一体誰が優勝するんだ…
グリフィンドールの談話室では、誰が代表選手になるか、どの様な手段を用いダンブルドアが引いた年齢線を攻略できるか、ポリジュースを使う、上級生に依頼する等の会話が飛び交っている。
「誰が代表になるかな?」
「さぁ? でも僕が17歳以上だったら立候補していたよ」
「ロンが? だったら僕も代表選手にエントリーするよ」
「ネビルがか? なら僕だって」
ハリー達は相変わらず他愛無い会話をしている。
「きっと、君達が参加したら簡単に優勝するんだろうな」
「そうだね。17歳以上だったら良かったのにね」
ロンは笑いながら、冗談の様に言う。
「もしかしたら、君達に参加して欲しくないから17歳以上にしたのかも」
「それはあり得るね」
『まぁ…きっとそうよね』
『あの老害の事だ。それ位しか考えて無いだろう』
『少しくらいは安全性の問題とかも考慮したんじゃない? それで? 参加するの?』
『もちろんです』
『この前まで参加しないって言ってたのに、どういう風の吹き回し?』
『優勝賞金です。ホグワーツからの請求額の補填にします』
『請求? あぁ…去年の…』
『なるほどね。あの老害が生徒の為に金を使うとも考えにくい』
『言えば、立て替えてくれそうだけど…』
『だとしても暴利だろうね。それにしても皮肉だねぇ』
『なにが?』
『ダンブルドアが君達に請求しなければ、君達も参加するなんてことは無かっただろうに』
『策士策に溺れるって言うのかしら?』
『どっちかと言えば、自業自得かな?』
『因果応報』
『『それだ』』
グリフィンドールの談話室は依然として立候補者の話題で盛り上がっていた。
次の日
朝から大広間にはかつて無い程までの人だかりが出来ていた。
皆、立候補者がゴブレットに投票する瞬間を目にしたいのだろう。
立候補者が意気揚々とゴブレットに名前を書いた紙を入れる度、大広間からは歓声が上がる。
しかしそんな光景も、昼を過ぎた頃には収まり、人々の姿は疎らになり始めた。
そんな中ウィーズリーの双子が何やら薬の入った小瓶を片手に、もう片方には羊皮紙を握り絞めゴブレットを眺めている。
「準備は良いか?」
「もちろんさ」
2人は小瓶を打ち合わせ、乾杯すると一気に飲み干す。
すると、2人は体表細胞が活性化し、見た目だけは成人男性になった。
「「よし! 行くぞ!!」」
双子は声を合わせ、同時に年齢線へと飛び出した。
「「うわあああああ!!!」」
年齢線に1歩足を踏み入れた瞬間、2人の体は弾き飛ばされ、はるか後方へと吹き飛んだ。
「おい! 兄貴!!」
ロンがそんな2人に駆け寄り、顔を見た瞬間大笑いをしている。
「「何がおかしい!」」
「酷い顔してるぜ!」
「「ん?」」
吹き飛ばされた当人達はその状況を全く理解していないようだ。
吹き飛ばされると同時に、急速に老化現象が起こり、70代ほどの外見になっている。
どうやら、ダンブルドアが引いた年齢線は、外見や体表細胞以外の方法で判別している様だ。
ロンが大声で笑い声を上げた事により周囲に人が集まり始める。
この状況下で投票しては騒ぎをより大きくしてしまうだろう。
夕食も終わり夜も更けた頃、私達は大広間へとやって来た。
この時間帯では人の姿も無く、中央の台座の上では、ゴブレットが不気味な青白い炎を放っている。
「やっぱりここに居たのね」
背後からハーマイオニーの声が響く。
「この時間帯ならば人気が無いので最良と判断しました」
「そうなの。まぁ確かにここに来るまで誰にも会わなかったわ」
私達はダンブルドアが引いた年齢線を超える。
「大丈夫?」
「問題ありません」
