今回は日常回です。
12月に入り、会合を重ねる事で全体の戦力レベルが上昇する。
しかし、未だに訓練された敵部隊を相手取るには不安が残るレベルだ。
「今回はどうするの?」
全員が集まりハリーが疑問を口にする。
「今回は、全体の戦闘レベルを考慮し、新たな武装を支給します」
私はベクタートラップ内から弾薬箱を取り出しテーブルの上に置く。
その中から、スモークグレネードとスタングレネードを取り出す。
「説明を行います。こちらがスモークグレネード。煙幕により敵の視界を遮ります。風などにより無力化される恐れもありますが、一瞬とは言え身を隠す事が出来るでしょう。続いてこちらがスタングレネードです。起爆すると同時に170-180デシベルの爆発音と15mの範囲で100万カンデラ以上の閃光を放ち対象の視覚と聴覚を麻痺させ気を失わせることが可能です。注意点として使用の際は目と耳を保護してください」
「えっと…つまり、今日はこれを使うって事?」
「あくまでも訓練ですが、一通りの使い方をマスターしていただきます」
私達は使い方を指導し、全員が使い方を理解したようだ。
「へぇ、こんなボールみたいなのがねぇ」
ロンは手元でスタングレネードを投げて遊ばせており、ハリーは引き攣った表情でそれを見ていた。
数日後の夜。
消灯時間を過ぎ、深夜3時頃、私達の部屋の扉の前に生体反応を検知する。
私とデルフィは音を立てずに武装を展開し、制服に服装を変え、扉の前に待機する。
『開放します』
デルフィが扉を開き私が扉の前の人物に対しビームガンを突き付ける。
「ヒッ!」
目の前の人物、マクゴナガルは小さな悲鳴を上げる。
「ご用件は何でしょう?」
「オホン…不死鳥の騎士団に関する事です。とりあえず武器を下ろしなさい」
私達は武装を解除する。
「うーう…まだ眠いわ…何があったの?」
ハーマイオニーが目を覚ましたようで、髪を手で掻き上げながらこちらに接近する。
「え? マクゴナガル先生? こんな時間にどうしたんですか?」
「不死鳥の騎士団の事で…いえ、この際だからお話しします」
マクゴナガルは一度咳払いをする。
「アーサー・ウィーズリーが何者かによって襲われたようです。詳細は校長室で話します。ミス・グレンジャー。貴女も同行しますか?」
「え? えっと…」
『行っても良いんじゃないか? ダンブルドアの間抜けな姿を拝みたいね』
『まったく…まぁ良いわ』
「着替えたらすぐ行きます」
「分かりました」
数分後、扉の前で待っていると、着替えを済ませタブレット端末を小脇に抱えたハーマイオニーが現れる。
「それでは行きますよ」
私達はマクゴナガルの後に続き、校長室へと移動した。
校長室に入ると、そこには疲れ切った表情のハリーとロンの姿があった。
「ハーマイオニー。それに君達も来たのか?」
「えぇ」
「先程、神秘部で任務に当たっていたアーサーが、何者かに襲われたようじゃ。今、エバラードとディリスが確認に向かっておる所じゃ」
「ダンブルドア!! ダンブルドア!!」
突如、校長室に飾られている肖像画の一つから声が響いた。
「誰かが駆けつけてくるまで叫び続けましたよ。みんな半信半疑で、確かめるように降りてきましたよ。下の階に私の肖像画はないので、確認には行けなかったのですが…ともかく、みんながその男を運び出してきましたね。症状は良くない。血だらけだった」
「ご苦労じゃった。おそらく、ディリスがその男の到着を見届けるじゃろう」
報告を聞いたダンブルドアは静かにそう言うと、別の肖像画から声が聞こえてきた。
「えぇ、先程の男ですが、皆に連れられて聖マンゴに運び込まれました…が…酷い状況の様です」
「そうか…ご苦労」
ダンブルドアは溜息を吐いた後、マクゴナガルの方を見た。
「ミネルバ、他のウィーズリー家の子供たちを起してやってくれ」
「かしこまりました…」
マクゴナガルは一礼すると、そのまま校長室から出ていった。
ロンのメンタルコンデションレベルは最低レベルで、精神に異常が出てもおかしくない。
「こちらを」
「何これ?」
「精神安定剤です。気分が落ち着くはずです」
「うん、ありがとう…」
精神安定剤を受け取ったロンは、服薬し一呼吸置く。
緩やかにだが、メンタルコンデションレベルが落ち着きを取り戻す。
ダンブルドアは棚から古めかしいポットを取り出した。
「ポータス」
ダンブルドアが杖を振ると、ポットから青白い光があふれ出した。
「ポートキーじゃ。まぁ、無許可で作るのは違法じゃが…今回は仕方あるまい。これはシリウスの元まで繋がっておる」
「わかりました」
ハリーはダンブルドアの目を見ながら、数回頷いた。だが、ダンブルドアは目を逸らそうとしている様だった。
