ハリー・ポッターと終末の魔法使い   作:サーフ

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最近、ダンブルドアがどんどん老害化してきている…




逆転時計

   ハリーはシリウスに肩を貸しながら、その後姿を睨み付けながら歩いていった。

 

 城に着き、スネイプの先導で校長室の扉を開けると、そこには、ダンブルドアとマクゴナガル、そして魔法省大臣が話し合いをしていた。

 

「おぉ、セブルスか。どうしたのじゃ?」

 

「校長。奴を、シリウス・ブラックを捕えました」

 

「それは本当か!」

 

「本当です、大臣」

 

「早く連れて来るんだ!」

 

 スネイプは一礼した後、縛られたシリウスを大臣の前へと連れ出す。

 

「はぁ…」

 

「シリウス・ブラック」

 

「ようやく、捕らえたか!」

 

 マクゴナガルは溜息を吐き、大臣は興奮状態になっており、ダンブルドアは比較的落ち着いている。

 

「待ってください!」

 

 ハリーがシリウスを庇う様に大臣の間に入る。

 

「ハリー! 怪我をしておるのか! 早く医務室へ…」

 

「校長先生。僕は大丈夫です。それよりもシリウスの話を聞いてください!」

 

「シリウス・ブラックの話など――」

 

「私は! 私は犯人ではない!」

 

 魔法省大臣の言葉を遮る様に、シリウスが大声を上げる。

 

「真犯人は、ピーター・ペティグリューだ! ここに奴がいる! 今! この瞬間! この部屋にな!」

 

「何処にいると言うのだ?」 

 

「えっと…ここに居ます」

 

 シリウスが悲痛な叫びを上げ、ロンがポケットから、瀕死の鼠を取り出し、床に放り投げる。

 

 床の上では、皮膚が爛れた状態で、もがき苦しんでいる。

 

「これは…死に掛けの鼠?」

 

「奴は…奴は鼠の動物もどきだったんだ!」

 

「なんじゃと…」

 

 ダンブルドアはゆっくりと鼠に近寄ると、杖を振りかざす。

 

 すると、鼠はみるみる人の姿へと変貌し、全身火傷の重傷を負った中年男性が横たわり、浅い呼吸をしている。

 

「こやつは!」

 

「奴こそが、真犯人だ!」

 

 声を荒らげたシリウスだったが、先程のディメンターによるダメージがまだ残っている様で、その場に倒れ込んだ。

 

「分かった…じゃがまずは、全員医務室へ行くのじゃ。話はそれからでも良かろう…それにこの男をみすみす見殺しにする訳にもいかんしの」 

 

 ダンブルドアはそういうと、その場の全員が、医務室へと歩いていった。

 

 倒れてしまったシリウスはスネイプとハリーに抱えながら、医務室へと向かっていった。

 

 瀕死のピーターはスネイプが魔法で浮遊させ移動させている。

 

「なぜ吾輩がこんな事を…」

 

 そんな彼等の後を追う様に、校長室を後にした。

 

 

  数日後、ハリー達の容態も回復し、簡単な事情聴取が行われた。

 

 もちろん、私達も対象になった。

 

 担当するのは、同性という事でマクゴナガルだ。

 

「では、一部始終を話してもらいますよ」

 

「了解」

 

「端的に説明すれば、ロン・ウィーズリーがシリウス・ブラックによって連れ去られたと言う情報を元に救護へ向かいました」

 

「それから」

 

「救援要請地点へ到着後、暴れ柳による障害を排除し――」

 

「ちょ、ちょっと待ってください。障害を排除って、貴女達が暴れ柳を爆発させた犯人ですか?」

 

「障害を排除したにすぎません」

 

「はぁ…前々から思って居たのですが、貴女方は規格外すぎます。もう少し手加減と言う物を――」

 

「申し訳ございません」

 

「いえ、別に怒っている訳ではないのですよ。それで、暴れ柳を排除した後はどうしました?」

 

マクゴナガルは数回首を振り、質問を続ける。

 

「叫びの館内部へ突入後、シリウス・ブラックと対峙、目的はロン・ウィーズリーのペットに扮していたピーター・ペティグリューだと判明」

 

