艦隊喰種   作:神の死者

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真っ黒な雲の、空の下、一人の人間と一匹の喰種が戦った。勝ったのは人間だった。



空腹で胸から腹部にかけ巨大なクインケで切られ死を免れないほどの致命傷を負った一匹の喰種は雨にその身を打たれながら、死にかけ血を流しながら言った。

もう一度…幸せになりたかった…と。


第1話

俺は気がつくと真っ白なベットの上で横たわっていた。何故自分はこんなところに?と俺は疑問に思ったがここで目覚めたことのそれ以前のことが全く思い出せない、いや覚えていないと言った方が正しいか。

 

だが一つだけ覚えていることがあった。それは自分が人間ではなく“  ”だということ。

 

半身を起こして部屋を見回してみる。薬やらベットやら医療用の用具などがおかれ配置されていて見るからに医務室、保健室と言った感じだ。

 

瞬間強い痛みが何かの音、いや人の声と共に頭へと、脳へと流こんでくる。

 

『俺はあんたを…許さないッ!』

 

痛みは一瞬だった。そして声も一瞬だったがそれは俺自信の声と認識できた。その声からは強烈な憎しみや怒りを感じた。並大抵の事ではないこんな風に言葉は出ないだろう。

 

「俺は…なんなんだ…?」

 

俺は自分の両手を見つめる。自分は人間ではない、“  ”だ。“  ”ついてわかることはまず人より体は頑丈に、その他優れてできていると言うこと、赫子という捕食器官が存在すること、そして…“人間”しか食べれないこと。

 

「…それが俺…なのか…?………ッ!?」

 

再び激しい痛みが俺の頭を襲う。その頭が割れるような痛みはまるでハンマーで思い切り殴られたような痛みだった。再び声が流れ込んでくる。

 

『なぁにおこってんだ?安心しろよ、今すぐてめェもママンやパピーそして大事な妹のとこにおくってやっからよーッ!』

 

低い男の声だ。その声からは自分の声のような怒りの感情はない、ただその状況を楽しんでいると、言ったそんな感情。俺は片手で頭を押さえ痛みに耐えながら男の正体が気になった俺は濃い霧が掛かったような記憶を探る。

 

だがやはり思い出せなかった。

 

「捜査官…?」

 

ふとそんな言葉が口からでた。言おうと思ってでた言葉じゃない、それはまるで体が覚えていたかのような、そんな感覚で出た言葉だった。

 

と捜査官と言ったと同時に唐突に部屋のドアが開いた。俺は警戒しながら開く扉に顔を向ける。部屋に入ってきたのは整た顔立ちの、黒髪でツインテールのちょっと背の高い女の子だった。胸には鉄の板のような甲冑?を着けており下の服は完全に弓道着なるものだった。彼女は起きてたの?とこちらに歩いてる。だが彼女が部屋に入ってきた瞬間、その彼女に俺は違和感を感じた。

 

その違和感の正体はすぐにわかった。彼女から漂う香りは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そのせいか彼女が部屋に入ってきても全く襲って食べようとは思わなかった。とはいっても今のところそもそも()()()()()()()()()()のだが。

 

彼女は俺が警戒していることに気づいたのか別になにもしないわよと言ってベットの隣にあった丸いパイプ椅子によっこいしょと座る。少し年老り臭いと思ったが悪寒を感じたので実際に口にするのは控え思うだけでとどめた。

 

俺は彼女に質問する。

 

「ここは何処なんですか?」

 

彼女は答える。

 

「ここは横須賀鎮守府、でこの部屋は医務室ね」

 

横須賀鎮守府。場所は横須賀だが鎮守府となるとここは海軍の基地かなにかなのだろうか?自分はなんでそんなところにと俺は思考する。と

 

「でえーっと…」

 

彼女の言葉が詰まる。恐らく俺の名前を聞きたいのだろうが生憎自分の名前を覚えていない俺は素直に分からないと伝えた。

 

彼女は分からない?と首を傾げながら

 

「まさか自分の名前が分からないとか?」

 

俺はコクリと頷くと

 

「…あぁ、名前どころか全くなにも覚えてないんだ、自分が何者で何をやっていたのか、ここにくる前のことも、それ以上の事も…なにも…ごめん」

 

暫くの沈黙が続く。

 

それを破ったのは彼女だった。彼女は思い出したように

 

「あ、そうだった!あなた怪我の具合はどう?」

 

怪我?と俺は首をかしげた。別に痛みを感じるところはないがと思ったがふと胸から腹にかけてなにか巻かれている感触に気付き着ていた白いシャツを脱ぐ。

 

彼女がかおを真っ赤にしてなにか騒いでいるがそんなこと気に求めなかった俺は自分の体をマジマジと見つめた。すると包帯が何十にも巻かれた自分の体が瞳に写った。包帯越しでも分かるが自分の体は鍛え上げられたように引き締まっていて肉に無駄がないと言った感じで、特に問題は見られない。だが俺はその先が気になり包帯の端に手を掛ける。

 

と包帯は少し力をいれて引っ張るとスルスルとほどけていった。

 

さらに彼女が騒ぎだすが俺はそっちのけで自分の体を見つめていた。彼女の言葉に嘘はない、実際包帯のほとんどが真っ赤に染まっておりそれは確実に自分が怪我を負ったことを示しているのだから。だが自分の体に()()()()()()()()()()()()()()

 

無論それは恐らくそれは自分が“  ”だからだろう。基本お腹を空かせていない  はその治癒、再生能力も優れているため何れだけの致命傷を負っても食事直後、あるいは満腹であれば数時間足らずで復活できる。今は不思議と満腹感もある。俺は普通の事だとでも言うように「怪我は治ったみたいだ」

 

すると彼女は俺の言葉に耳を傾けたのか騒ぐのをやめるとじっと包帯が解かれた俺の体を見つめる。

 

「嘘…だってあなた胸からお腹にかけて大きな、そう、まるで鎌にでも切り裂かれたような大きな切り傷があったはずよ!?それがたったの1日で治るなんて…」

 

彼女は困惑したように、驚いたようにそう言って、俺は助けてもらった彼女に嘘は良くないと思いそのまま()()()()()()()()。それに嘘なんてついてもすぐにばれてしまう。どれだけ“  ”自分を人間と偽っても“  ”は“  ”。所詮嘘なんて意味のない行為なのだ。

 

「だって俺人間じゃないから、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

喰種だから。」

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