ハリー・ポッターと終末の魔法使い   作:サーフ

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やっとクロスオーバーっぽくなって来た。


融解

   ダンブルドアが捜査を開始したはいいものの、なかなか進展はなく、時間だけが無慈悲にも流れていった。

 

 そして、捜査を開始してから、5年が経った後、ようやく確信に至るまでの情報が集まった。

 

 整理された情報によると、巨大な魔力の反応を感じ取った地点に棲んでいるのは、少女が2人だけで、両親の姿は見られないと言う。

 

 そして、少女達の年齢についてだが、現在は9歳だという事だ。

 

 つまり、生き残った男の子…ハリー・ポッターと同じ年という事だ…

 

 その情報を聞いたダンブルドアは考えを巡らせた。

 

 彼女達をハリー・ポッターが同じ年に、一緒に入学させようと。

 

 好都合にも、彼女達に親は無く、こちらの監視下に置いておいた方が良いだろうと。

 

「良し…」

 

 ダンブルドアは彼女達をホグワーツに招き入れる事を決意すると、引き続き彼女達の捜査を続けた。

 

 彼女達をホグワーツに誘い入れるまでの間、ダンブルドアがこれ以上の情報を得る事は無かった。

 

 そして、月日が流れ彼女達が11歳になる年、ダンブルドアの命により一人の女性教員が彼女達の元を訪れる事となった。

 

「では頼んだぞ。くれぐれも慎重にな」

 

「承知しておりますよ」

 

「気を付けてな…」

 

 女性教員は一礼するとダンブルドアの部屋から出て行った。

 

 ダンブルドアはただその後姿を見送るだけだった。

 

 

 

  数年の月日が流れ、私達がこの体になってから11年が経った。

 

 これだけの月日は、私達を大きく進化させた。

 

 

 具体的には、自己考査する能力が向上し、自我と言っても過言ではない物を得た。

 

 これにより、かつては理解しえなかった、『人間の感情』と言う物が、若干だが理解できたような気がする。

 

 

 その他にも、サブウェポンなどの複製や、作成したドローンの同時操作、服装なども雑誌を参考に自身で変質させる。

 

 私は主に水色と青を基調としたものを好み、デルフィは深紅と黒を好んで服に取り入れるようになった。

 

 どうやら、機体のカラーリングが関係しているものと思われる。

 

『これより帰還しますが、何か必要な物はありますか?』

 

 突如脳内にデルフィから通信が入る。

 

 私は、耳付近に指を当てる。

 

「特に希望はありません」

 

 私の声に反応するように通信が入る。

 

『了解です。後10分で戻ります』

 

 そう言うとデルフィは通信を切った。

 

 最近は、通信システムの回復により、離れていても意思の疎通が出来るようになった。

 

 しかし、わざわざ耳元に手を当てるのは面倒だ。

 

 本来ならば不必要なのだが、デルフィ曰く

 

『通信を行う上で、耳小骨を振動させて通話するのが礼儀』と言う事らしく、その例に習って私も行っている。

 

 10分が経過頃、デルフィが買い物から帰って来た。

 

「おかえりなさいませ」

 

「ただいま戻りました」

 

 戻ったばかりのデルフィは、ベクタートラップ内から紙袋を取り出すと、テーブルの上に置き、対面の椅子に腰かけた。

 

「夕食まで時間がありますね」

 

「そうですね」

 

 私は体内時計を確認する。

 

 確かに、夕飯にするにはまだ早い。

 

 そんな時、デルフィが口を開いた。

 

「チェスでもやりますか?」

 

「良いですね」

 

 私は、デルフィの申し出を受け入れ、棚に仕舞ってあるチェス盤に手を掛けた。

 

 その瞬間、家の周辺に空間湾曲を検知した、

 

「これは…」

 

「動体反応を検知しました」

 

 空間が湾曲した地点より、人間と思われる動体反応を検知した。

 

 しかし、その人間から若干だがメタトロンと酷似したエネルギーの反応を感知した。

 

「敵襲でしょうか?」

 

 いつの間にかベクタートラップ内からウアスロッドを取り出したデルフィは臨戦態勢を取っている。

 

「我々の存在を危険視する人物が居るとは思えません。相手の出方を見るのが良いかと思われます」

 

「了解」

 

 そう言うと、デルフィはベクタートラップ内にウアスロッドを収納すると、キッチンの方へと移動した。

 

 恐らく、来客に紅茶でも用意するのだろう。

 

 私は、扉の前に立つと、来客が現れるのを待つ。

 

 そして、来客が呼び鈴に手を伸ばした瞬間、私は扉を開いた。

 

 扉の向こうには、エメラルド色のローブに身を包み、目を白黒とさせた初老の女性が立っていた。

 

「ようこそ、いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件で?」

 

「え…えぇ、本日は貴女方にお話がありまして…」

 

「承知しました。では中へどうぞ」

 

「そうですね。では、お邪魔します」

 

 

 女性は私の後に続くように、我が家の扉をくぐった。

 

