ハリー・ポッターと終末の魔法使い   作:サーフ

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まだ、まだまだ暴れるには早い。


三大魔法学校対抗試合

 

  ホグワーツ到着後もロンは歓迎パーティーが始まるまで終始不機嫌だったが、食事を目の前にすると機嫌を直した。

 

「おぉ! やっぱりホグワーツの食事は豪華だ!」

 

『まったく…現金なもんだな』

 

『男の子って皆そう言うものじゃ無いの?』

 

『はぁ…そんな訳無いだろ。男が全員アレと同じならこの世は終わるぞ』

 

『まぁ…確かにそうだわ…全員がロンと同じレベルだと…うん…怖いわ』

 

『シミュレーションの結果。金融崩壊が始まり経済基盤が崩壊し、世界恐慌に陥ります』

 

『ロンって…怖い人だったのね…』

 

『あんなのは1人居れば十分さ』

 

『はぁ…それにしても今日も料理はおいしいわね。一体誰が作って居るのかしら?』

 

『屋敷しもべ妖精さ。そんな事も知らないのか?』

 

『え?』

 

 その瞬間、ハーマイオニーの手が止まる。

 

『まさか…このホグワーツにも屋敷しもべ妖精が居るの?』

 

『ハハハッ…まったく可笑しな事を言うな君は。これほど大きな城なんだ。100体以上入るだろうね』

 

『そんな…私1人も見た事無いわ』

 

『そりゃそうさ。アイツ等はみんなが寝静まった頃に掃除やらなんやらの仕事をするからな』

 

『優秀な屋敷しもべ妖精は人前に姿を見せないと言うデータがあります』

 

 デルフィの言葉にショックを受けているのか、ハーマイオニーは項垂れる。

 

『優秀なのね…それでお給料はどれくらい貰って居るのかしら? あと休みとか』

 

『はぁ…君は本当に冗談が好きなんだな』

 

『どういう事よ?』

 

『データでは、屋敷しもべ妖精は元来、従属する性質があります。その為賃金や休暇などは不要です』

 

『そんなの間違ってるわ! 奴隷じゃない!』

 

『実際あまり変わらないね。好き好んでやるか、嫌々やっているかの違いだけさ』

 

『彼等は前者だって言うの?』

 

『その通り。それに命令された事は奴等には絶対なのさ、逆に言えば命令が無いと生きる事すらできない。だから死ねと命令されれば喜んで死ぬだろうね』

 

『そんなの変よ。そんな…命令にしか従えないなんて…』

 

『それのどこが間違っているのですか?』

 

『デルフィ…貴女まで……だって、死ねって命令されるのよ! そんなの理不尽じゃない!』

 

『命令に従う様にプログラムされており、自死の命令が下ったのならば、それを実行する。どこにおかしな点があるのですか?』

 

『そんな…そんなの…』

 

『まぁまぁ、でもこれが現実さ。さぁ、食事を続けたまえ。冷えるぞ』

 

 ハーマイオニーは何を思ったのか、食べかけの料理を遠くへと置く。

 

『もう食べないのかい? まるで肉体を失って満足に食事が出来ない僕への当てつけかな?』

 

『そんなんじゃ無いわ。私は…ただ―』

 

『はぁ…一つだけ言うけど、君が料理を食べなくてもアイツ等の仕事量に変わりはない。むしろ廃棄量が増えて苦労するだろうね。それに、折角作った料理だ。残す方が僕は失礼だと思うけどね』

 

『優しいのですね』

 

『一般的な意見を言って居るだけさ』

 

『でも…』

 

『トムの言う通り完食された方が、屋敷しもべ妖精も喜ぶかと』

 

 皿を見つめた後、ハーマイオニーは残りを全て平らげる。

 

『エイダ。君も相当優しいじゃないか』

 

『からかわないで下さい』

 

「さて、皆久しいのぉ。皆よく食べ、よく飲んだことじゃろう」

 

 

  多くの生徒がデザートを食べ終えると。皆ダンブルドアの言葉に耳を傾けている。

 

 

 

 

「さて、ここでいくつか皆に知らせておきたいことがある。校庭にある森はいつもの様に立ち入りは禁止じゃ、まぁその森も半分は無いがの…その他にはホグズミード村へも3年生になるまでは禁止じゃ」

