ハリー・ポッターと終末の魔法使い   作:サーフ

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今回は少し戦闘があります。


罰則

   魔法生物学の授業終了後。

 

 大広間に到着すると、マルフォイが新聞を片手に、こちらに歩み寄る。

 

「おい! ウィーズリー! 待てって! 見てみろよ!」

 

 半笑いのマルフォイに追われ、ロンは終始不機嫌そうな表情をしている。

 

「貴様の父親が新聞に載っているぞ! 見てみろよ!」

 

 ロンは半ば強引に新聞を奪い取る。

 

「写真まで載っているぞ! 君の両親が君の家の前で撮ったんだろうな。しかし…これは家と言えるのか? 巣穴の間違いじゃないのか? それと君の母親は少しお痩せになったほうがいいんじゃないか? このままだと健康的な意味で心配だ」

 

「失せる。マルフォイ! ロン行こうぜ」

 

「そうだ、ポッター。君は夏休みにこの連中のところに泊まったんだろう? それじゃあ教えてくれ。穴倉住まいのウィーズリーの母親は本当にこんなに太っちょなのか? それとも単に写真写りが悪いだけかねぇ?」

 

「黙れ、マルフォイ。それより、君の母親はどうなんだ?」

 

「なんだと…」

 

「あの顔つきは何だい? 鼻の下に糞でもぶら下げているみたいだ。いつもあんな顔をしているのか? それとも単に君がぶら下がっていたからなのかい?」

 

 ハリーの言葉に対し、マルフォイは体を震わせ、拳を握り締める。

 

「僕の母上を侮辱するな! ポッター!」

 

「まったく、弱い奴ほど良くほざくからな。これだからマザコン野郎は…」

 

 ハリーは肩を竦め、首を左右に振りながら、ドラコに背を向ける。

 

「ふざけるな!」

 

 マルフォイはその場で怒りに任せ杖を引き抜き、魔法を放つ。

 

 しかし、放たれた魔法はハリーの肩を掠め、背後のテーブルに当たる。

 

「貴様!」

 

 次の瞬間、大広間の入り口に居たムーディが素早く杖を振り、マルフォイに魔法を放つ。

 

「なっ!」

 

 素早い閃光がマルフォイを貫き、瞬く間に白いイタチへと変化させた。

 

「背後から襲うなど! 汚い事をするな!」

 

 ムーディの大声が大広間に響き、イタチに変えられたマルフォイはプルプルとその身を震わせている。

 

「でりゃ!」

 

 ムーディはそのまま手にしたイタチを宙へと投げ上げる。

 

 空中に放り上げられたイタチは、何とか姿勢制御し、デルフィの頭部へと着地した。

 

「魔法を受けたのか?」

 

 ムーディはハリーに駆け寄る。

 

「少し掠めただけです」

 

「下手に振れるな! 悪化するかもしれん」

 

 ムーディの怒声により肩を擦ろうとしたハリーの手が止まる。

 

「おい! 小娘! そいつを渡せ!」

 

 足を引きずりながらデルフィに接近するムーディに対し、白いイタチが頭部で震えている。

 

「どうするおつもりで?」

 

「後ろから襲い掛かる奴は気に食わん! 根性を叩き治してやる!」

 

「罰則という事ですか?」

 

「この手の奴は、痛め付けなければ分からん!! さぁ! 早く渡せ!」

 

「ホグワーツでの罰則は居残り等で体罰は容認されていない筈です」

 

「黙れ! さっさと渡せ! さもないと貴様も痛い目を見るぞ!」

 

「発言の意図不明」

 

「ほぉ…このワシをおちょくっているのか…良いだろう! 後悔させてやる!」

 

 ムーディが杖を取り出すと、デルフィに向ける。

 

「敵意があると判断しますがよろしいですか?」

 

「御託は良い! さっさと杖を構えろ!」

 

 ムーディの発言に対し、周囲の生徒が騒めき始める。

 

「なぁ…いくらあのマッドアイでも…」

 

「どっちに賭ける?」

 