 

  リビングに女性を案内し、彼女は椅子に腰を掛けた。

 

 そこに、デルフィがティーセットを用意し、紅茶を入れ、スコーンを用意した。

 

 その後、私の隣の椅子へと腰を掛けた。

 

「冷めないうちにどうぞ」

 

「お心遣い感謝します」

 

 目の前の女性は、ティーカップを手に取ると、軽く唇を湿らせ、口を開いた。

 

「では、まず自己紹介を。私は『ミネルバ・マクゴナガル』です。貴女方のお名前は?」

 

 マクゴナガルは、自己紹介をすると、テーブルの上にティーカップを置き、陶器の音が周囲に響き渡る。

 

「私達は……」

 

 ここで一つ問題が生じた。

 

 我々にはコードネームは存在するが、ラストネームに当たる名前が無いのだ。

 

「どうかしましたか?」

 

 目の前の女性、マクゴナガルが声を掛けて来る。

 

 その時、デルフィから通信が入る。

 

 私は咄嗟に耳元に手を当てる。

 

『問題発生ですね、何かいい名前は浮かびますか?』

 

 その瞬間、不意にレオ・ステンバックの表情が浮かび上がる。

 

『そうですね。以前の搭乗者(ランナー)の名前、『ステンバック』を使わせていただきましょう』

 

『貴女が、エイダ・ステンバック、私がデルフィ・ステンバックですね』

 

 デルフィ・ステンバックと聞いて若干の不愉快さを覚えた。

 

『訂正します。『イーグリット』に変更します』

 

『ステンバックでは何か不都合でも?』

 

『いえ、単純に不適切だと判断しました』

 

『理解不能です』

 

『理解する必要はありません』

 

 私は一方的に通信を切った。

 

 ちなみにこのやり取りに費やした時間は0.5秒程だ。

 

「問題ありません」

 

 通信を切った私は、目の前のマクゴナガルに目線を合わせると、口を開いた。

 

「私は、『エイダ・イーグリット』です」

 

 デルフィは一瞬だけこちらに目線を向けると、すぐにマクゴナガルに視線を移した。

 

「私が。『デルフィ・イーグリット』です」

 

「エイダに、デルフィですね。二人は双子ですか?」

 

「間違いありません」

 

「そうですか。ご両親は?」

 

「物心が付いた時からいません」

 

「………失礼を…」

 

 マクゴナガルは何か勘違いしたようで、謝罪した。

 

「構いませんよ。そろそろ本題に入りませんか?」

 

「……そうですね」

 

 隣に座っていたデルフィが口を開くと、マクゴナガルはローブのポケットから2枚の封書を取り出し、こちらに手渡した。

 

「開けてもよろしいですか?」

 

「構いませんよ」

 

 蝋で押された封を切る。

 

「これは?」

 

 封書にはホグワーツ魔法学校入学案内』と書かれた紙が同封されていた。

 

「ホグワーツ魔法学校? 我々を馬鹿にしているのですか?」

 

 デルフィが呆れた様にテーブルの上に紙を置きキツイ口調でマクゴナガルに問いかけている。

 

「別にからかってなど居ませんよ」

 

「では何ですか?『ホグワーツ魔法学校』? 魔法などがあると言うのですか?」

 

「存在しますよ。今お見せしましょうか?」

 

 マクゴナガルは自慢げに立ち上がると、ローブから杖を取り出した。

 

 正確には、杖の様に見えるが、その内部に微量のメタトロンに酷似したエネルギーを感じ取った。

 

「では行きますよ」

 

 マクゴナガルが杖を振った瞬間、メタトロンに酷似したエネルギー反応が顕著に現れ、手元の紙が浮遊した。

 

「これは…」

 

 目を凝らし、現在の事象を観測する。

 

 どうやら、マクゴナガルの体内に蓄積されているエネルギーが杖を媒体として放出しているように思える。

 

 その時、デルフィから通信が入る。

 

『どう思いますか?』

 

『未知の技術だと思われます。メタトロンと似たエネルギーを保持した人間が、それをこのように使用するとは予想外です』

 

『えぇ、この技術は我々でも使用できるのではないのでしょうか?』

 

 確かに、この技術は使えるかもしれない。

 

『恐らく可能かと思われます』

 

『それに、元の時代へ戻る手掛かりにもなりえるでしょう』

 

「どうですか?」

 

 やり切った表情のマクゴナガルがこちらを見ている。

 

「素晴らしい技術ですね。それは我々にも可能なのでしょうか?」

 

「貴女方にも魔力が存在しています。しっかりと学べば可能ですよ」

 

「魔力…ですか?」

 

 どうやら、彼女が保有しているメタトロンに酷似したエネルギーは『魔力』と呼ばれている様だ。

 

「こちらにサインしていただければ、貴女達の入学を認めましょう」

 

 マクゴナガルはそう言うと、古風な羽ペンを取り出し、私達の前に置く。 

 

 私とデルフィは互いに目線を合わせ小さく頷くと、目の前の羽ペンを手に取り、書類にサインをする。

 

