ハリー・ポッターと終末の魔法使い   作:サーフ

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今回、ヒッポグリフが酷い目にあいます。


ヒッポグリフ

 

   占い学が終了し、次の授業は変身術だった。

 

「はぁ…」

 

 教室に入ると、先程の不吉な予言により、生徒全体に重い空気が流れている。

 

 しばらくすると、マクゴナガルが入室する。

 

「さて、皆さん。授業を開始しま――どうしたのです?」

 

「えっと…実は占い学で皆不吉な予言をされて…」

 

「そうそう」

 

 ハリーは先程の授業での事を説明する。

 

「あー…またですか…」

 

「また?」

 

「えぇ、シビル・トレローニーは本校に着任してからというもの、毎年不吉な予言してきました。ですが、未だに死に至る程の不幸は訪れていません。精々骨折程度でしょう。不吉な予言は新しいクラスを迎える時の…まぁ…あの方のお気に入りの流儀です。私は同僚の先生の悪口は決して言いません。言いませんが…フゥ…」

 

 マクゴナガルは一度咳払いをする。

 

「占い学というのは魔法の中でも一番不正確な分野の1つです。私があの分野については詳しくは有りませんが、真の予言者は滅多にいません。そしてトレローニー先生は…まぁ…」

 

「あっ」

 

 マクゴナガルの発言により、生徒達は何かを悟ったようだ。

 

「さて、不吉な予言を受けたからと言って授業をやらなくていいと言う訳ではないですよ。それに宿題もありますからね。さて、授業を再開しましょう」

 

 マクゴナガルは黒板に向かう。

 

「なぁ…ハリー」

 

「ん? どうしたんだよ。ロン?」

 

「宿題があるってさ。不吉な予言は的中したな」

 

「全くだ」

 

「もう…貴方達は…」

 

 ハーマイオニーは呆れた様に、2人を見ていた。

 

 

 

  午後は魔法生物飼育学の授業だ。

 

 周囲には、グリフィンドールの生徒以外に、スリザリンの生徒の姿も見える。

 

 どうやら、この授業も、合同で行うようだ。

 

 その為か、両陣営は一触即発といった空気が漂っている。

 

 学園側はこの二つの寮が犬猿の仲なのを承知の上でこの編制にしているのだろうか。

 

 

「やぁ、君達もこの授業にしたのかい?」

 

 振り返りと、無駄に胸を張ったマルフォイがこちらに近寄ってくる。

 

「えぇ、こちらの生体系に関しては、それほど明るくないので」

 

「そうなのか。でも、今年の授業、教師がアレだぜ」

 

 マルフォイが指を差した先には、腰に手を当て、体操をしているハグリッドの姿があった。

 

『まったく、あの木偶の坊が行う授業を目にするなんて思わなかった』

 

 トムは呆れた様に呟いている。

 

 体操を終えたハグリッドは声を上げる。

 

「皆、この柵の周りに集まれ! そーだ、ちゃんと見えるようにな。さーて、いっちゃん最初にやるこたぁ、教科書を開くこったな」

 

 ベクタートラップ内から教科書を取り出す。

 

 既に瀕死の状態だが、書籍データはスキャン済みなので問題は無いだろう。

 

「この教科書どうすればいいんだ?」

 

「ん? どうしたんだ?」

 

「はぁ…この教科書はどうすればいいんですかと、聞いている」

 

 呆れた様に溜息を吐くマルフォイは紐でグルグルに縛られた教科書を取り出し、杖で数回叩いている。

 

 他の生徒も同じ様で、紐や縄、ベルトなどで雁字搦めにしている生徒までいる。

 

「なんだ、教科書を開けない奴が居るのか?」

 

『普通はこんな変なの使わないぞ、木偶の坊』

 

 トムは呆れた口調だ。

 

 トムの指摘通り、教科書を開いている生徒は誰も居ない。

 

 むしろ暴れない様に、ロープで拘束している者までいる。

 

 私は取り出した教科書を取り出すと、強制的に開く。

 

 その時、周囲に剥離音が響く。

 

「そんな風に開けるもんじゃねぇし、もう瀕死じゃないか…」

 

「全て、記憶しているので問題は有りません。死亡した場合は内部の書籍データは消えるのですか?」

 

「いや…死んだ本を読んだことが無いから分からんが、多分大丈夫だろう」

 