「その後、到着したリーマス・ルーピンと共に事件の一部始終を聴取していました」

 

「なるほど、その後スネイプ先生が割り込んだと」

 

「概ねその通りです」

 

「そう。叫びの館を出た後は?」

 

「満月を目にしたリーマス・ルーピンが人狼へと変化、その隙を衝きピーター・ペティグリューが鼠に変化し逃走を図りました」

 

「なるほど、それで?」

 

「退路を塞ぐべく、逃走予測経路周辺を爆破し、対象を確保」

 

「え? 周辺を爆破って…はぁ…頭痛が…」

 

「鎮痛剤を服用しますか?」

 

 私は鎮痛剤を取り出すが、マクゴナガルは首を横に振った。

 

「マグルの薬は少し抵抗が…まぁ、良いでしょう。その後は?」

 

「人狼と化したリーマス・ルーピンを捕縛。その後目を覚ましたスネイプ教授と合流し、ディメンターの群れに襲われていたハリー達を救出」

 

 マクゴナガルは手元の資料に目を落とす。

 

「スネイプ先生の供述通りね。その際…え? 森が半分程消失?」

 

 マクゴナガルは資料とこちらを交互に見ている。

 

「ディメンターとの戦闘時の余波によるものです」

 

「必要最低限の損害。コラテラルダメージです」

 

「は…はぁ…もうなんだか、理解する事に疲れました」

 

 マクゴナガルは立ち上がると、扉に手を掛けた。

 

「とりあえず、聴取は以上で終了です。正直信じられない事ばかりでしたが…まぁ…それが真実ですからね」

 

「お疲れ様でした」

 

 マクゴナガルの退室後、私達は、扉を抜け、教室を後にすると、廊下には既に事情聴取を終えたハリー達の姿があった。

 

「やぁ、君達も事情聴取?」

 

「えぇ」

 

「僕等も色々聞かれたよ。でもそのおかげで、シリウスの無実が証明されるらしい!」

 

 ハリーはメンタルコンデションレベルを上昇させつつ、シリウスの元に駆け寄る。

 

「あぁ、総てはピーター・ペティグリューの仕業だからな。しかし残念な事にリーマスは教員職をクビになるようだ」

 

「え?」

 

 シリウスの発言に、ハリー達は疑問の声を上げる。

 

 

「なんで、なんでルーピン先生が辞めなきゃならないんだ」

 

「仕方ないさ。私は人狼だからね」

 

 背後からトランクを手に持ったルーピンが現れる。

 

「リーマス…」

 

「君の無実が証明されただけでも私は嬉しいよ」

 

「すまない…」

 

「謝らないでくれ。むしろ謝るのは私の方だ。傷はまだ痛むか?」

 

「もう大丈夫さ。やはり、マダム・ポンフリーには頭が上がらん」

 

「それなら良かった。君達にも感謝しているよ」

 

 ルーピンはこちらを見ると、深々とお辞儀をする。

 

「君達が止めてくれなかったら、私は…悔やんでも悔やみきれない事をするところだった」

 

「我々は防衛行動を行ったまでです」

 

「君達ならそう言うと思ったよ」

 

 ルーピンは一通り全員の顔を見た後、トランクに手を掛ける。

 

「さて、名残惜しいが、これでお別れだ。また会おうじゃないか」

 

「あぁ! 必ず!」

 

 ルーピンはシリウスと固い握手を交わした後その場から去って行った。

 

「ルーピン先生…いい先生なのに残念だわ」

 

「本当にな。スネイプなんかよりずっと良かったよ」

 

 ロンはワザとらしく大きく頷いている。

 

「なぁ、ハリー」

 

「シリウス、どうかした?」

 

「その、なんだ。少し校内を回りたいんだが。案内して貰えないか?」

 

「え? うん。良いけど」

 

「そうか、じゃあ頼むよ」

 

 そう言うと、二人は大広間へと向かって歩き出した。

 

「変なの。卒業生なんだから、ホグワーツの中ぐらいわかるだろうに」

 

「ロン、そういう事じゃないのよ」

 

 ハーマイオニーの指摘に対しロンは首をかしげる。

 

「どういう事?」

 

