ハリー・ポッターと終末の魔法使い   作:サーフ

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お待ちかね。ロックハート様登場です。


駆逐作業

   しばらく、歩みを進め、森を抜けると、ホグワーツの正門へと到着した。

 

 周囲には、まばらだが、荷物を抱えた生徒の姿があった。

 

「何とか、間に合った…」

 

「生徒達に紛れて、我々も城内に進入しましょう」

 

「そうだね」

 

 ハリーは、無言で歩くロンを気に掛けながら、生徒の列に紛れると、何とか大広間まで移動した。

 

「あら? 貴方達…汽車では見かけなかったけど…他の車両に乗っていたの?」

 

 私達を発見したハーマイオニーがこちらに歩み寄ってくる。

 

「あー…まぁそんなとこ」

 

 ハリーが適当にはぐらかし、ハーマイオニーは首をかしげている。

 

「まぁいいわ。それより、もうじき入学式が始まるわ」

 

 その時、大広間の扉が開かれ、エメラルド色のローブを身に纏ったマクゴナガルが現れた。

 

「これより入学式を始めます。在校生は急ぎ席に着きなさい」

 

 マクゴナガルの号令に従い、在校生は急ぎ席へと座った。

 

 数分待機すると、新入生が神妙な面持ちで入場してきた。

 

 その後は去年同様に組み分けが行われ、それが終わったら歓迎会とダンブルドアの簡単な挨拶となった。

 

「さて、無駄に長々と挨拶しても意味は無かろう。それでは皆、存分に食事を楽しんでくれ」

 

 ダンブルドアの一声と同時に、在校生、主に男子生徒だが、一斉に食事に手を伸ばす。

 

 私達は、大した量の食事は必要とはしないので、適応に済ませる。

 

「なぁ…ハリー…」

 

「ん?? どうしたんだロン?」

 

 食事の最中、ロンが思い詰めた表情で、ハリーに声を掛ける。

 

「僕達呼び出されたりなんかしないよな?」

 

「呼び出し? 一体誰にさ?」

 

「決ってるだろ。マクゴナガルを始めとした先生達さ」

 

「なんで?」

 

「なんでって…僕達今回は車が来ただろ?」

 

「そうだね」

 

「その時、マグルに見られちゃってたと思うんだよ」

 

「あー…確かにそうかも」

 

「だろ。だからきっとその事で…」

 

「ポッター。ウィーズリー。少しよろしいですか」

 

「あぅ…」

 

 ロンとハリーの2人が恐る恐る振り返ると、そこには、無表情のマクゴナガルが立っていた。

 

「げっ…」

 

「えーと…先生。何の用で…」

 

「先程お話していたので心当たりがお在りでしょう。詳しい事を聞きたいので付いて来なさい」

 

「あ…はい…」

 

 2人は力なく立ち上がると、フラフラとマクゴナガルの後を付いて行った。

 

 その後、彼等が歓迎パーティーに戻る事は無く、疲れた表情で談話室に現れた。

 

「あら? 二人ともおかえり。何があったのよ?」

 

「まぁ…ちょっとね」

 

「ちょっとだよ。僕の杖が折れたくらいさ」

 

「杖が折れったって…一大事じゃない! どうするのよ」

 

「大丈夫さ。後でテープでくっ付ける」

 

「そんなんで大丈夫だとは思えないけど…予備の杖を借りたら?」

 

「そんな! 杖が折れたのがママに知られたら僕、どうなる事か…」

 

 ロンはワザとらしく体を震わせている。

 

 そんな時、彼等と視線が合う。

 

「あぁ、安心して。君達が乗っていたって事は言ってないから」

 

「お心遣い感謝します」

 

「まぁ、言ったところで犠牲者が増えるだけだったからね」

 

 2人はそう言うと、溜息を吐きながら、男子寮へと消えていった。

 

「何があったのよ…」

 

「あまり深く詮索されない方がよろしいかと」

 

「そ…そうなの? まぁいいわ。とりあえず、私達も寝ましょ」

 

「えぇ」

 

 久しぶりのホグワーツの自室に入ると、ハーマイオニーは疲れているのか、そのまますぐに眠りに付いた。

 

 

 

  数日が経ち、母親からの吠えメールで、更にどん底に落とされたロンの気力も回復し始めた頃。

 