「了解です」

 

「ま、まぁ、他の奴は本の背表紙を撫でてやれ、すれば簡単に開く!」

 

 本の開き方を聞いた面々は、従う様に、背表紙を撫で、本を開いていく。

 

「本当だわ。撫でたら簡単に開いた」

 

『普通は本の背表紙なんか撫でない。なんでアイツはこんなのを選んだのか…』

 

『ハグリッドらしくていいと思うけど』

 

『第一あんな奴が、教鞭を振るって居るのが信じられない。だったらまだ僕の方がマシだ』

 

 ハグリッドは全員が本を開き終えたのを確認すると、何度か頷いている。

 

「良い感じだな。じゃあ俺はちょっとサプライズゲストを連れて来るから、ここでまっちょれ」

 

 ハグリッドはそのまま森の奥へと消えていった。

 

『なんか、嫌な予感がする』

 

『嫌な予感って?』

 

『アイツがまともな授業をするとも思えない。危険な動物を連れて来るんじゃないかってね』

 

『危険なって、ハグリッドは仮にも先生よ。そんなことしないと思うわ』

 

『どうかな、アイツは学生時代巨大な蜘蛛を飼って居たんだぞ。それで退学になったようなものさ』

 

『でも、その蜘蛛は人を襲ったりしたわけじゃ無いでしょ?』

 

『あぁ、実際人を襲ったのはバジリスクだったんだけど、その時はアイツに擦り付けて、僕はホグワーツ特別功労賞を貰ったよ』

 

『はぁ…あまり褒められたことじゃ無いわね』

 

『もう時効さ』

 

 トムは嬉しそうな口調で話している。

 

 数分後、比較的大きな数十の生体反応引き連れて、ハグリッドが戻って来た。

 

「ヒッポグリフだ! どうだ、すごいだろ!」

 

 鎖に繋がれた、ヒッポグリフは嘶くと、周囲を見回している。

 

「そんじゃ皆。まずは近付いてみろ」

 

 ハグリッドはそういうが、その場に居るほとんどの生徒が動こうとはしない。

 

 皆、巨大な爪と嘴に警戒している様だ。

 

「誰でもいいんだが…じゃあ、エイダ。お前さん触ってみろ」

 

「了解です」

 

 数歩進み、ヒッポグリフの前に立つと、その体に手を掛けようとする。

 

「キシャアアアアアア!!」

 

 突如として、ヒッポグリフが奇声を上げると、前足を振り上げ、鋭利な爪を振り下ろす。

 

「いかん!」

 

 ハグリッドが咄嗟に鎖を引くが、既に爪は私の腹部に接触していた。

 

「おい! 大丈夫か!」

 

 ハグリッドが声を上げ、周囲の生徒が固唾をのんでいる。

 

「問題は有りません」

 

「アシャアアアアアア!」

 

 再び、ヒッポグリフが悲鳴を上げ、その場に崩れ落ちる。

 

「え?」

 

 崩れ落ちたヒッポグリフの爪が剥がれ落ちており、血が滴り落ちる。

 

 私は、足元に落ちている、ヒッポグリフの爪を拾上げる。

 

「こちらはどういたしますか?」

 

「と、とりあえず預かる」

 

 剥がれ落ちた爪を受け取ったハグリッドは、ふと口を開く。

 

「言い忘れちょったが……ヒッポグリフは誇り高い生き物なんだ。その上とても怒りっぽい。だから、扱いには注意を――」

 

「それは事前に伝えるべき要項では無いのでしょうか?」

 

「うっ…その通りだ…すまん」

 

 落ち込むハグリッドの背後で、ヒッポグリフは悲鳴を上げ続けている。

 

「はぁ…俺はコイツの手当てをしてくる。勝手に他の奴等に触っちゃいかんぞ」

 

『嫌な予感が的中したよ』

 

『え?』

 

『一般の生徒だったら、死傷者が出てた』

 

『まぁ…そうよね…もう慣れてたから気にならなかったけど、なんでエイダは無傷なのよ』

 

『気にしてなかったのなら、今まで通り気にしない方が良いさ』

 

 数分後、ハグリッドが戻ってくる。

 

「さて、まぁ、ちゃんとすれば、問題は無いからな…誰かやってみるか?」

 

 ハグリッドが周囲を見回すと、ハリーがゆっくりと手を上げる。

 

