ハリー・ポッターと終末の魔法使い   作:サーフ

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投稿ミスにより、編集途中で投稿してしまいました。

こちらが、完成版です。


メタトロン

 

  「さて、どういう状況か説明して貰おうかの」

 

 依然として、杖を構えるダンブルドアは笑っていない笑みを浮かべている。

 

「ハリー・ポッター、ハーマイオニー・グレンジャー、ロン・ウィーズリーの3名が、『賢者の石』と呼ばれる鉱石の確保に向かいました。我々はそれに同行したまでに過ぎません」

 

 デルフィの簡単な回答に、ダンブルドアは顔を歪める。

 

「して、賢者の石はどこじゃ?」

 

「教員のクィリナス・クィレルがハリーを人質に取りました。人質の交換条件として石を渡しました」

 

「ほぉ…つまりお主等は、ハリーと引き換えに石を渡したという事じゃな」

 

「その通りです」

 

「奴…いや、奴等が何の為に石を欲しているか知って居るか?」

 

「闇の帝王の復活と話していました」

 

「それを知っていて、渡したのか?」

 

「人命保護が最優先です」

 

「そうか…」

 

 ダンブルドアは杖を構えたまま、溜息を吐く。

 

「ワシの主観じゃが…お主達の腕ならば、石を渡さずとも、ハリーを助け出し、不届き者を捕えられたは?」

 

「十分に可能でしょう」

 

「ではなぜそれをしなかった?」

 

 ダンブルドアの差すような視線がこちらに向けられる。

 

「シミュレーションの結果。反撃を許し、人質の生命が脅かされる可能性が数パーセント程ありました」

 

「ほぉ…つまりお主達は、たったそれだけの可能性の為に、石を渡したと…」

 

「その通りです」

 

「あの石が奴に渡れば…奴の復活を許せば…再びこの世界に闇が訪れるのじゃぞ…」

 

 ダンブルドアは悲しそうに、杖を構える手とは反対側の手で頭を抱えている。

 

「お言葉ですが、あの石では、人体の複製、及びそれに類ずる行動には、力不足です」

 

「何じゃと…」

 

 ダンブルドアは再び、鋭い視線を向ける。

 

「あの鉱石は、『メタトロン鉱石』と呼ばれるものです。本に記載されている物や、伝承上の、賢者の石の効果は無いと考えられます」

 

「………」

 

「質問してもよろしいでしょうか?」

 

「なんじゃ…」

 

「あの石…『メタトロン鉱石』はどのような経緯でこちらに?」

 

 互いに武器を構えた状況下で、さらに緊張が走る。

 

「それを…知ってどうするのじゃ? それに、この石はお主等には関係ない物じゃ」

 

「そう言う訳にはいきません」

 

「あの鉱石は、私達には深い関りが有るので」

 

 デルフィはそう言うと、ベクタートラップ内から高純度のメタトロン鉱石を取り出し、手の平で遊ばせる。

 

「な…そ…それは…」

 

「高純度のメタトロン鉱石です」

 

 狼狽えるダンブルドアの足元にメタトロン鉱石を投げると、恐る恐る拾い上げている。

 

「まさか…これ程の力の物を…」

 

「ご説明いただけますね」

 

「…………わかった…」

 

 ダンブルドアはゆっくりと口を開いた。

 

 

「あの石は、元々はワシの友人の持ち物じゃった。どの様に手に入れたかは教えては貰えなかったがの…彼はあの不思議な力を使い、魔導具を作り上げると、自身の体に埋め込み、長い寿命を得たという」

 

 恐らく、メタトロンと魔法技術を用いて、人工臓器を作ったのだろう。

 

 メタトロンの半永久的なエネルギーにより、長寿命を手に入れたと考えられる。

 

 

 この世界に来て分かった事だが、メタトロンと魔力の相性はとても良い。

 

 メタトロンに魔力を送り込むことで、飛躍的にそのスペックを高める事が出来る。

 

