ハリー・ポッターと終末の魔法使い   作:サーフ

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トム登場回です。


トム・リドル

  ポリジュース薬を利用した作戦から、2ヶ月が経ったある日。

 

 談話室にて、ハリーが黒い表紙の本を片手に、ソファーに腰かけていた。

 

 その様を、ハーマイオニーとロンが興味深そうに観察している。

 

「ねぇ、ハリー? その本なに?」

 

「あぁ、これ? ちょっと拾ってね。名前が書いてあって『トム・リドル』って人の日記帳かな?」

 

「トム・リドル? どこかで聞いたような…」

 

「ロン、知ってるの?」

 

「何か聞き覚え? いや、見覚えかな? とりあえずなんか引っかかるんだよねぇ…」

 

「そうなの。まぁ、有り触れた名前だし、誰かと記憶違いでもしているんじゃない?」

 

「そうかな?」

 

 ハリーは不思議そうに本のページを捲ると、首をかしげる。

 

「どうかした?」

 

「いや、おかしいんだ。この本何も書かれていなくて」

 

 そう言うとハリーはテーブルに本を置くと、ペラペラと捲るが、総てが白紙で構成されている。

 

「新品と言う訳ではなさそうです」

 

「デルフィの言う通りだね。表紙はかなり汚いからね」

 

「しかし、この本から、エネルギーを検知します」

 

「エネルギー?」

 

「魔力と表現した方が良いでしょう。小規模の魔力です」

 

「魔力って事は、何かの魔導具かしら?」

 

「そこまでは、詳細に調べなければわかりません」

 

「そうなの、まぁ別にそこまでしなくていいよ。その、トム・リドルって人のお守りみたいなもんでしょ」

 

 ハリーはトム・リドルの日記を鞄に仕舞い込む。

 

「アッ!」

 

 この時、ロンが思い立ったように声を上げる。

 

「どうしたの?」

 

「思い出したよ。そうだよ、トム・リドル。そうそう、トム・リドル、トム・リドル。トム・リドルだよ!」

 

「何回も言わなくて良いわよ。で? 何を思い出したの?」

 

「僕、兄貴達にトロフィー磨きを押し付けられてさ」

 

「なんで?」

 

「杖が折れたのが、兄貴達にバレちゃって。ママにバラされたくなかったら替われって。おかげで手が疲れたよ」

 

「それはわかったわ。それで、どうしてトム・リドルが出て来るのよ?」

 

「あぁ、トロフィー室でね、トム・リドルって書かれているトロフィーをずっと擦ってたんだ。汚れがしつこくてさ」

 

「そうなんだ。何をやってトロフィーを貰ったか覚えてる?」

 

 

「確か、50年位前、スリザリンの後継者を捕まえた事で特別賞を貰ったって書いてあったよ」

 

 

「「スリザリンの後継者!」」

 

 

 2人は声を揃えて驚愕する。

 

 求めていたスリザリンの後継者に関する情報が、このような場所で出て来るとは以外だったようだ。

 

「これで、一歩前進だ!」

 

「しかし、50年以上前の人物です。その人物像を特定するには、情報が必要です」

 

「この中で、50年以上前にホグワーツに居た人の知り合いは――」

 

 私達は首を横に振り、それに倣う様にハーマイオニーとロンも首を横に振った。

 

「だよね。まぁしょうがないか。とりあえずこの本どうしようか?」

 

「日記帳なんだし、日記でも付けたら?」

 

「ハーマイオニーの言う通りだぜ。日記を付けるのは良い事だぜ」

 

「ロン、僕は君と同室だけど、1度も日記帳を開いているところを見た事が無いんだけど」

 

「当たり前さ、日記帳を買うくらいなら、カエルチョコレートを買うね」

 

「はぁ…まったく…」

 

 ハーマイオニーは呆れる様に溜息を吐き、ソファーに深く沈んだ。

 

 

  ハリーが本を手に入れてから数日が経った。

 

 

 この前までは普通の本と変わらずに扱っていたが、今ではとても大事そうに抱え、時折、何やら書き込んでいるように見える。

 

 そんな状況から、さらに数日が経ったある日、談話室にて、ハリーは神妙な面持ちでロンを始めとした私達全員を呼び出した。

 

 

「ハグリッドだったんだ…」

 

「何がだよ?」

 

「この本が…トム・リドルが教えてくれたんだ…50年前に現れたスリザリンの後継者がハグリッドだって…」

 

「何言ってるんだよ? ハグリッドが後継者だって? こう言っちゃあれだけど、ハグリッドはそんな大層な事出来ないと思うぜ」

 

「人は見かけに依らないと言いますが」

 

「でもよ、デルフィ。あのハグリッドだぜ?」

 

「まぁ、その事は後で話しましょ。ところで本が教えてくれたって、どういう事?」

 

 ハリーは少し考えた後、ペンを取り出し、ページを開くと何やら書き始める。

 

 

 

『50年前の後継者は、ハグリッドで間違いないのですね?』

 

 

 

 本に書かれた文字は、まるで、インクを吸収するかの様に取り込むと、同じページに文字が浮かび上がる。

 

 

 

『間違いないよ。僕はその場に居て、ハグリッドを捕まえたのだから』

 

 

「マジかよ!」

 

 その光景を見たロンは驚いた表情を浮かべていた。

 