ダンブルドアは壁に掛かっている肖像画に歩み寄ると、声をかけ始めた。
「フィニアス。フィニアス! 起きておるじゃろ」
「ん…何の用かね?」
肖像画の中の人物は、嫌そうに眼を擦りながら、ダンブルドアの方を見えてる。
「別の肖像画に行って、伝言を頼まれて欲しいのじゃ」
「なるほど…分かりましたよ。向こうにあればの話ですがね。なんせあの家族は…」
「シリウスはそこまで愚かではない。では伝言じゃ『アーサーが重傷で、妻、子供たち、ハリー、が間もなくそちらに到着する』とな。ハーマイオニー。君も行ってくれるか?」
「えっと…」
ハーマイオニーがこちらに視線を向ける。
「エイダとデルフィも一緒なら…」
「う…む…そうか。分かった。二人とも同行してくれるか?」
「ご命令とあらば」
「では頼むぞ」
「了解です」
「死喰い人が現れるかもしれぬ。その時は頼むぞ」
「了解」
デルフィがウアスロッドを構える。
「程々にの」
「善処はします」
「はぁ…聞いておったの。3人追加じゃ」
「わかった。伝えよう」
肖像画の人物はそう言うと、肖像画の奥へと消えていった。
しばらくすると、校長室の扉がノックされ、ウィーズリー家の面々がパジャマ姿で入ってくる
その後ろにはマクゴナガの姿があった。
「君等のお父上は不死鳥の騎士団の任務中に怪我をなさった。お父上は聖マンゴ魔法疾患傷害病院に運び込まれておる。今から君達をシリウスの家に送ることにした。病院へはその方が隠れ穴よりも便利じゃからの。お母上とは向こうで会えるじゃろう」
「どうやって行くんですか? 煙突飛行?」
ジニーが首を傾げる。
「いや、煙突飛行は監視されておる。ポートキーで行くのじゃ」
ダンブルドアは机の上にあるポットに指を差した。
「早くした方が良いじゃろう」
ダンブルドアがそう言うと同時に、私達はポットに手を掛けた
「では行くのじゃ」
ダンブルドアが杖を振ると同時に、ポートキーが発動し、私達の体はブラック邸へと転移した。
ブラック邸に到着すると同時に、シリウスがハリーに駆け寄った。
「ハリー! 何があったんだ!」
ハリーはその場で、少しずつ話し始めた。
「えっと、僕夢を見たんだ」
「夢?」
「アーサーおじさんが蛇に襲われているところを…その、襲っている視点で」
「なに?」
「それで、ダンブルドア先生に言って…それから…」
「わかった。とりあえず言いたい事は分かったよ」
「ところで、ママはもう来てるの?」
ロンがシリウスに聞く。
「まだだ。恐らく何が起こったかさえ知らないだろう。今頃ダンブルドアから連絡を受けている筈さ」
「聖マンゴへ行かなきゃ…」
ロンがそう呟いたが、シリウスは首を横に振った。
「待つんだ今日の所は大人しくしておいた方が良い。また後日向かおう」
「でも…」
「駄目だ。今は我慢するんだ」
「でも…」
「モリーと合流してからの方が良い」
「うん、わかったよ」
シリウスの言葉に納得したようにウィーズリー兄妹は頷いている。
「とりあえず今日は休むんだ。いいね」
シリウスがそう言うと、ハリー達は寝室へと移動していった。
ハーマイオニーも来客用の寝室へと移動した。
「君達も眠ると良い」
「いえ、護衛任務がありますので?」
「護衛? 一体何の?」
「ダンブルドアより、死喰い人の襲撃に備え護衛するようにと」
「周辺3キロ圏内に敵対すると思われる反応は有りません」
「なるほどね。見張りなら私がやろう」
「御構い無く」
「だが」
「我々は休眠を必要とはしていません」
シリウスは不思議そうに首を傾げる。
「そ、そうか? なら私は少し眠らせてもらうよ」
「ごゆるりと」
シリウスはソファーに横になると、数分後には規則的な寝息を立て始める。
朝日が上り、周囲が明るくなり始めた頃、1つの生体反応を検知する。
私とデルフィは武装を構え、扉を開ける。
「え?」
扉の前には、ロンの母親のモリーが立っていた。
「貴女達は…」
「おはようございます」
「え、えぇおはよう」
モリーは少し困惑しつつ、扉をくぐる。
「誰か来たのか?」
「シリウス…」
「モリーか。アーサーはどんな具合だ?」
「命に別条は無いわ。今は眠ってるはず」
「そうか」
シリウスは胸を撫で下ろしている。
「子供達を見てくれたのね。ありがとう」
「なぁに、これくらい」
「助かったわ。それより朝食はまだよね」
「あぁ」
「じゃあ、朝食を作るわね」
モリーはそう言うと、厨房へと移動した。
数十分後、朝食の香りが満たす。
その香りに釣られる様に、ハリー達が目を覚ましたようで、
「ママ!」
ロンが声を上げると、ジニーは母親に抱き着いている。
「パパは?」
