サブタイ通りFate/EXTRAでオリ鯖アサシンを召喚したら?を妄想して書いたプロローグ部分になります。
感想、意見、リクエストなどがあったらお願いします。
ちなみに今回はFateですが、この小説での真名のネタバレの方は無しで行きます。
自分/私が違和感に気付いたのはまさに偶然だった。
違和感に気付いた後は、訳も分からずに知り合いを探し続け、最後に太陽のような少年――レオを、見つけた。
「また会いましょう」
そう言って、レオは、壁の向こうへ進んで行き、その姿は飲まれるように消えて行った。近くにいた男子生徒もそのまま進んで行く。
不思議に思って壁を触ると、瞬時に扉が現れた。彼らはここを進んで行ったのだろう。この違和感に終止符を打つために、覚悟を決めて思いっきり扉を開け放つ。
扉を開けた先は、用具室のような場所だった。パソコンのディスプレイがいくつか散乱していたり、壁際には奇妙な人形がある。
その奥に――――大きな穴が、まるで異世界に通じているようにぽっかりと開いている。
その穴に近づくと、壁際に立っていた人形が動き始めた。顔には目や鼻が無く、赤い線が入っているだけの作りで、人間味が無く少々不気味だ―――。そう思っていると、自分につき従うように背後に回った。つれて行け―――と言う事だろうか?
少し歩いてみると、それにつき従って動き出す。試しに倒れていたディスプレイを拾うよう指示すると、忠実に従った。どうやら簡単な命令と動作はこなせるらしい。
目の前にある穴は間違いなく異界への門。進んだ先に何があるのか、分かったものではない。だが、進まなくてはならない。人形を後ろに従えて恐る恐るながらも踏み出していく。
壁の穴を潜り抜けると先程とは違う、広い空間にでた。透明な床と壁に敷き詰めて出来たような場所で、まるで深海の中の世界にいるようだ。壁の向こうには恐竜の化石が見える。古く見えるのに、新しく。新しく、感じるのに古い。
例えるなら――――電子の海。
そう呼ぶのが相応しいのかもしれない。
~♢~
道中で襲いかかってきたボールを人形に撃破させながら、一本道を進むと、広い空間にたどり着いた。3枚の巨大なステンドグラスが目に入る。だがそれよりも目についたのは――――まるで息絶えたかのように横たわる男子生徒だった。その横には自分が付き従えている人形と同じ物が倒れている。男子生徒を助け起こそうと歩を進めた瞬間、
『カタカタ』
その傍らで倒れていた人形が『カタカタ』と不気味な音を立てて、立ち上がり襲い掛かってきた。人形に命令を下し、威力よりも早さを重視した攻撃をさせる。大振りの動きだった
―――よりも早く。
――ザクリ
「―――――え?」
全身が鋭い痛みが走る。まるで焼けるように熱い。何が起こったのかと、確認するために視界を動かす。
目の前に、自分が戦っていた人形がいた。その横にも人形がいた。自分の後ろにも、右にも、左にも―――いや、この場を埋め尽くすかのように大量の人形が、そこにいた。
――――ザクリ、ザクリザクリ
「――――――、――――――――!――――――――!!」
続く激痛に、悲鳴をあげる。それでも人形たちの攻撃は止まらなかった。何十体もの人形が鋭く尖った腕を、容赦なく自分に突き立てる。首を起こす力も無くなり、視界は完全に横に向く状態になった。立ち上がる力も無い。自分につき従っていた人形も粉々に砕かれていた。
『……ふむ、君も駄目か。そろそろ刻限だ。君を最後の候補とし、その落選をもって、今回の予選を終了しよう。
―――さらばだ。安らかに消滅したまえ』
身体が限界を訴える。理性が諦めを促す。
怖い、痛い、苦しい――――。
もう終わりにしてしまっても、いいかもしれない。そのはずだ。
なのに、
それでも、心
このまま終わるのは許されない。全身に駆け巡る痛みは、もう許容外の感覚だ。あまりに痛すぎて、目から火が出るどころの話じゃない。痛覚だけで眼球が燃えている。五感は指先から断裁されていく。
―――恐い。
痛みが恐い。感覚の消失が恐い。先程見た男子生徒と同じようになる事が恐い。
……そして、無意味に消える事が、何よりも恐ろしい。
ここで消えるのはおかしい。おかしいとノイズにまみれた意識が訴える。
ここで消えるなら、あの激痛は何の為に。ここで消えるなら、彼は何の為に。
―――――立て。
恐いままでいい。痛いままでいい。
その上で、もう一度、考えないと。
だってこの手は、まだ一度も、自分の意志で戦ってすらいないのだから―――――!