どうやら、この年齢線というのは、17歳未満の魔法使いが発生する『臭い』と呼ばれる魔法によって検知されるようだ。
線を超えると同時に、無意識下で魔力を放出させ、それに伴う臭いを検知する様だ。
しかし、そのような防衛策は魔法を使用しない私達に対しては意味を成さない。
私達は台座に鎮座しているゴブレットに手を掛ける。
それと同時にスキャンを開始する。
スキャンの結果、ゴブレットによる選定基準は乱数ではあるが、外部からのハッキングにより操作が可能なようだ。
どうやら、現時点で3校全ての代表選手が決定している。
しかし、第4の候補者として、別枠が組み込まれている。
どうやら、第4の代表選手はハリーの様だ。
それを利用し、私達は第5の枠を作り出す。
「ハッキング完了、後は登録表紙を入れるだけです」
「了解、一つ提案があります」
デルフィが登録用紙を取り出すと、声を上げる。
「我々が敵対し競合するよりも、共闘する事を提案します」
「チームとしての登録という事でしょうか?」
「その通りです」
「採用します」
協力した方が勝率も向上するだろう。
不確定要素は極力排除するのが好ましい。
デルフィが登録用紙に私達の名前を書き込むとゴブレットに投入する。
それと同時に、ハッキングで用意した第5の枠に私達をチームとして登録する。
その瞬間、ゴブレットが勢い良く燃え上がる。
しかし、数秒後には炎の勢いが収まる。
最終確認をするが、私達は第5の枠として無事登録されている。
「終了です」
「了解」
私達は再び年齢線を超える。
「終わったの?」
「無事終了です」
「ねぇ、どっちが登録したの?」
「我々はチームとして参戦します」
「え? チームって…各校1人だけの筈じゃ…」
「ハッキングにより、私達はチームとして登録しました」
「じゃあ、2人が代表選手って事?」
「本来の代表選手は他に居ますが、私達の他にハリーも登録されていました」
「えぇ! それってどういう事?」
「詳しい事は分かりませんが、ハリーが代表選手に登録されていることは事実です」
「じゃあ、ホグワーツの代表選手は4人?」
「その様です」
「なんか…もう訳わからないわ…」
ハーマイオニーは唖然としながら、私達と共に自室へと戻って行った。
ハロウィーンの夜。
生徒達は大広間で食事を楽しんでいる。
炎のゴブレットはダンブルドアの前に鎮座していた。
「誰が代表かな?」
ハリーは代表選手の発表を今か今かと待ちわびている様で、そわそわしている。
「え…えぇ、一体誰になるのかしらね。楽しみね、アハハ」
『君は酷い奴だね、彼が代表選手に選ばれるって知って居るなら教えてやれば良いのに』
『そんな事できる訳ないでしょ』
『まぁ、どっちにしろ、あと少しで分かる事さ』
「ついにこの時が来た。ゴブレットが代表選手の選考を終えた様じゃ。名前を呼ばれた者は前に出るのじゃ」
ダンブルドアが杖を一振りすると、大広間に置かれている蠟燭の灯が消え、ゴブレットの炎が周囲を照らし、その場の全員の視線がゴブレットに集まる。
次の瞬間、ゴブレットが紅く燃え上がると、1枚の羊皮紙を吐き出した。
宙をヒラヒラと舞う羊皮紙をダンブルドアがつかみ取る。
「ダームストラングの代表は…ビクトール・クラム!」
次の瞬間、会場が歓声に包まれた。
クィディッチの有名選手という事で、ファンが多いのだろう。
クラムはスリザリンの席から立ち上がると、ダンブルドアの横を抜け、隣の部屋へと消えていった。
歓声が止んだ後、ゴブレットが再び燃え上がり、羊皮紙を吐き出した。
「ボーバトン代表は……フラー・デラクール!」
