「迷った」
とりあえず現実逃避の為散歩へ→適当に思考を張り巡らせながら歩いていた→気づいたここどこ?←今ここ
「やっぱり考え事しながら歩くのはよくねぇな。うん」
でも、ガチで現実逃避したい。だってこんな現実酷過ぎるだろ。こんなのってないよ……
「海は近くに見えないから駅近くの方に来ちまったか?」
家は海近くだから反対側だな。日が暮れる前には戻らないとジブ公がうるさそうだな
「まぁまだ日は高いから大丈夫か。少し散策して行くか」
近くに都合よく団子屋がないかと探しながら歩く
「お、団子屋見っけ」
いかにも老舗な感じの団子屋を発見した。どの辺が老舗かって? 看板の文字が右から読むようになってるからじゃね?
「ちわーす」
「おや坊や。おつかいかい?」
奥から優しそうなばあさんが顔を出す。結構、良い店っぽいな
「まぁそんなとこです。みたらし、餡子、ゴマ五本ずつもらえますか?」
「みたらし、餡子、ゴマ五本ずつだね? 少し待っておいておくれ」
なんだかんだ言ってジブ公の言う通りにしちまってる俺が憎い
「はい。坊や。1500円だよ」
一本100円か。流石老舗。少し高い
財布から1500円を出し、ばあさんに渡す
「確かに。ありがとうね。坊や」
「また来ます」
そう言って団子屋を後にした
とりあえず団子は買った。あともう少しだけうろついて帰るか
「公園か……」
少しうろついてみると近くに公園がある事に気が付いた。まだ夕暮れには遠いが、人の姿があまりない。どうやらここはそこまで人気のある公園ではないようだ
「それでもやっぱり、物好きな奴ってのはどこにでもいるんだな」
その人気のない公園のブランコに俯いたまま乗っている1人の女の子の姿があった
「まったく。こんなところに1人でいても楽しくないだろうに」
何か抱え込んでるようにも見えるけど、俺と同じくらいのガキだぞ? そんな事があっていいのか?
女の子を見て考えていた時、目に痛みが走った
「ッ!?」
しかも片方ではなく両方。堪らず目を閉じる
数秒して痛みが引くのを感じると目を再び開く。すると、風景が一変していた
「道が……見える、だと……?」
まさかこれが、
今の状態でさっきの女の子をもう一度見てみた
「なっ!?」
一瞬だが、あの女の子が白い服を身に纏い、それを赤く染める血を流し倒れている風景が俺の脳裏に焼き付いた
「まさか
この占現は本当ならば、あの子は……。大怪我を負うか、死ぬことになる
「まさか、こんな形で初めての占現をするなんてな」
忌神の眼はその輦道を視界に映し、そこから読み取れる情報を元に占現する為の四阿家千年の歴史が証明した能力。簡単に言うとナ〇トで言う血継限界みたいなものととらえてもらっていい
「流石に破滅の未来を見ちまってそのままにしておく事は出来ねぇよな」
目をどうにかしたかったけど、どうにも出来そうにないから、そのままブランコに座ってた女の子に近寄り話しかけた
「そんなところで下向いてると地面に頭落っことすぞ」
「ふぇ!?」
いきなり話しかけられたことに対してなのか、それとも話しかけた話題に対してなのかわからないけど、驚いて顔を上げる女の子
あー待て。どっかで見た事ある。…………主人公じゃね?
「え、えっと……」
とにかく落ち込むのは後にするか。今はなんかアタフタしてるこの子をどうにかする事が先
「とりあえず落ち着け。ほら深呼吸だ。深呼吸。ほら吸って~」
俺の言葉に従うように大きく息を吸い込む
「はい! そこで止めて!」
するとなんとも純粋なのかマジで止めた。ヤバい、これは弄りがいのある子だ
とりま少し放置
「ぷはぁ! はぁはぁ……。いつまで止めればいいの!?」
「あ、悪い。でも落ち着けただろ?」
さっきよりは大分話せるように見える
「んで? こんな人気のない公園で何やってんの? 誘拐されるぞ?」
「……君には関係ないの」
あーこれは何かありますって顔してやがる。はぁー……。面倒クサそうだな
「まぁ確かに関係はないな。でもお前、俺が話しかけないとずっとああしてただろ?」
「…………」
だんまりか。やっぱ、なんか後ろにありそうだな
「俺はお前みたいなちいせぇガキが悩んでる事自体気に食わねえんだ。何を悩んでるかは知らねぇし、こんな事を言われる筋合いだってねぇ。でもよ。ガキはガキらしく遊んで笑ってた方がいいに決まってんだ。親に余計な心配かけるぞ?」
「君だって小さいじゃん……。それにお母さん達はなのはの事なんて心配してないもん」
その言葉に一瞬だけ息が詰まった。育児放棄? いや、それはない。多分これは事情が色々と込み合ってるんだな
