どうやっても、ダンブルドアにハッピーエンドが訪れない…
まぁいいや
帰還後、扉を開き奥の部屋へと移動するとそこには、箒で帰還したメンバーとモリーに抱き着かれているハリーの姿があった。
「あら? アナタ達戻ったのね」
「あぁ、今戻ったよ」
「く、苦しいよおばさん」
「あら、ごめんなさい。少し痩せたみたいね」
「まぁね」
「後でご飯にしましょう。今日は豪華にするわ」
「ありがとう」
その時、座っていたダンブルドアが軽く咳をする。
「皆ご苦労じゃった。さて、会議を始めるとしようかの。不死鳥の騎士団員は厨房へ移動してくれ」
「はい」
ダンブルドアの声に従い、騎士団員の面々が続々と厨房へ移動していった。
ハリーはシリウスと共に厨房に入ろうとしたが、ロンの母親によって引き留められた。
「駄目よハリー。騎士団のメンバーだけの会議ですからね。ロンとハーマイオニーも上の階で待っているわ。後で夕食にしましょうか」
「え…でも」
「言う事聞いて頂戴。上でロン達が待っているわ。会うのは久しぶりでしょ?」
「うん…」
「さぁ、行きましょう」
諭さとされたハリーは、ゆっくりと階段へと移動していった。
厨房へと移動すると、食卓用の長いテーブルを円卓に見立て、ダンブルドアを上座に他のメンバーが座って行く。
「さて、ハリーの護送は無事に終わった様じゃな」
「無事終了です。敵性勢力による妨害なども確認されていません」
「左様か」
ダンブルドアは表情を緩め、数回頷く。
「こちらが、今回の作戦における請求書です」
今回の作戦で使用した、旅行券代や報酬等の詳細を記載してある。
受け取り、目を通したダンブルドアは分かり易く眉を顰める。
「少し高すぎるのではないのかのぉ?」
「適正価格です」
「わかった…仕方ない。後日支払おう」
ダンブルドアは請求書を畳むと、ポケットへと仕舞い込む。
「まぁ、何はともあれ、作戦は成功じゃ…それは良い事じゃ。皆も良く頑張ってくれた。ハリーはしばらくこの本部で預かろうと考えておる。皆でハリーを警護するのじゃ。無論、ハリーが移動をする際は誰かが護衛に付くようにしてほしい」
「分かりました」
不死鳥の騎士団員は全員が合わせた様に頷いている。
そんな時、2階の方からハリーの怒鳴り声が響いた。
「ひどいよ! 何なんだよ! 僕があの家に幽閉されている間、君達はここでよろしくやっていたっていうのか! えぇ!」
声のトーンから判断するに、かなりのストレス係数だ。
「はぁ…」
ダンブルドアは溜息をし、杖を一振りする。
すると、先程までのハリーの叫び声が聞こえなくなった。
「さて…会議を続けようかの」
ダンブルドアは溜息を吐きながら、頭を抱えていた。
数日後、ハーマイオニーから通信が入る。
『ねぇ、今良いかしら?』
『問題ありません』
『さっきハリーの裁判が終わったんだけど、何とか無罪になったわ』
『それは良かったです』
『まぁ、普通に考えればあんな状況なんだし、無罪になるだろうね』
『そうよね。ダンブルドア先生が色々と手回ししたみたいだけど』
どうやら、ダンブルドアとしては、何としてもハリーの無罪を勝ち取りたかっただろう。
『でも、帰って来たハリーはなんか変な感じなのよ』
『具体的にはどのように?』
『何か、口数も少ないし、ロンとも喧嘩してたわ。なんか口調も荒かったし…』
『反抗期じゃないのか?』
『だとしても異常よ。なんか一緒に居るのが怖い位だわ』
『少し放っておいた方が良いね』
『まぁ…そうよね。少し様子を見ようかしら…』
ハーマイオニーは分かり易く溜息を吐いている。
『そう言う事なの。また何かあったら連絡するわね』
『了解です』
『また新学期で合いましょう」
『はい』
私達は、通信を終了させる。
新学期最初の日。
