる…フッフッフッフ!(クソミンゴ感

 

「俺のターン、ドロー!」

 

6枚になった手札を見た後、カイトがこっちを見る

 

「風斗…まさか、この期に及んで手抜きしているわけではあるまいな?」

「もちろんさぁ☆僕はいつだって全力だよ☆」

 

嘘である。本当に勝つつもりなら「バトレイン」は伏せて、2枚目の「転回操車」か腐った「ライトニング・ストーム」をコストにするのが1番生存率が高い。でもそうなると困るから分かりにくいプレミをしたのだ

 

「……そうか……」

 

するとカイトは静かに目を閉じて、呆れたように息を吐く

 

そして…とんでもない事を言い出した

 

「ならば、俺がリーダーになった暁にはお前を決して外に出さないようにしなければならないな」

「………はい?」

「さっきも言ったが、お前は今後の対アカデミアに必須の人材だ。そんな奴が外に出た時にアカデミアにやられれば俺達の損害は計り知れない。お前なら分かってくれるだろう?」

「え、いやいや、なんでそんな極端な?別に僕がリーダーになれなくったって…」

「仕方があるまい」

 

その言葉通り、本当にどうしようもなさそうに僕を見ながら、悪い笑みを浮かべて言った

 

()()()を危険な戦場に出すわけにはいかないからな」

「───」

 

挑発だ。カイトの人柄を考えれば、弟の命の恩人を無意味に嘲笑する理由などない。カイトはわざと負けようとしているこっちを焚き付けているだけだ

 

しかし参った。こんな事を言われてしまっては負ける訳にはいかなくなる。ハッタリとは思うが、万が一にも監禁される可能性があるくらいなら、リーダーになって自由時間を調整出来る立場になった方がいいかもしれない

 

あと、全く、全然関係ないんだけど

 

「言ってくれんじゃーん…!!」

 

言われっぱなしなのはしょうに合ってないんだよねぇ〜僕ゥ…!

 

「やっとその気になったか……行くぞ。俺は「光波双顎機(サイファー・ツイン・ラプトル)」を召喚!」

 

出てくるのは水色の光る体に紫の鎧をつけて出来た肉食竜。一対の翼膜には虹色に輝く幾何学模様、そして双顎の名の通り、ラプトルの顎の下から巨大な2本の牙が伸びていた

 

「「光波双顎機」の効果!手札を1枚捨て、手札・デッキから「光波」モンスター1体を特殊召喚することが出来る。デッキから「光波複葉機(サイファー・バイブレーン)」を守備表示で特殊召喚!さらに自分フィールド上に「光波」モンスターがいる時、「光波翼機(サイファー・ウイング)」は自身の効果で手札から特殊召喚出来る!」

 

「光波双顎機」が雄叫びをあげると時空に穴が空き、そこからこれまた虹色に光る翼を持った複葉機が姿を現す。続けて小さい箱に二対の翼が生えた奇っ怪なモンスターが出てくる

 

「「光波複葉機」の効果!俺の「光波」モンスター2体を選択し、そのレベルを4つ上げる!この効果で「光波翼機」と「光波双顎機」のレベルを8に!」

 

レベル4→8

 

「レベル8のモンスターが2体!」

「来るぞ、風斗!」

「俺はレベル8となった「光波翼機」と「光波双顎機」で、オーバーレイ!」

 

アレンがアストラルみたいな事を言った直後に、カイトの手によって2体の「光波」が球体になって渦に飲まれる

 

「2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!」

 

そうして光の爆発と柱の中から出てきたのは…瞳に銀河を宿した巨大な竜

 

 

「闇に輝く銀河よ!希望の光になりて、我が僕に宿れ!光の化身、ここに降臨!現れよ!!」

 

 

「ランク8!「銀河眼の光波竜(ギャラクシーアイズ・サイファー・ドラゴン)」!!」

 

 

銀河眼の光波竜

ランク8 ATK3000

 

「来たか」

 

天城カイトの切り札、象徴、代名詞、「銀河眼(ギャラクシーアイズ)

 

光波竜(サイファー・ドラゴン)」はモンスター除去の中でもかなり厄介な“コントロール奪取”の効果が内蔵されたエクシーズモンスター

 

