ハリー・ポッターと終末の魔法使い   作:サーフ

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花粉症が終わったと思ったら、風邪を引きました。


フェリックス・フェリシス

   新学期が始まると、去年のテスト結果により、選択科目が限られるようになる。

 

 しかし、私達にとっては大した問題では無かった。

 

 数日もすると、今年最初の、闇の魔術に対する防衛術の授業が行われる。

 

 スネイプの授業という事もあるが、スリザリンとグリフィンドールの合同授業という事で、グリフィンドール生は不機嫌そうにしている。

 

 対するスリザリン生は笑みを浮かべている。

 

「まったく…なんでスリザリンと…しかもスネイプの授業を受けなきゃいけないんだ」

 

「全くだよ…受けたくないよ…抜け出そうかな…」

 

 ハリーとロンはテーブルに顔を突っ伏し愚痴をこぼしている。

 

「全員席に着け! 早くしろ」

 

 スネイプが教室に入るなりそう言ういうと、多くの生徒が席へと付いた。

 

『嬉しそうね…』

 

『声のトーンから推察するに、メンタルコンデションレベルは高位です』

 

『はぁ…』

 

 上機嫌のスネイプは教卓に付くと、全員を一瞥する。

 

「闇の魔術は多種多様、千遍万化、流動的にして永遠なる物だ。それと戦うという事は多く獰猛なドラゴンを相手するのに等しい、1体のドラゴンに集中して居れば、別の所から別の奴が来る。もっとも、そんな状況でも総てを打ち砕く様な化け物も居るがな…まぁいい。諸君の戦いの相手は固定できず変化し、破壊不能なものだ」

 

『長いポエムね』

 

『冷静になってから、頭抱えてそう』

 

『黒歴史って奴ね』

 

 しかし、スネイプがポエムを言い終えると、スリザリンから拍手が上がる。

 

「スリザリンに5点やろう。拍手が聞こえなかった故、グリフィンドールは10点減点だ」

 

「理不尽だろ…」

 

 ロンは小さく呟く。

 

「さて、今回は無言呪文に付いて教えよう」

 

『無言呪文ねぇ…』

 

『詠唱しないから難しいな。イメージを強く持つのが成功のコツだ。熟練者は歩くように当たり前にやるがね』

 

『難しそうね』

 

 授業は進み、実技の段階になる。

 

 結果としては、私達とハーマイオニーだけが無言呪文を成功させた。

 

 しかし、私達はメタトロンを用い、成功したように見せているだけだが、スネイプが見抜いたような素振りは確認出来なかった。

 

   数日後

 

 スラグホーンによる初の魔法薬学の授業の時間がやって来た。

 

 

 

 教室に入ると、上機嫌そうに微笑んでいるスラグホーンの姿がった。

 

 

 スラグホーンはハリーを見ると、上機嫌になり熱烈に迎え入れた。

 

 

 

「さて、さて…みんな秤をだして。それに魔法薬キットもだよ。後は教科書を…」

 

 

 

「先生。僕とロンは本も天秤も持っていません。僕達、N・E・W・Tが取れるとは思わなかったものですから……」

 

 

 

「ああ、そうそう。マクゴナガル先生が確かにそうおっしゃっていた。心配には及ばんよハリー、全く心配ない」

 

『ハリー達ったら…何も用意せずに来たのね。でもどうして? 普通なら追い返されるわ』

 

『スラグホーンはビックネームが好きだからな、そう言う理由だろう』

 

『そうなの? 詳しいわね』

 

『まぁ、僕も学生時代はスラグホーンのお気に入りだったからね』

 

『お気に入り?』

 

『そうさ、スラグホーンはお気に入りの生徒を自分の周囲に置きたがるのさ』

 

『そうなの?』

 

 スラグホーンは嫌な顔一つせずにハリー達に道具と教科書を用意した。

 

 

 