再び会場が歓声に包まれた。
ボーバトンの代表は、先日通訳を依頼した生徒だった。
デラクールはレイブンクローの席を立つと、クラム同様拍手を浴びながら隣の部屋へと移動した。
歓声が止み、三度ゴブレットが炎を上げ、羊皮紙を吐き出した。
その途端に会場全体が緊張に包まれた。
本校の代表選手が決定する瞬間を固唾をのんで見守っている。
ダンブルドアは嬉しそうな顔で吐き出された紙を掴み声を張り上げた。
「我が校…ホグワーツ代表は! ハッフルパフのセドリック・ディゴリー!!」
歓声が上がる。
特にハッフルパフからは、今まで聞いた事の無いほど歓声を上げている生徒までいる。
『まぁ、ハッフルパフってあまりパッとしないイメージよね』
『まぁね、グリフィンドールやスリザリン、レイブンクローに入れなかった生徒が行く所ってイメージが強いよ』
『まぁ…その通りよね』
『第一穴熊って…なぁ…』
『蛇よりはいいんじゃないかしら?』
「皆、嬉しいのは分かるが落ち着くのじゃ。セドリックよ。こっちへ来るのじゃ」
多くの生徒が拍手する中、セドリックは少し恥ずかしそうに立ち上がると、隣の部屋へと小走りで向かった。
『さて、お次は…』
『順当にいけばハリーが呼ばれるはずです』
『なんか、こんな空気で呼ばれるなんて可哀想ね』
『そう言う星のもとに生まれたのさ』
「これで三校総ての選手がそろった! これよりルールの説明を………」
ダンブルドアが説明を始めた瞬間、ゴブレットが再び燃え上がる。
「なんじゃと…」
『やっぱり予想外って顔してる。いい顔だね』
炎は激しさを増し、1枚の羊皮紙を吐き出した。
羊皮紙をキャッチしたダンブルドアは静寂の中、呟くように読み上げた。
「ハリー・ポッター………ハリー・ポッター!!」
その瞬間、会場に居る全員総ての視線がハリーに集まった。
当人のハリーは何が起こっているのか理解していないようだった。
「え? なに?」
「ハリー! 来るのじゃ!」
「ちょっと!」
ダンブルドアが怒声を上げ、ハリーの腕を掴むと席から立ち上がらせ、引きずる様に隣の部屋へと消えていった。
「え…えぇ、想定外の事が起こったようですが、皆さん落ち着いて!」
職員席からマクゴナガルが立ち上がると、声を上げる。
しかし、多くの生徒は状況を呑み込めないのか、ざわついている。
『さぁて、これで終わりじゃないぞ』
『マクゴナガル先生がどんな顔するのかしら?』
『おやおや? 君も結構楽しんでいるね?』
『別に…そう言う意味で言った訳じゃ…』
ゴブレットが再び発火を始める。
その炎は激しく燃え、火柱が天井にまで到達し、至る所に黒い焦げ跡を作る。
「何事…です…これは!」
燃え上がる火柱を前に、マクゴナガルはその場で棒立ちになっている。
そして、炎がより一層激しく燃えると同時に1枚の紙を吐き出した。
「では行きましょう」
「了解、準備は万端です」
炎が燃え上がる中、私達は立ち上がると、周囲の生徒の視線が集中する。
周囲の視線を浴びながら、私達はマクゴナガルの前へと移動する。
「え? なんですか?」
吐き出された紙をデルフィが空中でキャッチするとマクゴナガルに手渡す。
「こちらを」
「え? えぇ」
折り畳まれた紙を開いた瞬間、マクゴナガルの表情が一変する。
「これは! これはどういう事です!」
「書かれている通り、我々も参加します」
「何を言っているのです! それに…ここにある紙は1枚しか――」
「問題ありません」
デルフィはマクゴナガルから紙を取り上げると、代表選手達が入室していった部屋の扉を開いた。
2機が争うより
共闘した方が強いと思う(小並感)