「おぉ、ハリー! やってみるか!」

 

「あんなの見た後だから怖いけどね」

 

 ハリーは別個体のヒッポグリフに近付くと、深々と一礼する。

 

 すると、ヒッポグリフも礼を返し、その背中に乗り、空へと飛び上がった。

 

 しばらく、空の旅を満喫したハリーは、満足しきった顔で降りてきた。

 

「良くやったぞ、ハリー。良くやった」

 

「すごかったよ!」

 

 メンタルコンデションレベルが高いハリーは、そのまま、スキップしながら、列へと戻る。

 

 

  ハリーの成功例を見て、他の生徒も恐る恐る、ヒッポグリフへと近付いてく。

 

 多くの生徒が、礼儀正しく接し、お辞儀には、お辞儀で返している中、マルフォイの番がやって来た。

 

「フッ、ポッターに出来て、僕に出来ない筈が無いだろ、君もそう思うだろ、醜いデカブツ君?」

 

 マルフォイが軽口を叩くと多端にヒッポグリフは激情しマルフォイに襲い掛かった。

 

「ヒィイイイィイ!」

 

 マルフォイは悲鳴を上げ、その場で腰を抜かしている。

 

 次の瞬間、鋭利な爪が、マルフォイの腕を掠める。

 

「イッタアアァァァァッア! 死にたくない!」

 

 腕からの出血を確認し、白いシャツがみるみるうちに赤く染まる。

 

 ヒッポグリフは再び、前足を振り上げ、止めを刺そうとしている。

 

「やめるんだ! 落ち着け!」

 

 ハグリッドは急ぎ、鎖を引くが、既に射程圏内に入っている。

 

「救助を開始します」

 

 ゼロシフトを起動し、瞬時にマルフォイの側へと移動すると、振り下ろされる爪をシールドで受け止める。

 

「え? エイダ…」

 

 攻撃を防がれたことにより、ヒッポグリフは更に逆上する。

 

 暴れ回るヒッポグリフはついに、首輪を破壊し、こちらに襲い掛かる。

 

「拘束を開始」

 

 デルフィがゼロシフトで立ち上がったヒッポグリフの頭上に現れると、頭部を掴み、持ち上げる。

 

「ギャイ!!」

 

頭部を掴まれたことによる痛みからか、ヒッポグリフが悲鳴を上げる。

 

「こちらはどうしますか? 殺処分いたしますか?」

 

 デルフィは悲鳴を上げながら暴れるヒッポグリフなど気にも留めず、ハグリッドに視線を移す。

 

「殺処分だと! 何も殺す事はねぇだろ!」

 

「ですが、既に人的被害が出ています。このまま放置すれば、二次被害が発生する可能性があります」

 

「だからって殺す事は無い! 後はこっちでやるから、首輪を掛けてくれ!」

 

「了解」

 

 デルフィがハグリッドから投げ渡された首輪を受け取った後、装着させる。

 

 

 私は腰を抜かしているマルフォイをスキャンする。

 

「負傷状況を確認、腕部に軽傷を確認。応急処置を開始します」

 

 致命傷では無いが、PTSDにはなりえるだろう。

 

 ベクタートラップから、医療キットを取り出し、応急処置を施す。

 

「処置終了。後ほど医務室へ行くことをオススメします」

 

「あ…う、うん」

 

「さぁ、行くぞ」

 

 ハグリッドはヒッポグリフを連れて、森の奥へと消えていった。

 

『やっぱりこうなったか』

 

『まるで予想していたみたいね』

 

『死者が出ないだけよかったじゃないか』

 

『まぁ、そうね』

 

 マルフォイは腕を押さえながら立ち上がる。

 

「クソ! なんで僕がこんな目に…あんな教師! すぐにクビにするべきだ!」

 

「なんだと! マルフォイ! お前の自業自得じゃないか! ハグリッドは悪くない!」

 

「黙れ! ウィーズリー! 第一、こっちは怪我しているんだぞ! あの害獣も殺処分するべきだ! 彼女だってそう言ってた!」

 

 またしても、スリザリンとグリフィンドールの対抗が始まった。

 

 多くの生徒が、自分の意見を叫ぶ中、今回の授業は終了した。

 




普通に考えて、授業に猛獣を連れて来るのって危険だと思うんですよね。

その上、監視員が1人だけという…
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