「2人だけで話したい事があるのよ」

 

「ふーん、まぁいいや。僕はもう一度医務室へ来いって言われたから行ってくるよ」

 

 ロンはそう言うと、医務室へと足を向けた。

 

「皆ご苦労じゃったな」

 

「ダンブルドア先生」

 

 ハリー達と入れ替わる様にダンブルドアが現れる。

 

「ハリーは嬉しそうじゃったの」

 

「これで、全て丸く収まりました」

 

「果たしてそうかの?」

 

「え?」

 

 ダンブルドアはハーマイオニーの発言に対して否定的なようだ。

 

「確かにシリウス・ブラックの無実が証明された。しかし、犠牲になった者も居るはずじゃ」

 

「犠牲?」

 

「そうじゃ。それとハーマイオニー。3回ひっくり返すのじゃ。すれは今度こそ本当に全て丸く収まるはずじゃ。後ハリーも連れて行くと良い。2()()()()上手くやれるはずじゃ」

 

 ダンブルドアはそう言い残すと、その場を後にした。

 

「3回ひっくり返す…」

 

  ハーマイオニーは首に掛けていた『逆転時計』に手を掛ける。

 

『それはやめておいた方が良いんじゃないかな』

 

『え? トムどういう事?』

 

『君は過去に戻ってヒッポグリフの処刑を止める気だろ?』

 

『3回ひっくり返せば丁度その辺りだわ。ダンブルドア先生はきっとその事を――』

 

『だからやめた方が良いのさ』

 

『え?』

 

『あの老害の事だ、大方ハリー・ポッターに過去を遡りヒッポグリフの処刑を回避したという自信でも付けさせたいのさ』

 

『なんでそんなことしなきゃならないのよ』

 

『客観的に見てもハリー・ポッターはかなり贔屓されているよ』

 

『うっ…それはそうだけど』

 

『それに、過去を変えるって事は現在、そして未来まで変えてしまうって事だ。まぁその辺の詳しい説明は彼女達に聞いてくれ』

 

 説明を丸投げされてしまったようだ。

 

『以前もお話ししましたが、過去の改編はタイムパラドックスを引き起こします。極論を言ってしまえば、小石一つ動かすだけでも、未来には大きな変化が生じます』

 

『でも、戻ればバックビークを救えるのよ』

 

『君は何か勘違いしている様だから言うけど、どんな方法で助けるか知らないが、100%救える訳じゃない。それに下手をすれば君だって罪に問われる可能性もある。まぁそれ以前に、過去の自分に対峙すればどちらかが消えてしまう可能性だってある。その時あの老害が君を庇うとは到底思えない』

 

『そんな事…』

 

『無いとは言い切れないだろ? まぁ、どうするかは君の自由だけどね。どうしても行くって言うなら僕は止めないよ。ただ巻き込まないようにタブレットだけは置いて行ってくれよ』

 

『うぅ…』

 

 数分後、ハーマイオニーは意を決したように『逆転時計』を首から外す。

 

『やっぱり、過去に戻るのはやめるわ』

 

『そうかい。賢い選択だね』

 

『えぇ、ちょっと残念だけどトムも心配してるみたいだから』

 

『勘違いしている様だが、君を心配した訳じゃない。僕はただ巻き込まれるのが嫌なだけさ』

 

『はいはい。そういう事にしてあげるわ。ディメンターからも守ってくれたし』

 

『あれは、防御シールドの試運転をだな――』

 

 トムの発言を無視しハーマイオニーは顔を上げる。

 

「さて、ちょっと逆転時計をマクゴナガル先生に返してくるわ」

 

「了解です」

 

「我々も同行しましょう」

 

『だから、あれは僕が勝手にだな――』

 

 私達は、ハーマイオニーと共にマクゴナガルの部屋へと足を向けた。

 

 

 




残念ながら、ヒッポグリフは助けられませんでした。

逆転時計で過去に戻ると、タイムパラドックスが発生し、過去の自分と会うと、どちらかが消滅するというので、そこまでの危険は冒せません。

次回は、恒例のダンブルドアによる、反省会です。

やはり、ゴブレット編は書きあがるまで時間がかかりそうです。
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