艦隊喰種   作:神の死者

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食物連鎖を知っているだろうか?。
例えば、太陽や雨で育った雑草を食べて育つ生き物がいるとしよう。その雑草を食べた生き物は雑草を食べたことで大きく成長するが別の自分より力のある生き物に食べらる。

食物連鎖とはそういうものだ。

人間とはそんな食物連鎖の頂点に君臨する生き物だ。人間の育てた野菜を牛や豚などの動物が食べ大きく育ち、その育った動物を人間が食べる。

しかしそんな食物連鎖の頂点とされる人間を喰らう生き物がいる。

人間はそんな彼らを“喰種”と呼んだ。


第3話

瑞鶴はそれが初めて聞いた単語なのか分からないと言った風に子供のように首かしげる。少年は頷くと

 

「知らない?喰種ってのは人間を食べるんだ。いや、正確には人間しか、かな」

 

瑞鶴はそんな彼の言葉に疑いそして困惑した。当たり前である。大怪我で助けた少年が起きていて話しかけてみたらいきなり私は人間じゃない、人を食べる怪物ですとかいうんだもの。寧ろ困惑、疑わないほうがしないほうがおかしい。

 

「えっと、まさかだけどその話を私に信じろと?」

 

少年はそうだね、実際に見せたほうが早いか、そう言うと一瞬、瞼を閉じた。

 

瑞鶴はそんな彼の行動に首をかしげた。これから少年は何をするつもりなんだろうと。まさか油断させて自分本当にを喰らうつもりなのだろうかと思考する。自分は艦娘という生き物で人間ではないが確実にその姿形は人間そのもの、体の構造も人間と変わらないのか肌を切られれば血は出るし殴られれば痣が出来る、ぶっちゃけ身体能力と艤装を装備出来ること以外人間と大差ない。

 

瞬間、彼はその瞼を開いた。

 

だが瑞鶴の瞳に写ったのは黒い瞳ではなかった。黒かったはずの彼の瞳はその色を赤く変色させており、まさに自分たち艦娘や人間に流れる“血”のようだった。しかし変わっていたのは瞳だけではなくその白かった網膜はなんと黒へと姿を変えていたのである。そのせいか黒くなったことで目の中に張り巡らされた赤い血管は見えやすくなっており彼の変色した眼球からは不気味さが一層を増していた。

 

「なに、その目…」

 

恐怖を覚えた。これだけで、彼は人間ではないと確信できた。瞬間、喰われる恐怖、殺される恐怖、痛みを感じる恐怖、様々な恐怖の感情が瑞鶴を襲う。そのほったんである彼はなんてことのないように淡々と言葉を口にする。

 

「怖いか?面白いな。さっき自分のことを怖くないと警戒する俺を説得したのに赫眼しただけでそこまで恐怖したのか。じゃあさっきの言葉を返えそう。」

 

 

彼は彼女に、怯える子供に優しく話しかけるように

 

「別に何もしないよ」

 

気が付くと少年の瞳は元の優しい黒へと戻っていた、しかし瑞鶴は動揺する心を表に出さないよう彼に振る舞う。幾ら襲わないと言われてもそんなこといわば、狩人が獲物に襲わないから逃げるなと言っているようなものである。無論そんな狩人の言葉を獲物が信用できるだろうか?答えは否に決まっている。だからこそ瑞鶴はなにごとも無いかのように振る舞った。

 

と彼は思い出したように

 

「そう言えば君の名前、聞いてなかったね。なんていうの?」

 

そう名前を聞いた。

 

「瑞鶴よ」

 

少年は瑞鶴とオウム返しのように何度も呟くとうん、覚えたと言ってベットから降りる。瑞鶴は本当に人間じゃないのよね?と少年に問いかける。うんとまるで何事もない、なんの変哲もないことのように答えた。

 

すると次に少年は瑞鶴にとある事を聞いた。「ここには戦いってあるの?」と。

 

瑞鶴は答える。

 

「あるわよ。と言うかどの場所にも戦いなんてあるでしょ?偉い人の権力争いとか紛争とか………ま、私は艦娘だし戦いなんてもはや日常よ」

 

艦娘。

それは少年と同じく人間と同じ姿形をしていながら人ならざる生き物、いや『兵器』の事である。艦娘とは喰種おどの身体能力はないが並の人間よりはかなり高くその気になれば簡単に人間など殺せるだろう。艦娘は基本、建造という技術を使って作られるのだが彼女たち艦娘には戦線に実在した軍艦の魂、記憶が宿っている。そのため名前もその軍艦の名前となっている。

 

「艦娘?」と少年は疑問に満ちた声色で瑞鶴に聞いた。

 

瑞鶴は「あー記憶ないんだったわね。」と思い出したように呟くとその概要を語る。

 