「大丈夫よ。今は眠っているわ。後で面会に行きましょう」
「よかった…」
ロンは胸を撫で下ろしている。
「さぁ、朝食が出来たわ。皆食べましょう」
「うん」
「そうだね、僕お腹すいちゃったよ!」
ロンはテーブルに付くと、朝食にがっついている。
「ねぇ、シリウス…」
「ん? どうした? モリー?」
「もしかしたら、入院が長引くかもしれないの…その間…」
「あぁ、こんな家でよければ自由に使てくれ」
「助かるわ。もしかしたらクリスマスはここで過ごすかもしれないわ」
「大勢の方が楽しい。大歓迎さ」
シリウスは嬉しそうに答えると。ハリー達はにこやかに微笑んでいる。
その後、ダンブルドアから着替えが入ったトランクが届けられ。皆服を着替えた。
「それじゃあ、お見舞いに行きましょう」
「あぁ、だが、どうやって行く? 煙突飛行は監視されているんだろ?」
「そうなのよね。歩いて移動するしかないわね」
「まぁ、そうだな」
「えー」
ロンを始めとした子供たちが不満の声を上げる。
「そうは言ってもな…」
シリウスはふとこちらに視線を向ける。
「そうだ。車があるじゃないか」
「え? 車?」
ハーマイオニーは首を傾げる。
「あぁ、確かにあったね」
対照的にハリーは数回頷いている。
「あの車なら、全員乗れるんじゃないか?」
「積載人数に関しては問題ありません」
「そうか」
シリウスは嬉しそうに頷いている。
「え? 状況が分からないのだけど」
「私も」
ハーマイオニーとモリーは唖然として居た。
「車を用意します。全員外へ」
私の指示に従い、全員が外へと出る。
「車なんて無いわよ」
「ベクタートラップ開放」
私はベクタートラップ内に収納していたマイクロバスを取り出す。
「凄いわね。これなら全員乗れそうね」
「問題ありません」
デルフィが運転席へと移動し、私は助手席へと移動する。
「エンジン始動」
エンジンを始動させると、周囲にマイクロバス特有の低いエンジン音が響く。
「うぉ!」
「パパの車よりすごい!」
ウィーズリー家の面々はテンションが上がったようで、マイクロバスに乗り込む。
「ねぇ、デルフィ?」
「何でしょう?」
「運転できるの?」
「問題ありません」
「免許証は?」
「問題ありません」
「持ってないのね。まぁ持ってたらおかしいけど」
「運転に関しては問題ありませんのでご心配なく」
「はぁ…分かったわ」
ハーマイオニーも乗車する。
「シートベルトを着用してください」
私がそう言うと、ハーマイオニーとハリーがウィーズリー家の面々にシートベルトの着用方法を教え、全員がシートベルトを着用する。
「では移動を開始します」
デルフィがアクセルを踏み込み、エンジンの回転数が上がる。
「うぉお!」
「動いてる!」
「結構早いのね」
「すごい!」
車に乗り慣れていないのか、後方では子供たちがはしゃいでいる。
シリウスの案内に従い、数十分程車を走らせ、パージ・アンド・ダウズ商会と書かれたレンガ造りの大きなデパートの前まで来た。
「ここだな」
シリウスとウィーズリー家の面々、ハリー、ハーマイオニーが下車する。
「これから、アーサーを見舞うが、君達はどうする?」
「車を人気の無い場所にまで移動させます」
「面会終了後、下車位置へと迎えに行きます」
「そうか。わかった」
そう言うと、彼等はショウウィンドウの前まで移動していった。
「では行きましょう」
私達は人気の無い場所へと車を移動させ、連絡が入るのを待った。
数時間程車内で待機していると、ハーマイオニーから通信が入る。
『今終わったわ。これから出るわ』
『了解です』
『手前に車を付けます』
車を移動させると、ハーマイオニーがデパートの前に待機していた。
「お待たせしました」
「ありがとう」
モリーが一礼した後、全員が車へと乗り込んだ。
「発進します」
車を発進させる。
「そう言えば、もうクリスマス休みに入ってるんじゃないの?」
「そう言えばそうだね」
「でしたら、ご自宅へお送りします」
「いいの?」
「構いません」
「じゃあお願い」
「あっ、僕達はシリウスの家が良いかな」
ハリーがそう言うとウィーズリー家の全員が頷く。
「了解です」
行き先をホグワーツからシリウスの自宅へと変更する。
シリウスの自宅へ到着後、ハーマイオニーと私達以外が下車する。
「あれ? ハーマイオニー? 降りないの?」
「え? 私はそうね。1度家へ帰ろうかしら」
「そうなんだ」
ロンは何処と無く悲し気な表情をした後、シリウスの自宅へと戻った。
「では、発車します」
悲しそうな表情のロンを後にした後、ハーマイオニーを自宅へと送った後、私達は自宅へと帰還した。
ロン達は…今は平和ですが…
最終章で…