ハリー・ポッターと終末の魔法使い   作:サーフ

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スリザリンのロケット

   後日

 フェリックス・フェリシスの効果はあったようで、ハリーは無事、スラグホーンと接触し、任務を果たしたようだ。

 

 既に、ダンブルドアに報告済みのようで、数日後に、不死鳥の騎士団の任務として時計塔の最上階へと呼び出された。

 

 

 時計塔の階段を上ると、そこにはダンブルドアとスネイプが会話をしている。

 

「吾輩に多くを求めすぎではありませんか? あまりにも…その聡明な頭脳でお分かりになりませぬか? 吾輩がそれを望んでいないことを」

 

 

 

「思い至ろうが、至らまいが、関係あるまい。もう決まった事じゃよ、セブルス。それに、君は同意した。これ以上話す事も無いじゃろう」

 

 

 

「フン!」

 

 

 

 スネイプは、踵を返すと、階段を急ぎ足で降りる。

 

「ッ!」

 

 スネイプは私達を一瞥すると、何事も無かったように階段を下りて行った。

 

「来たか」

 

「到着しました」

 

「ご用件は?」

 

「少し待つのじゃ」

 

 数分後、ハリーが階段を上り、時計塔最上段へと到着する。

 

「おぉ、ハリー。髭が伸びておるぞ」

 

 

 

 ダンブルドアは、ハリーの顔を見ると指摘する。

 

「今朝、剃れなくて」

 

 

 

「成長したという事じゃ…じゃが、ワシは未だに君が、あの物置に居た小さな子供に見える。年寄りの感傷じゃよ」

 

 

 

「先生もお変わりないですね」

 

 

 

「君は母親に似て優しいの。皆それに甘えておるのじゃよ」

 

「いえ…そんな事は無いですよ」

 

 ハリーは照れ臭そうに笑みを浮かべる。

 

 

「さて…今回お主達を呼び出したのはちょっとした用事でな。ワシに同行して欲しいのじゃよ」

 

「場所は?」

 

「着いてのお楽しみじゃ。じゃがいくつか条件がある」

 

「条件?」

 

「左様。今回の行動は危険が伴う。故に、ワシの言う事には従ってもらいたい…ワシが、逃げろと言えば逃げ、隠れろと言えば隠れるのじゃ。そして、ワシを見捨てろと言ったら見捨てるのじゃ。分かったの、ハリー」

 

「わ…わかりました…」

 

 ハリーは俯き数回頷く。

 

 ダンブルドアはこちらに目線を向けるが、一瞥するとハリーに視線を戻す。

 

 

「さて、ハリーよ。ワシの腕に掴まるのじゃ」

 

「え? でも先生。学校で姿現しは出来ない筈じゃ…」

 

 

 

「まぁ、ワシは特別じゃよ。お主達も」

 

「了解」

 

 私達もダンブルドアの腕に掴まる。

 

 

「では行くぞ」

 

 

 

 

 

 次の瞬間、空間湾曲が発生し、私達は別の場所へと移動した。

 

 

「どこに行ったのかしら?」

 

「通信圏外だ。おかしいな…」

 

「ハリーも居ないみたいなの。どうしたのかしら?」

 

 ハーマイオニーは自室で溜息を吐く。

 

「折角課題を一緒にやろうとしたのに」

 

「手伝って貰う腹積もりだろ?」

 

「そ…そんなんじゃ無いわよ」

 

「そうかい…ん?」

 

「どうしたのよ?」

 

 トムが何か違和感を覚えた様だ。

 

「空間湾曲を検知した。姿現しさ。ホグワーツでは出来ない筈だが…」

 

「どう言う事かしら?」

 

「大方、ダンブルドアだろう…ん?」

 

「今度は何?」

 

「また空間湾曲だ…いや、空間が繋がった…と言うべきか?」

 

「どう言う事?」

 

「ホグワーツと別の場所が何かによって強制的に繋がれた。つまり外部から侵入者が来るかもしれないという事だ」

 

「そんな! 場所は?」

 

「ちょっと待ってろ。スキャン中だ。わかったぞ、必要の部屋だ」

 

「行きましょう!」

 