「俺は――」

 

 周囲の生徒はこの勝負の行方を掛けの対象としている様で、木箱に硬貨や菓子などを入れている。

 

「さっさと構えろ!」

 

「了解」

 

 デルフィはウアスロッドを構える。

 

 私もデルフィの隣に移動する。

 

「ご心配なく。この程度の敵戦闘レベルならば、私一人で十分です」

 

「承知しています。ですが相手は仮にも教員です。殺傷行動には注意してください」

 

「手加減はしますのでご安心を」

 

「手加減だと…舐めるなよ! 殺す気で来い!」

 

 私はその場から数歩下がり、ハーマイオニーの横へと移動する。

 

「ねぇ、大丈夫なの」

 

「問題は無いかと思われます」

 

『コイツは見ものだな』

 

「行くぞ!」

 

 掛け声と共にムーディが杖を振り、魔法を連射する。

 

「防衛行動開始」

 

 迫り来る魔法に対しデルフィがウアスロッドで薙ぎ払う。

 

「なっ!」

 

「戦力レベル分析完了。脅威レベル下方修正」

 

「ふざけるなよ!」

 

 怒りに任せムーディが杖を振ると、様々な閃光が放たれる。

 

 連射速度は毎秒3発程度だろう。

 

 複数の魔法が折り重なりデルフィに迫り来る。

 

「防衛行動」

 

 その場でウアスロッドを横に薙ぎ、風圧だけで魔法をかき消す。

 

「くそが! これでもくらえ!

 

 ストレス下のムーディは素早く杖を振ると周囲の机や椅子が浮遊する。

 

「くらえ!」

 

 次の瞬間、浮遊した物体が、勢い良くデルフィに向かって降り注ぐ。

 

「ウィスプ展開」

 

 デルフィの前面に6基のウィスプが防衛状態で展開され、降り注ぐ物体を弾く。

 

「くそ!」

 

 冷や汗を掻いたムーディは疲れから肩で息をしながら、膝を付く。

 

「まだ続けますか? これ以上攻撃を続けるのでしら、こちらも攻撃行動に移行します」

 

「黙れ!」

 

 次の瞬間、ムーディが杖を振ると、デルフィの周囲を取り囲むように金属性の杭が浮遊する。

 

 恐らく周囲の破片を魔法により杭に変化せたのだろう。

 

「串刺しだ!」

 

 ムーディが杖を振り下ろすとそれに呼応するように金属性の杭がデルフィに降り注ぐ。

 

「シールド展開」

 

 デルフィの周囲にシールドが発生し、迫り来る金属性の杭はシールドに着弾と同時に砕け散る。

 

「なんだと!」

 

「攻撃行動へ移行。ウィスプ展開」

 

 6基のウィスプが攻撃形態へ移行し、ムーディの周囲を取り囲むと、高速で回転を開始する。

 

「邪魔だ! アレスト・モメンタム(動きよ止まれ)

 

 ムーディが杖を振るが、ウィスプの回転は依然として止まる事は無い。

 

「ちぃ!イモビラス(動くな)

 

 再びムーディが魔法を放つが、ウィスプは依然として回転を続けたまま、ムーディとの距離を詰める。

 

「投降してください」

 

「舐めるなぁ!」

 

 ムーディは自身へと杖を向ける。

 

ディミヌエンド(縮め)

 

 魔法を自身にはなったムーディはその場で体が縮むと、回転続けるウィスプの隙間を高速ですり抜け、距離を取った所で元に戻った。

 

「形勢逆転! 油断大敵! くらえ!」

 

 ムーディが振るった杖の先端から高温の炎が発生する。

 

『あれは、悪魔の火だね。こんな場所で使うなんて相当イラついているみたいだね。と言うかイカれてるよ』

 

『あれって凄い危険な魔法だって聞いたけど…』

 

『そりゃそうさ。まぁアレすら壊す威力が有るからね』

 

『アレって?』

 

『気にしなくて良いさ。今は、目の前の事に集中した方が良いよ』

 