 もちろん、その逆も可能だ。 

 

「じゃが…彼はその力を恐れた。あれは破滅を呼ぶ力だと…そこで彼はワシにある依頼をよこした。それが、あの石を伝説上の『賢者の石』という事にし、ワシに預かって居て欲しいと」

 

「なぜそのような事を?」

 

「彼にも事情があったのじゃろう…そこでワシ達は、共同研究の結果『賢者の石』の生成に成功したという事にしたのじゃ。彼も賢者の石を完成まであと1歩の辺りまで行ったが、結局諦めてしまったようじゃ」

 

「つまり、あの石は作られたものではないと?」

 

「そうじゃ、偶然手に入れた物にすぎん」

 

「事情は分かりました。それでは、我々はこれで。ハリーの事は任せます」

 

 ダンブルドアは数回頷くと、ハリーの物に駆け寄る。

 

「鉱石を回収します」

 

 デルフィはそう言うと、ダンブルドアの横を通り過ぎる際に、メタトロン鉱石を回収すると手の平から吸収している。今回使用したエネルギーの回復程度には使えるだろう。

 

「その力を…どうするつもりじゃ…」

 

 私は、歩みを止めゆっくりと振り返る。

 

「力は正しい事に使います。少なくとも自分がそう思える事に」

 

「………」

 

 

 部屋に取り残されたダンブルドアは俯いており、その表情は窺えなかった。

 

 

  来たルートを戻り、垂直の通路をスラスターを使い上昇し、扉を開け、着地する。

 

「おーよしよし。もう大丈夫だぞ」

 

 そこには、フラッフィーに包帯や薬等で処置を施しているハグリッドの姿があった。

 

「グルゥゥゥゥゥ!」

 

 当のフラッフィーはと言うと、私達の姿を目にした途端、怯えた様に威嚇を始めた。

 

「こら! やめんか! お? お前さん達戻ったのか」

 

「えぇ」

 

「無事なようだな。ハーマイオニー達は医務室に居るはずだ。顔でも出したらどうだ?」

 

 無意味に威嚇をしているフラッフィーを尻目に、私達はその場を後にする。

 

 

 すでに夜も開け始めており、現在医務室に行っても無意味と判断し、翌日顔を出す事にした。

 

 

 

  そして、無事朝を迎え、多くの生徒が目を覚まし、校内に人があふれる。

 

 

 そんな人混みを避けながら、私達は医務室の扉を開ける。

 

 部屋の中では、数十を超えるベッドが用意されており、3つにだけ、外界と遮断するようなカーテンで覆われており、シルエットだけが浮かび上がる。

 

 その3つのシルエットの内、起きているのは1つだけだった。

 

 私達は、唯一起きているシルエットの前に歩み寄ると、カーテン越しに声が上がる。

 

「誰?」

 

「我々です」

 

「デルフィ! それにエイダ! 入って!」

 

「失礼します」

 

 カーテンを開き、中に入ると、ベッドの上で上体を起こしているハーマイオニーは膝の上にタブレット端末を置くと、こちらに嬉しそうな表情を向ける。

 

「ありがとう。お見舞いに来てくれたのね」

 

「ご無事で何よりです」

 

「私はね。ハリーとロンは数日は寝たままらしいわ」

 

 

 そう言って二人の方へ視線を向けた。

 

 その時、医務室の扉が開き奥からダンブルドアがやってきた。

 

 

 

「ダンブルドア先生!」

 

「おぉ、もう起きておったのか? 体調は大丈夫かのぉ?」

 

「はい、私はこれといって悪いところは無いです」

 

「そうか、それは良いことじゃ。ところで、その石板の様な物は何じゃ?」

 

「えーっと…これは…」

 

ハーマイオニーは分かり易く、困惑した表情を浮かべている。

 

「これは、マグル界に存在する、科学技術の一種です」

 

「ほぉ…マグルの」

 

「えぇ」

 