 授業では闇の魔術に対する防衛術が始まった。

 

 ハーマイオニーは楽しみで仕方ないのか、先程からずっと教科書を読んでは表紙を眺めていた。

 

 

 

 しかし驚いたことに今年の闇の魔術に対する防衛術の授業で使う教科書は7冊にも及んでいた。

 

 

 

 しかも全てロックハートの作品の本だ。

 

 本の内容はただの改変した自伝小説のようなものだった。

 

 学問を教える上で必要な物とは到底思えない。

 

「あぁ! もう! なんだよこの本の数は!」

 

「持ち運ぶのが大変だ…おっと! ロン! 2冊落としたぞ!」

 

「あ? マジかよ…」

 

 すでに入室済みの生徒は、7冊の教科書に指定されている、自伝に悪戦苦闘している。

 

「ねぇ? ここ良い?」

 

「構いませんよ」

 

 すでに着席している私達の隣に、ハーマイオニーが着席した。

 

 その手には何度も読み返したのか、既にボロボロになっている7冊の本が抱えられていた。

 

「ねぇ、貴方達はもう読んだ?」

 

「一応は」

 

「そう。やっぱり素晴らしいわよね! 流石、ロックハート様だわ!」

 

 両手で本を抱きしめているハーマイオニーは天を仰いでいる。

 

 

 しばらくすると、教師の扉が開かれロックハートが姿を現した。

 

 その途端に教室に女子生徒の黄色い悲鳴が響いた。

 

 

 ロックハートは全員が教室に居ることを確認した後、手を上げ歓声を宥めた後、大袈裟に大手を振りながら登壇すると、自伝小説を取り出し、表紙をこちらに向け高らかに掲げ…

 

 

 

「私だ」

 

 

 

 

 次には表紙と本人が同時にウィンクをし、その途端に再び黄色い悲鳴が教室を包んだ。

 

 

 

 

「ギルデロイ・ロックハート。勲三等マーリン勲章、闇の魔術に対する防衛術連盟名誉会員、そして『週刊魔女』5回連続『チャーミング・スマイル賞』受賞。もっとも私はそんな話をするつもりではありませんよ。バントンの泣き妖怪バンシーをスマイルだけで追い払ったわけじゃありませんしね!」

 

 

 

 長い口上を終え周囲を見回すと、満足げに数回頷いている。

 

 

「皆さん、ちゃんと私の本を揃えたようですね。素晴らしい! 今日は最初の授業という事で簡単なミニテストを行います。大丈夫ですよ! 私の本をちゃんと読んでいれば簡単な問題ばっかりです」

 

 

 

 ロックハートはニコニコと笑いながらテスト用紙を配り始めた。

 

 

 紙を受け取り、内容に目を通す。

 

 書かれていた内容は、闇の魔術に対する防衛術に関する問題は一切なく、ロックハートの自伝小説に関する問題ばかりだった。

 

 しかし、不本意ながら、7冊全てを暗記してしまった私達にとっては簡単な問題だった為、数分で終了した。

 

 授業時間の半分以上を無駄に使って行った、ミニテストをロックハートが回収すると、全員の前で確認を始めた。

 

「さてさて…おっと…これはこれは、私が好きな色はライラック色ですよ。ちょっと難しかったかな」

 

 ロックハートは少し残念そうに、ウィンクをすると、再び女子生徒から、歓声が上がり、男子生徒からは溜息が零れる。

 

「しかし、全問正解の生徒が居ますね。それも3人も! ハーマイオニー・グレンジャー。エイダ・イーグリット。デルフィ・イーグリットの3名です! 良いね! ちゃんと私の本を読んでいるみたいだね! 3人はどこかな?」

 

 

「はい! ここです!」

 

 隣に座っていたハーマイオニーは手を真っ直ぐ上げると、勢い良く返事をしている。

 

「貴女達もでしょ! ほら手を上げて!」

 

「素晴らしい!」

 

 ロックハートは拍手をしながらこちらに近付いて来る。それに比例するように、ハーマイオニーのメンタルコンデションレベルが急上昇している。

 

「実に素晴らしい! うん! グリフィンドールに30点あげましょう! 1人に付き10点ずつです」

 

 

 ロックハートは満足したように教壇へ戻って行く。

 

「それにしても、貴女達も満点なんて、やっぱりロックハート様の事が好きなのね」

 