しかも名称を「銀河眼の光波竜」に、攻撃力を3000に変える。おまけにカイトはアニメキャラにしては珍しく切り札を最低でも2積みしている為、こいつを片付けても新しいのがまた出てくるという面倒くささまで備えている

 

「バトルだ!「銀河眼の光波竜」でダイレクトアタック!」

「その攻撃宣言時に「緊急ダイヤ」発動。自分フィールドのモンスターの数が相手より少ない場合発動可能で、デッキから機械族、地属性のレベル10、4のモンスターを効果を無効にして守備表示で1体ずつ特殊召喚する」

「はぁ!?強過ぎんだろそのカードッ!」

 

またアレンがなんか騒いでるが無視無視

 

「「マシンナーズ・カーネル」と「爆走軌道フライング・ペガサス」を特殊召喚」

 

フィールドに「マシンナーズ・カーネル」が、そして先頭車両が騎士を乗せたペガサスの列車が現れる。ちなみにだがこのペガサスに乗ってる騎士、とある超弩級っπ(ぱい)な女の子と非常に似通っているのだが、きっとKONAMIからのファンサービスだろう

 

「…ならば「マシンナーズ・カーネル」を攻撃する!行け、「光波竜」!!殲滅のサイファー・ストリーム!!」

 

竜の口内が輝き、そこから眩い光線が伸びて「カーネル」の装甲を貫く。守備表示の為ダメージはないが、爆風による衝撃が皮膚を強く撫でる。流石にレベル10は残してくれないか

 

「(上手いな。バトルに入ってから特殊召喚する事で「光波竜」の効果を避けた。「光波竜」を警戒していた?いや…動作があまりにスムーズだ。バトルフェイズでカードを発動すれば対処する手段がかなり制限される。それを理解していたからこその淀みのなさであり…だからこそ、これ程のタクティクスを持つデュエリストが何故今まで埋もれていたのが不思議だ…)バトル終了後、俺は「銀河眼の光波竜」のモンスター効果を発動!オーバーレイ・ユニットを1つ使い、「フライング・ペガサス」のコントロールをターン終了時まで得る!サイファー・プロジェクション!!」

「…あれ?このタイミングで使うって事はまさか」

 

疑問が答えられる間もなく「光波竜」の全身から発せられた光が「フライング・ペガサス」に浴びせられると、「フライング・ペガサス」が未完成の3Dグラフィックのような「銀河眼の光波竜」に変化し、カイトのフィールドに移動する

 

「この効果でコントロールを得たモンスターは攻撃力が3000となり、名も「銀河眼の光波竜」として扱う事になる。そして俺は「銀河眼の光波竜」と化した「フライング・ペガサス」で、オーバーレイネットワークを再構築!」

「オイッ!」

 

予想は出来てたけどマジでやりやがった!

 

 

「闇に輝く銀河よ!希望の光重ね合わせ、暗黒を照らす極光となれ!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!!」

 

 

「降臨せよ!ランク10!

銀河眼の(ギャラクシーアイズ・)極光波竜(サイファー・エクス・ドラゴン)」!!」

 

 

眩しいまで虹色の光を放つのは巨大な4枚の翼。「光波竜」よりさらに巨大に、そして鋭利な甲殻を纏った光のドラゴンが姿を現す

 

銀河眼の極光波竜

ランク10 ATK4000

 

ええー、ホントに出てきたよ。アニメじゃ使ってなかったはずなのに(そもそも時期的に影も形もなかったカードだけど)こうなると今後「光波竜」に奪われたモンスターは諦めざるを得なくなる

 

「さらに「銀河眼の光波竜」で、オーバーレイネットワークを再構築!」

「だからオイッ!!」

 

極光波竜(サイファー・エクス・ドラゴン)」のランクアップは1ターンに1度しか出来ない以上、出てくるの()()()になるんだが!?

 

 

「闇に輝く銀河よ!光研ぎ澄ましたその刃で、襲い来る闇を斬り払え!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!!」

 

 

「現れよ!ランク9!

銀河眼の(ギャラクシーアイズ・)光波刃竜(サイファー・ブレード・ドラゴン)」!!」

 

 

姿形は「銀河眼の光波竜」に似た竜。しかし「光波竜」とは違い、その竜の両腕には身の丈の半分はある光の刃がキラキラと輝いていた

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