先日届いた、不死鳥の騎士団からの手紙には、ハリーをブラック邸から、キングスクロス駅まで護送すると書かれていた。
護衛の必要性を感じないが、要請があるのならば、仕方ない。
ブラック邸へ移動後、不死鳥の騎士団員と合流する。
「2人とも! 久しぶり!」
玄関ホールには、1つのトランクケースを側に置いたハーマイオニーが立っていた。
その手には、タブレット端末が抱えられていた。
「お久しぶりです」
「今回はどうしたの?」
『ハリーの護送を依頼されました』
『なるほどね。だから通信に切り替えた訳ね』
『だとしても、態々駅まで護送だなんて、ダンブルドアはよっぽど彼が大切みたいだな』
『確かに、大掛かりよね。不死鳥の騎士団員なんて…全員慌ただしくしてるわ』
「あれ? 君達も来たの?」
声の方向では、荷物を纏めたハリーと、両親と荷物の確認をしているウィーズリー兄妹の姿があった。
「これからキングスクロス駅まで行くぞ! シリウス。お前は犬に化けておけ」
「何故だ! 私の冤罪は晴れているんだぞ!」
「死喰い人共が攻めて来た時、そっちの方が奴等の臭いを感じやすいだろ」
「確かにそうだな…」
納得したのかシリウスが犬の状態でハリーに駆け寄る。
数分後には、全員の準備が整ったようで、ブラック邸からキングスクロス駅まで徒歩で移動した。
20分程の移動中に敵性勢力による妨害工作は確認されなかった。
キングスクロス駅到着後は、全員で9と4分の3番線へと入り、そこで不死鳥の騎士団員と別れる。
「さて…コンパートメントを探そうか」
ハリーは疲れた様に、口を開き、周囲のコンパートメントを確認する。
「えっと…」
「ハーマイオニー? どうかしたの?」
振り向いたハリーに対し、ハーマイオニーの表情が少し曇った。
「えっ…と…私達、監督生の車両へ行かなきゃいけないの…」
「そっか…そう言えば今年から監督生になったんだったね…ロン、君もだろう?」
「そうなんだよ、まぁすぐに終わると思うから、何処か開いているところ探していてよ」
「あぁ、じゃあまた後でな」
私達は、ハーマイオニー達の背中を見送った後、引き続きコンパートメントを探す事にした。
最後尾車両、最奥部付近で、ハリーが一つのコンパートメントの中を覗く。
「ここ開いてるじゃないか」
しかし、コンパートメント内には1人の生体反応を確認する。
ハリーが扉を開けると、死角に隠れる様に、一人の少女が座っていた。
「あれ?」
「コンパートメントを探してるの?」
少女がそう言うと、ハリーは頷く。
「座んなよ。ここ開いてるよ」
「じゃ…じゃあ、遠慮なく」
ハリーは荷物棚に、荷物を仕舞い、コンパートメントに入る。
「あなた達も」
「失礼します」
私達も、コンパートメント内に侵入する。
少女の対面に座る。
目の前の少女は杖を左耳に挟み。ソフトドリンクのコルク栓を繋ぎ合わせたネックレスをしている。
そして何故か雑誌を上下反転させ読んでいた。
「ルーナ・ラブグッドだよ」
「え?」
「名前」
「あ…あぁ。僕は――」
「知ってるよ。あなたはハリー・ポッターだ」
「そうだよ」
ルーナが顔を上げ、こちらを見据える。
「あなた達はエイダ・イーグリットとデルフィ・イーグリット」
「ご存知でしたか」
「有名人だもん」
ルーナは再び、本に視線を戻す。
十数分間、コンパートメント内に会話は無く、ハリーは気不味そうにあたりを見回していた。
『今終わったわ。どこに居るの?』
『最後尾車両です』
『分かったわ。向かうね』
数分後、コンパートメントの扉が開かれロンとハーマイオニーが入ってくる。
「お疲れ」
「あぁ、すっごく疲れた…あっ! カエルチョコレートじゃん! いっただき!」
ロンは、ハリーからカエルチョコレートを奪い取ると、そのまま口に放り込む。
「まったく、君って奴は…後で代金を払えよ」