そんな時だった。空間に浮遊し、3つあったステンドグラスが7つに増えたのは。
そして―――
~♢~
「……ふーん。格好はイマイチだけど、中々良い精神を持ってるじゃない。気に入ったわ」
聞いたことも無い、美しい女性の声。それは間違いなく自分に向けられていた。
「さぁ、貴方はどうしたいの?生きたい?死にたい?声に出して、はっきり言ってごらんなさい。あたしはそれを叶えてあげる。つまらない返答はごめんだけどね」
試すような声が問う。考えるまでもない。答えは一つだ。
―――――生きたい!
「ナイスコール!最高に素敵な呼び出しね!さぁ、貴族的に盛大に行くわ。派手に散りなさい、木偶人形!」
ガラスの砕ける音と共に部屋に光が灯った。空間を彩っていた全てのステンドグラスが砕け散る。同時に強風が吹き荒れ、人形たちが吹き飛ばされながら、その首が切断された。
軋む体をどうにか起こし、激痛に耐えながらあたりを確認する。
部屋の中央にはいつの間にかほうっと何かが浮かび上がり、
そして―――目の前に一人の少女が立っていた。
軽くウェーブした、長く赤い髪。
可憐な手の中にあるのは、鋭く尖った大ぶりのナイフ。
女性らしい艶やかな身体を包む、鮮血を浴びたような赤黒いドレス。
人形や綺麗な陶器のような、白い肌。
外見は殆ど普通の人間と変わらない。
―――だが違う。明らかに。
ここに来るまでに出会った敵などとは比べ物にならぬ程の、人間を超越した力。
触れただけで蒸発してしまいそうな、圧倒的なまでの力の滾り。それが体の内に渦巻くのが、嫌でも感じ取れる。
「サーヴァント、アサシン。召喚に応じて参上したわ。
改めて、問うわよ。――――貴方があたしの
…………………………
…………………………………
……………………………………
「……な、何か言いなさいよ?何も言わなかったらあたしが苛めてるみたいじゃない。ほら、何でも良いから喋りなさいよ」
……ハッ!?