 原理は不明だが、この本には何やら仕掛けがあるようだ。

 

「『僕が捕まえた』とありますが、この本に存在するアナタがトム・リドルで間違いないのですか?」

 

 私は、疑問を口にするが、返答は無い。

 

「これね、文字を書かないとダメなんだ。ちょっと待ってて」

 

 ハリーは私の疑問と同様の文章を白紙のページに書き込む。

 

 数秒後。

 

『そうだよ。僕がトム・リドルで間違いないよ』

 

「では、アナタ自身は今どこに? それとも、本に記憶データを記録したのですか?」

 

「ちょ、ちょっと待って、本当に難しい言い方するね」

 

 ハリーは少し砕いた表現で、日記帳に書き込むと、数十秒が経つ。

 

『それは答えられない』

 

 その一文が出た後、まるで口を閉ざしたかのように、文字が浮かび上がる事は無かった。

 

「とりあえず…僕は今夜…ハグリッドに聞きに行くんだ。50年前の後継者が誰なのか…」

 

 

 

「僕も行くよ」

 

 

 

 ハリーとロンは互いに頷いた後、私達の方を見てきた。

 

「夜抜けるのは、校則違反になるわ」

 

 ハーマイオニーはそう答えると、ロンが数回頷く。

 

「まぁ、そう来るとは思ったよ。今夜は2人だけで行こうぜ」

 

 

「そうだね」

 

 男性陣は肩を並べ、自室へと戻って行った。

 

 翌日、彼等の表情は優れない物だった。

 

「どうしたのよ?」

 

「蜘蛛が…大きい…蜘蛛…車…もうやだ…」

 

 ロンは、うわ言の様に、訳の分からない事を呟きながら、朝食を続けていた。

 

 ロンのうわ言を除けば、比較的平穏な日々が続く。

 

 この頃になると、石にされた人物とその関係者以外は、皆、スリザリンの後継者の事について等、思考の片隅に追いやっていた。

 

「うーん…どうしよう」

 

 自室にてハーマイオニーは1枚の羊皮紙を睨んだまま動かないでいる。

 

 この羊皮紙は、3年生から始まる選択科目の申込用紙だ。

 

「全部…うん、やっぱり全部ね」

 

 どう見ても、不可能だがハーマイオニーは全ての項目にチェックを入れている。

 

「その時間割は、物理的に不可能です」

 

 ハーマイオニーの羊皮紙を覗き込んだデルフィが忠告する。

 

「大丈夫よ、何とかするわ」

 

「ですが――」

 

「大丈夫だって。ちょっと先生に相談するから。それより貴女達はどうするの?」

 

「あまり明るくない、魔法生物学と占い学を専攻する予定です」

 

「そうなの? まぁ、良いんじゃない。でもなんでその二つ?」

 

「魔法生物学は、こちらの生態系については、まだ把握しきれていない部分がある為です。占い学は、科学的ではなく、非科学的なオカルトについての理解を深める為です」

 

「ちゃんと考えてるのね。さて…私はどうしようかしら…」

 

 ハーマイオニーはそう言うと、再び、頭を抱えながら、羊皮紙を睨み付けている。

 

 

  数日後、ハリーとロンが慌てた様子で、周囲を捜索している。

 

「そんなに慌ててどうしたのよ?」

 

「トム・リドルの日記が誰かに盗まれたんだよ!」

 

「大袈裟ね。何処かに置いて来たんじゃないの?」

 

「そんな事ないよ! だって僕のトランクがひっくり返されていていたんだよ! ちょっと来てよ!」

 

 ハリー達に連れられ、彼等の部屋へと行くと、内部はかなり荒らされている。

 

「酷いもんだろ? 僕のベッドの周りなんか、物盗りにあったみたいに散らかってたんだから!」

 

「それは君がちゃんと片付けをしてないだけだよ」

 

「ま、まぁそういう事だ、誰かが僕達の部屋に入ったのは間違いなんだ!」

 

 苦し紛れに話題を変えるロンを、ハーマイオニー呆れた表情で見ている。

 

「紛失物は日記帳だけですか?」

 

「そうだよ。色々探したけど、無くなったのは本だけ」

 

「ちょっと待ってよ。僕が隠しておいた、百味ビーンズも無くなってる」

 

「それは昨日食べてただろ」

 

「そうだっけ?」

 

「はぁ…」

 

「と、とにかく、急いで片付けよう。こんなところ、マクゴナガルに見られたら大目玉だ」

 

 ハリーがそう言うので、私達は部屋から出ていくことにした。

 

「それにしても、物騒ね。一体誰の仕業かしら?」

 

「グリフィンドール生徒が一番可能性が高いと思われます」

 

「だとしても、なんでハリーが持っていた、日記帳を狙ったのよ?」

 

「憶測にすぎませんが、あれには小規模と言え、魔力が存在しました。それに気が付いた何者かが盗んだと考える事も出来ます」

 

「でもなんで? あんなの、ただの汚い日記帳じゃない」

 

「小規模とはいえ、魔力を保有しています。裏市場に流せば、それなりの価値は付くかと思われます」

 

「そんなもの?」

 

「その通りです」

 

 ハーマイオニーは何処か納得がいかないといった表情だったが、何とか納得したようだ。

 

 




次回、ハーマイオニーが………
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