 杖から放たれた高温の炎がデルフィに襲い掛かる。

 

「ハハハッ! 燃え尽きてしまえ!!」

 

 炎に吞まれるデルフィの姿を見てムーディは勝ち誇ったように、高笑いをしている。

 

 しかし、あの程度の温度ならば、大気圏突入及び突破が可能なオービタルフレームならば、シールドにより十分に対応可能だろう。

 

「ベクタートラップ展開」

 

 次の瞬間、周囲の空間ごと、デルフィを飲み込んだ炎がベクタートラップ内に閉じ込められ、消滅する。

 

「爆炎の圧縮終了。攻撃行動に移行します」

 

「くっ!」

 

 その場でデルフィが浮遊すると、ムーディが杖を構え警戒体制を取る。

 

「攻撃開始。ゼロシフトレディ」

 

 ゼロシフトを使用し、瞬時にムーディの眼前へと現れる。

 

「なんだと!」

 

 突如現れたデルフィに対し、ムーディが驚愕し、隙が生じる。

 

 その隙を逃すことなく、デルフィがウアスロッドを横に薙ぎ、鳩尾を殴り付ける。

 

「ぐぉ!」

 

 それなりの衝撃を受けたムーディが体をくの字にしながら吹き飛び、壁に激突する。

 

「カハッ!」

 

 背中を強く打った様で、肺の中の空気を全て吐き出したかのような喘ぎが響く。

 

 

 うずくまったまま動かないムーディに近寄ると、ウアスロッドの先端を突き付ける。

 

「戦闘終了です。ご満足いただけましたか?」

 

 ムーディは何の反応も起さず、ただうずくまっているだけだった。

 

「生体反応確認。医師を呼んできます」

 

 その場で踵を返したデルフィがウアスロッドを収納し、こちらに歩み寄る。

 

「小娘! 隙を見せたな!」

 

 倒れていたムーディがそう言うと同時に杖を振り至近距離でデルフィの背後に緑色の閃光を放った。

 

「危ない!」

 

 ハーマイオニーが悲鳴を上げるが、既に魔法はデルフィに直撃する。

 

 しかし、直撃した魔法は、デルフィの体表で霧散し無効化される。

 

「え?」

 

「これ以上の戦闘に意味は有りません」

 

 疲れ果てた様にその場で項垂れ、うずくまる。

 

「何の騒ぎです!」

 

 騒ぎを聞きつけたマクゴナガルは周囲の現状を見て驚きを隠せずにいる。

 

「キュイ!」

 

「なんですかそれは? 可愛らしいイタチですね」

 

「ドラコ・マルフォイです。アラスター・ムーディのよってこのような姿に変化させられました」

 

「なんですって!」

 

「回収を頼みます」

 

「えっ…えぇ」

 

 デルフィからイタチを受け取ったマクゴナガルだが、どうしたら良いのか分からず、唖然としている。

 

「ムーディ!」

 

 イタチを手に載せたまま、マクゴナガルがムーディを睨み付ける。

 

「なんだ!」

 

「なぜ、生徒をイタチに変えたのです!」

 

「それは…罰則だ。奴は――」

 

「本校での罰則は居残りや書き取りなどです! ダンブルドア校長はアナタにそう話したのではないのですか!」

 

「いやダンブルドアからはそんな話は…先程あの小娘が言ってはいたが…どうだったか…」

 

「もう結構です! ここは片付けておきますから、医務室へ行ってください。まったく…どうしてこうも、毎年厄介事が…」

 

 マクゴナガルは溜息を吐きながら、杖を振り崩れた机などを直し始めた。

 

 足を引きずりながら、立ち上がったムーディだが、入り口付近で振り返る。

 

「ワシは貴様の親父をよく知っておる! 親父に伝えておけ、ムーディが貴様から目を離さないとな!」

 

 ムーディは捨て台詞を吐くと、足を引きずりながらその場から出ていった。

 




手加減しているとはいえ、かなり健闘したんじゃないかな?
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