敵のドラゴン部隊は、こちらの通常攻撃が一切効かない状態です。
さて、どうやって攻略するでしょうか?
タイトル?
何の事かな?
目も前で、ドラゴン部隊は咆哮を上げ興奮状態で空中を旋回している。
『敵は圧縮空間による質量の断層で守られています。突破可能ですか?』
『私にお任せください。問題なく発射できます』
『了解。ブチかましてください』
私は、地面に両足を付けると、ドラゴンの部隊を見据える。
『私が、時間を稼ぎます』
『頼みます。10秒有れば十分です』
『人的被害を避ける為、上方へ発射します。敵部隊の誘導を頼みます』
『了解。行動を開始します』
「ステルス起動」
私はステルスを起動し姿を透明にする。
それと同時に、デルフィはウアスロッドを構えると、宙に舞い上がる。
飛翔するデルフィに釣られ、ドラゴン達も宙に舞い上がる。
「遊撃を開始します」
飛翔したデルフィは手近にいたノルウェー・リッジバック種に対し、手に構えたウアスロッドを振り下ろす。
しかし、圧縮空間による質量の断層によって攻撃が防がれ、ドラゴンにはダメージが入っていない。
攻撃を受けたと判断したドラゴンはデルフィを攻撃対象に変更したようで、炎を吐く。
「ベクタートラップ起動」
デルフィは手を前に構えると、眼前にベクタートラップを起動すると吐き出された炎を圧縮空間内に納め、消滅させる。
着地すると、デルフィは6体のドラゴンに向け、ウアスロッドを構える。
6体全てのドラゴンがデルフィを攻撃対象と見做したのか、全てのドラゴンが一斉に炎を吐く。
6体から吐き出された炎は巨大な熱量となり、デルフィに襲い掛かる。
「ベクタートラップ解除」
デルフィは先程同様にベクタートラップを解除し、巨大な熱量の炎をベクタートラップ内に封じ込める。
ベクタートラップはコロニー爆破用の時限爆弾の爆風ですら封じ込める事が出来るので、ドラゴンの炎程度、問題は無い。
デルフィがドラゴンを引き付けている間に、私はベクタートラップから、武装を展開する。
ベクターキャノン
メタトロンの空間圧縮を利用したエネルギー兵器。
次元、空間障壁の破壊はおろか通常兵器では突破不可能とされる質量断層をも貫通する。
別名『空間圧縮破砕砲』
しかし、高威力故、接地固定状態でなければ、反動を制御しきれず、発射にチャージを要する。
「ベクターキャノンモードヘ移行」
両手を上に上げると、私の周辺の空間が歪み、オービタルフレームの時と同じ大きさの、巨大な砲身が出現する。
それを私は受け止めると、両腕を通す。
「なんだあれ!」
「巨大な…大砲…」
「何が起こってるんだ!」
会場や、審査員席から悲鳴にも似た怒声が上がる。
「エネルギーライン、全段直結」
ベクターキャノンの砲身と私のエネルギーラインを直結させる。
それにより、全身と砲身自体にも青白いエネルギーラインが走り出す。
エネルギーラインの直結により、砲身の前面に6個のアンプが浮遊する。
「ランディングギア、アイゼン、ロック」
衝撃に備え、脚部を固定する為に、赤い色のアイゼンを地面に打ち込む。
アイゼンが岩盤に食い込み、強固に固定される。
「チャンバー内、正常加圧中」
エネルギーがチャンバー内に集約される。
それに伴い、アンプにもエネルギーが供給され始め、緩やかに回転を開始する。
エネルギー供給ラインが上昇を開始する。
「ライフリング回転開始」
エネルギーの供給が終了後、アンプが高速に回転し、ライフリングを形成する。
回転速度も上昇し、安定期に入る。
「撃てます」
ベクターキャノン発射準備完了。
デルフィの方は、全てのドラゴンを相手に、攻撃と回避を行い、ドラゴンの部隊を誘導している。
そんな中、1匹が危険を察知したのか、上空からこちらに急接近する。
「1匹そちらに向かいました」
「問題ありません。攻撃に耐えつつ、このまま発射します」
「了解。退避します」
私の斜め上方に滞空したのはウクライナ・アイアンベリー種だった。
そのまま口を開くと、勢い良く炎を噴射する。
燃え広がる炎の中、私はドラゴンの群れに狙いを定める。
「発射」
トリガーを引くと、衝撃が走り、足元の岩盤が衝撃によりめくれ上がる。
ベクターキャノンからは、総てを無に帰す程の、エネルギーが放たれ、吐いている炎ごとウクライナ・アイアンベリー種を消滅させる。
ウクライナ・アイアンベリー種を消滅させたエネルギーの渦は、そのままデルフィによって集められたドラゴンに直撃する。
デルフィは直撃の寸前にゼロシフトを使い、退避したようだ。