「最近じゃ結構有名な単語よ。この際だから一様私たち艦娘やその敵、深海凄艦のこと、教えてあげるわ。十数年前、ある日現れた深海凄艦っていう生物が人類を侵略しようと攻めてきたのよ。人類はそれに対抗した、けど残念ながらその時代にあった現代兵器は全部通用しなかった。対抗する手の無くなった人類はなすすべもなくどんどん制海権を奪われていったわ。でも深海凄艦のようにある日、妖精と言われる存在が現れて人類に艦娘という兵器を作る技術を提供したのよ。艦娘と言われるその兵器と技術を手にいれた人類はすぐさま深海凄艦に対抗していき、そして現在に至る。と言ったところね」

 

「なるほど…」

 

少年は瑞鶴の説明で納得したのか顎をさすりながらそう言うと頷きながら窓のカーテンを開けた。その透明な窓の向こうには真っ青な青い海。同時に少年の瞳にその青い海が映し出され、その青い海の光景が脳に焼かれていく。少年は記憶を失っているからなのか、はたまた海を見たことがなくそれを初めて見たのか「これが…海か」と感情深くそう口から言葉がでた。

 

瑞鶴は少年の隣に来ると

 

「綺麗でしょ?…でもこれが私たち艦娘と敵さんの戦場だったりするのよねぇ。だから幾らそれが綺麗に見えてもそこで何人もの仲間たちが沈んで逝ったってことを思うと綺麗なところ、なんて到底思えないわ」

 

瑞鶴は姉が沈んだその光景を思い出し唇をかみしめた。少年は何もない顔で、ただ無表情でそんな彼女の姿を見つめそうなんだ、と言葉を口にした。

 

と突然少年は崩れそうなジェンガのようにグラつくとそのままバランスを崩し横に倒れた。

 

「きゃッ!?」

 

無論、横に倒れたということは隣にいた瑞鶴の方に倒れるわけで、唐突なことに反応できなかった瑞鶴はそのまま一緒になって床に倒れてしまった。少年は一瞬意識が飛んだだけで意識自体はあるわけでつまり何が言いたいかと言うとこうだ。

 

シリアスなシーンから一転、少年が瑞鶴を床に押し倒すとか言う勘違いギャグ&サービスシーンと化したのだ。

 

刹那、瑞鶴はアニメや漫画の知識が勘として働き今自分がどういう状況下に置かれているのかを瞬時に判断出来ていた…いやしてしまったほうが正しいだろう。故にこのあと大体どうなるのかも予測できる瑞鶴は…

 

「やっばッ!?」

 

「おーい起きた…」

 

とある低い男の声と共に部屋の扉が開いた。当然この鎮守府にはとある人物を抜いてここにいるのは皆女性なわけで低い男の声となると…

 

「て、提督さん…」

 

入ってきたのは身長170センチほどの男。見たから判断して20代前半くらいか、顔立ちは整っていて髪や瞳は日本人特有の黒でそれと反転していて服の色は白。見た目からしてその男の服は軍服で間違いないだろう。恐らくこの男がこの鎮守府と言われる場所の最高責任者、最高位の人間だと少年は瑞鶴を床ドンしながら思った。

 

「……あ、すいません。部屋間違えました」

 

提督とよばれた男はそういって扉をそっとじしていった。

 

「ちょ、ちょっとまってよおおおおおおおおおおーッ!」

 

 

 

 

場所は医務室とは打って変わり執務室。

 

「いやーなんだ。そういうことだったのか…」

 

提督は腕組をしながら納得したようにうんうんと頷いていた。あれからすぐ瑞鶴が自分を押し倒す少年をふっとばして提督を亀甲縛りで動きを封じ説得し今に至る。なお亀甲縛りは瑞鶴が自身で説いたため提督は腕組が可能となっている。ただその時少年がその縄どっから出したんだ?と考えていたのは完全に余談である。

 

瑞鶴はそんな提督の反応にどこか納得できないのか何故か眉を寄せていた。

 

「あの場合って普通助けに入るべきだったわよね?提督?なんで合意の上で行為にお呼んでいたと思ったわけ?なんでお楽しみ中だとか思ったわけ?」

 

瑞鶴は言いながら怒りのボルテージが上がったのか眉を寄せる程度の怒りがいつの間にか青筋が浮かぶレベルにシフトしていた、しかし提督はそんな瑞鶴の静かな怒りなど知らないかの如く

 

「え、いやだってお前の顔まんざらでもない顔だったk」

 

「うふふその口がもう開かないように爆撃してあげるわよ?」

 

どこからか弓と刃が付いていない矢を取り出すと瞬時に構えを取り提督にその切っ先を向けた。

 

少年はそんなカオスな状況に一人の取り残され考える。

 

(その弓と矢どこから出したんだろう?)

 

瑞鶴は何のためらいもなく弓を引く、しかし提督は真剣な顔でそれをスルーするとその視線を少年の黒い瞳へと移した。

 

「ところで少年、あの胸から腹にかけた傷は既に治っているようだったが、あの大怪我は致命傷だったはずだ、それも治療したのは昨日だ。一日であの切り傷が治るとは到底思えない。」

 

少年の無垢な瞳が提督を見つめ、提督の刃物のような鋭い瞳が少年を見定めてる。

 

「その異常な治癒力は普通の人間ではありえない。」

 

提督は一呼吸置くと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「問おう。君は…“人間”か?」

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