魔法少女リリカルなのは 占現師は御主人様!?   作:夜影

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一話

あれから意識が戻ると俺は知らない部屋で寝ていた。目線や体の小ささなどを見て、身体が縮んだのか、それともこの世界の俺の今の体なのかと納得した

 

納得したところで、色々と黒い感情が滲み出て来た

 

「あのクソ爺……。次に会ったらその神格自体を否定してやる」

 

とりあえず家の中を散策してみた結果。俺の名前が四阿(あずまや) 月人(つきと)に変わっていることと、この家の詳細などがわかった。純和風の家屋で、洋室は一つもなく和室だけ。人が住んでいた形跡などはまるでなかった。まるで建てられたばかりの家屋にも思えた

 

「庭先には桜の木ね。春には花見が出来そうな家だこった……」

 

こちとらそんな気分じゃねぇがな

 

「あの爺の言った事が本当なら、あるはずだよな」

 

あの木箱が……。“クロウ・クルアッハの聖隷のタロット”が

 

家の中をくまなく散策する。扉は開けて、引き出しも開けた。トイレは開いてたから閉めた

 

「家の中にはなしか」

 

だとしたら、

 

「あの外の蔵しかねぇよな」

 

家の敷地内に立ち、一際目立つ巨大な蔵。残りはあそこしかないよな

 

靴に履き替え、蔵の前に立つ。実際、遠くから見るだけで相当なデカさと思えた物だ。ここまで近くにくればそらデカいよな

 

「鍵は……かかってないのか?」

 

試しに蔵の扉を押してみると、ギイと言う音を立てて重い扉が開いた

 

「書物だらけだな」

 

蔵の中は古い紙を数枚まとめた書類や巻物。昔の本のようなものが数多存在していた

 

「でもやっぱりおかしいよな。これだけの書物がこの蔵にあるのに対して」

 

埃1つ。この蔵には積もってない

 

「不審なところは多いけど、残りはここしかねぇ。探さないつもりもねぇ」

 

注意深く一つ一つ見て行く。自分の手の届く高さにあれば一番なんだがな。今の俺の体は精々4、5歳だ。踏み台もないからまず無理になる

 

「ホント。なんか目印でもあってくれれば簡単なんだけどな」

 

てか普通、特典なら俺の近くにある事が当たり前じゃねぇのかよ。……色々言いながら特典や転生を受け入れてしまっている俺がいる

 

「そう言えば、原作でカードに『憑依(シグニフィケイション)』された人間の道はもの凄く乱れてるっつーか。多いんだっけか」

 

でも、“忌神の眼”はあくまで人の道を見てそこから情報を読み取り占現するからな。道具は流石にわからないか

 

「ん? あれは……」

 

蔵の奥に唯一、埃を被っている空間があった。不自然だけど何故か自然にそうあってもおかしくないと思ってしまえた。それは()()()()()()()()()()()()のだと……

 

「古い木箱。これだな」

 

息を吹きかけると埃が巻き上がるほどの埃が積もった木箱。だが不思議とどこも痛んだところはなかった

 

「んじゃ御開帳っと」

 

木箱を開けるとそこには…………

 

「フィギュア、なのか?」

 

巫女服を着た小さなフィギュアが入っていた。一応、その下には何枚かのカードがあるみたいだ

 

「とりあえず、目当てのもんは見つけたし。一度戻るか」

 

木箱の蓋を閉め、それを持ち母屋に戻る。一瞬、木箱の中で何か動いたような気がしたが、そこは気にしない

 

 

「中身はさっきのフィギュア(?)と3枚のカード。一応、タロットで合ってるみたいだな」

 

母屋に戻るなり木箱をもう一度開け、中身を取り出す。一応、フィギュアはテーブルの上に小さめの座布団を置き、そこに置いてある

 

「全22枚内3枚しか木箱にないってどういう事だ?」

 

クロウ・クルアッハの聖隷のタロットは封印されてたんじゃないのか?

 

「でも札は貼ってなかったよな。でも、そうすると誰が……」

 

「あなたの前のご主人さまですよ」

 

「へー。俺の前のご主人さまね~……。ん!?」

 

あれ? 俺、誰と話してんだ? この家、俺しかいねぇよな

 

恐る恐る座布団の方に目を移してみると

 

「ふわぁ~……」

 

可愛らしく欠伸をしているフィギュアの姿が

 

「っておい! お前フィギュアじゃねぇのか!?」

 

「誰か萌え系フィギュアですか!? わたしは超高級な式神なのですよ!!」

 

式神? ……あー。思い出した。いたよ。タロットの番人とか言ってタロットに全然相手にされなくて団子ばっか食って家計圧迫するはた迷惑式神が……

 

「てことはお前がジブリールで合ってんだな?」

 

「はいです! 是非ジブちゃんとお呼び下さい!」

 

「んでジブ公。一つ聞きてぇんだけどよ」

 

