数日後
魔法省は今まで否認していたヴォルデモートの復活を認めた様だ。
翌日の日刊予言者新聞の一面には【名前を呼んではいけないあの人、復活する!!】という見出しで大臣が会見する様子が写真で映し出された板。
「なんか、ありきたりな記事ね」
自室のベッドサイドに腰を掛けながらハーマイオニーは新聞に目を通していた。
「それにしても、復活ねぇ…貴方はどう思っているの?」
「別段これと言っては無いかな。強いて言えばさっさとダンブルドアを倒して欲しいと思うよ」
「いっその事共倒れならいいのに…」
「ある意味理想的だな。最近君もあの老害についての見方が変わったようだな」
「まぁ、前回DAの一件でね…少し呆れちゃったわ」
「そう言えば、あの老害は校長に復職したんだろ?」
「そうなのよ。なんか来年も一波乱ありそうだわ」
ハーマイオニーは呆れながら新聞をベッドへと放り投げる。
「ふぅ…今年も色々あったわね。そう言えばシリウスは今、聖マンゴで入院しているらしいわ」
「そうなのですか」
「まぁ、一命は取り留めた様よ。今度ハリー達といお見舞いに行くの。貴女達もどう?」
「遠慮させていただきます」
「そう。そう言えばシリウスの隣の部屋に誰が居るか知ってる?」
「見当が付きません」
「実はね。アンブリッジなのよ。どうやら弾丸が頭に入り込んだせいで植物状態らしいわ。魔法省への復職はダメそうね」
「そうかい。良い事をしたな」
「まだ少し罪悪感があるわ」
「やらなきゃこっちがやられていたんだ。仕方ないさ」
「そうね。魔法省に呼び出されたときはびっくりしたけど」
「この前の事情聴取でも無罪が認められたんだろ?」
「まぁね…そう言えば…」
ハーマイオニーはポケットから逆転時計を取り出す。
「あの時、ポケットに入れたまま持ってきちゃったのよ…どうしよう?」
「持って居たらいいんじゃないか? 神秘部は壊滅状態で、逆転時計だってそれが最後の1個だろう」
「そんな大事な物…返した方が良いんじゃないかしら?」
「返してもいいが、持っていることが分かったら、盗んだと思われてあらぬ疑いを掛けられるぞ。それでもいいなら返してきな」
「……やっぱりやめておくわ。うん。それがいいわ」
「賢明な判断だ。持っていたらいざってときに役立つかもしれないぞ」
「そうね…それにしても…私が借りてたやつより…良い奴みたいね」
「そりゃ、神秘部にあった物だからな。話によれば、数百年単位のもあるらしいぞ」
「うわぁ…」
その時、校内に鐘が鳴り響く。
「そろそろ出ましょう。汽車が出ちゃうわ」
「了解」
ハーマイオニーは逆転時計をポケットに仕舞い。私達は荷物をまとめホグワーツ駅へと移動した。
今年もまた1年が過ぎた。
ワシは自室からホグワーツ駅を見下ろす。
帰宅する生徒達の背中を見送り、ふと一息つく。
先日の事だが、ついにヴォルデモートの復活が日刊予言者新聞に乗ってしまった。
これにより、魔法界は恐怖に陥り、奴らの活動も活発になるかも知れない。
「ふぅ…」
2回ほど校長室の扉がノックされる。
「入るが良い」
「失礼します」
セブルスが一礼後入室する。
「ご所望の資料です」
「ご苦労」
ワシは先日行われたハーマイオニー・グレンジャーの事情聴取の詳細を取り寄せた。
彼女に課せられた罪状は、マグルの武器の持ち込み、及び、ドローレス・アンブリッジに対する使用についてだった。
しかし、多くの人物が、アンブリッジ本人が自身で持ち込み、自身を撃ち抜いた事を見ていた。
複数人のアンブリッジ親衛隊のメンバーはハーマイオニー・グレンジャーが持ち込んだと言っていた様だが、状況証拠などに鑑みて彼女に対しては無罪が言い渡された様だ。
正直、ワシとしてはハーマイオニー・グレンジャーが武器を使用したと思っている。
持ち込んだのはイーグリット姉妹だろう。
「それと、こちらがもう一つの資料です」
もう一つの資料を受け取り目を通す。
この資料は、ヴォルデモートが召喚したゴーレムの詳細な分析を行った資料だった。
「これは…」
「魔法省にあった建材の成分もありますが、その殆どが分析不明な成分でした」
「なんじゃと…」
「ゴーレムの損傷が酷く、これ以上の解析はできませんでした。しかしこれほどまでに損傷させるには並の魔法では不可能と言う結果が出ました」
「しかし、ワシは彼女達がゴーレムを破壊するのを目にしたぞ…それも簡単に」
「それほどまでに彼女達の持つ力は凄まじいという事ですな」
セブルスは淡々の語る。
彼女達の危険性を理解していない訳では無かろうに。
「そういえばのぉ、セブルスよ」
「なんですかな」
「シリウスは一命を取り留めた様じゃ」
「…左様で」
「ハリー達の話しでは、シリウスはアーチを潜ったそうじゃ」
「アーチを…」
「左様。その時、彼女達…イーグリット姉妹もアーチに飛び込み、シリウスを救出したそうじゃ」
「……」
「シリウスは全身の骨を折る重傷じゃ。しかし彼女達は無傷で戻って来た…これはどういう意味かの?」
「吾輩には…わかりかねますなぁ…彼女達に直接聞いたらいかがかな?」
「奴等が答える訳なかろう」
沈黙が10秒ほど流れる。
「実はの。留守にした間に、ワシなりに少し彼女達に付いて調べてみたんじゃ」
「左様で」
「彼女達の出生の秘密についてな」
「ほぉ…」
「ワシはマグル役所を訪れ彼女達の両親に付いて調べた。名前は申告にある通りで問題は無かったのじゃが、念には念をという事で受理した役員の家に赴き記憶を覗き見たのじゃよ」
「結果は?」
ワシは首を横に振る。
「実はの。彼女達に関する記憶だけが綺麗に消えていたのじゃ」
「記憶が?」
「恐らくじゃがオブリビエイトされたのじゃろう。それもかなりの使い手にな。記憶を消されていたという事すらあやふやな状況じゃった」
「一体…誰が何の為に…」
「わからん…」
再び重い沈黙が流れる。
「もう良い。下がって良いぞ」
「失礼を」
セブルスは一礼し、その場を後にした。
「はぁ…」
今日に入って何度目かになる溜息を吐きながら、ワシはポケットから黒い石が嵌められた指輪を取り出した。
マールヴォロの指輪
トムの祖父である、マールヴォロ・ゴードンが所有していたという指輪だ。
これが、ヴォルデモートの分霊箱の1つだ。
これを探すためにワシはホグワーツを離れたと言っても過言ではない。
そして、この指輪に嵌められている石が、『蘇りの石』だ。
これがあれば…
しかし、この指輪を付ければとてつもない呪いを受けるだろう。
下手すれば死んでしまうかもしれない…
しかし…
ワシは震える手で、指輪を掴んだ。
ダンブルドアはどうなってしまうのか!
どうでもいいや