ハリー・ポッターと終末の魔法使い   作:サーフ

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恐らく、今がアンブリッジの全盛期。


セストラル

 

   翌日の早朝。

 

 早朝であるにも関わらず、ハリーの心拍数は高く、メンタルコンデションレベルも高位にある。

 

「ロン! ハーマイオニー! 早く早く!」

 

「分かってるわよ」

 

「ちょっと待てよハリー」

 

「待てないよ! あぁ、君達。今暇?」

 

 談話室に居ると、ハリーが声を掛けて来る。

 

「現在予定は有りません」

 

「そうなんだ、これからハグリッドに会いに行くんだ! 一緒に行こうよ」

 

 私達はハーマイオニーの方に視線を向ける。

 

 すると、ゆっくりと頷く。

 

『来てくれると嬉しいわ』

 

「良いでしょう」

 

「同行します」

 

「やった! さぁ! 行こう!」

 

 ハリーは勢い良く談話室の扉を開けると、勇み足でハグリッドの小屋へと移動した。

 

 私達が小屋に付くと。傷だらけのハグリッドが調子悪そうにしながら、椅子に腰かけていた。

 

 

 

 その姿を見た途端、ハーマイオニーが悲鳴を上げた。

 

 

 

「ハグリッド! その傷どうしたのよ!」

 

 

 

「いやぁ何でもねぇんだ。それより茶でも飲むか? いやぁ…しばらく留守にしてたからな…どこに何があったか忘れちまったぁ」

 

 

 

 

 

 ハグリッドは体を引きずるように立ち上がる。

 

『あの木偶の坊でも怪我するんだな』

 

『何があったのかしら?』

 

『ダンブルドアの命令により、巨人族と接触していたという情報があります』

 

『なるほど、巨人族と喧嘩でもしたな』

 

『喧嘩って言うレベルなのかしら?』

 

 

 

「なんでも無いはずないぞ! どうしたんだその傷? 誰かに襲われたんだろ?」

 

「大丈夫だ。気にせんでくれ」 

 

 ロンがハグリッドに追求するが、それは適当に流された。

 

 

 

 その後、紅茶が入ったのか、ハグリッドが人数分のティーカップを用意した時、小屋の外から、ザクザクと雪を踏みしめる様な足音が聞こえてきた。

 

 

「生体反応接近中」

 

「ドローレス・アンブリッジだと思われます」

 

「え?」

 

 ハーマイオニーは少し窓から顔を出すと、外の様子を窺っている。

 

「本当だわ! アンブリッジよ」

 

「え?」

 

「まじかよ!」

 

「本当よ。変な歩き方でこっち来てるわ」

 

『これはまた、無様だね』

 

『脚が短いのかしら?』

 

 ハリーとロンも窓から外を覗き込む。

 

「アンブリッジじゃん!」

 

 

 

「どうする…」

 

 

 

「とりあえず、隠れなきゃ!」

 

 

 

 3人はき身を寄せ合いながら、窮屈そうに透明マントの中に隠れた。

 

「ごめん、やっぱりこのマントじゃ3人までしか」

 

「問題ありません」

 

「ステルスシステム起動」

 

 ステルスシステムを起動し、私達は背景と同化する。

 

「どうなってるんだ?」

 

 ハグリッドは不思議そうにこちらを見ている。

 

「お気にせずに」

 

「間もなく到着します」

 

 間を置く事無く、ドンドンと乱暴に小屋のドアがノックされる。

 

 

 

「そんなに乱暴に叩かんでも、わかっちょる」

 

 

 

 ハグリッドは嫌そうな顔で扉を開けると、そこには、嫌そうな顔をしたアンブリッジが顔を見上げていた。

 

 

 

「えーっと…貴方がハグリッドね」

 

 

 

 アンブリッジは甲高い声でゆっくりとはハグリッドに話しかけている。

 

「そうですだ」

 

 ハグリッドが返事をする前に、ズカズカと大股で小屋の中へと入って来た。

 

 

「ふーん…ここに住んでるの?」

 

「そうです」

 

「冗談でしょ? こんな物置小屋みたいなところで?」

 

