やっぱり、どうやっても謎のプリンス編は短くなりますね。
ホラス・スラグホーン
ヴォルデモートの復活が大々的に世間に知れ渡ってから数週間が過ぎた。
この数週間の間に、死喰い人によって行われた犯行は数多く、多くの民間人が連れ去られた他に、オリバンダーの店が襲撃を受けた様だ。
この影響はマグル界にも広がっており、死喰い人による犯行と思われる事件が多発している。
そんな中、私達は普段通りに器具のメンテナンス、周辺の防衛装置の強化などを行っていた。
その間、ダンブルドアによる不死鳥の騎士団の招集がかかる事は無かった。
『もしもし、今大丈夫?』
ハーマイオニーから通信が入る。
『問題ありません』
『それは良かったわ。今日からまた新学期ね。よろしく』
『こちらこそよろしくお願いします』
『なんだか、こっちも大変なのよ。まぁ…私の家の方はそこまで被害は出てないけどね。そっちは?』
『こちらも被害は出ていません』
『そう。ならまた後でコンパートメントで会いましょう』
『了解』
私達は荷物をまとめ、外へと出る。
「バーニア出力安定。飛行モード問題なし」
「目的確定。バーニア出力上昇。移動を開始します」
普段通りに、バーニアを吹かし、上空へと飛び上がる。
「ステルスモード起動」
「周辺同化率99.89%」
ステルスモードで姿を隠し、私達はホグワーツ特急が出るキングス・クロス駅へと移動した。
キングス・クロス駅上空に到着後、人気の無い場所へと軟着陸する。
「キングス・クロス駅到着です」
「発車10分前、乗車しましょう」
私達はホグワーツ特急へと乗り込むと、人気の無いコンパートメントへと移動した。
ホグワーツの始業式が始まる数週間前。
魔法界にある、マルフォイ邸にて死喰い人の集会が行われていた。
集会には、ベラトリックス・レストレンジやピーター・ペティグリュー。そして、ホグワーツの教員でもあるセブルス・スネイプなどそうそうたるメンバーが円卓に集結していた。
そんな中、ベラトリックス・レストレンジは不機嫌そうに貧乏揺すりをしている。
「不機嫌そうだな。どうしたのだ? ベラトリックス」
「フン。アンタには関係ないだろ?」
ベラトリックスは不機嫌さを現し声を掛けてきたルシウス・マルフォイを一瞥する。
「大方、従兄妹のシリウス・ブラックが病院送りになったのが原因だろう。仕留め損ねるとはふがいないな」
「次は必ず仕留めるさ」
「そうか」
ルシウスは大扉を開くと、奥からヴォルデモートが姿を現した。
「全員揃ったか」
「はい、ここに」
マルフォイの大広間に円卓にて、ヴォルデモートが周囲の死喰い人を一瞥する。
「皆、よく集まってくれた」
ヴォルデモートの声が周囲に響き渡り、その声に多くの死喰い人が陶酔し、顔を上げる。
「さて、貴様達は俺様に忠誠を誓って居るのだろう?」
死喰い人に緊張が走り、皆一様に頷いている。
「はい、我が君」
ルシウスが答えると、ヴォルデモートは微笑み、ゆっくりと立ち上がる。
その拍子に、ドラコ・マルフォイが肩をビクつかせる。
「どうしたのだ? ドラコよ? 寒いのか?」
「いえ! その様な事は!」
「そうかそうか。ならば俺様が恐ろしいのか?」
「え…えっと…」
ドラコは口籠り、言葉が途絶える。
「我が君。あまり我が息子を――」
「フッ、分かっている。心配するなルシウス」
ヴォルデモートはゆっくりとルシウスの肩に手を置く。
「して、OFの生産ラインはどうなっている?」
「現在、無人戦闘用のゴーレムの事ですね。現在量産態勢を整えておりますので、後1年程で100体は生産可能かと。人が乗るタイプのも試作機がいくつか…」
「もっと急がせろ。無人機はどれだけあっても困らぬ」
「しかし、現在、誘拐してきたマグルなどから魔力や生体エネルギーを吸い上げていますが、まだまだ足りない状況でして…」
