ついに来た、この日が。今日まで徹底的に鍛え、生活リズムもちゃんと管理していたおかげで調子もいい。しかし、一夏はというと。
「なあ、箒」
「なんだ」
「ISのことを教えてくれる話はどうなったんだ?」
「…………」
「目 を そ ら す な」
ご覧のありさまである。
一週間剣道しかしてこなかったというのはどういうことだよ。ええ?
「過ぎたことはしょうがない、諦めよう」
「いやだけどさ、知識とか基本的なこととかほかにも色々あるだろ?ていうか、俺のISはいつ来るんだ」
そう、一夏のISはまだ来ていない。束さんどうしたんだろう?あの人のことだから今日中に間に合うと思うけど。
「織斑君織斑君っ!」
あ、来たようだね。山田先生、もう少し落ち着きましょう、転びますよ?あ、転んだ。
「いたた……あ!織斑君!」
「山田先生落ち着いてください。はい、深呼吸」
「あ、はい。すーはーすーはー」
「はい、そこで止めて」
本当に深呼吸を始めて息を止める山田先生。先生をからかうのはだめだよ一夏。
「山田先生真に受けなくていいです。それで、何かあったんですか?」
「ぷはっ。それですね、来ました!織斑君のIS!」
良かった、間に合ったみたいだ。さて、僕も準備しないと。
「織斑、築波急げ。織斑はぶっつけ本番でものにしろ」
「え?……」
「「「「早く!」」」」
山田・織斑先生、箒、僕の声が見事に重なった。
――――そこには、白がいた。
まるで自らの主人を待つように、堂々と鎮座していた。まったく、束さんもなかなか粋なものを作るね。
「じゃあ一夏、白式を装着して。フォーマットとフィッティングを済ませるから。――――――『社(やしろ)』、展開」
移動ラボ『吾輩は猫である』二号機、『社』を展開した。これはとても便利だ、束さんには感謝しないとね。
「それがお前のISか?」
「いいや違うよ。これは移動ラボの『社』。それじゃあ、始めようか」
腕のパーツからコードやアームが展開して、白式に触れる。それと同時に僕の目の前に大量の情報が表示される。
「三分で終わらせるから。――――フォーマットの初期化開始同時に最適化回路AB接続……」
「すげえ……!」
「これは……」
「束並みか……?」
そのまま誰も話さず、やがてが三分過ぎた。コード等が白式から離れ、『社』も量子化される。それと同時に白式が光だした。光が収まると、そこにはより白さを増した白式がいた。
「終わったか。織斑、行け」
「分かった。誠一、ありがとな」
「別にいいよ」
「一夏……」
「箒」
「なっなんだ?」
「行ってくる」
「ああ……行って来い!」
そして、一夏は飛び立った。さて……一夏は勝てるかな?
「……」(ズーン)
結局一夏は自爆して負けた。でも勝利まであと一歩まで行ったんだからよかったと思うよ。
「次は築波か。織斑のような負け方をするなよ」
「分かりました。一夏、仇は討つ。安心して眠れ」
「いや俺死んでねえから」
わかってないな、こういう時は雰囲気が大事なんだよ。
「行こうか、オルトス。例え場所が違っても、僕たちは飛ぶだけだ。でも、そこに障害があるのなら――――壁があったら殴って壊す!道がなければこの手で作る!」
オルトスが展開された。目元を覆うバイザー、戦闘用には見えないが、堅牢そうな灰色の装甲、大きく張り出したブースター、そこから放出される赤い粒子。いままでのISとは全く違うISがいた。
「なんだ、そのセリフ?」
「知らない?天元突破グレンラガン。あれ結構面白いよ」
台無しであった。
「いいから早く行け」
「了解。オルトス、テイクオフ」
カタパルトから勢いよく射出され、アリーナに飛び出す。そこにはすでに、セシリアさんがいた。
「築波さん、これまで行った失礼の数々、お許しください。わたくしは日本の方々や男の方を誤解していました」
あれ、今までと全然違くない?どうしてまた急に……一夏が何かしたのか?
「まさかとは思うけど、一夏に惚れた?」
「え……!?いや…そ、そんなことありませんわ!」
図星か。天然女たらしもなかなかだけど、そこに鈍感が入ってるから余計に質が悪いね。
「とにかく!最初から本気で行かせてもらいますわよ!」
「できれば手加減してほしかったんだけど……」
開始のブザーが鳴り、僕たちは動き始めた。僕はとりあえず、ネイルガンを展開する。
「ネイルガン?そんなものでどうしようと―――パシュン―――は?」
いやー舐めてもらったら困るよ。僕が持ってるこれは何がしたかったのかわからないほど強化されてるんだから。
「なんですの今のは!?釘が放電してるなんて!」
「電磁ネイルガン。威力はその辺の銃よりも上だよ」
「なんでそんなものを「さあ?」さあって……ああもういいですわ!徹底的に行きます!!」
セシリアさんがレーザーライフルを撃ってくる。かなり正確な射撃だ。
「だけど、だからこそ読み易い!」
と思ったら
「……甘いですわね」
「うええ!?フェイント!?」
フェイント使ってくるなんて、これは僕のミスだ。そろそろ、こっちからも行かせてもらおうか!
「当たれー!」
「くっ……」
今度はフルオートで撃つ。弾速が速いからそう簡単には避けられないはずだ。
「なら……行きなさい、ブルーティアーズ!」
向こうはビットを使ってきた。だったら、目には目を、ビットにはビットだ!
「行け!マーカービット!」
マーカービット(以後Mビット)の先端にはピンがある。IS本体には効かないだろうけど、ビット同士なら……!
それからは、互いに撃ちあい、周囲ではビット同士がけん制し合っている。そして、その時が来た。
「ネイルガンは弾切れ。ビットはお互い全損。飛び道具はもうないか」
「こちらはライフルがある分、有利ですわね」
確かにそうだ。だったら、やることは一つ。
「懐に飛び込む!チェーンソー、ドリル、展開!」
ドリルは大きさ以外大したことはないけど、チェーンソーは違う。これは、高周波を使ったもの。そう、高周波チェーンソーである。その切れ味は研究所にいる全員に『バカじゃねーの』と言われたほどだ。
「―――かかりましたわ。ブルーティアーズは六機あってよ!」
「へ?あ……やっぱり?」
なんか、ごめん。知ってた。だって、ビット系のものって六機あるのが相場じゃん。
僕はサブアームにあるものを展開して、前に出した。
ドカァァァァァン!!!
「誠一!」
「築波君も負けましたか……」
管制室にいる全員がそう思ったが、千冬だけは違った。
「いや、まだだ……」
「え?」
「よく見ろ、奴はまだ墜ちていない」
再びモニターに視線が集まる。そこには、無傷で浮かんでいるオルトスの姿があった。
あー、間に合った間に合った。Eカーボンの板入れっぱなしにしておいてよかったよ。
「わたくしの勝ち。ですがこの結果は他人に誇れると思いますわよ」
あの、まだ墜ちてないんですけど。まあいいか。向こうが油断している今が好機。
「ちょいさぁー!!」
ドリルを突出し、チェーンソーを振り下ろす。
「な!?キャア!」
ドリルは確実にダメージを与え、チェーンソーは刃の回転と高周波の力でシールドエネルギーを引き裂き、絶対防御を発動させた。そして……
『試合終了。勝者―――――築波誠一』
なんか、勝った。
ネイルガンとチェーンソーの件について
一「なんでああなってるんだ?」
誠「あーあれね。寝ぼけながら修理してたらいつの間にかああなってた」
一「…………」
そんなんです。