「少し考えてみろよハリー。僕がそんな金あると思うか?」
「まったく…」
「はぁ…」
ハリーとハーマイオニーは呆れた様に溜息を吐いた。
「ん? この人は?」
「あら? ルーナ・ラブグッドじゃない」
「知ってるの?」
「えぇ。なんて言うか…不思議ちゃん?」
「え?」
ロンは唖然としている。
「ん? 本が逆さまじゃないか…ザ・クィブラー?」
「ゴシップ誌ね」
「へぇー面白い記事でもあるの?」
「ザ・クィブラーって言えば――」
『ちなみにその雑誌の編集者の名前はゼノフィリウス・ラブグッドだよ』
『え? それって』
「どんな雑誌なの?」
「えっと…まぁ…普通の雑誌よね。面白いらしいわ」
「ん?」
ロンは意味も無く首を傾げている。
汽車を下りた後、無事にホグワーツに付くと例年通り歓迎パーティーが執り行われた。
組み分けも終わり、帽子が例年の様に歌い出すが、その歌は例年とは違っていた。
『どういう意味かしら? 今のヴォルデモートの復活と関係あるのかしら?』
『どうだかね? それにしても団結ねぇ…ダンブルドアは生徒を兵隊にでもするつもりかな?』
『だとしたら危険ね』
『転校するかい?』
『状況次第ね』
「なぁ、ハリー…アレって…」
「きっとダンブルドアの事だ。何か策が有るに違いないさ」
ロンとハリーは互いに顔を見合わせ、不安そうにしていた。
その後はパーティーも順調に執り行われ、テーブルには豪華な食事が並んでいた。
多くの生徒が食事を終わらせしばらくすると、ダンブルドアが教壇に上がり、例年通りの演説を始めた。
「さて、皆が食事を楽しんだところで、学年始めのお知らせじゃ。1年生には毎年言って居るが、校庭にある禁じられた森には立ち入ってはならぬぞ…と言ってもあの森の半分以上が焼けて無くなってしまったがな…次は校内での魔法の使用に関してじゃ、廊下などでむやみやたらに魔法を使ってはならぬぞ、その他詳細に関しては、事務所の壁に張り出して居る、後で確認するのじゃ」
ダンブルドアがそう言い終えると、ハリーとロンは互いに鼻で笑った後、「誰が見に行くか」と続けた。
「それと、今年は2名の先生が替わった。魔法生物飼育学にはハグリッド先生の代わりに、プランク先生がお戻りになった。そして、闇の魔術に対する防衛術には新任教授のアンブリッジ先生が担当してくださる」
ダンブルドアがそう紹介すると、大広間に居た生徒全員の動きが止まった。
『え? なにあれ?』
『新手の魔法動物か?』
壇上には、スーツをピンク色に統一した潰れた顔の小太りの女性が居た。
『蛙みたいだ…』
『あんなのが教師か? いやもしかしたら授業内容はまともなのかも知れない…』
多くの生徒が唖然としているがダンブルドアはそんな空気の中話を続けた。
「クィディッチの試合に付いてじゃが――」
「エッヘン、エヘン」
すると女性は、ワザとらしい咳払いをしダンブルドアの言葉を遮った。
その声を聞き、多くの生徒が顔をしかめた。
「校長先生、歓迎のお言葉感謝いたします。ドローレス・アンブリッジですわ」
甲高い声が響き渡る。
『なんだあの声。不愉快極まりないな』
『何かしら…変にイライラするわ…』
「私、ホグワーツに戻ってこれて本当に嬉しいですわ。そして、皆さんの幸せそうな可愛らしいお顔が私を見ていてとても幸せです」
アンブリッジは陶酔状態にあるようで、身振り手振りが大きくなる。
「皆さんと早くお友達になりたいですね。きっと素晴らしい関係になるでしょう…あぁ、楽しみですわ」
言い終えたアンブリッジは私達とハリーを睨み付ける様な視線を送る。
どうやら、警戒されている様だ。
その後、アンブリッジの話が終わり、ダンブルドアは簡単に注意事項を話していった。
ドローレスと聞いて、ドロレスやドリィを思いついた悪い子たちには
おじさまとラダムがお仕置きに行きます。