ハリー・ポッターと終末の魔法使い   作:サーフ

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少しずつ物語が動き始めます。


穢れた血

   数日後、私達がピクシーを駆除した事が、多くの生徒が知る事となった。

 

 それ自体、別段問題は無いが、それに伴い生徒達は私達を危険視するような表情を見せる。

 

 そんなある日、空き時間を利用し、大広間で情報整理を行っていると、こちらにある一団が近付いて来た。

 

「やぁ、二人とも、聞いたよ。ロックハートの授業で派手にやったんだって?」

 

 

 こちらに声を掛けてきたのは、緑色のクィディッチユニフォームを着たマルフォイとその取り巻きだった。

 

 

「必要な処理を行ったまでです」

 

「処理ねぇ。そんな事より、どうだい? 良い箒だろ! ニンバス2001! 最新型だぞ!」

 

 マルフォイのメンタルコンデションレベルが急上昇する、余程この箒が気に入っているのだろう。

 

 その証拠に、箒に頬擦りまでしている。

 

「これから試運転なんだ! なんて言ったって僕はスリザリンのシーカーに選ばれたからね!」

 

「それはおめでとうございます」

 

「あぁ! それじゃあ行ってくる!」

 

 意気揚々とその場を後にした。

 

 

  しばらくすると、外から言い争いをしている声が聞こえて来る。

 

 

「今日は僕達が競技場を使うはずだぞ! どうしてスリザリンが来ているんだ!」

 

 

「今日は新シーカーの練習を兼ねて使う事になっている。それにこちらには、スネイプ先生が競技場の使用を許可したサインもある」

 

 

「新シーカー? 誰の事だよ?」

 

「この僕だ」

 

「ルシウス・マルフォイの息子じゃないか…」

 

 競技場に顔を出すとそこには、赤のユニフォームのグリフィンドールと緑のユニフォームのスリザリンが互いに睨み合い一触即発と言った状況だった。

 

「ルシウス氏からチーム全員に、最新型の箒を提供してくださった。このニンバス2001をな!」

 

 

 そんなスリザリンのチームを見てグリフィンドールのチームは全員が唖然としている。 

 

「これクィディッチの優勝は貰ったも同然さ。悔しかったら君達も買えばいいじゃないか?まぁ…もっとも――」

 

 

「そんな箒が無くったって、グリフィンドールは負けないわよ!こっちの選手は誰一人としてお金で選ばれたりしてないわ!」

 

 お節介焼なハーマイオニーがマルフォイの言葉を遮り、大声でそう叫んだ。

 

 すると、マルフォイの表情はドンドンと歪んでいき、怒りに満ちた表情に変わった。

 

「なんだと…貴様の意見なんか聞いてないんだ! この…『穢れた血』め!」

 

 マルフォイが吐き捨てる様にそう言うと周囲の空気が一瞬にして凍り付いた。

 

「マルフォイ! 貴様ぁ!! よくもそんな事を!」

 

 

 

 周囲の生徒が騒ぎ立て、中には殴りかかろうとしている生徒や、杖を抜いている生徒まで居た。言葉を吐かれたハーマイオニーは目に涙を浮かべていた。

 

 

 

 そんな中、ロンが飛び出し、マルフォイに向け杖を抜いた。

 

 

 

「ナメクジ!くらえ!」

 

 

 

 ロンがそう叫ぶと、杖が一瞬光輝いた。

 

 

 

 魔法が放たれ、マルフォイに直撃する…

 

 

 

 誰もがそう思ったが、結果は違った。

 

 

 

 普通の杖ならば、間違いなく魔法は発動していただろう。しかしロンの杖は暴れ柳に突っ込んだ時に折れてしまったのを、無理やりくっ付けた物だったので、放たれるはずだった魔法は逆流し、ロンに襲い掛かったのだ。

 

 

 

「ロン! 大丈夫かい!」

 

 

 

「ヴぉえ!」

 

 

 

 ロンは口から巨大なナメクジを吐き出していた。

 

 そんな光景に、その場に居た全員が目を背ける。

 

 そんな中、マグネシウムの閃光が走る。

 

「おい! 見世物じゃないんだ! 写真撮るなよ!」

 

 ハリーが怒声を上げると、カメラを構えた少年が、その場から走り去った。

 