「あぁ」

 

 ハーマイオニーはタブレット端末を小脇に抱えると、自室を飛び出し、必要の部屋へと向かった。

 

 必要の部屋に到着すると、入り口の間でハーマイオニーは立ち止まる。

 

『必要の部屋に来たけど…どこを思い浮かべればいいのかしら?』

 

『スキャン結果だが、その空間には他にも多くの反応がある。物が多い所で良いんじゃないか?』

 

『わかったわ』

 

 ハーマイオニーは必要の部屋の扉を開き、入室する。

 

 部屋の中は、物がごった返していた。

 

「物が多いわね」

 

『本当だな。この先に反応があるぞ。生体反応もある…人が居るな。声を出すなよ』

 

『分かったわ…』

 

 ハーマイオニーは周囲を警戒しつつ、奥へと進む。

 

「良し! 修理は終わった! これで繋がったはずだ!」

 

『アレは…マルフォイ? あの巨大なキャビネットは?』

 

『アレは、『姿をくらますキャビネット』だ』

 

『何よそれ?』

 

『対になるキャビネットがあるんだ。それで外部と繋がっているんだろう。姿現しが出来ない奴でも長距離を移動出来るのが利点だな』

 

『そうなの。じゃあこのキャビネットと外のキャビネットが繋がっているって言う事?』

 

『あぁ』

 

『そう言えば、この前マルフォイが、ボージン・アンド・バークスに行くのを見たわ』

 

 マルフォイは姿をくらますキャビネットの扉を開けるとリンゴと手紙を入れる。

 

「後は…死喰い人が来るのを待つだけだ…」

 

『なるほど、キャビネットを使って死喰い人をホグワーツに招き入れるって訳か』

 

『早くこの事を先生に!』

 

『あぁ…ん?』

 

『どうしたのよ』

 

『面白い反応を検知したぞ。ちょっと寄り道してくれ』

 

『でも…』

 

『直ぐに済むさ』

 

『わかったわ…』

 

『じゃあ、案内しよう』

 

 ハーマイオニーはトムの指示に従い、移動を開始する。

 

『コイツだ』

 

『これは? 髪飾り? まさか…』

 

『そうさ。ロウェナ・レイブンクローの髪飾りだ』

 

 ハーマイオニーはロウェナ・レイブンクローの髪飾りを手に取る。

 

『何か彫ってあるわ。計り知れぬ英知こそ、われらが最大の宝なり?』

 

『ロウェナ・レイブンクローの有名な言葉だ。なんでも、その髪飾りを付ければ知恵が増すらしいぞ』

 

『そうなの、じゃあ…早速』

 

『つけて、現代の僕の影響を受けても責任は取らないぞ』

 

『………やめておくわ』

 

『それが良い』

 

 ハーマイオニーは髪飾りをポケットへと仕舞う。

 

『さて、行きましょう』

 

 その後、マルフォイに気付かれない様に必要の部屋を脱出した。

 

 

  ダンブルドアの姿現しにより、私達は荒海の中に佇む小さな岩場の上へと移動した。

 

「あれ…ここは」

 

 ハリーが周囲を見回して、混乱している。

 

「先生! 分霊箱はどこにあるのですか?」

 

「あの洞窟じゃ。行くぞ」

 

 ダンブルドアは再び姿現しを行い、洞窟へと移動した。

 

 

「ここに…」

 

「そうじゃ…ここにヴォルデモートの分霊箱…そのうちの1つがあるはずだ」

 

「ヴォルデモートは一体何個作ったんでしょう…」

 

「分からん…だが予測は付く。6個から7個だろう…恐らくじゃがな…」

 

「そんなに…」

 

 ハリーは驚愕し溜息を吐く。

 

「ここじゃな。…やはり、この場所には魔法の痕跡がある」

 

 ダンブルドアは巨大な岩盤の前で足を止めると、小さなナイフを取り出した。

 

 

 

「通る為には通行料が必要じゃ…」

 

 

 

 そう言うと、ダンブルドアは自らの手にナイフを突き立てた。

 

 

 

「先生!」

 

 

 

「これは、通行料じゃ。通るものを弱らせるのが狙いじゃよ」

 