「そうか、マグルのか。そうか」

 

 そう言うとダンブルドアが二人の枕元に百味ビーンズの箱を置いて行った。

 

 ハーマイオニーにはカエルチョコレートを手渡した。

 

 受け取ったハーマイオニーは何とも言えぬ表情を浮かべると、枕元に置く。

 

「さて…皆が無事な様でワシは嬉しいのぉ…さて、2人には少し聞きたいことがあるのじゃが。後で校長室へ来てくれるかの?」

 

「了解です」

 

 薄眼でこちらを睨むダンブルドアは数回頷くと、その場から立ち去った。

 

「なんで2人が呼び出されるの? 何かした?」

 

「我々に心当たりは有りません」

 

「じゃあ…なんで…」

 

「行けばわかるでしょう。それではお大事に」

 

 医務室を後にする私達の背中を、ハーマイオニーは再び心配そうな視線を送っていた。

 

 

  医務室を抜け、校長室の扉の前へと移動する。

 そこには、2体の石像が経っている。

 

 扉に手を振れると、簡易的な防衛システムによってロックされている様だ。

 

「ハッキング開始」

 

 ハッキングを行い、パスコードを取得すると、扉を抜け、奥へと進む。

 

 奥にたどり着くと、再び扉が現れる。

 

 扉を2回ほどノックすると、中からダンブルドアの声が上がり、入るように促される。

 

「失礼します」

 

 

「良く来たの」

 

 椅子に深く身を沈めている、ダンブルドアは両手を組みながら、私達を歓迎する。

 

「要件は何でしょう?」

 

「そうじゃの。では単刀直入に聞くが」

 

 若干の沈黙の後、ダンブルドアが重い口を開く。

 

「お主達は、一体何者なのじゃ?」

 

「我々は、一介の生徒にすぎません」

 

 デルフィは間髪入れずに答える。

 

「フッ…そうか…」

 

「えぇ」

 

「………」

 

 ダンブルドアはゆっくりと立ち上がると、瞬時に杖を引き抜き、こちらに魔法を放つ。

 

 放たれた魔法は私達に直撃したが、常時起動させている防衛プログラムによって、体表で霧散する。

 

「なんじゃと…」

 

 ダンブルドアは分かり易く狼狽している。

 

「どう言うおつもりですか?」

 

「回答次第では攻撃対象とみなします」

 

 デルフィはゆっくりとウアスロッドを構え、それに倣う様に私もメタトロン製の杖を構える。

 

 しかし、ダンブルドアも未だに杖を手放さずにいる。

 

「見慣れぬ杖じゃ…それにとてつもない力を秘めて居る様じゃの…まるであの石の様じゃ…」

 

 ダンブルドアは目線をこちらから離さず、真っ直ぐに見ている。

 

「お主は先日言っておったの。『力は正しい事に使う、少なくとも自分が正しいと思えることに』と」

 

「えぇ」

 

「素晴らしい心がけじゃ。じゃがお主ほどの年齢で言える言葉ではあるまい。誰の受け売りじゃ?」

 

「恩人と知人の言葉です」

 

「そうか、して、お主達はその力をどうするのじゃ? 不用意に弱者に振るうのか?」

 

「現状その様な予定は有りません」

 

「あくまでも、我々が力を使うのは、防衛手段です」

 

「そうか…つまり、生徒達に不用意に力を振るう訳ではないのじゃな?」

 

「その通りです」

 

「わかった…」

 

 ダンブルドアはそう言うと、杖を納め、再び椅子に深く横たわる。

 

「もうよろしいでしょうか?」

 

「良いぞ。時間を取らせたな」

 

 私達は、その場で一礼すると、校長室を後にした。私達の背中にダンブルドアの疑心に満ちた視線が突き刺さるのを感じながら。

 

 




メタトロンと魔力の相性がいいと言うのは、独自の見解です。

元々、メタトロンは魔法とも呼ばれている程ですから、相性が良いのではないかと。
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