「ロン、大丈夫か?」

 

「ヴォロロロロロロ!」

 

 どの様な原理で、ナメクジが体内で生成されているのかは疑問ではあるが、解明する程では無いだろう。

 

「どぼじよぅ」

 

 ナメクジを吐きながらロンはハリーに顔を向け助けを求める。

 

「と…とりあえず、ハグリッドの所へ行こう、あそこが一番近いはずだ」

 

 ナメクジを吐いているロンの肩を、ハリーとハーマイオニーが担ぐと、競技場を後にしていった。

 

「マルフォイ…貴様ぁ! 覚悟しろよ!」

 

「ヴォロロロロロロ!!」

 

「うわぁ…5匹目かよ…いや、6匹目か?」

 

「ごびきめ゛」

 

 ハリー達の退場に合わせて、悔しそうな表情でグリフィンドールの面々がその場を後にした。

 

 「おや?」

 

 その時、丁度マルフォイと私達の目線があった。

 

「見ていたのか、いやいや、見苦しい所を見せたね」

 

「いえ、御構い無く」

 

「それにしても。困った奴だ。これだから穢れた血は困る」

 

「失礼ですが、穢れた血と言うのはどういう意味でしょう?」

 

 デルフィが私と同様の疑問を口にすると、マルフォイが得意げに説明を始めた。

 

 

「穢れた血って言うのは両親がマグルとか言う野蛮な種族なのに魔法使いをやっている奴等の事さ。魔法使いは本来、純血で崇高な存在なのだが…最近は穢れた血が魔法界を我が物顔で歩いているからな。不愉快だよ」

 

 長い説明を終えたマルフォイの表情はとても満足気だった。

 

「人間の血液は、赤血球96%、白血球3%、血小板1%から構成されています」

 

「更に詳細な血液成分は、水 、ヘモグロビン 、タンパク質 、脂質、中性脂肪 、リン脂質、コレステロール、グリコーゲン、ブドウ糖、非タンパク質、窒素、尿素、クレアチン、クレアチニン、RNA 64、ナトリウム 、カリウム、カルシウム、マグネシウム 、鉄 、塩素 、非有機態リン 、重炭酸塩、からなります」

 

 私の説明にデルフィがさらに詳細な解説を加える。

 

「え…えぇ?」

 

 私達の説明を聞いていた生徒達は科学知識が無いのか、目を白黒させている。

 

「他所との血液の差はDNAですが、それも0.1%未満です」

 

「えーっと…君達は一体何が言いたい――」

 

 マルフォイの言葉を遮る様に校内に鐘が鳴り響く。

 

 思った以上に長居してしまったようだ。

 

「それでは、私達はこれにて失礼します」

 

「それではお気を付けて」

 

 一礼した後、茫然としている面々を尻目にその場を後にした。

 

 

  季節は流れ、10月、ハロウィーンの時期を迎えた。

 

 周囲の生徒は大量のお菓子を手に持っていたり、料理にかぼちゃを使うメニューが多くなるなど季節感が顕著に表れ始めた。

 

「やぁ、君達。突然だけど、『絶命日パーティ』へ行かない?」

 

 突如としてハリーから発せられた、聞き覚えの無い言葉に、私達は揃って首をかしげる。

 

「あぁ、『絶命日パーティ』って言うのはね。ゴーストの『ニック』から誘われたんだ。『殆ど首無しニック』だよ。なんでも、ハロウィーンパーティーの裏で絶命日を祝っているらしいよ」

 

「そうなのですか」

 

 デルフィは無表情で、無関心に言うとハリーは何か察したように、一歩後ずさった。

 

「ま…まぁ、そういう事だから、僕達3人は『絶命日パーティ』へ行ってくるよ。君達はハロウィーンパーティーを楽しんでよ」

 

「ありがとうございます」

 

 私がそう言うと、ハリー達は大広間から出ていった。

 

 それから、しばらくした後、教師陣が集まり、ハロウィーンパーティーの開催を宣言した。

 

 

 ハロウィーンパーティーの最中、巨大な生命体の反応を検知したが、それは一瞬の出来事で、すぐに反応が消え去った。

 

『先程の反応はバグでしょうか?』

 

『いえ、こちらでも反応を検知しました』

 

 どうやら、私達は同時に反応を検知したようだ。

 