こんな時、偽善を振りかざすオリ主くんならパッパと解決しちまうんだろうが。俺にはそんなの無理だ
「親に心配されない、ね。その気持ちはわからねぇでもねぇけどよ。話してくれねぇか? お前が親に心配されない理由と、そんな寂しい顔を無理に笑ってる理由をよ」
「む、無理になんか笑ってないもん! なのははちゃんと、笑えてるもん! 心の底からちゃんとっ!!」
俺の言葉で激情したのか、それとも何かの
「そうか? 俺にはそうは見えねぇけどな。何かを自分の中に押し込めて誰にも気づかそうとしないで無理してるようにしか見えねぇ」
「そんな事ないもん! なのはは、なのははちゃんと、ちゃんと!!」
自分をなのはと言った女の子はそこまで言うと耐えきれなくなったのか。声を上げて泣き出してしまった
「はぁ……。泣くガキと犬は嫌いなんだがな~……」
こんな時だけはこの公園が人気のない場所でよかったと思える
俺は女の子をあやすように少し乱暴に頭を撫でてやる。すると、今度は俺に抱き着いてさらに大きな声を上げて泣いた。
どれだけ溜め込んでたんだよ。こんなになるまで……
俺は少しでも何か出来ないかと思って、せめてこいつが泣き止むまでは撫でてやろうと思った
5分くらいで泣き止んでくれたが、俺としてはその5分がどれだけ気まずかったか……
「泣いてすっきりしたか?」
「……ごめんなさいなの」
「俺を巻き込んで泣いたことに対してか? だったら謝らなくて結構。元々俺が言った事が原因だからな」
精神年齢的にもクルものがあったぜ
「……実はね。なのはのお父さん。病院にいるんだ」
いきなり語り出したよ。今時のガキってこうなの?
「病院? 怪我でもしたのか?」
「うん。もの凄く大きな怪我で、今にも死んじゃいそうなんだって」
生死の境目を彷徨ってるってとこか。事故でも起こしたのか?
「お母さんは新しくお店を出しちゃって、毎日毎日お店で忙しくて。でも、みんな忙しいからなのはは笑ってなくちゃいけなくて」
「とりあえず、一つ聞かせろ。みんな忙しい。だからってなんでお前が笑ってなきゃいけないんだ?」
「だって! 私が我が儘言ったらお母さんもお姉ちゃんもお兄ちゃんも困っちゃうから! だから、心配かけないようになのははずっと笑ってなくちゃいけないの!」
おいおい。どう考えたって、それはおかしいだろうよ
「まぁお前の考えは立派だわな。でもな。それは大人の考えだ。今のお前はなんだ? ただの小さいガキだ。みんな心配しちゃうから笑ってなくちゃいけない? んなもん知るか。目一杯心配かけてやれよ。普通ならお前の今の立場はお前の親がやらなくちゃいけない立場なんだ。それをお前がやる必要はねぇ。親に我が儘言って困らせてやりゃあいい。我が儘ばかりはダメだがな」
「で、でも!」
「でももしかしもねぇの。もう夕暮れだ。家まで送ってやるからちゃんと家族と話をしろ。ちゃんと向き合って来い」
渋る女の子を言いくるめて家まで案内させる。家っつってもどうせさっきの話だと店が忙しいとかそんなだろうから、そっちに案内させた
「喫茶翠屋。随分好立地じゃねぇの」
これは忙しいわな。しかも雑誌にも取り上げられたこともあるって聞いたから、これは有名になる
「もう時間的に店じまいか。ほれ。行って来い」
「本当に、いいのかな?」
「何度も言わせるな。そんなに自分から言うのが怖いなら、俺が言ってやろうか?」
別に俺はそれでも構わねぇけど
すると女の子は意志を固めたようにちゃんと前を向いた
「んじゃ俺の役目はここまでだな。俺は帰るよ」
「あ、待って!!」
踵を返し、家の方向に足を向けようとした時、女の子に呼び止められた
「まだ名前、教えてもらってない! なのははなのは! 高町 なのは!」
「ああ。そうか。んじゃ改めてだな。四阿 月人だ。いい報告、期待してるよ。高町」
そう呼んだ時の高町の顔がさっきの無理な笑顔じゃなく、ちゃんと心の底から笑えてるそんな輝いてる笑顔だった
高町が店に入っていくところを確認して、俺は帰路についた
帰った瞬間ジブ公がもの凄く怒ってたが、団子を上げてなんとか凌いだ。
てか15本あったのになんで5分もしねぇ内に全部食うんだよ……
2話でした。
今回は幼少期での一番のイベント。鬱状態なのはとの邂逅でした!
王道ならここで踏み台の1人や2人出てきてもおかしくないのですが、ここでは登場させませんでした!
そして初忌神の眼解放! ちゃんと特典通りの遠目も発動してます。主人公の遠目は秋人には及ばないけど、劣らないクラスと思ってもらっていいです
はてさて次からは2話くらい原作キャラが登場しない予定になってます。
ではまた、次のお話でお会いしましょう