『物置小屋には賛同するね』

 

『まぁ、あまり人が住む場所じゃ無いわね』

 

「それより何の御用ですだ? えー…」

 

 

 

「私はドローレス・アンブリッジです」

 

 

 

 アンブリッジは食い気味に答えると、ハグリッドは数回頷いた。

 

 

 

「えー、ドローレス・アンブリッジ……確か魔法省の人だったと思うが…そんな人が一体何の御用で?」

 

 

 

「今は、ホグワーツ高等尋問官です」

 

 

 

「高等尋問官? そりゃ何ですかい?」

 

 

 

 ハグリッドは高等審問官と言う役職を聞き、顔をしかめている。

 

「私としては何故、貴方が今まで居なかったのかが気になりますけどね」

 

 

「あー…そりゃぁ…あれです。健康上の理由で休んでいたんで」

 

「健康上の?」

 

 

 

「えぇ、こんな傷を負ってしまいましてね…最近やっと、動けるようになるまでに回復したんで、戻って来た訳です」

 

 

 

 ハグリッドはそう言うと、袖を捲り、傷口をアンブリッジに見せている。

 

「なるほど…そうですか」

 

 アンブリッジは傷口を見た後、首を数回横に振り、小屋の扉に手を掛ける。

 

 

「貴方が遅れて来た事は、大臣に報告させていただきます」

 

 

 

「わかった」

 

 

 

「それと、高等尋問官として残念ながら私は同僚の先生方を査察するという義務があるということを認識していただきましょう。ですから、近いうちにまた貴方にお会いすることになると申し上げておきます」

 

 

 

「お前さんが、俺達を視察?」

 

 

 

「えぇ、その通りです。魔法省としては教師として不適切な者には退職していただくつもりですので、お覚悟を。では失礼しますよ」

 

 

 

 張り付いた様な笑みを浮かべたアンブリッジはゆっくりと扉を開けると、外へと出ていった。

 

 

 

 アンブリッジが去ってからしばらくすると、隠れていたハリー達が姿を現した。

 

 

 

「査察? あんな奴が?」

 

 

 

 ハグリッドは驚いた表情で疑問を投げかけている。

 

 

 

「そうなんだよ。もう殆どの先生が受けているんだ」

 

 

 

「なんてこった」

 

 

 

 ハグリッドは頭を抱えて、溜息をついている。

 

 

 

 

 

「しょうがないさ。ところでハグリッドはどんな授業を教えてくれるの?」

 

 

 

 ハリーは期待に満ちた表情で聞くと、ハグリッドは嬉しそうな表情でその言葉に答えた。

 

 

 

「今年はふくろう試験もあるからな、かなり特別な連中を連れてきてやったぜ」

 

 

 

「それって…どんなふうに特別なの?」

 

 

 

 ハーマイオニーが恐る恐る聞くが、ハグリッドはただ一言、嬉しそうに「秘密だ」と答えた。

 

『どうせ碌なモノじゃ無いだろう』

 

『まぁ…そうよね』

 

『下手すれば、死人が出るかもね』

 

「ねぇハグリッド。アンブリッジは危険な生物を連れてきたら、きっとそれを理由に、事態を悪化させるはずよ」

 

「危険? 馬鹿言うでねぇぞハーマイオニー。お前さん達に危険なもんなんぞ連れて来たりはせん」

 

『馬鹿な事を言っているのはお前だ木偶の坊』

 

『なんだか、不安だわ』

 

『これは、流石に視察で、クビにされた方が良い』

 

「楽しみだよ!」

 

 ハリーは嬉しそうな表情でハグリッドに告げると、ハグリッドは照れているのか、頭を掻いている。

 

  数日後、日刊予言者新聞の一面を見た多くの生徒が驚愕していた。

 

 

 

 そこには、『アズカバンからの集団脱獄』の文字が書かれていた。

 

 

 

「ここまでくれば、僕達やダンブルドアが嘘を言って居ないって事が分かるはずなんだけどな…」

 

 

 

「今の大臣は、この状況を信じたくないんだろう」

 

 

 