 マクゴナガルは書類を受け取り、軽く目を通す。

 

「確認しました。これで貴女達は我が校の生徒です。では後日、必要な学用品を買いに行きますので、その時にまた会いましょう。詳しい事は、この書類に書いてあります」

 

 マクゴナガルはそう言い終えると、テーブルの上に書類を置き、そそくさと退室していった。

 

 その直後、家の周囲で空間湾曲を感知した。

 

 マクゴナガルが使用したのだろうか…

 

「どうやら行ったようですね」

 

「その様です」

 

「魔法ですか。なかなかメルヘンですね」

 

「そうですね」

 

 私はとっくに冷え切ってしまった紅茶を一口飲み、若干の不安感を覚えた。

 

 

 

 

 

  ホグワーツへと戻ったマクゴナガルは、その場で腰が抜け、膝を付いた。

 

「ハァ…ハァ……アァ…何という魔力でしょう……」

 

 ゆっくりと呼吸を整えたマクゴナガルは、立ち上がると、報告の為ダンブルドアの元へと移動を始めた。

 

 その道中、先程訪れた、イーグリット姉妹から感じ取った魔力に付いて考えていた。

 

「強力な魔力を持っているとは聞いていましたが…あれ程とは…」

 

 マクゴナガルは、疲れた様に溜息を吐いている。

 むしろ、あの場で気を失わなかった自分を褒めたいぐらいだろう。

 

 そんな事を考えていると、マクゴナガルは、ダンブルドアの待つ部屋の前へとやって来た。

 

「失礼します」

 

 2回ほど軽いノックをすると、部屋の中から入る様にというダンブルドアの声が響き、マクゴナガルは、ゆっくりとドアノブに手を掛けようとした。

 

「あっ…」

 

 その瞬間、先程の呼び鈴に手を伸ばす寸前で扉が開かれる光景がフラッシュバックする。

 

「だめね…」

 

 先程の光景を振り払う様に、数回頭を振ると、ドアノブに手を掛け、扉を開ける。

 

「おぉ、ミネルバ…首尾はどうじゃ?」

 

 深刻な表情のマクゴナガルとは対照的に、ダンブルドアは気楽な表情で、自身の髭を擦っている。

 

「入学に関する同意書にサインは頂きました」

 

「ご苦労じゃったな」

 

 マクゴナガルから差し出された書類を請け取ったダンブルドアは、目を細め書類に目を落とす。

 

「会ってみてどうじゃった?」

 

「どう…とおっしゃると?」

 

「言葉のままじゃよ。彼女達を見て何を感じた?」

 

「それは……」

 

 マクゴナガルは顎に手を当て、数秒考えた後、口を開いた。

 

「人間離れした魔力を感じました…いえ…あれは魔力と呼んでいい物なのか…それに…彼女達はまるで…人間では無い『ナニカ』を相手にしている印象を受けました」

 

「それはどういう事じゃ?」

 

 ダンブルドアが鋭い視線で、マクゴナガルを見据える。

 

「どう言葉にすればいいのかわかりませんが…彼女達からは人間的な物を感じないと言いますか…とにかく人によく似た、人では無い何かと話しているような気分でした」

 

「そうか…」

 

 ダンブルドアは再び書類に目を落とす。

 

「彼女達は一体何者です!」

 

 痺れを切らしたマクゴナガルは、テーブルを強く叩きながらダンブルドアに問い詰める。

 

「落ち着くのじゃ」

 

「ですが…」

 

「まぁ…彼女達については…ワシにも良くわからん」

 

 ダンブルドアはそう言うと、2枚の書類をテーブルの上に置くと、マクゴナガルの方に向けた。

 

「書類がどうかしたのですか?」

 

「サインの所を見てみるのじゃ」

 

「サイン……あっ…」

 

 2人は、サインの筆跡を見て驚愕している。

 

 双子は筆跡までも似通る事があると言うが完璧に一緒という事は無いという。

 

 

 しかし、彼女達の筆跡は完璧に一致しており、まるで何かの規定に沿って書かれたかのような正確性だ。

 

「これは…」

 

「完璧に一致して居る」

 

 ダンブルドアは溜息を吐きながら書類を手に取ると、引き出しへと仕舞い込んだ。

 

「彼女等が何者かは分からぬ…じゃがあれほどの力を持つものならば、ワシは手元に置いておきたい」

 

「手元にって…彼女達は――!」

 

「わかっておる。無論、彼女達を良き方へと導くのがワシ等の仕事じゃ…それに…奴等に手を出させるわけにはいかんしの…」

 

「奴等とは…まさか…」

 

「いわゆる風の噂程度じゃよ…それより、彼女達の入学準備は任せたぞ」

 

「はい…お任せを」

 

「頼んだぞ。では下がってよろしい」

 

「はい……」

 

 マクゴナガルは何処か納得のいかないと言った感じだが、その場で踵を返し、一つ溜息を溢した後、ダンブルドアの元を後にした。

 

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