エネルギーの渦の直撃により、スウェーデン・ショート・スナウト種とチャイニーズ・ファイヤーボール種、ウェールズ・グリーン種、ノルウェー・リッジバック種が消滅。
唯一直撃を免れたハンガリー・ホーンテール種だったが、エネルギー波を掠めたのか、塵も残す事無く消滅した。
ドラゴンの部隊を消し去ったエネルギーの渦は会場全体を覆っていたエネルギーフィールドを突き破り、上空を抜け、上空の雲を全て消し去った。
「ベクターキャノンモード解除」
エネルギーの放出が終了後、ベクターキャノンモードを解除し、巨大な砲身をベクタートラップ内に収納する。
周囲は、水を打ったかのように静かだった。
皆、先程の光景に驚愕している様だ。
それにより、誰も動けないでいる。
「作戦終了です。お疲れ様です」
「お疲れ様です。戦闘に置ける周辺への被害状況を報告。死傷者無し。建造物損壊無し」
「評価S。お見事です」
「感謝します」
ベクターキャノンモードの抜けた先の空は、青い空が見えていた。
私達は、審査員席へと顔を向ける。
「作戦終了です」
「得点と金の卵をお願いします」
私達の言葉に、審査員、および観客全員が解放されたように動き出し、拍手が沸き上がった。
『さ…さぁ! 多少のアクシデントはありましたが、それで採点の方に…』
「待つのじゃ!」
審査員席にふら付きながらも、覚束ない足取りのダンブルドアが割り込む。
「おぉ、ダンブルドアか。どうした?」
「先程、ドラゴンが消滅すると同時に、とてつもない衝撃を受けてな…護りの魔法を掛けていた闇払いがワシ以外全員気を失ってしまってな」
「そうか、それは大変だ…」
「何重にも重なった護りの魔法は悪魔の火すら防ぐ…」
「その筈だが…」
「つまり、彼女は悪魔の火以上の破壊力を持つ魔法を行使したことになる!」
ダンブルドアの一言に、会場が騒めき立つ。
「それだけではない、彼女達はドラゴンの炎をものともせず、1人で6体のドラゴンを相手取り、1人で6体のドラゴンを消滅させたのじゃ!」
バグマンは驚愕した表情をしているが、その後少し考えこむ。
「確かに…現に彼女達は6体のドラゴンを討伐した。だが…これはこちらが出した課題を攻略したことになる」
バグマンは悔しそうな表情をした後「完敗だ」と呟く。
「じゃがこれは由々しき事じゃ…早急に対策を――」
「一つよろしいでしょうか」
ダンブルドアの言葉を遮る様に、デルフィが声を上げる。
「我々はそちらが提示した条件を攻略しました。報酬を頂けますか?」
「あ…あぁ、そうだな。金の卵は後でテントへ届けよう。それでは審査員は点数を」
バグマンがそう言うと、審査員は集まり何やら話し合いを行っている。
『えーどうやら、今採点が終了したようです』
マクシームが杖を振ると、得点が発表された。
『これは…これは凄いぞ! 全員が10点を出している!』
ダンブルドアを始め、皆不服そうな表情を浮かべながら拍手をしている。
私達は、一礼し会場を抜け、テントへと移動した。
テントに戻ると、他の代表選手達が驚いた表情でこちらを見て来る。
「さっきのは一体なんだ?」
ハリーは少し興奮気味に口を開く。
「ドラゴンには特殊なフィールドが展開されていました。フィールドを貫通し内部の生命体への有効的な攻撃手段として先程の攻撃を使用しました」
「あんな…あんなの見た事無い! なんだろう…よく分からないけど、すごくかっこよかった!」
「分からないけど、あれは男ならきっと皆興奮するよ! しない奴は男じゃない!」
「ありがとうございます」
「ねぇ! あれもう一度――」
その時、バグマンがテントの中へと入って来た。
「全員よく頑張った!」
バグマンは大声を上げながら、こちらを警戒した表情を向けている。
「さて、いろいろ聞きたい事はあるだろうが、手短に話そう。第2課題までは十分な休みがある。だが時間があるとは言え、君達にはやってもらう事を用意してある」
すると、バグマンは金の卵を指差した。
「この卵に蝶番が有るのが分かるか? この卵は開くようになっているんだ。その中に第2課題のヒントが入っている。では解散だ!」
バグマンは手短に話したのち、テントを出ていった。
それを見送った後、代表選手は自分の金の卵を手に取り、自室へと戻っていくのだった。
第1課題終了後、ハリーは卵片手に談話室で祝賀会を開いており、私達もそれに参加した。
「凄かったぞハリー! 良くドラゴンを出し抜いたな!」
「運が良かったんだ。危ない所だったよ」
ロンを始めとし、多くの生徒がハリーに称賛の声を送る。
そんな中、ウィーズリーの双子が杖をマイクに見立て壇上に上がる。