「いいえ、我々は問題に答えただけです」

 

「そんな事言って、デルフィ、貴女ウソが下手ね」

 

「いえ、ですから――」

 

 デルフィは反論しようとしているが、ハーマイオニーは一切聞く耳を持っていないのだろう。

 

  ロックハートは教壇に付くと、布の掛かった鳥籠の様な物を壇上に置く。

 

 内部には、小型の生命反応が数多く存在している。

 

「さてご注目! こいつ等は、とっても獰猛だぞ!」

 

 布を取り払うとカゴの中には青白い色の小さな人型生物が所狭しと詰め込まれていた。

 

「コイツ達は、先程捕まえてきたばっかりの活きの良いピクシーです! ほら、暴れまわってる」

 

「ピクシーですか? こいつ等のどこが危険なんです?」

 

 笑いを堪えながら、数名の生徒が疑問の声を上げる。

 

「思い込みは駄目だよ。とっても危険だ」

 

 ロックハートはおもむろに、籠の扉に手を掛ける。

 

「それでは、君達がどうやってピクシーに対抗するのか、お手並みを――拝見だ!!」

 

 次の瞬間、ロックハートの手によって籠の扉が開け放たれ、籠の中から大量のピクシーが高速で飛び出した。

 

 

 

 解放されたピクシー達は手当たり次第に物を投げたり、生徒の髪を引っ張ったり等好き勝手暴れていた。

 

 

 

「うぉ…そ、それじゃあ君達!後片付けは頼んだよ!」

 

 

 

 ロックハートはそう言い残すと脱兎の様に教室から出ていった。

 

「いってぇ! ちょっと! なんだコイツ! 耳引っ張るな!」

 

 ピクシーに両耳を引っ張られたロンは怒声を上げる。

 

「うぉ! 危ない!」

 

 ハリーはロックハートの自伝を盾にしながらピクシーの攻撃を防いでいる。

 

 盾にされている自伝の表紙に居るロックハートは頭を抱えて狼狽している。

 

「ちょっと! やめてよ!」

 

 ハーマイオニーに襲い掛かったピクシーは髪を引っ張り始めた。

 

「邪魔です」

 

 私は右手にビームガンを装備すると、髪を引っ張っているピクシーにエネルギー弾を放つ。

 

「ッ!!」

 

 エネルギー弾が直撃したピクシーは塵も残さず消滅した。

 

 ハーマイオニーの髪へのダメージは皆無だ。

 

「あ…ありがとう」

 

「礼には及びません」

 

「出力過剰ですね」

 

「そうですね。最低出力でしたが仕方ありません」

 

「現状、小型生物の駆逐が最優先です」

 

「了解。ホーミングランスの使用を」

 

「了解。半数はこちらで処理します。ハウンドスピア展開」

 

 私達は互いにリンクし、部屋に存在する、全てのピクシーをロックする。

 

「ロック完了」

 

「出力調整クリア。想定被害些少」

 

 

「了解。全員体勢を低くしてください」

 

 デルフィの指示に従う様にその場の生徒が全員体勢を低くする。

 

「射線上に小型生物以外の生体反応は有りません」

 

「了解」

 

 次の瞬間、私の手から蒼い湾曲した蒼いレーザーが放たれる。

 

 続いて、デルフィの背後にスラスターが展開されると、紅い折れ曲がったレーザーが放たれる。

 

 発射されて蒼と紅のレーザーは上空で暴れ回っているピクシーに直撃する。

 

「アガッ!」

 

 レーザーが貫通すると、ピクシーが一瞬で蒸発する。

 

 数秒後、部屋に存在していたピクシーの駆除が終了した。

 

「駆逐終了。被害状況を確認」

 

「死傷者無し、建造物損壊些少。許容範囲内の損害です」

 

 デルフィからの被害状況を受け取ると、周囲を見回す。

 

「え…終わった…の?」

 

 その場の全員の驚愕した視線がこちらに集中する。

 

「駆除終了です」

 

 その時、丁度終業を告げる鐘が鳴る。

 

「終業時刻です。お疲れ様でした」

 

 私とデルフィはその場で一礼すると、教室を後にした。

 




もっと派手に暴れようかとも思いましたが、過剰な出力により、ホグワーツが崩壊する恐れがあったので、今回は抑えました。
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