数週間が過ぎ、クィディッチの試合シーズンになった。
今回の試合はグリフィンドールVSスリザリン。
クィディッチの試合がる為か、会合の回数が減少してきている。
このままでは戦力の低下を招く可能性がある。
しかし、メンバーの興味は、クィディッチに集中している様だ。
試合当日。
大広間で多くの生徒が朝食を取る中、顔を真っ青にしたロンが、ハリーの隣に座っている。
「ロン…大丈夫かい?」
「大丈夫じゃないよ…死んじゃうよ…と言うか死にたい…」
「何を言って居るんだ! ロン大丈夫だって。君は選抜で選ばれたキーパーじゃないか!」
「あぁ…だけど…きっと僕のせいでチームは負けるんだ」
「はぁ…」
ロンは何処か虚ろな表情で虚空を眺めていた。
「おや? おやおや? これはこれは、グリフィンドールの新キーパーのウィーズリー君じゃないか! いや、ディーゼル君だったか?」
「なんだよ! マルフォイ! 何の用だ!」
ロンは不機嫌そうに台を叩く。
「まぁまぁ、そんなに、カリカリするなって。それより見ろよこのバッジ。君の為に作ったんだ。1個上げよう」
「なんだこれ…」
ロンは受け取ったバッジを手に取り眺める。
「『ウィーズリーこそ我が王道』…どういう意味だよ?」
「君の事を尊敬しているんだよ。心からね」
「え? そうなのか?」
「そうさ、だって君ほどの王道ならばゴールポストにゴールを決めるのも容易いだろ」
マルフォイは笑いを堪えながら、ロンの肩を叩く。
「それじゃあな」
マルフォイはそう言うと、入り口の方へと移動していった。
数時間後、クィディッチが開催される。
しかし、私達はハーマイオニーと共に自室に居る。
「クィディッチが始まった様だが、見に行かなくて良いのかい?」
「正直なところ、クィディッチにまったくと言って良いほど興味がないのよ。なに? もしかして、見たいの?」
「まさか。今なら言えるが、あのルール絶対おかしいだろ」
「スニッチだっけ? あれを取ったら一発逆転って辺りが…理解できないわ」
「一発逆転要素って奴だろうね。昔は小鳥を使っていたそうだよ」
「そんなの動物虐待じゃない」
「昔の話しさ」
「はぁ…野蛮ね…」
ハーマイオニーは羊皮紙を前に、会合の予定を練っている。
試合終了までは時間があるので、私達も、調達した銃の手入れを行う。
「バラバラにして弄ってるけど、それって、危なくないの?」
「現在は装弾されていないので問題ありません」
「そうなの。それにしても細かいわね」
1つのパーツを手に取ったハーマイオニーは手に平で遊ばせる。
「これでも少ない方です」
「本当? なんかすごいわね」
ハーマイオニーは恐る恐る、パーツを元の位置へと戻した。
私はパーツを組み立て、整備を終わらせる。
「それで完成?」
「後は装弾するだけです」
「へぇ…」
ハーマイオニーは小型のハンドガンを手に取り、眺めるとテーブルの上へと置く。
「これなんて小さくていいわね」
「女性にも扱いやすいサイズです」
「良いわね。私専用にしようかしら」
「ご希望であれば専用にする為の処理しますがよろしいですか?」
「私専用に? 良いの?」
「問題ありません」
ハーマイオニーから銃を受け取ると、銃にロックを掛ける。
「処理終了です」
「何が変わったの?」
「現在、この銃には貴女のナノマシン情報が登録されています」
「未登録者では引き金は引けません」
「そうなの。ナノマシンはやっぱり、便利ね。他にも何かないかしら?」
「複数種類のグレネードをお渡しします」
「暴発を防ぐ為、常時ロック状態に設定しています」
「解除の権限はトムに一任します」
「まったく、また僕の仕事を増やすのか」
「良いでしょ、他にやる事なんて無いんだから」
「まったく…最近の君達…僕の事を雑に扱いすぎじゃないか?」
「良いじゃない、嫌なの?」
「嫌って訳じゃ無いさ。まぁ、ちゃんとするさ」
「頼んだわよ。後、危ない時はちゃんと守ってね」
「分かったよ。君に死なれちゃ困るからね」
「へぇ。案外心配してくれているのね」
「あぁ、この体じゃまともに移動もできないからな」
「あら、そう」
ハーマイオニーは銃の感触を確かめた後、検知不可能拡大呪文が施されている鞄に銃を仕舞う。
数時間後
クィディッチの試合が終了したのか、談話室が賑やかになる。
談話室へと行くと、そこには頭を抱えたハリーとそれを慰める生徒達の姿があった。
「何があったの?」
「ハーマイオニー! どう言う事だよ! 君! クィディッチの試合を見に来てなかったのか? 僕の初陣だぞ! なんで見てくれなかったんだよ!」
「ごめんなさい。興味が無かったの。それで、ハリーはどうかしたの?」
「興味が無かったって…そんなの! 酷いじゃないか!」
「だから謝ってるでしょ。それより何があったの?」
「もうっ!」
ロンは不機嫌そうに溜息を吐き、ゆっくりと深呼吸を行う。
「実は、さっきの試合で、マルフォイを…ね」
「まさか、半殺しにでもしたの?」
「まぁ…そんなところ…」
「はぁ…まったく…呆れたわ…」
「だって…しょうがないだろ! あいつが馬鹿にするような事を言うから…」
「だからって半殺しにしていい訳じゃ無いわ」
「死んでないんだからいいだろ! それにスリザリンの連中が僕を馬鹿にするような歌まで…」