「ならば、もっと揃えろ。マグルがいくら死のうと構わん」
「はっ!」
ルシウスは震えた声を上げる。
「俺様の杖では、兄弟杖を持つハリー・ポッターを殺す事は出来ん様だ」
その言葉を聞いたメンバーはどよめき始めた。
「そこでだ…必要ではないが、形式上杖は要る。誰か俺様に杖をよこせ」
その一言で、周囲は一瞬にして凍ったように静かになった。
肩に手を置かれているルシウスは更に体を強張らせる。
「なんだ? 誰も居ないのか」
ヴォルデモートはゆっくりとルシウスの方を握る手の力を強め、それに比例するように、顔を走るエネルギーラインが顕著に現れる。
「わ、我が君…」
「どうしたのだ? ルシウスよ」
「わ、私の杖でよろしければ…お使いください」
「ほぉ…気が利くな」
冷や汗を掻いたルシウスは震える手でステッキに同化させた杖を取り出す。
「お、お使いください」
ヴォルデモートはゆっくりと杖を受ける取ると、上部にある蛇の装飾品をへし折る。
「フッ」
ヴォルデモートは鼻で笑うと、自分の席へと戻って行った。
「さて…ドラコ」
「はっ…はい!」
急に名前を呼ばれたドラコは、上ずった声で返事をする。
「貴様に任務を与えよう」
「こ、光栄です」
ドラコは震える声で答える。
「ダンブルドアを始末しろ」
「だ…ダンブルドアを…」
「手段は問わない」
「お言葉ですが我が君…息子にはいささか荷が重い任務かと…」
「ではセブルスを補佐に付けよう。それで問題あるまい」
「しかし――」
「畏まりました」
セブルスは単調に答える。
「は…はい」
ドラコはただ一言答える。
「それともう一つだ」
「はい」
「イーグリット姉妹だったか。アイツらを監視しろ」
「監視…ですか」
「そうだ。あやつ等はダンブルドアとは違い、殺すのは難しい。だが弱点があるはずだ。それを探すのだ」
「か、わ、わかりました」
「まかせたぞ」
ドラコは震えた声で答え、ヴォルデモートは円卓を後にした。
コンパートメントに入室してから数分後、ハーマイオニーから通信が入る。
『もう乗った?』
『乗りました。席は確保してあります』
『了解! 向かうわ』
数分後、ハーマイオニーがコンパートメントの扉を叩く。
「どうぞ」
デルフィが扉を開け、ハーマイオニーをコンパートメント内へと招き入れる。
「ありがとう」
そう言うと、ハーマイオニーは荷物を、荷台に仕舞い込む。
「ふぅ…やっぱり荷物が多いと疲れちゃうわ」
椅子に腰かけたハーマイオニーは一息入れる。
「そう言えば、この前ダイアゴン横丁へ行ってきたのよ」
「そうですか」
「でも、死喰い人の影響かしら…あまり活気が無かったわ。空いているお店はウィーズリー・ウィザード・ウィーズだったわ」
「あぁ、あの兄弟の」
「そう。それと、ノクターン横丁でマルフォイを見かけたわ。ボージン・アンド・バークスに入って行ったわ」
「あまり学生が行くようなところじゃ無いな。何が目的だ?」
「わからないわ。もしかしたら死喰い人関連かも」
「ドラコ・マルフォイに対する警戒レベルを上げることをおススメします」
「そうするわ」
その数分後、汽車は汽笛を鳴らし、キングスクロス駅を出発した。
ホグワーツ駅に到着するまでの間、私達は他愛のない会話を続けた。
今日は、ホグワーツの新学期始業日。
新たな生徒を迎え入れ、気分を一新させるいい日だ。
そんな良い一日の初めを、ワシは一人校長室の椅子に座りながら実感する。
「うぅ…」
ふと走る、右手の痛みに、呻き声を上げる。
自業自得とは言え、呪いを受けてしまったのは、いささか都合が悪い。
今は、右手だけで抑えているが、いずれは…
「いかんな…」
ワシは頭を軽く振り、雑念を払う。
今年は、ワシに取ってホグワーツでの最後の年になるであろう…