余りの出来事に思考が少し飛んでいたようだ。何はともあれ、この問いかけに答え応じなければ。
――――ああ、自分がマスターだ。
少女―――アサシンは自分の解答に満足したのか、笑顔でくるりとその場で回り、ドレスを靡かせる。
「月並みな言葉だけど……良いわ、貴方をあたしのマスターと認めてあげる。これから私の事はアサシンと呼びなさい」
彼女に手を引かれ、立ち上がる。と、握られた手がわずかに発熱した。何かを刻まれたような、鈍い痛み。
そこには、3つの模様が組み合わさった紋章にも見える、奇妙な印があった。刺青のように皮膚に染み込んでいる。
「はい、契約完了。これからの戦い、指示をよろしく頼むわよ、マスター?せっかく素敵なお呼ばれをしたのにすぐ敗退、なんて嫌だからね?」
呆気にとられて、その紋様と目の前の少女を交互に見る。何が起こったのかさっぱりわからない。
「……もしかして、何も解らないの?……しょうがないわね。し、仕方ないからあたしが手取り足取り教えてあげ、」
と。
少し顔を赤らめモジモジしているアサシンの後ろで何かが動いた。
それは先ほど自分を殺しに来た人形たちだった。アサシンの攻撃に耐えきっていたのか。数は3体。惨敗を思い出し、思わずたじろぐ。
3体の人形たちは自分とアサシンと取り囲むように移動し、同時に攻撃を繰り出した。自分を貫いたあの魔手が、再び自分に迫る、
「―――ウザイわ」
よりも早く、アサシンが右手に握った大ぶりのナイフを軽く振るう。それだけで、攻撃しようとしていた人形たちの腕が切り落とされた。
「今あたしは最高に気分が良いの。だから、」
次の瞬間、左側にいた人形の首が飛ぶ。次に右側の人形の首が飛び、最後に正面にいた人形の首が飛んだ。全て、綺麗に切断されていた。コロコロと足元に転がって来たその首を、アサシンは容赦なく踏み砕く。
首を落とされた人形はさすがにもう動くことは無かった。
「失せなさい、
彼女が何かを言っている。が、その声はろくに耳に入ってこなかった
左手に刻まれた印の発熱。それは戦いの最中も徐々に強まり、今や耐え難い激痛となって意識を白く焼き焦がす。
『手に刻まれたそれは令呪。サーヴァントの主人となった証だ。令呪はサーヴァントへの3つの絶対命令権……まあ使い捨ての強化装置とでも思えばいい。ただし、それは同時に聖杯戦争本戦の参加証でもある。全て失えば、マスターは死ぬ。注意する事だ』
再度、諦めかけた時に聞こえた声が聞こえてきた。
どうにか痛みをこらえつつ、言葉に耳を傾ける。
『困惑していることだろう。しかし、まずは……おめでとう。傷つき、迷い、辿り着いた者よ。主の名のもとに休息を与えよう。とりあえずは、ここがゴールという事になる。随分と未熟な行軍だったが、だからこそ見応えあふれるものだった。……いや、私も長くこの任についているが、君ほど無防備なマスター候補は初めてだ。誇りたまえ。君の機転は、臆病だったが蛮勇だった』
……あらためて注意を傾けると、声はどことなく癇に障る。厚みを持った声は三十代半ばの男性だろうか。聖堂のような場所であるからか、重ぐるしい
『おや、私の
記録―――では、この声に文句を言っても、何の答えも返ってこない、と言う事だろうか?
『そうだ。……む?これはまた、異例だな。君に、何者からか祝辞が届いている。“光あれ”と』
何処の誰かもわからない、何者から贈られた言葉。
“君に期待する”と、それは短くも、祈りのような言葉だった。
『では洗礼を始めよう。君にはその資格がある。変わらずに繰り返し、飽くなき回り続ける日常。そこに背を向けて踏み出した君の決断は、生き残るに足る資格を得た。
しかし、これはまだ1歩目に過ぎない。歓びたまえ、若き
声が語る内容は、全く意味が分からない。聖杯戦争?生き残る資格?
疑問に首を傾げる前に、印――令呪と呼ばれていたそれが、再び痛みを増してきた。
……駄目だ。もう耐えられない。
限界が来て、思考がホワイトアウトしていく。そのまま気を失う一瞬前に、あの声の最後の言葉とアサシンの声が聞こえた。
『ではこれより聖杯戦争を始めよう。
いかなる時代、いかなる歳月が流れようと、戦いを持って頂点を決するのは人の摂理。
月に招かれた電子の世界の魔術師たちよ。汝、自らを以て最強を証明せよ――――』
開戦を告げる言葉と共に聞こえたのは、
「大丈夫よ。貴方はあたしが勝たせてあげる。だから――今は少しの眠りに付きなさい」
慈母のように暖かい、少女の声と。
「至高の域に達した貴方は、きっと素敵な色の血を流すわね。――――楽しみだわ」
何物をも騙す悪魔のような声だった。