 ハリーは深刻そうに言うと、ロンは大臣を小ばかにしたかのように笑っていた。

 

 

 

「でもおかしいわよ、普通ここまで大事になれば気が付くはずよ」

 

「魔法省内部に死喰い人が潜入していると考えるのが妥当です」

 

「え?」

 

「どう言う事?」

 

「推測ですが、魔法省の役員や官僚クラスが死喰い人、もしくはその関係者と考えれば、アズカバンの集団脱獄なども簡単に行われたのかと思われます」

 

「それは、考えて無かったな…」

 

「魔法省にまで…どうしたら良いの…」

 

 ハーマイオニーは不安そうに呟く。

 

 ハリーがおもむろに立ち上がった。

 

 

 

「やっぱり僕達は間違ってなかったんだ! こうなったらもっと頑張って身を守れるようにしなきゃ!」

 

 

 

「そうだぜ!」

 

 

 

 ハリーの宣言にハーマイオニーとロンも大きく頷いている。

 

 

 

 

 

「でも…そうなると、やっぱりアンブリッジが邪魔だね…どうにかならないかな?」

 

 

 

 ハリーは首をかしげながら、考えを巡らせている。

 

 

 

「そうだな…毒でも盛るか」

 

「暗殺ですか?」

 

「あーそれそれ。君達出来る?」

 

「可能です」

 

「マジかよ!」

 

 ロンは驚いた表情をしている。

 

「冗談辞めてよ」

 

『まぁ、貴方達なら冗談じゃないんだろうけど』

 

『必要とあれば、暗殺も選択肢に入れます』

 

『今の所は殺さない方向で行きましょう』

 

『了解』

 

『ちなみに、どうするつもり?』

 

『事故死、もしくは失踪に見せかけ死体を消滅させます』

 

『おぉ、怖い怖い』

 

『まぁ、それは最後の手段という事で』

 

「取り敢えず、アンブリッジに関しては、バレない様に会合を開く。それしかないよ」

 

「そうだな」

 

 ロンは分かり易く、首を縦に大きく振っている。

 

 

  数日後、今学期に入って初めてのハグリッドの授業が行われた。

 

 今回も授業はスリザリンと合同な様で、スリザリンとグリフィンドールは別々のグループに別れながら、不穏な空気の中、森の奥へと進んでいった。

 

『毎回思うんだが、なんでダンブルドアはスリザリンとグリフィンドールを合同授業にするんだろうな』

 

『確かにそうよね。ハッフルパフやレイブンクローとかでも良いと思うわ』

 

『いっその事4寮合同とかの方が良いんじゃないか?』

 

『その方が時間も短縮されて良いと思うわ』

 

「まったく、この僕を態々こんな所にまで連れて来るなんて、あの野蛮人は一体何を考えているんだ」

 

 マルフォイがいつもの取り巻きを引き連れて、周囲を警戒しながら歩いている。

 

「もうちょっとだからまっちょれ」

 

「はぁ…やれやれ…」

 

 マルフォイは溜息を吐きながら首を左右に振っている。

 

「さぁ! 到着だ!」

 

「やっと着いたか。で? どこに何が居るって?」

 

 マルフォイは分かり易く周囲を見回している。

 

 前方に特殊なエネルギーフィールドにより、視覚化されていない生命反応を検知した。

 

 魔法界特有の特殊な波長を持ち合わせている。

 

「あそこに居るのが、セストラルだ。きっと魔法界でアイツ等を飼いならせているのは俺だけだろうな」

 

 ハグリッドはエネルギーフィールドに覆われた生命反応に指を差している。

 

「何が見えるのかしら?」

 

『セストラルだな』

 

『セストラルってあの?』

 

 トムに対しハーマイオニーは疑問を投げかける。

 

『そうさ。もうじきあの木偶の坊から説明があるはずだ。仮にも教師だからな』

 

「よーし。こいつらが見える奴は居るか?」

 

 

 ハグリッドがそう言うと、スリザリンから数名と、ハリーとネビルが手を上げている。

 

「よし、そんじゃ知っとる者はいるか? どうして見える者と見えない者がおるのか」

 

