アハハ、天国が見えてきました……
ちょっと
見上げて視界に入るのは白亜の壁
人の身長から考えるならば、絶壁としか見えようのない場所
だが、そこは本当の絶壁などではなく、我等の学びの場である学校だ
「まだ確定、ではないけど……」
「おやおや、らしくない。緊張しているのかい?旁」
無駄に芝居がかった動作と声色で、悪魔が囁く
「……どうだろうね」
上に向けていた視線を、地面と平行なくらいまで戻し、肺の中の重苦しい空気を吐く
「大丈夫だよ。私がついてる」
「……そっちこそ、らしくないと思うよ」
互いに苦笑いを見合わせて、僕は式場である地下ホールに向かう
だが
「迷った……」
地下に研究施設、それはいい。だが、百以上の部屋が一フロアにあるのはいただけない
と、僕と同じように首を振り、部屋の前で眉を潜める人物が一人
悪魔使いは人智を越えた力を持ち、人より優れている何かがあると言われている。だが、やっぱり人間
人の道を解くような言葉を並べ、僕が結局何をしたかというと
「すみません。新入生で迷っているなら、一緒に探しませんか?」
「え!?……は、はい」
目につくのは赤い目と茶色の髪、背丈から考えると微少なりとも違和感のある顔付きから、童顔と推測できる顔つき
かつ、返答の声色から気弱であると推測できる性格
「じゃあ、一緒に探しましょうか」
ニコニコと穏和な笑みを浮かべ、優しい雰囲気を醸し出しながら手を差しのべる
「は、はい。……よろしく、お願いします」
「此方こそ。弥生 旁です、よろしく」
変わらずニコニコしながら手を差し出すと、彼は少し動揺したあと、握手を返してくれた
「えっと、あの……クラウ……ビスティード、です」
僕がここに来て、初めての友人ができた瞬間だった
迷いのない足取りで、式場に向かって足を運ぶ
一度ここには仕事の関係で足を運んだことがあるため、迷うようなことはなかった
アクシデントも今のところはなく、平穏だった
「…………」
「…………待て、何故だ」
廊下で力尽きている少女を見つけるまでは
見た目から考えるに、西洋の生まれであると思える体つき、だが、経験から考えるに、少し平均よりは低いだろう、そして、目につくのは銀弾のような髪、破魔を連想させる銀色
モデルなどになれば高額で売れるであろうと思える程の美少女
俺の判断は当然
(放っておこう。その方が平穏を得られる)
迷うことなくその少女を切り捨てて行こうとした……のだが、脳内にあの馬鹿鬼の言葉が響いた
『面白そうだから拾っていこうぜ』
「……はぁ、勘弁してくれ」
この少女を助けると、絶対録でもないことになる、そんな確信を胸に抱きながら、俺は本当に、