 

 

「それなら僕が──」

 

 

 

「ならぬ…」

 

 

 

 ダンブルドアは落ち付いた口調で、ハリーの言葉を遮る。

 

 

 

「君の血はワシの血なんぞより貴重なのじゃよ」

 

 ダンブルドアが壁に血を塗り付けると、仕掛けが作動したのか、洞窟が開けた。

 

 

 

 

 

「行くぞ」

 

 

 

 私達は、暗い洞窟をゆっくりと進んでいく。

 

 洞窟内で電波障害が発生している様で、外部との通信に異常が発生する。

 

「うぉ!」 

 

 洞窟の中は悪路でハリー達の歩みは遅くなっている。

 

「ヴォルデモートは簡単に見つかるような場所に隠したりはしない筈じゃ…恐らく、防御の仕掛けがあるはずじゃ」

 

 

 

 しばらく歩くと、そこは巨大な地底湖の様になっており、湖の中心に、台座の様な物が鎮座している。

 

「あれじゃ」

 

 

 

 ダンブルドアは、その台座を指差しながら、考えを巡らせている。

 

 

 

「さて…問題はどうやって渡るかじゃ…」

 

 

 

 

 

 ダンブルドアは杖を軽く振ると、鎖の付いた小舟が手元にやって来た。

 

 

 

「これを使おう…」

 

 ダンブルドアとハリーは小舟へと乗り込む。

 

「先に行く。お主達は後で──」

 

 私達はバーニアを起動し、その場に浮遊する。

 

「先行します」

 

 ダンブルドア達が到着するよりも早く台座の場所へと移動した。

 

「どうなっておるのじゃ…」

 

「さ…さぁ?」

 

 数分後、小舟が到着する。

 

「分霊箱はこの中に…」

 

 

 

「あぁ、間違いないじゃろう」

 

 

 

 疲れ果てた2人は台座の中を覗き込んでいる。

 

 台座の中には、黒い毒性の液体に満ちており、内部に金属反応がある。

 

 しかし、以前の日記帳の様な反応は無い。

 

 ダンブルドアは台座の中を見つめた後、ゆっくりと口を開いた。

 

 

 

「これを取り出すには…総て飲まねばならぬ…」

 

「内部は毒性の液体で満たされています。我々が処理します」

 

「お主達は手を出すでない! 毒なのは承知の上じゃ! しかし…それしか方法は無い」

 

 ダンブルドアは震える手でゴブレットを手に取り、内部の毒液を掬うと口へと運ぶ。

 

「うごぉ!」

 

「先生!」

 

 飲み込むと同時にダンブルドアは苦しそうな呻き声を上げる。

 

「大丈夫じゃ…飲まなくては…」

 

 ダンブルドアは再び毒液を呑み、咳込む。

 

 複数回繰り返す頃には毒液は半分程になるが、ダンブルドアの生体反応が微弱になり、これ以上は危険だろう。

 

「の…飲まなくては…」

 

 ゴブレットに手を伸ばしたダンブルドアをデルフィが制止する。

 

「これ以上は危険です」

 

「じゃが…」

 

 デルフィは毒液に手を突っ込み、内部にあるネックレスを回収する。

 

「回収終了です」

 

「え?」

 

「何じゃと…」

 

 ダンブルドアは浅い呼吸をしたまま、その場に崩れ落ちる。

 

「帰還しましょう」

 

「そ…そうじゃな…」

 

 私達は洞窟から撤退する。

 

 洞窟を抜けると、ハーマイオニーからの通信履歴を検知する。

 

 ハーマイオニーへと通信を繋ぐ。

 

『ご用件は?』

 

『大変なの! 死喰い人が! キャッ!』

 

『大丈夫ですか?』

 

『大丈夫。マクゴナガル先生と一緒に死喰い人を押さえているわ! 他の生徒達の避難も終わっているわ。でも早く来て!』

 

『了解』

 

「戻るぞ…」

 

 肩で息をするダンブルドアの腕を掴み、私達はホグワーツへと帰還する。

 




この辺から物語が変化し始めます。

起承転結で言う転の部分です
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