Fate Grand Order / Singularity of eighth to fourteenth 作:No.72
「うあっ!」
「大丈夫ですか先輩!」
「うう、なんとかね。」
レイシフト直後、空中に体を投げ出されてしまったため、自由落下した私の体は地面に激突、幸い大事には至らなかったが、生身には応えた。
『あ、あー、2人とも、聞こえてるかい?』
「はい、ドクター、無事レイシフトできました。」
『それは良かった。それで、周りの状況だけど………、』
「街のど真ん中………だね。」
石造りの建物が周りを囲む、かなり大きな広場の真ん中に、自分たちがいるようだ。多くの市民らしき人たちがこちらを見ているので、
「場合によっては、かなりまずい状況ですね。」
「この街の人たちが友好的ならいいんだけど。ドクター、サーヴァント反応はしてるの?」
『いや、この広場の中にサーヴァントや使い魔の反応はない。』
「とりあえず移動しましょうか。このままここにいると何が起こるかわかりませんし。」
「そうだね…。」
しかし………、
「おい、お前たち!さっき空中に突然現れたが、何者だ!まさか、この国を滅ぼしにきた魔女ではあるまいな!」
「魔女とか言ってるあたりすごく中世っぽいね。」
「先輩!あまりそういうのは言うべきではありませんよ!」
「なんだお前ら!ばかにしているのか!」
「ほら怒らせてしまいましたよ。」
「とりあえずついてこい!」
「はい、すいません。」
「ここはおとなしく従いましょうか……。」
数分後
「さっきから誰かに見られている気がするね。」
「はい、サーヴァントな気もしますが、ドクターに連絡するのは危ないですし……、」
「おい、お前たち!」
「はい!」
「この家の中に入れ。」
「はい……。」
言われるがまま家の中に入ると、中は椅子と机が置いてある小さな部屋だった。そしてフードを被っていて顔が見えない人が座っていた。
「この者たちは私が預かるゆえ、お前たちはもう持ち場へ戻って良いぞ。」
「わかりました。」
そしてドアが閉まる。部屋の中には3人だけとなった。盾は部屋の端に置いてある。
そして、正面に座っている人物がフードを取った。
「そなたら、前にどこかで私と会ったことがあったか?人違いならすまないのだが。」
鮮やかな金髪をした女性だった。そして私たちはその人と幾度となく会っている。というか、カルデアにいる。
サーヴァント、クラス セイバー
ネロ・クラウディウスだった。
「ネロさんだったんですか!」
「おお、やっぱり会ったことがあったか!なんかよく思い出せなくてな。」
「なんでこんな回りくどいことしたんですか?」
「だってもしそなたらと私が知り合いだったら、私の真名がバレるかもしれなかったしな……、ここ、私が死んでから1400年後らしいし。」
「あー、」
「いやまぁ言ったとしても信じないとは思うがな?んー、やっぱり正直に言った方がいいか………。でも……、」
『あー、通信しても良さそうだね。』
「お!これは覚えがあるぞ。確かそなたは宮廷魔導士だったか?」
『なってはいないけどね!それで、皇帝陛下、こちらの状況を説明させるので、この特異点の状況も教えてくれるかな?』
「もちろん!あと、私は今皇帝ではないのでその呼び方は控えてくれぬか。それもおいおい説明するが。」
「じゃあまずこっちの説明からだね。」
「カルデア……、人理修復とな。だんだん思い出して来たぞ。ではこんどはこちらの番だな。」
「お願いします。まず、今は何年ですか?」
「西暦の1453年、日付は6月の26日である。ユリウス歴でいいならな。」
『やはりビザンツ帝国の滅亡の年か……、って、6月26日だって?!』
「えーっと、ここはやっぱりコンスタンティノープルですか?」
「うむ。間違いない。」
「コンスタンティノープル?」
「私たちの時代ではイスタンブールと呼ばれている街です。史実では1453年の5月29日にオスマン帝国のメフメト2世の大軍によって陥落しているはずなのですが………。」
「そのオスマン帝国だが、今もこの街は敵の大軍に囲まれておる。」
「とてもそうは見えませんでしたが。」
「その、今から大体1ヶ月前か?私が召喚される直前にこの街は一回落ちていたらしいのだ。だが、私が召喚された時にはもうすでに街の中からオスマン軍は撤退していた。現皇帝が何体かサーヴァントを召喚したからな。」
「ネロさんもその一人何ですか?」
「私は……、私は、気がついたらここにいたのだ。」
『はぐれサーヴァント、聖杯による召喚か。』
「その………、やはり、この時点でローマが残っているのは間違っているのか?」
「はい、歴史的に見れば、この時点でローマが残っていることがイレギュラーであり、特異点の原因と思われます。」
「……………、くっ、自分でもわかっているだろうに。」
「ネロ?」
「現界時の知識でも、実際見て感じたことも同じ結論に至ったはずだ。ええい、まだ決心がつかぬのか!」
「ネロさん?」
「いや、この特異点に対するカウンターとして呼ばれた時点で、為すべきことは決まっていたのに、どうしてもローマを滅ぼすのに決心がつかなくてな。」
「…………。」
「いや、よい。そもそも史実ではすでに亡いのだろう。なら、私が滅ぼしたことにはなるまい……………、よし、行こう!私が、聖杯の元まで案内してやろうではないか!」
「聖杯を知っているんですか?」
「一応知っておる。しかもこのタイミングなら、もしかしたらすんなりと手に入るかもしれんしな。早速、行くぞ!」
「お願いします!」