 

 例年通りの説明が終わる。

 

『大方ここで、ワザとらしい咳払いが入るぞ』

 

「オホンッ」

 

『ほらな』

 

『お決まりのパターンね』

 

 

「そのぉ…この事を皆に説明するのは非常に忍びないのだが…皆驚かずに聞いて欲しい」

 

『勿体ぶって無いでさっさと言えよ』

 

『何か重大な事かしら?』

 

 トムとハーマイオニーはそれぞれ思うところがあるようだ。 

 

「今年の寮対抗クィディッチの試合は中止じゃ」

 

「え!!」

 

「ふざけるな!」

 

「馬鹿かお前! 馬っ鹿じゃねぇのか? 若しくはアホか!」

 

「役に立たない男…」

 

「ケッ、だから時代遅れってんだよ、雑魚が! 死にくされ」

 

「なにこれ…ふざけてるの…?」

 

「おい、マジかよ、夢なら覚め――」

 

「この老害が!」

 

『ちょっと! トム! バレたらどうするのよ!』 

 

『なぁに、これだけ騒がしいんだバレやしないさ』

 

 ダンブルドアの発言に、多くの生徒が不満の声を上げ、会場は混乱の渦に飲み込まれた。

 そんなどさくさに紛れトムもダンブルドアへ罵声を浴びせかける。

 

 中には、絶望しきった顔で蠟燭の浮く天井を眺めているものまでいる。

 

 もちろんその中にハリーも含まれている。

 

「まぁ、皆が不満に思う気持ちは痛いほどよく分かる。それ故先程の罵詈雑言は許そう。心広きワシは気にせぬぞ」

 

 若干傷付いたのか、ダンブルドアの表情は曇っている。

 

 背後に控えている教員は表情は変えていないが、心拍数などは上昇している。

 

 笑いを堪えている者までいる。

 

「うぉほん! さて、では理由を話そうかの」

 

 ダンブルドアがある程度言いかけると、大広間の扉が勢い良く開かれる。

 

 皆一様に振り返ると。そこには、体中に傷を負い、飛び出た義眼を付けている男性が立っていた。

 

 その男は、周囲の生徒の視線をものともせず、左足を引きずりながらダンブルドアの方へ歩み寄って行く。

 

 左足に損傷などは認められないが、演技だろう。

 

 

「久しぶりだな!」

 

「おぉ…アラスター来てくれたのか」

 

 その男性は、ダンブルドアに近付くと、手を差し出し、2人は固い握手を交わした。

 

 

「おぉ、そうじゃ、まずは闇の魔術に対する防衛術の新しい先生を紹介しよう」

 

 ダンブルドア、先程座った男を見ながら、紹介を始めた。

 

 

「アラスター・ムーディ先生じゃ」

 

「よろしく頼むぞ」

 

 その紹介に、数名の生徒が拍手を送ったが、その拍手もすぐに終わった。

 

 

 ダンブルドアは再び咳払いをし、会話を始めた。

 

 

「先程言いかけた事じゃが、ここ数ヵ月間、このホグワーツでは心躍るイベントが行われるのじゃ。このイベントはここ100年以上行われていなかった特別な事じゃ…それは三大魔法学校対抗試合! 『トライ・ウィザード・トーナメント』を開催するのじゃ!!」

 

 

 

「「御冗談でしょう!」」

 

 

 

「なんだって!」

 

 

 

「嘘だろ!」

 

 

 

 ウィーズリー家の双子が声を上げ、その他にも、様々な声が響き渡る。

 

 

 

 皆驚きと、歓喜を孕んだ悲鳴だ。

 

 

 

 その光景にダンブルドアは愉悦の表情を浮かべ酔いしれている。

 

「三大魔法学校対抗試合?」

 

「ハーマイオニー…まさか君、知らないのかい? あんなに勉強熱心なのに」

 

「知らないわよ」

 

「おったまげー! やっぱりマグルの方じゃこの素晴らしいイベントは知られてないみたいだね」

 

「はぁ…ロン。貴方ホグワーツ特急でのマルフォイみたいなこと言うのね」

 

「なんでアイツが出て来るんだよ!」

 

「先程の発言が酷似していた為と思われます」

 