「あー、あー。皆聞こえるかな? さて、我らがグリフィンドールの代表選手3人が無事に第1課題の突破を祝して、再び大きな拍手を!」
声に合わせる様に、談話室に拍手が鳴り響く。
「さて、それじゃあ早速だがインタビューしようか。まずはハリーから。感想とかあるかい?」
ハリーは向けられた杖の先端に顔を近づける。
「感想って程じゃないけど。もうすっごく興奮したね! うまくいったのが奇跡みたいだよ!」
ハリーの声に呼応するように、拍手が上がる。
「いい感想だったよ。ありがとうハリー。さて! お次はこの二人! イーグリット姉妹だ! さて、何か感想はあるかな?」
「別段ありません」
「ただ課題を遂行したまでです」
このような回答にも拘わらず、会場からは歓声が上がる。
「流石、クールだね。クールビューティーだよ。じゃあもう一つ質問。君達だけ6体相手してたけど、その点はどう?」
「戦力的には何ら問題は有りません」
「凄いね。さて、次を最後の質問にしよう。多分皆気になっていると思うが、ドラゴンを葬ったあの魔法は一体何だい?」
その瞬間、会場が水を打ったように静まり返る。
「先の武装はベクターキャノンです」
「ベクター…キャノン? 一体どんな魔法なんだ? オリジナル?」
「メタトロンの空間圧縮特性により高密度に圧縮されたエネルギー波を放出する事により、圧縮空間を破壊する程の威力を出す事が可能です」
「え?」
「敵対象は圧縮空間による質量の断層を利用した防衛機構を備えていました。敵の防衛機構を突破、及び貫通させるにはベクターキャノンが有効だと判断しました」
私達の説明を聞いても、ウィーズリーの双子はいまいち理解をしていない様だ。
「あー…なんだ…よく分からないが。凄いという事だけは分かったよ」
会場の生徒達も意味も無く頷いている。
「さて! じゃあ次だ。もう一つのメインイベント。ハリー君が持っている金の卵を開けてくれないか?」
「え? 開けるの?」
「そうさ! 皆気になっている筈さ!」
ハリーは金の卵を手に取ると、壇上へと上がる。
「じゃあ…開けるよ」
「頼むぜ」
意を決したように金の卵の上部に付いている金具を外す。
「ッ――――――――――――――――――――!」
「うわぁ!」
「がぁ!」
金の卵を開いた瞬間、悲鳴のような甲高いノイズ音が響き渡る。
「耳ガァ!」
「早く閉じろ!」
「今やってる!」
ハリーが慌てながら金の卵を閉じると、ノイズが終了する。
「はぁ…はぁ…」
「おい! ネビルが倒れてるぞ!」
「またネビルか!」
「医務室へ運べ!」
「ロン、大丈夫か?」
「耳が痛い…血が出てるかも…」
「大丈夫。血は出てないよ」
先程までの祝賀ムードが一変し、皆一様に暗い顔をしている。
「なんか…興が削がれたね…」
「そうだな。残念だが今日はここまでにしようか」
「そうだな」
ウィーズリーの双子が終了を告げると、全員後片付けをすると、自室へと戻って行った。
私達も、自室へと戻ると、ハーマイオニーがベッドに腰を掛けている。
「さっきの音酷かったわね」
「騒音レベルです」
『さっきのは、マーミッシュ語だね。水中人の言葉さ』
『水中人?』
『そうさ。アイツ等の言葉は陸上だと悲鳴みたいに聞こえるけど、水中だと歌みたいに聞こえる』
『そうなの。じゃあ…あの卵は水の中で開かないとダメって事?』
『まぁ、そうだね』
「分析を開始します」
私は金の卵に触れ、内部の音声データを抽出する。
「変換を開始」
抽出した音声データを水中で再生した時と同じように変換する。
「変換完了。再生します」
変換後のデータを再生する。
すると、先程までの悲鳴とは異なり、美声へと変わる。
『探しにおいで、声を頼りに。
地上じゃ歌は、歌えない。
探しながらも、考えよう。
われらが捕らえし、大切なもの。
探す時間は、30分。
取り返すべし、大切なもの。
30分のその後は………もはや望みはありえない。
遅すぎたなら、そのものは、もはや、二度とは戻らない』
「綺麗な歌声ね」
ハーマイオニーは先程の歌を聞き、首を傾げる。
「探しながら考えよう? われらが捕らえし大切な物? 一体何かしら?」
『それに探す時間は30分と限られているみたいだね』
「30分…結構短いわね…超えたらどうなるのかしら?」
『さぁ? 流石に身に危険が及ぶって事は無いとは思うがな』
「与えられたミッションを遂行するだけです」
「相変わらずね」
ハーマイオニーは首を横に振りながら、ベッドへと潜り込んだ。
ベクターキャノンはやはりいい。
次のミッションの制限時間は30分です。
原作より短いですね。