「歌?」
「そうさ、『ウィーズリーは守れない、万に1つも守れない。だから歌うぞ、スリザリン、ウィーズリーこそ我が王者。ウィーズリーの生まれは豚小屋だ、いつでもクアッフルを見逃した。おかげで我らは大勝利、ウィーズリーこそ我が王者』って…バカにするのも大概にしろって話だよな!」
『ハハハッ。こりゃまた傑作だな』
『そう言う所は上手いのよねスリザリンの人達って』
『そりゃ狡猾だからね』
ロンは不貞腐れる様にソファーに座り込む。
「それに、マルフォイを半殺しにしたことで、アンブリッジからハリーと兄貴達は終身クィディッチ禁止命令を出されちゃうし…」
「それで、あんなに落ち込んでいるのね」
ハリーは暖炉の前で溜息を吐きながら、小声で呟いている。
「僕のせいだ…僕があんな奴を…くそっ…」
「ハリーのせいじゃないぜ、俺達を馬鹿にしたあいつが悪いんだ」
『実際、半殺し何てしたら退学処分だろうがな』
『そうよね、退学にならなくて良かったと思うべきだわ』
『大方、裏であの老害が駄々でも捏ねたんだろ』
『容易に想像できるのが悔しいわ』
クィディッチメンバーがハリーを慰めて居る時、談話室の扉が開かれ、マクゴナガルが入室する。
「先生! ハリーが悪いんじゃないんです!」
「今はその話ではありませんよ。ウィーズリー」
「え?」
ロンは首を傾げる。
「ミス・イーグリット。お二人にお話があります。よろしいですね」
「了解です」
「失礼。席を外します」
「分かったわ」
私達は、談話室を後にし、マクゴナガルに付いて行く。
しばらく歩くと、校長室へと案内される。
校長室にはハグリッドの姿があった。
「おぉ、おめぇさん達か久しぶりだな」
「お久しぶりです」
「お元気そうで何よりです」
「はははっ、体中傷だらけだが、元気だ」
「して、ハグリッド。首尾はどうじゃ?」
「おっと、いけねぇ。はいですだ」
ハグリッドは大笑いしながら、ダンブルドアに向き合うと、報告を始めた。
ハグリッドはダンブルドアの命令により、巨人族との交渉を行っていた様だ。
「えっと…結果から言わせてもらいますと…あまり上手い事は行ってないです。なんでも既に死喰い人が巨人族と接触していて、いくらか賄賂なりなんなりを受け取っているみたいで…」
「そうか、しかし、一体どこから資金が…」
「資金源までは流石に…でも、何人かには話は聞いて貰えました」
「そうか、ご苦労じゃった」
ハグリッドはダンブルドアにゆっくりと頭を下げる。
「して、お主達の会合の方は首尾はどうじゃ?」
「最低限の自衛力を身に付ける為に現在強化中です」
「そうか」
「こちらが、強化に際して発生した経費の詳細です」
私は領収証をダンブルドアに手渡す。
「う…こんなに掛ったのか…それに買った物はマグルの武器じゃと?」
「え?」
マクゴナガルがこちらに視線を向ける。
「マグルの武器なんて何に使うのですか?」
「死喰い人と敵対した際にサブウェポンとして使用するつもりです」
「メンバー全員に必要な時は支給します」
「一体、どんな武器なのです? 第一武器の持ち込みは禁止されている筈です」
マクゴナガルが疑問を上げたので、私は銃を一丁取り出す。
「これは?」
「銃と言う物じゃな。禁制品じゃったな。こんな物一体何の役に立つと言うのじゃ?」
ダンブルドアは詰まらなそうに杖先で銃身を突く。
「魔法使いの戦闘と言うのは、杖に依存しているのが実情です」
「杖があれば問題ないからのぉ。魔法は万能ではないが、マグルの武器よりは万能じゃと思うぞ」
「しかし、杖が奪われた場合は無防備になります」
「その時点で負けじゃ。相手もそれ以上の事はせんじゃろう」
「その時、サブウェポンとして銃を装備して居れば、銃撃により、相手を無力化、もしくは隙を作る事が出来ます」
「その隙に撤退及び生存率が向上すると思われます」
「言って居る事は分かるが、どうも腑に落ちぬのぉ」
「何故ですか?」
「魔法使いの戦いは、決闘の様な物じゃ。つまり相手の杖を奪った時点で勝敗が決まる。お主達のやっている事はその伝統を無視し、決闘を侮辱している」
「「何の問題があるのでしょうか?」」
私達は同時に言葉を発する。
「なに…」
「特別な指令や、状況下でない限り、戦闘において生存し、帰還する事は第一条件です」
「魔法使いの戦いに付いてはそれほど明るくはないですが、銃を使用するのは戦争法などには触れていない筈です」
「それは…そうじゃが…」
ダンブルドアは面食らったように黙り込む。
そんな時、校長室に、鐘の音が鳴り響く。
「そろそろ、夕食の時間ですね」
マクゴナガルはゆっくりと校長室の扉を開く。
「とりあえず、武器関しては校内での使用は禁止します。管理はどうなっているのです?」
「訓練時のみメンバーに配布し、それ以外は我々が管理しています」
「分かりました。管理は徹底してくださいね」
「了解」
「それと、銃の所持については魔法省と学校側は未認可ですから、他の生徒や教員に見られない様に気を付けてくださいね」
「了解」
マクゴナガルの横を抜け、私達は校長室を後にした。
ダンブルドアの老害度が増えると
比例するようにマクゴナガル先生の聖人度が上昇する。
しかたないことです。