ふと立ち上がり、窓際に足を進める。
ガラス越しに広がる風景を目に焼き付ける。
その時、ホグワーツ特急が駅に到着する。
「来たか…」
駅に到着した汽車から大勢の人影が下りて来る。
恐らく、あの中に、あの姉妹がいるはずだ…
今年も幕が上がった。
ホグワーツ特急が駅に到着後、私達は下車し、駅のホームに降り立つ。
多くの生徒が不安そうな表情をしながら、歩みを進めて行く。
「あれ?」
ハーマイオニーがふと周囲を見渡す。
「ハリーが居ないわね」
「周辺には居ないと思われます」
「ロンの姿はさっき見たんだけど…どこ行ったのかしら?」
「既に行ったと考えるのが一般的です」
「そうね。私達も行きましょう」
私達は周囲の生徒の波に乗り、ホグワーツへと、足を向けた。
ホグワーツに到着後、新学期パーティーが例年通りに取り行われた。
教員席にはトレローニーの姿も見受けられる。
『どうやら、トレローニー先生は復職した様ね』
『その様です』
今年も、帽子による警告の様にも取れる歌を歌う。
『まぁ、ヴォルデモートが復活したからってのは有るけど、ちょっと露骨すぎるわね』
『まぁ、今年は波乱だろうな』
『そうね…そう言えばダンブルドアの右手…どうしたのかしら?』
席に座ったダンブルドアの右手は黒く変色している。
『あれは…そうか、そう言う事か…』
『どう言う事?』
『まぁ…僕が残したちょっとした罠に引っかかっただけさ。アイツも誘惑には勝てなかったんだろう。いい気味だね』
『罠? 一体何の事?』
「皆! 今日は良い夜じゃな!」
しばらくすると、ダンブルドアが大声を上げ、会場が静まり返る。
「新入生の諸君、歓迎いたしますぞ。そして上級生にはお帰りなさいじゃ。今年もまた、魔法教育がびっしりと待ち受けておる。まず初めに禁じられた森には生徒立ち入り禁止じゃ。そしてホグズミード村には3年生から行くことが許可される。それと、管理人のフィルチさんから皆に伝えるようにと言われたのじゃが、ウィーズリー・ウィザード・ウィーズとかいう店で購入した悪戯用具は全て校内持ち込み禁止じゃ」
『あの店は良いんだけど…商品がね…』
『品性の欠片すらない物ばかりだ』
「各寮のクィディッチチームに入団したいものは寮監に名前を提出すること。今年度は試合の解説も同時に募集しておるので、興味のあるものは同じく応募するとよい」
生徒達は、ダンブルドアの話を聞きながら、教職員の席に目をやっている。
そこには1人の老人が座っていた。
『おや…また懐かしい顔が居るな』
『あの人? 知ってるの?』
『まぁね…ホラス・スラグホーン…あいつが居るって事はダンブルドアはある程度まで達したって事か…』
『ねぇ、さっきからなんなの?』
『いずれ話すさ。時期が来たらね』
『ん?』
「さて、今年からは居る新しい先生がおる。早速紹介しよう。ホラス・スラグホーン先生じゃ。スラグホーン先生はかつてホグワーツで魔法薬学を担当しておられた。今回はホグワーツの魔法薬学の先生として復職していただく」
スラグホーンはゆっくりと立ち上がると、簡単な挨拶を済ませた。
「さて、それにともなってじゃが、スネイプ先生には闇の魔術に対する防衛術の担当になっていただく」
「え?」
それを聞いたハリーは声を上げる。
「嘘だろ…」
「最悪だ…」
グリフィンドールの生徒から不満の声が上がる。
『スネイプが…闇の魔術に対する防衛術の御担…ちょっと嫌ね』
『当人を見てみろよ。笑ってるぞ』
『ホントだわ…スネイプの笑ってる顔、初めて見たわ…』
「さて、長い挨拶も詰まらんじゃろう。皆よく食べ、よく飲み、学校生活を楽しんでくれ!」
ダンブルドアが締め、新学期パーティは幕を下ろす。
スラグホーンがトムが存在している事を知ったら驚きそう。