「スルーですか!? しかもなんですかそのどこぞの忠犬みたいな名前は!」

 

うるせぇ式神だな。さもなくばジ〇リって呼ぶぞ

 

「呼び方とかそんなのはどうでもいいが、さっきの話。どういう事だ?」

 

「はぁ。まぁいいのです。タロットのことですか? 先ほども言った通り、あなたの前のご主人さまが封印を解いたきり集めずに逃げ出し、自分の子供であるあなたに“聖櫃”の役目を押し付けどこかに行ってしまった。つまり前のご主人様はあなたのお父様と言う事になるのです。雪人様」

 

親父ェ……

 

「まぁいい。だとしたら、何故ここに3枚だけ残ってる」

 

カードに振られた数字はIV、V、XV。上から“皇帝”“法王”“悪魔”のカードになる

 

「それはわからないのです。その3枚は何故か飛んで行かなかったのです」

 

原作では詩編の名前や封印された工程が描写されていなかった3枚。だが、“皇帝”の詩編はチートクサかったのは覚えている

 

「……なぁジブ公。親父がタロットの封印を解いたのはどれくらい前だ?」

 

「そうですね。私も眠っていたので正確にはわかりませんけど、多分3年前だと思うのです」

 

3年。たった3枚を残したとしてもそれだけの期間があれば俺を殺すことも可能。それに“楽園の占現”の影響が出ていないのがどうにもおかしい

 

「3年間、誰にも憑依(シグニフィケイション)してない可能性は?」

 

「それは考えにくいのです! タロット達はこの占現が開始されれば問答無用で聖櫃である雪人様を殺しに来るはずです! それを行うには誰か人間に憑依(シグニフィケイション)するしかないのです! それが3年間もないなんてありえないのです!」

 

やっぱりそうだよな。中には自由気ままなタロットもいるけど、タロットのほとんどは聖櫃を殺すことを第一の目標としている。それが3年間も実行されないなんて、それはいくらなんでもおかしい

 

「ダメだ。全然わからねぇ」

 

「それより月人様。この家は菖蒲四阿家には知られてないのですか?」

 

「あぁ!?」

 

いるのか!? 菖蒲四阿家が!?

 

菖蒲四阿家。四阿家の分家筆頭で本家の次に権力を持つ家になる。本家とは今現状睨みあいの冷戦状態が続いてる……らしい

 

「それってマジな話なのか? ジブ公」

 

「はいです。月人様のお父様、紅人(くと)様がこの本家にいた頃はそうなっていたのです。菖蒲の当主は冷血漢なのです」

 

だから三年前と事情が変わらないなら、今も睨みあいの冷戦が続いてると

 

「おい。ジブ公。志摩のばあさんはいねぇのか?」

 

「桜様ですか? おかしなことを言う月人様です。桜様は月人様が生まれてすぐに亡くなってしまったじゃないですか」

 

少し悲しそうな表情をし、そう言うジブ公

 

「は……?」

 

どう言う事だ? この世界はなんだ? タロットの御主人様の世界ではない。まず、親父がクロウ・クルアッハのタロットの封印を解いた時点でそれは理解出来た

 

「な、なぁジブ公。“秋人”の名前に聞き覚えはあるか?」

 

「秋人様ですか? 覚えているも何も、四季様と秋人様が私にとって一番の御主人様だったんですよ? 忘れるはずないのです」

 

ちょっと待てよ。おい! てことはなんだ? この世界は秋人がタロットを再封印し、タロット達が憑依されていた連中の子供として生まれてくるとかそう言うあれがあった頃から相当な年数が過ぎた世界って事か?

 

「それにしても、この“海鳴”と言う街はいい街なのです。海風が気持ちいいのです」

 

「う、“海鳴”?」

 

「ホントに大丈夫ですか? 月人様。この家は海鳴市にある現在の四阿の本家ですよ?」

 

もう色々ついていけねぇよ!! 疑問やら問題が山積みな中、次は魔王少女の世界だぁ!?

 

「なのはの世界は憑依(シグニフィケイション)されたらアウトだろうが……。なんだよ。タロットの詩篇+魔法? なんだその無理ゲーは」

 

お願いだから原作キャラに憑りつかないで!! いろんな意味で死ぬから!!

 

「あー……。少し散歩してくる」

 

「お土産はお団子でいいですよ~」

 

そんなジブ公の声を聞き流しながら俺は現実逃避する為の散歩に出たのだった……

 

 




一話でした

では、色々とここで説明させていただきます。転生先はなのはの世界。秋人達は過去の英雄となっている。一度は解消された菖蒲四阿家とのいざこざがもう一度発生している

とまぁ一話ではこんな感じです。そしてみんなのアイドルジブちゃん登場!

ジブちゃんには後々色々と大事な役目を担ってもらう予定でいます。ジブちゃんの活躍に乞うご期待!

次は幼少期最大イベントに遭遇。そしてついに初めての忌神の眼の解放……!?

では、また次のお話でお会いしましょう
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