「冗談辞めてくれ。まぁいいや。これはとても栄誉ある大会なんだ!」

 

『まぁ、死者が出る程危険だって事で中止になったんだけどね』

 

『死者って…かなり危険な大会なのね』

 

『あぁ、まぁ今回のは安全に考慮してるんじゃないか? 流石の魔法省もそこまで馬鹿じゃ無いだろ』

 

『だと良いけど』

 

 ダンブルドアはテーブルの上のグラスをスプーンで数回叩き、周囲の注目を集める。

 

「さて、簡単じゃが三大魔法学校対抗試合についての説明じゃ。簡単に言ってしまえば我がホグワーツ魔法魔術学校とダームストラング専門学校、ボーバトン魔法アカデミーから、各校1人の代表者が互いの意地とプライド、そして威信、そう言った大事な物を掛けて互いに切磋琢磨しあう、魔法試合じゃ」

 

「立候補する!!」

 

「まぁ、待つのじゃ。話はまだ終わっておらん」

 

 手を上げた生徒を制すると、ダンブルドアは口を開く。

 

「すべての生徒がこの大会に熱意を持ってくれているのは大変嬉しく思う。じゃが3校の校長と魔法省はこの大会に年齢制限を設けることで合意した。ある一定以上の年齢…すなわち17歳以上の生徒だけが参加する事が許される」

 

 ダンブルドアはそう言うと、何を思ったのかこちらに視線を向ける。

 

『おやおや、かなり危険視されているじゃないか』

 

『不愉快です』

 

『17歳からって事は、貴女達はまだ参加できないわね』

 

『そもそも、参加する理由が有りません』

 

『まぁ、好き好んで危険に首を突っ込んだりしないわね』

 

「そりゃないぞ!」

 

「俺達は4月で17歳なんだぜ? なんで参加できないんだよ」

 

「俺は参加するぞ! どんな手を使ってもだ!」

 

 ウィーズリー家の双子は残念そうに肩を落としながら、談話室へと雪崩込んでいった。

 

 

  翌日から新学期が始まり、通常通りの授業が組まれる。

 

 三大魔法学校対抗試合の影響により、終業過程を大幅に前倒しする必要があるようだ。

 

 その為、1授業時間辺りに行われる内容が過密になる。

 

 そんな中、魔法生物飼育学に関しては、生物の生育状況に合わせる為去年同様の密度だった。

 

 そして、今年もグリフィンドールとスリザリンは合同授業だ。

 

「やぁ、皆おはよう」

 

 ハグリッドは木箱を傍らに積み上げながら、グリフィンドール生を歓迎する。

 

 授業開始時間5分前だが、スリザリン生の姿は見えない。

 

「スリザリンを待ったほうがええ。あいつらもこいつを見逃したくはねえだろうからな。まぁお前さん達には先に見せてやろう。ほれ、尻尾爆発スクリュートだ! 俺が独自に創り上げたんだ! どうだ? すげぇだろ!」

 

 どうやら、このロブスターのような外見で有りながら青白い粘液で保護されている生物はハグリッドが創り出したようだ。

 

『なんだか…気持ち悪いわ』

 

『正直ドン引きだね。よくこんな物を創り出そうとしたな』

 

『悪趣味です』

 

 ハグリッドは嬉しそうな表情で遅れてやって来たスリザリン生に箱の中の生物を見せる。

 

「おう! おめぇらも見てくれ!」

 

「うげぇ…なんだこれ…」

 

「尻尾爆発スクリョートだ! 俺が創り出したんだ! 今朝孵りたてのほやほやだぞ!」

 

「これは一体何の役に立つんです?」

 

「え?」

 

 マルフォイの質問を受け、ハグリッドの動きが止まる。

 

「まさか…何の役にも立たないと…」

 

「そりゃー…あれだ…今後の授業で見つけ出そう。うん。それが課題だ」

 

『なんだそりゃ。いい加減コイツをクビにしろよ』

 

『ダンブルドア先生が校長をやっている以上無理ね』

 

『まったく。こんな奴が教鞭を振るうなど嘆かわしい!』

 

 その後、授業を受けていた生徒達は、皆遠巻きに箱の中を凝視するだけで授業時間が終了した。

 




三大魔法学校対抗試合には参加する理由が有りません。

(参加しないとは言っていない)
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