 ハーマイオニーは真っ直ぐ手を上げる。

 

「おぉ、ハーマイオニーか。じゃあ答えてくれ」

 

 ハグリッドが微笑みかけると、ハーマイオニーが答え始めた。

 

 

 

「セストラルを見ることができるのは……死を見たことがある者だけです」

 

 

 

「その通りだ。グリフィンドールに10点やろう」

 

『それにしても、セストラルを授業に使う何て、何考えてんだか』

 

『ハグリッドらしいと思うわ。それにしてもセストラルってどんな見た目なのかしら?』

 

『見てみたいのかい?』

 

『興味あるわ』

 

『そうか。なら見せてあげよう』

 

『え? 本当? どうやるの?』

 

『僕の指示に従うんだ。まずは杖を出して』

 

 ハーマイオニーは周囲の生徒にバレない様に杖を取り出す。

 

『杖を出したわよ』

 

『次に、杖を構えて適当な奴に向ける』

 

 ハーマイオニーは手首の角度を上げ、ロンに杖を向ける。

 

『次は?』

 

『呪文を唱える』

 

『どんな呪文?』

 

『簡単な呪文さ。アバダケダブラ』

 

 

「アバ…んっん」

 

 呪文を中断した後ハーマイオニーは咳払いをし、杖を仕舞う。

 

「ハーマイオニーどうかした?」

 

「別になんでも無いわ」

 

「ん? 変なハーマイオニー」

 

『おしい。もう少しでセストラルが見えたのに』

 

『一体どういうつもりかしら?』

 

『セストラルを見たかったんだろ?』

 

『そうだけど?』

 

『セストラルを見る為には死を見る必要がある。ならさっきの呪文で簡単に死を見れて、他の生徒もセストラルを見る事が出来たじゃないか』

 

『私をアズカバンに送り込むつもりかしら?』

 

『いやぁ、実に惜しかったよ』

 

 ハグリッドセストラルに近寄ると、説明を開始する。

 

「さて…セストラルっちゅうのはだなぁ」

 

 

「エッヘン。エヘン」

 

 独特な咳払いをしながら、アンブリッジが接近してくる。

 

「チッ」

 

「ハーマイオニー! 今舌打ちした?」

 

「え? 気のせいよ」

 

「気のせいじゃないと思うんだが…」

 

 ロンは困惑した表情で不機嫌なハーマイオニーを見据える。

 

 「今朝、貴方の小屋に送ったメモに目は通していただけましたか? それ以前にも字は読めるのですか?」

 

 

 

 アンブリッジは眉をひそめながら、不機嫌そうに言う。

 

「あぁ、わかっちょる。だからこうして今日はセストラルの授業をやっている」

 

 

 

「え? なんですって?」

 

 アンブリッジは耳に手を当てハグリッドを挑発するような態度を取っている。

 

「セ・ス・ト・ラ・ル! だ!!」

 

 ハグリッドは一音ずつ区切り大声で叫ぶ

 

「そんな大声を上げなくても聞こえます! まったく! えーっと…原始的なコミュニケーションを好み…一般的な常識は無い…っと」

 

 アンブリッジは手元の羊皮紙に何やら書き込んでいる。

 

「はぁ…まぁいい。どこまでやった?」

 

 

 

 ハグリッドは生徒達の方に振り返りながら呟いた。

 

 

 

「記憶力が低い…と…」

 

 

 

 アンブリッジは再び何かを呟きながら書き込んでいる。

 

 

 

「お邪魔しましたね。では授業を普段通り続けてください。私は歩いて見て回ります」

 

 

 

 アンブリッジはそう言うと、その場を後にした。

 

『まったく! 何なのかしらアレ!』

 

『嫌味を言いに来たんだろう』

 

『他にやる事が無いのかしら?』

 

『さぁね。暇なんだろう』

 

『はぁ…ホグワーツはどうなっちゃうのかしら…』

 

 ハーマイオニーは遠ざかるアンブリッジの背中を睨み付けながら溜息を吐いた。

 




ハーマイオニーはセストラルを見る事が出来ませんでした。

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