「ふあ~~~~~」
ああ、もう朝か。
となりのベッドを見てみるが、そこには誰もいない。ピーリィはもう行ったみたいだね。とりあえず朝食でも作ろうか。と、そこで思い出したことがある。
「あ、食材何も買ってなかったっけ。……やっぱり一つもないか」
一応冷蔵庫の中を確認したけど中には食べ物どころか調味料の一つもなかった。
「食堂に行こう……」
「なあ、いつまで怒ってんだよ」
「怒ってなどいない」
一夏と箒(昨日そう呼んでいいと言われた)見っけ。あそこに行かせてもらおう。
「おはよう、一夏、箒。何かあったの?」
「ああ、おはよう。いや、それが……」
一夏に昨日会ったことを聞いた。
「うん、それは両方悪いね」
「何!?」
「確かによく考えずに部屋に入った一夏も悪いけど、それに対して木刀を振り回す方も悪いよ。下手をしたら死ぬこともあるし」
「う……」
「まあ、次からはちゃんと理由とかを聞くようにすればいいんじゃない?」
「そうだな。次からはそうさせてもらう。悪かったな、一夏」
「気にしないさ。こっちも悪かったな」
……うん、もう二人とも付き合っちまえ。見てるこっちが恥ずかしいから。
「あ、あの、織斑君、築波君、隣いい?」
「ああ、別にいいけど」
一夏、いい加減に気づけよ。ほら、箒が睨んでるじゃないか。
「やった!話しかけてよかった~」
「ねえ、昨日部屋に押し掛けた子がいるって本当?」
へえ、そっちはそんなことがあったんだ。こっちは来なかったけど、知るはずもないから当然か。それにしても、いつ食材を買いに行こうかな。
「うわ、織斑君と築波君って朝すごい食べるんだね」
「俺は夜少なめに食べるから朝食っておかないと後がきついんだよ」
「右に同じ」
まあ一夏とは理由が違うだろうけどね。前までは起きてからはそうでもなかったけど、夜にあたる時間になると急に忙しくなってたからね。
「ところでそっちはそれで足りるのか?ずいぶん少ないみたいだけど」
察せ、一夏。そういうことを聞くのは女子にとってタブー(女性スタッフに教わった)だから。
あの時は怖かったなー。笑ってはいたけど謎の威圧感があったからなー。あれはなんだったんだろう……。
「いつまで食べている!食事は早く、効率よく取れ!遅刻した者はグラウンドを十周させるぞ!」
その声で食堂が静かになった。えーと、確かグラウンドが一周五キロだから……うん、早く食べよう。あれを十周なんて死ねる。
授業は二時間目が終わり、今は三時間目だ。一夏も昨日よりはマシになってるね。教えた甲斐があったよ。山田先生も時折詰まるけど、ちゃんと授業は進んでるしね。
「あ、築波君。この辺の説明をしてもらえますか?」
あーこの辺ね、確かに僕の専門分野だ。
「ISは元々宇宙での作業を目的に作られているので、操縦者は全身に特殊なエネルギーバリアでおおわれています。また、操縦者の生体機能を補助する役割もあり、常に操縦者の肉体を安定した状態に保ちます。これには心拍数、脈拍、呼吸量や、―――――」
「あの、築波君。それって大丈夫なの?なんか体の中をいじられてるみたいで怖いんだけど……」
女子に一人が不安げに聞いてきた。まあ、そう思う人もいるだろうね。だけど、これはどう説明しようか……
そう考えていると、山田先生がかわりに言ってくれた。
「そんなに難しく考えることはないですよ。例えば皆さんはブラジャーをしてますよね。あれはサポートはしますが、人体に悪影響が出るということはありません。もちろん――――」
そこで、僕たちと山田先生の目があった。
「あ、え、えっと、ふ、二人はしていませんよね。わからないですよね。はは、ははは……」
えーとなんだろう。なんか、気まずい。
「山田先生、授業の続きを」
「は、はいっ」
織斑先生の一言で空気が変わる。毎回思うんだけど、織斑先生って軍の教官とかに向いてると思う。鬼軍曹って言葉が似合うし。
ブォン!
「うわっ!?」
びっくりした……いきなり出席簿が飛んでくるなんて……あれ?織斑先生、なぜこちらをにらんでらっしゃるので?
「築波、何か失礼なことを考えなかったか?」
「いえ、気のせいです」
なんでばれたんだろう……
『ユニヴァァァァァァス!!』
「え!?な、何!?」
「誰!?」
「あ、ごめん、僕だ」
この着信って、あの人だよね。なんで授業中にかけてくるんだろう。あれ?携帯の電源切ってなかったかな?
「はい『やっほーせい君久しぶり!束さんだよ!』はあ……何の用ですか?携帯の電源切ってたはずなんですけど」
『んー?そんなものこっちで簡単にできるよ。あ、それで用件なんだけど、いっくんのISをことだよ!』
へえ、束さんが作るのか。なかなかよさそうなのができそうだね。
『それでね、頼みたいことがあるのだよ』
「頼みたいこと?」
『そっちで今度代表決めがあるよね、それまでには完成するけど、かなりぎりぎりになるんだよね。だからさ、そっちで調整とかやっておいてね!』
なんだ、そんなことか
「りょーかーい」
『じゃあまかせたよ~』
そこで話は終わった。だがしかし、目の前にはこちらをにらむ鬼神がいる。さあ、どうする!
①戦う
②アイテムを使う
③許しを請う←
④逃げる
「ごめんなさい緊急の用だったんですでもあの人は電源を切っていようがお構いなしにしてくる人なんです」
「ほう……で、その相手と用件は?」
「相手は束さんです。用件は一夏のISを作るから調整を頼むと」
これで納得してくれたかな。
「何?束だと?……確かにあいつならやりそうだな。いいだろう、今回は特別に不問とする」
助かった、今回ばかりはもうだめかと思った。人って死を意識すると本当に走馬灯が見えるんだね。
「ねえ、築波君。篠ノ之博士と知り合いなの?」
「静かにしろ、授業を進めるぞ」
この後の休み時間、僕が質問攻めに遭ったのは言うまでもない。
次話もがんばります