 教科書を2冊受け取ったハリーとロンは、どちらが新品を取るかで争っていたが、今回はロンに軍配が上がったようだ。

 

「さーてと、皆に見せようと思っていくつか魔法薬を煎じておいた。N・E・W・Tが終わった頃にはこういうのを煎じる事が出来るようになっているはずだ。これが何だか分かる者はいるかね?」

 

 

 

「はい!」

 

 

 

 いつもの様に何の迷いも無くハーマイオニーは真っ直ぐ手を上げた。

 

「言ってごらんなさい」

 

 

 

 許可を得たハーマイオニーは薬の前で手を仰ぎ臭いを確かめた後、口を開いた。

 

 

 

「右から、飲んだものに真実を話させる真実薬。他人に化けられるポリジュース薬、そして愛の妙薬と言われるアモルテンシアです。一番奥のは…えっと…」

 

『これは、フェリックス・フェリシスだ』

 

「フェリックス・フェリシスです」

 

「大正解だ! 素晴らしい! グリフィンドールに25点あげよう!」

 

「ありがとうございます」

 

「では、最後の薬品。フェリックス・フェリシスがどういった物か説明できるかな?」

 

「はい」

 

 ハーマイオニーが立ち上がる。

 

「フェリックス・フェリシスは幸運の液体です。人に幸運をもたらします!」

 

 それを聞いて教室の中に居る生徒達が一斉にざわめきだした。

 

 しかし、鍋の中の薬品をスキャンした結果、高濃度のエンドルフィン誘発剤だと推察される。

 

「その通り、グリフィンドールにもう5点あげよう。そう、この魔法薬は面白い。調合が恐ろしく面倒で間違えると酷い事になる。しかし成功すれば全ての企てが成功に傾いていくのが分かるだろう」

 

「先生。ならどうしてそれを皆飲まないんですか?」

 

 

 

 ロンが手を上げ質問する。

 

『確かにそうよね。量産して全員に配れば良いのに』

 

『そうは行かないんだなぁこれが』

 

「それはね、飲みすぎると有頂天になったり、自己過信、無謀になったりと危ないからだよ。まぁ後は飲みすぎれば毒にもなるからね」

 

『危ない薬みたいね』

 

『何事も、適宜適量さ。過剰摂取はどんな良薬でも毒になる』

 

 スラグホーンは軽く手を掲げ、教室内の騒めきを治める。

 

「そこで、皆に朗報だ。今日の授業の褒美として、このフェリックス・フェリシスの小瓶一本プレゼントしよう。12時間分の幸運に十分な量だ。明け方から夕方まで何をやってもラッキーになる」

 

 

 スラグホーンがそう言うと、クラスから歓声が上がった。

 

『相変わらずスラグホーンは人の心を掴むのがうまいな』

 

『人心掌握術に長けているようです』

 

「注意しておくがフェリックス・フェリシスは組織的な競技や競争事に使う事は禁止されている。これを獲得した生徒は通常の日だけ使用する事。そして通常の日がどんなに素晴らしくなるかを知るだろう」

 

 

『ドーピングみたいな物なのね』

 

『まぁ、みんながみんな使ったら。競技どころじゃ無くなるからな』

 

「さて、この素晴らしい賞をどうやって獲得するか? さあ『上級魔法薬』の10ページを開いて頂こう。後1時間と少し残っているが、その時間内に『生ける屍の水薬』に取り組んで頂く。そして最もよく出来た者にこの愛すべきフェリックスを与える。さあ始め!」

 

 多くの生徒が歓声を上げ、作業に取り掛かった。

 

「さて、始めましょう」

 

「薬品の生成を開始します」

 

 私達はデータベースを参照しながら、薬品の生成に取りかかった。

 

『えっと…まずは大鍋に煎じたニガヨモギを入れるんだ』

 

『了解よ』

 

 ハーマイオニーはトムの指示に従い、薬品の生成に取り掛かる。

 

『次は、アスフォデルの球根を粉末状にして入れるんだ』

 