 後ほど調査する必要があるかも知れない。

 

 

 その後、ハロウィーンパーティーは順調に進行していったが、ハリー達が姿を現す事は無かった。

 

 ハロウィーンパーティー終了後、大広間を抜けた先の廊下に人集りが出来ていた。

 

 人集りの中心には、絶命日パーティーに行ったはずのハリー達が居り、その前には1匹の猫が横たわっていた。

 

 データによると、この猫は管理人のペットだ。

 

 壁の方を指差す生徒も複数居り、その先を見て着ると、壁には血文字を彷彿とさせる紅い色のペンキで『秘密の部屋は開かれた継承者の敵よ気を付けよ』と大々的に書かれている。

 

「生体反応微弱。何でしょう。ハロウィーンの飾りでしょうか」

 

「それにしては、少々悪趣味です」

 

「君達、冗談にしては笑えないよ」

 

「生憎と冗談を言うプログラムは――」

 

「はぁ…まぁいいさ」

 

 人集りの中心で、ハリーが呟きながらこちらに接近してくると、周囲の生徒が怯えながら、道を譲り始める。

 

「状況は?」

 

「僕もよくわからないんだ、声がのする方へ歩いて行ったら、猫が…ミセス・ノリスが…」

 

 ハリーが混乱しながら話しだしていると、後ろから怒声が響いた。

 

 

「お前が! お前が私の猫を!」

 

 声の主はホグワーツの管理人だ。どうやらハリーが猫を殺したと思い込んでいる様で、勢い良くハリーに掴み掛った。

 

「やめて!」

 

「よくも猫を…殺してやる!」

 

「違うんです!僕が来た時には…もう」

 

「騙されんぞ! 貴様!」

 

 管理人の精神状態から見て、このままで首をへし折る可能性もある。

 

「覚悟しろ…」

 

 管理人はさらに声を荒げると、後ろの方から別の声が響いた。

 

「待つのじゃ。その手を離すのじゃ」

 

 

 声を発したのは、悠然と歩くダンブルドアだった。

 

「しかし校長…こやつが…」

 

「安心するのじゃ、猫は死んでは居らんよ」

 

「どういう事です?」

 

「石にされておる様じゃ。何故かはわからぬが、死んでは居らんよ」

 

「良かった…」

 

 管理人の手からハリーが放たれると同時に、ハリーはその場に腰を着いた。

 

『スキャン完了。どうやらあの猫は、体表組織が何らかの影響で石化した状況の様です』

 

 どうやら、ハリー達が話をしている間に、私と同様にデルフィも猫の状況をスキャンしていた様だ。

 

 私も、デルフィにスキャン結果を報告する。

 

『推測ですが、高エネルギーの照射により、体表組織の著しい変化が発生したと考えられます。しかし、体内組織への影響は見受けられませんでした。おそらく高エネルギーの照射を、何らかのフィルターを通して受けた為、体表組織への影響だけだった物と考えられます。直接照射を受ければ、生身の人間なら死亡するでしょう』

 

『了解、周辺をスキャンした結果、フィルターになり替わる可能性があるものは、水道管の損傷で漏れ出た水の可能性が高いです』

 

 私達は、同時に足元に広がる水に目を落とす。

 

 確かにこの水からは、微弱ながら、エネルギーの残渣を検知した。

 

「さて、最初に発見したのは誰かの?」

 

 私達が状況を推察していると、ダンブルドアが声を上げた。

 

「あの…僕達です」

 

 ハリーを始めとした3人が手を上げると、ダンブルドアは数回頷いた。

 

「分かった。詳しい話を聞きたいのでな。場所を移そう」

 

 ダンブルドアはそう言うと、3人と石になった猫を連れ、その場を後にした。

 

 その後の事態の収束はスピーディーだった。

 

 結果としては、ダンブルドアが現場に居たハリー達をロックハートの部屋へ連れていき状況を聞くという事で収束が付いた。

 

 

 ダンブルドアがその場を去った後、どこからともなくやって来たマルフォイが口を開いた。

 

 

 

「『秘密の部屋は開かれた。継承者の敵よ気を付けよ』か…それはつまりこれからもっと被害者が増えるという事だな。特に『穢れた血』は気を付ける事だな」

 

 マルフォイは高笑いをしながら、その場を立ち去って行った。

 

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