『分量はこれくらいね』

 

 アスフォデルの球根の粉末を入れた後、2回ほど時計回りにかき回す。

 

『次は、ナマケモノの脳味噌を加える』

 

『よくこんな物用意したわね』

 

『人間界じゃ珍しいが。魔法界だからな。次は13粒の睡眠豆の汁を入れる』

 

『えっと…教科書には12粒を切って入れるって書いてあるわ』

 

『教科書が常に正しいとは限らないさ。後、切るんじゃ無くてナイフの刃で押す潰すとよく出る』

 

『本当だわ。良く知ってるわね』

 

『昔取った杵柄さ』

 

 ハーマイオニーは13粒分の催眠豆をの汁を添加する。

 

 私達は、片手で13粒を握り潰し汁を添加する。

 

『教科書だと、これで澄んで来るまで反時計回りにかき回して完成ね』

 

『具体的には、7回反時計回り、最後に1回だけ時計回りだと良いぞ』

 

『詳しいわね』

 

『まぁね』

 

 私達も反応を観察しつつ、薬品の生成を終了させる。

 

「終わったようだな! さてさて、それでは見て行こう」

 

 スラグホーンは一人一人の鍋を覗き込む。

 

「おぉ…これは…何という…」

 

 私達とハーマイオニー、そしてハリーの鍋を教卓に並べ、スラグホーンは驚愕する。

 

「この4つは完璧だ。まさか…4つも完璧な物が出来るとは…」

 

 スラグホーンは腕を組み少し考えに耽る。

 

「困った…いや、フェリックス・フェリシスの小瓶は2本しかないんだ…」

 

「我々必要ありません」

 

 デルフィが答える。

 

「いいの?」

 

「はい」

 

「そうか、では確かに2つ渡したよ」

 

 スラグホーンからフェリックス・フェリシスの小瓶を受け取る。

 

『まさか、ハリーがちゃんと作るなんて…おかしいわね』

 

『運が良いんじゃないか。実際運だけで生き残って来たようなものだろう?』

 

『それは…ノーコメントで』

 

「どうやったんだよ?」

 

 

 

「秘密さ。ラッキーだったんだよ」

 

 

 

 ロンがハリーに問い詰めているが、ハリーは適当にはぐらかす。

 

 こうして居る間に、終業を告げる鐘が鳴り響いた。

 

 

「チッ」

 

 グリフィンドール生に祝福されながら教室を後にしたハリーの背中を睨みながらマルフォイは舌打ちをした。

 

「ふぅ…」

 

 一息入れた後、マルフォイは教室を離れ、スリザリンの寮とは別の方向へと歩みを進めた。

 

「さてと…」

 

 マルフォイが足を止めた場所は、『必要の部屋』の入り口だった。

 

 マルフォイは躊躇う事無く、必要の部屋への扉を開ける。

 

 扉を開けた先には、大量のガラクタが積み上げられた、廃屋の様な場所だった。

 

「始めるか」

 

 ガラクタの中に1つ巨大な布に覆われた物体が鎮座していた。

 

 マルフォイは覆っていた布を引きはがすと、そこには巨大なキャビネットが姿を現した。

 

 このキャビネットは『姿をくらますキャビネット』と呼ばれ、対になるキャビネットと繋がる事が出来る代物だ。

 

 マルフォイはダンブルドア暗殺の為、『姿をくらますキャビネット』の修復に着手している。

 

 しかし、修理は思った以上に上手くいっていない様で、イラ立ちを抑える様に、周囲のガラクタを蹴り上げている。

 

「修理が…そうだ…その手がある…」

 

 キャビネットの修理以外の方法を思いついた様で、マルフォイは足早に必要の部屋を後にした。

 




フェリックス・フェリシス=エンドルフィン誘発剤と言うのは独自的な会見です。

ブラックジャックの映画で似た様な薬があったのを思い出しました。
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